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東京精密のニュース
―不安定な地合いで脚光、業績回復とともに還元強化の高配当割安株ピックアップ―
新型コロナウイルス感染拡大の影響で落ち込んだ業績が回復に向かうなか、上場企業は株主への利益配分を増やしている。22年3月期上期決算シーズンでは、通期業績見通しとともに配当予想を引き上げる企業が相次いだ。業績や配当の上方修正は、将来の収益拡大に自信があることのシグナルとして捉えられ、インカムゲイン、キャピタルゲインの両面から投資妙味のある銘柄としてマーケットの注目を集める。今回はこうした企業のなかから、株価指標が割安で上値が期待できる高配当利回り株を探ってみたい。
●商社を筆頭に配当増額ラッシュ
22年3月期上期の決算が発表された10月初めから11月末にかけて、通期の配当計画を変更した企業を調べたところ、前回予想から増額修正したのは約300社と全体の15%近くに上った。業種別に見ると、資源価格の高騰や旺盛な電子部品需要が追い風となっている商社が最も多く、電子機器など製造業の健闘も目立つ。一方、下方修正したのはTOB(株式公開買い付け)に絡むものを除くと20社程度にとどまった。前期下期から製造業を中心に業績が急回復に転じているうえ、コロナ禍における守りの財務で現金が積み上がった企業も多く、潤沢な手元資金を積極的に株主に還元する姿勢が鮮明となっている。
●業績底入れで高配当株のパフォーマンス向上
高配当利回り株はコロナショックで上場企業全体の業績が悪化した場面では、減配リスクへの警戒から投資家に敬遠されていたが、業績底入れとともに見直す動きが顕著になっている。また、直近では新型コロナの新たな変異株「オミクロン株」の出現で東京株式市場が荒れた相場展開を強いられるなか、下落局面に強い銘柄群として注目度が高まっている。
今回は不安定な相場環境における押し目買い候補として、業績好調で配当利回りが高水準な割安株に注目してみた。以下では、上期決算発表時期に22年3月期通期の業績見通しと配当予想を上方修正した企業のうち、配当利回りが3%を超え、かつ予想PERが低位にある6銘柄を紹介していく。
※配当利回りは12月13日終値ベースで算出。
【東京精】 配当利回り3.38%
東京精密 <7729> は高精度な測定技術を強みに 半導体製造装置と精密測定機器の2事業を展開。ウエハーテスト用のプロービングマシンでは世界トップの実力を誇る。足もとの業績は活況な半導体市場を背景に拡大トレンドが続いている。半導体製造装置は高水準な中国需要に加え、ロジック向けを中心に幅広い分野のニーズが継続し、主力の検査装置や切断・研削装置の引き合いが強い。また、計測機器は自動車用途などで回復しており、22年3月期上期(4-9月)の営業利益は129億2700万円と過去最高益をたたき出した。これを踏まえ、通期の同利益予想を従来計画の220億円から265億円(前期比70.1%増)へ引き上げ、配当も前回の年130円から168円(前期は104円)に増額修正している。予想PER10倍台は割安感が強く、押し目買い候補としてマークしたい。
【特殊陶】 配当利回り4.88%
日本特殊陶業 <5334> は自動車のエンジン向け点火プラグの世界最大手で、排ガスセンサーでもトップクラスの商品シェアを有する。同社は上期決算の開示と併せて、22年3月期通期の営業利益は685億円(前期比44.5%増)になりそうだと発表。従来予想の500億円から上方修正し、4期ぶりに過去最高益を更新する見通しを示した。自動車メーカーの半導体不足による減産影響を受けて新車組み付け用市場は厳しい状況にあるものの、好採算な補修用プラグの高い伸びで補う。また、半導体製造装置用部品の出荷が増勢にあるほか、為替の円安効果などもプラスに働く。業績修正とともに配当予想も従来計画の年74円から96円へ増額し、配当利回りは4%台後半で推移している。一方、予想PERは8.2倍と割安で見直し余地は大きいとみられる。
【プレス工】 配当利回り4.92%
自動車プレス部品大手のプレス工業 <7246> は、トラックの輸出回復や油圧ショベルの世界需要増加を背景に、足もとの業績が急改善をみせている。上期好決算を踏まえ、通期の営業利益予想を120億円(従来計画は109億円)へ上方修正した。配当も年19円(従来計画16円)に積み増したほか、300万株または12億円を上限とする自社株買いの実施を発表するなど、株主還元にも意欲的な姿勢をみせる。配当利回りは4%を大きく超えているにもかかわらず、予想PER6.2倍、PBRは0.44倍と割安感が際立っており、株価の水準訂正余地は大きい。また、株価が低位で4万円以内の資金で購入できることも注目ポイントだ。
【近鉄エクス】 配当利回り3.24%
近鉄エクスプレス <9375> の上期業績は、売上高4240億9900万円(前年同期比60.8%増)、営業利益247億300万円(同89.9%増)といずれも同一期間の過去最高を大幅に塗り替えた。世界経済の回復で欧米を中心に電子部品や自動車関連、医療関連などの需要が伸び、取り扱い物量がコロナ禍前を上回る水準に増えたほか、前期から続く航空・海上貨物輸送スペースの供給不足を背景とした運賃上昇も収益を押し上げた。業績好調に伴い、通期の営業利益予想を従来計画の317億円から500億円(前期比46.3%増)へ大幅上方修正し、配当も従来比倍増の年100円に引き上げている。予想PERは6倍台と極めて割安で、上値に大きな期待を内包している。
【兼松エレク】 配当利回り3.75%
兼松エレクトロニクス <8096> は上期の好調な業績を反映する形で、22年3月期の営業利益予想を従来計画の114億5000万円から122億5000万円(前期比12.7%増)へ上方修正し、2期ぶりの最高益に復帰する計画を打ち出した。新型コロナ感染拡大の影響で抑制傾向にあった企業のIT投資意欲が回復するなか、主力とする仮想デスクトップの構築やネットワークセキュリティー案件が増勢なうえ、システム運用ビジネスやクラウド関連も伸びている。利益成長とともに配当金も増やしており、今期は年145円(前期は135円)を計画する。良好な財務状況を背景に、配当は今期を含めて12期連続で減らしておらず、安定配当を続けていることも評価ポイントだ。予想PERは13倍台とシステム会社としては割安圏に位置する。
【スズデン】 配当利回り4.96%
スズデン <7480> はFA(ファクトリーオートメーション)関連を主力とする電子機器商社で、電設資材や電子デバイス、情報通信機器なども取り扱う。ここ3期連続で減益決算を強いられたが、今期は上方修正を経て4期ぶりの最高益復帰を狙う。その原動力となるのが旺盛な半導体需要を背景とする半導体製造装置メーカー向けの受注獲得だ。上期業績はFA機器や電子部品などの販売が拡大し、営業利益は11億6700万円と前年同期の2倍近くに膨らんだ。通期計画の18億6000万円に対する進捗率は6割を超えるほか、10月、11月の売上高は前年同月比4割前後の大幅増収と絶好調を維持しており、一段の業績上振れに期待がかかる。予想PERは17.9倍と過去平均と比べても割高感はなく、5%近辺の配当利回りは魅力が高い。
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