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ギフトHD Research Memo(3):直営店とプロデュース店の2つのチャネル形態で飲食事業を展開

配信元:フィスコ
投稿:2022/10/27 15:33
■事業概要

1. 事業内容
ギフトホールディングス<9279>は、ラーメン事業において個人店としての魅力とチェーン店の効率を融合させ、直営店事業及びプロデュース事業を行っている。直営店事業部門では、いつでもどの店でも「美味い」と言ってもらえる味の追求はもちろん、エンターテインメント性溢れる店舗空間で細やかなサービスを提供している。プロデュース事業部門では、直営店で蓄積された繁盛のノウハウやPB商品をプロデュース店に提供し、地域で愛される店舗づくりをサポートしている。また、「家系を、世界への贈り物に!」を事業コンセプトに、世界中にラーメンの旨さを伝えるべく「E.A.K.(家系)RAMEN」ブランドを海外で展開している。

(1) 直営店事業部門
主力業態である家系ラーメンは、1974年頃に登場した横浜発祥の豚骨醤油ベースのラーメンで、生ガラ(豚骨、鶏骨等)から採ったダシに醤油のタレを混ぜた豚骨醤油ベースのクリーミーなスープと中太麺、さらにほうれん草やチャーシュー、海苔のトッピングを基本的な盛り付けとしている。加えて、味の濃さ、スープの脂の量、麺のゆで加減、他のトッピングの追加などアレンジ可能な点が特徴で、主力のラーメンのほかMAXラーメン、ネギラーメン、つけ麺が人気となっている。駅近エリアでは、原則として店名を「地域名+商店」(例えば荻窪ならば「荻窪商店」)とし、地域に密着した店舗展開をしている。一方、ロードサイドエリアでは「町田商店」ブランドで統一し、多店舗展開を進めている。

ターゲットは、駅近エリアはサラリーマンや単身層、ロードサイドエリアはファミリー層となる。このうち、ロードサイドエリアの店舗は敷地が広く、駐車場を有し席数も多い。このため、売上は大きくなるが、投資額も大きく回収期間が長くなる傾向がある。しかしながら、駅近エリア・ロードサイドエリアのいずれも、チェーンストアとして標準化された品質を提供している。なお、家系ラーメンは、従来街道沿いの立地が多く、客層はトラックの運転手などに偏っていたが、出店範囲を駅近エリアやロードサイドエリア、客層を女性や家族へと広げたことが、同社の成長の基点になったと思われる。ちなみに、駅近・ロードサイドの対照的な立地でともに人気を博しているラーメン店は多くないと思われ、同社の大きな特徴となっている。

同社は「町田商店」以外のブランドでもラーメン店を直営で展開している。「豚山」は豚骨ベースの醤油スープに、チャーシューをダイナミックに載せたガッツリ系ラーメンで、にんにく、野菜、背脂などを好みで調整することができる。商品力が強く「町田商店」と同一エリアに出店してもほとんど競合しないため、「町田商店」に次ぐ第2ブランドとして多店舗展開を進めている。「町田商店」とは原価構成やオペレーションに違いがあるものの、営業利益率は同水準となっている。「がっとん」は、長時間炊き込み熟成させたスープが特徴の九州豚骨ラーメンで、麺の硬さは好みにより6段階から選ぶことができる。コロワイド<7616>から買収した「四天王」は、あっさりしたコクが特徴の豚骨ラーメンである。この他にも、炒めた野菜の旨味たっぷりの味噌ラーメン「赤みそ家」、新潟県長岡市のご当地生姜醤油ラーメン「長岡食堂」、こだわりの専用麺と卓上調味料でカスタマイズする油そば「元祖油堂」、新ブランドとして旨味がたっぷり溶け込んだスープの味噌ラーメン「いと井」など、定番のみそ業態やしょうゆ業態も展開している。また、海外ブランドとして、家系ラーメンをベースにローカルニーズに合わせた味で提供する「E.A.K. RAMEN」がある。

(2) プロデュース店事業部門
直営店事業部門のほかに、「町田商店」直営店で培った繁盛のノウハウやPB商品(麺、タレ、スープ、餃子、チャーシュー)を提供するプロデュース事業部門がある。プロデュース事業部門では、新たにラーメン店の開業を予定している個人や企業など店舗オーナーとの間で「取引基本契約」を締結し、店舗立ち上げ時及び店舗立ち上げ後一定期間経過した後のプロデュースサービスを同社が提供し、プロデュース店は麺やタレ、スープ、餃子など同社のPB商品を継続的に購入する。このうち、店舗立ち上げ時のプロデュースは原則無償で、店舗設計、店舗内サービス、メニュー、仕入ルートなど同社が培ったラーメン店の店舗運営ノウハウを提供する。また、店舗立ち上げ後一定期間経過した後のプロデュースは原則有償で、プロデュース店オーナーからの要請に基づいて店舗運営ノウハウなど様々なコンサルティングサービスを提供している。最大の特徴は、同社とプロデュース店で屋号が別であり、フランチャイズシステムの運営で通常発生するような保証金や加盟料、経営指導料(ロイヤリティ)、看板代がないことである。その代わり、オーナーはキッチン、椅子・テーブル、調度品に至るまで自ら調達することになっている。

この業態により、同社ではプロデュース店へのPB商品提供により製造におけるスケールメリットが得られるほか、チャネル形態が異なることによりチェーン臭さを消すことができるというメリットもある。一方、プロデュース店にとっては、同社が店舗立ち上げ時からプロデュースサービスを提供するため、要望に沿った繁盛店づくりのサポートが得られる。このため、オーナーの約半数が複数店オーナーとして平均7店~8店を運営しているようだ。特に、地盤の関東エリアでは既存オーナーによる出店意欲が非常に高く、新規オーナーの募集を一時的に停止することもあるという。一方、西日本などその他のエリアでは新規オーナーを積極的に募集し、全国展開に拍車をかけている。

(3) 海外展開
同社は、「家系を、世界への贈り物に!」を事業コンセプトに海外展開を進めており、米国で直営店2店、アジアでプロデュース店14店を展開している(2022年12月期第3四半期末時点)。米国で展開する「E.A.K.RAMEN」は、味や品質はもちろん、雰囲気やサービスにおいても日本の「おもてなし教育」を徹底している。副社長や店舗責任者を日本から送り込むなど非常に重要視している事業で、中長期的な視野で運営している。また、2019年6月に、日系飲食企業のフランチャイズ(以下、FC)店を多数展開する台湾のLi Chen B&F Co.,Ltd.とプロデュース契約を締結しており、アジアにおける店舗展開の加速を図っている。なお、同社は組織体制を強化し、海外展開に注力する方針を掲げている(詳細は後述)。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

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配信元: フィスコ
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