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ウェーブロックホールディングスのニュース
■ウェーブロックホールディングス<7940>の業績動向
2. 事業セグメント別の動向
(1) マテリアルソリューション事業
マテリアルソリューション事業の売上高は前年同期比8.7%増の9,257百万円、営業利益は同31.6%減の456百万円となった。原材料価格高騰に伴う売価転化値上げや、2023年3月期より連結化したエイゼンコーポレーションの売上寄与により伸長した。一方、利益面では、原材料価格高騰分のすべてを売価転嫁値上げで吸収できなかったほか、販売数量が伸び悩み、減益となった。
ソリューション別の動向は、以下のとおり。
リビングソリューションは、主力のホームセンター向け張替用防虫網等の販売が前年同期の巣ごもり需要から反動減となったことに加え、ホームセンター自体の客足が伸びず、売上高は前年同期比3.0%減、原材料価格高騰により営業利益も減益となった。なお、ホームセンター向けは毎年3月からの販売シーズンに向けて前年中に販売数量や価格の交渉を行うため、現在は2023年3月からのシーズンインに向けて交渉を進めている。
ビルディングソリューションは、建設・仮設工事向けで、買い替え需要により防音シートが好調に推移したものの、OEM生産への切り替え遅れや一部製品からの撤退、原材料価格上昇分の売価転嫁遅れにより、売上高は前年同期比5.7%減の1,339百万円、営業利益も減益となった。OEM生産への切り替え遅れについては、クレアネイト譲渡に伴い、クレアネイトの一関工場で製造していた品目を外部企業へ生産委託することに時間を要したものである。
インダストリアルソリューションは、大型商業施設向けの防煙垂壁用高透明不燃シートの販売が好調に推移し、売上高は同37.7%増の588百万円、営業利益も増益となった。
パッケージングソリューションは、健康志向の高まりを背景にヨーグルト容器向け販売が堅調に推移したほか、原材料価格上昇分の売価転嫁値上げにより、売上高は前期比18.8%増の2,014百万円となったものの、原材料価格の高騰が値上げに追いつかず大幅な減益となった。トピックスとしては、2022年3月期に販売を開始した業界初となる植物由来のバイオマスプラスチック配合ミルクポーションは他食品包材へも展開が進んでいる。
アグリソリューションは、エネルギーコストの上昇等により農業資材への投資意欲が低迷するなか、輸入資材である土壌改良剤や農業用保温資材、遮光ネットの販売が好調に推移し、売上高は前年同期比3.9%増の1,525百万円となったものの、円安の進行に伴う仕入コスト上昇により営業利益は減益となった。
なお、新たに子会社に加わったエイゼンコーポレーションの業績影響については、売上高で5億円弱の増加要因となった一方、利益面ではのれん償却額10百万円を含めてほぼ影響がなかったようだ。
(2) アドバンストテクノロジー事業
アドバンストテクノロジー事業の売上高は前年同期比7.0%減の2,182百万円となったものの、営業利益は同64.3%増の339百万円と過去最高を更新した。売上高は、仕入販売商品であるディスプレー用拡散板で巣ごもり需要の反動減等を受け、売上高が大幅に減少したことにより、事業全体でも減収となった。一方、利益面は、金属調加飾フィルムの販売が米国の電気自動車向けを中心に拡大したほか、下期に予定している一関工場移設※に伴う工場停止に備えて高透明二層シートの備蓄生産を実施したことが増益要因となった。なお、ディスプレー用拡散板は仕入れ販売のため、利益への影響は軽微であった。
※クレアネイトが関連会社から外れたのを機に、同社の一関工場で生産していた高透明二層シートの製造ラインを、近隣にあるグループ所有の工場に移設し、2024年3月期第1四半期から稼働を再開する予定となっている。
デコレーション&ディスプレー分野の売上高は前年同期比24.2%増の1,494百万円となった。主力の金属調加飾フィルムは、北米の電気自動車向け販売で新規採用が相次いだほか、インド東南アジアの自動二輪車向け販売が引き続き好調に推移した。電気自動車向けでは、米国の新興EVメーカーであるRivian Automotive, Inc.(以下、リビアン)から2021年に発売されたピックアップトラック「R1T」のフロント&リアにあるスキッドプレート※1の表皮材として採用され、その後SUV車「R1S」への採用も決定した。リビアンでは環境に配慮した部品の搭載を目指しており、製造過程において環境負荷の高いメッキ加工品の代替として同社の金属調加飾フィルムが採用された。ゼネラル・モーターズの高級車ブランド「キャデラック」初のEV車「リリック」(2022年5月追加受注開始)のエンブレム及び内装パーツへの採用が決定しており、その他の自動車メーカーからも共同開発等の引き合いが増えているようだ。課題となっていた国際的な品質マネジメント規格「IATF16949」※2もウェーブロック・アドバンスト・テクノロジーが2022年9月に認証取得し、工場監査の手続きもスムーズに進むものと予想される。
※1 自動車が地面と接触した際に、車体下側の損傷を防ぐための部品。基材にABS樹脂等を用い、表面にメッキを施す手法が一般的であった。
※2 IATF16949は自動車産業に特化した品質マネジメントシステムに関する国際規格で、世界の多くの自動車メーカーが自動車部品のグローバルな調達基準として採用している。
自動車向け内装ディスプレー用途の高透明二層シートは、自動車の先進運転支援システムの開発ツールとして期待されるVRヘッドセット用の販売が好調に推移した。一方、自動車向け販売は、上海ロックダウンの影響を受け欧州の主力納入先の生産計画が引き下げられたことから、減収となった。
コンバーティング分野の売上高は前年同期比18.8%増の559百万円、その他分野の売上高は、仕入販売品となる液晶ディスプレー用拡散板が巣ごもり需要の反動減等の影響を受け、同80.8%減の127百万円となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<NS>
2. 事業セグメント別の動向
(1) マテリアルソリューション事業
マテリアルソリューション事業の売上高は前年同期比8.7%増の9,257百万円、営業利益は同31.6%減の456百万円となった。原材料価格高騰に伴う売価転化値上げや、2023年3月期より連結化したエイゼンコーポレーションの売上寄与により伸長した。一方、利益面では、原材料価格高騰分のすべてを売価転嫁値上げで吸収できなかったほか、販売数量が伸び悩み、減益となった。
ソリューション別の動向は、以下のとおり。
リビングソリューションは、主力のホームセンター向け張替用防虫網等の販売が前年同期の巣ごもり需要から反動減となったことに加え、ホームセンター自体の客足が伸びず、売上高は前年同期比3.0%減、原材料価格高騰により営業利益も減益となった。なお、ホームセンター向けは毎年3月からの販売シーズンに向けて前年中に販売数量や価格の交渉を行うため、現在は2023年3月からのシーズンインに向けて交渉を進めている。
ビルディングソリューションは、建設・仮設工事向けで、買い替え需要により防音シートが好調に推移したものの、OEM生産への切り替え遅れや一部製品からの撤退、原材料価格上昇分の売価転嫁遅れにより、売上高は前年同期比5.7%減の1,339百万円、営業利益も減益となった。OEM生産への切り替え遅れについては、クレアネイト譲渡に伴い、クレアネイトの一関工場で製造していた品目を外部企業へ生産委託することに時間を要したものである。
インダストリアルソリューションは、大型商業施設向けの防煙垂壁用高透明不燃シートの販売が好調に推移し、売上高は同37.7%増の588百万円、営業利益も増益となった。
パッケージングソリューションは、健康志向の高まりを背景にヨーグルト容器向け販売が堅調に推移したほか、原材料価格上昇分の売価転嫁値上げにより、売上高は前期比18.8%増の2,014百万円となったものの、原材料価格の高騰が値上げに追いつかず大幅な減益となった。トピックスとしては、2022年3月期に販売を開始した業界初となる植物由来のバイオマスプラスチック配合ミルクポーションは他食品包材へも展開が進んでいる。
アグリソリューションは、エネルギーコストの上昇等により農業資材への投資意欲が低迷するなか、輸入資材である土壌改良剤や農業用保温資材、遮光ネットの販売が好調に推移し、売上高は前年同期比3.9%増の1,525百万円となったものの、円安の進行に伴う仕入コスト上昇により営業利益は減益となった。
なお、新たに子会社に加わったエイゼンコーポレーションの業績影響については、売上高で5億円弱の増加要因となった一方、利益面ではのれん償却額10百万円を含めてほぼ影響がなかったようだ。
(2) アドバンストテクノロジー事業
アドバンストテクノロジー事業の売上高は前年同期比7.0%減の2,182百万円となったものの、営業利益は同64.3%増の339百万円と過去最高を更新した。売上高は、仕入販売商品であるディスプレー用拡散板で巣ごもり需要の反動減等を受け、売上高が大幅に減少したことにより、事業全体でも減収となった。一方、利益面は、金属調加飾フィルムの販売が米国の電気自動車向けを中心に拡大したほか、下期に予定している一関工場移設※に伴う工場停止に備えて高透明二層シートの備蓄生産を実施したことが増益要因となった。なお、ディスプレー用拡散板は仕入れ販売のため、利益への影響は軽微であった。
※クレアネイトが関連会社から外れたのを機に、同社の一関工場で生産していた高透明二層シートの製造ラインを、近隣にあるグループ所有の工場に移設し、2024年3月期第1四半期から稼働を再開する予定となっている。
デコレーション&ディスプレー分野の売上高は前年同期比24.2%増の1,494百万円となった。主力の金属調加飾フィルムは、北米の電気自動車向け販売で新規採用が相次いだほか、インド東南アジアの自動二輪車向け販売が引き続き好調に推移した。電気自動車向けでは、米国の新興EVメーカーであるRivian Automotive, Inc.(以下、リビアン)から2021年に発売されたピックアップトラック「R1T」のフロント&リアにあるスキッドプレート※1の表皮材として採用され、その後SUV車「R1S」への採用も決定した。リビアンでは環境に配慮した部品の搭載を目指しており、製造過程において環境負荷の高いメッキ加工品の代替として同社の金属調加飾フィルムが採用された。ゼネラル・モーターズ
※1 自動車が地面と接触した際に、車体下側の損傷を防ぐための部品。基材にABS樹脂等を用い、表面にメッキを施す手法が一般的であった。
※2 IATF16949は自動車産業に特化した品質マネジメントシステムに関する国際規格で、世界の多くの自動車メーカーが自動車部品のグローバルな調達基準として採用している。
自動車向け内装ディスプレー用途の高透明二層シートは、自動車の先進運転支援システムの開発ツールとして期待されるVRヘッドセット用の販売が好調に推移した。一方、自動車向け販売は、上海ロックダウンの影響を受け欧州の主力納入先の生産計画が引き下げられたことから、減収となった。
コンバーティング分野の売上高は前年同期比18.8%増の559百万円、その他分野の売上高は、仕入販売品となる液晶ディスプレー用拡散板が巣ごもり需要の反動減等の影響を受け、同80.8%減の127百万円となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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