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*12:41JST ムサシ Research Memo(1):選挙関連機器のトップメーカー。商社とメーカーの両機能を併せ持つ
■要約
ムサシ<7521>は選挙関連機器や金融関連機器の総合メーカーである。また、メディアコンバート(メディア等のデジタル化)事業やスキャナー、非破壊検査機材、業務用ろ過フィルターなどを取り扱う情報・産業システム機材、印刷システム機材、紙・紙加工品などの商社事業も行っている。特に選挙関連機器においては、投開票業務に必要な各種機器から投票箱等の用品・用具、開く投票用紙など幅広い商品をラインナップし、業界のトップシェアを誇る圧倒的な存在である。また、各種文書やマイクロフィルムのデジタル化を行うメディアコンバート事業においても国内最大級のドキュメントイメージングセンターを展開し、次の収益柱への育成を図っている。商社機能とメーカー機能を併せ持っているのが特長だ。
1. 2023年3月期業績
2023年3月期の業績は、売上高37,072百万円(前期比2.4%増)、営業利益2,619百万円(同50.0%増)、経常利益2,705百万円(同46.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,762百万円(同79.5%増)となった。主力の選挙システム機材では、2022年夏に参議院選挙があったことから売上・利益は高水準を維持したが、その前年に衆議院選挙があったことから前期比では減収減益となった。一方で、注力しているメディアコンバート事業の売上高が5,957百万円(同10.9%増)と堅調に推移したことや高採算のレーザー加工機や特殊プリンターの販売が好調に推移したことから、情報・印刷・産業システム機材セグメントの採算が大幅に改善し、全体の利益を押し上げた。紙・紙加工品セグメントも、価格改定効果などにより利益を計上した。業績が堅調であったことから、普通配当24円に特別配当19円を加えて年間配当を43円(前期は40円)へ増配した。
2. 2024年3月期業績予想
2024年3月期の業績は、売上高35,402百万円(前期比4.5%減)、営業利益539百万円(同79.4%減)、経常利益581百万円(同78.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益302百万円(同82.9%減)と予想されている。衆議院や参議院などの大型国政選挙の予定がないことから主力の選挙システムが減収減益となる見込みであることから、全体でも減益を予想している。一方で、メディアコンバート事業など選挙システム機材以外の分野は堅調に推移する見込みだ。配当については、現時点では通期で普通配当24円(中間12円、期末12円)が予定されているが、今後の業績動向によっては上乗せされる可能性もある。今後の注目点は、期中に衆議院の解散・総選挙があるかだが、選挙が行われた場合には、選挙関連の売上高は25億円以上が上乗せされる見込みで、全体の業績や配当予想も上方修正されると思われる。
3. 中長期の成長戦略
現在、同社の収益の中心は選挙システム機材となっているが、この分野は安定成長しているものの国政選挙などの実施の有無によって需要にばらつきが出るため、ある意味でシクリカルな事業とも言える。そのため、メディアコンバート事業や業務用ろ過フィルター事業等、選挙サイクルと無関係な分野を一段と強化し、収益基盤の安定化を図る計画だ。特にメディアコンバート事業については、世の中の「DX」の流れのなか、官公庁における文書のデジタル化需要だけでなく、民間においても新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響によるテレワークの浸透などで書類などのデジタル化は必須となっており、中長期ではさらなる成長が見込まれる。足元の受注も好調のようで、今後の動向が注目される。また現在、同社が取り組んでいるのは、選挙システムにおいても、大型選挙の有無に左右されない体質作りで、その一環として自治体情報システムの統一・標準化に準拠した「業務管理ソフト」(クラウド型)の開発を進めており、これにより選挙関連の売上高の平準化が可能となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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ムサシ<7521>は選挙関連機器や金融関連機器の総合メーカーである。また、メディアコンバート(メディア等のデジタル化)事業やスキャナー、非破壊検査機材、業務用ろ過フィルターなどを取り扱う情報・産業システム機材、印刷システム機材、紙・紙加工品などの商社事業も行っている。特に選挙関連機器においては、投開票業務に必要な各種機器から投票箱等の用品・用具、開く投票用紙など幅広い商品をラインナップし、業界のトップシェアを誇る圧倒的な存在である。また、各種文書やマイクロフィルムのデジタル化を行うメディアコンバート事業においても国内最大級のドキュメントイメージングセンターを展開し、次の収益柱への育成を図っている。商社機能とメーカー機能を併せ持っているのが特長だ。
1. 2023年3月期業績
2023年3月期の業績は、売上高37,072百万円(前期比2.4%増)、営業利益2,619百万円(同50.0%増)、経常利益2,705百万円(同46.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,762百万円(同79.5%増)となった。主力の選挙システム機材では、2022年夏に参議院選挙があったことから売上・利益は高水準を維持したが、その前年に衆議院選挙があったことから前期比では減収減益となった。一方で、注力しているメディアコンバート事業の売上高が5,957百万円(同10.9%増)と堅調に推移したことや高採算のレーザー加工機や特殊プリンターの販売が好調に推移したことから、情報・印刷・産業システム機材セグメントの採算が大幅に改善し、全体の利益を押し上げた。紙・紙加工品セグメントも、価格改定効果などにより利益を計上した。業績が堅調であったことから、普通配当24円に特別配当19円を加えて年間配当を43円(前期は40円)へ増配した。
2. 2024年3月期業績予想
2024年3月期の業績は、売上高35,402百万円(前期比4.5%減)、営業利益539百万円(同79.4%減)、経常利益581百万円(同78.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益302百万円(同82.9%減)と予想されている。衆議院や参議院などの大型国政選挙の予定がないことから主力の選挙システムが減収減益となる見込みであることから、全体でも減益を予想している。一方で、メディアコンバート事業など選挙システム機材以外の分野は堅調に推移する見込みだ。配当については、現時点では通期で普通配当24円(中間12円、期末12円)が予定されているが、今後の業績動向によっては上乗せされる可能性もある。今後の注目点は、期中に衆議院の解散・総選挙があるかだが、選挙が行われた場合には、選挙関連の売上高は25億円以上が上乗せされる見込みで、全体の業績や配当予想も上方修正されると思われる。
3. 中長期の成長戦略
現在、同社の収益の中心は選挙システム機材となっているが、この分野は安定成長しているものの国政選挙などの実施の有無によって需要にばらつきが出るため、ある意味でシクリカルな事業とも言える。そのため、メディアコンバート事業や業務用ろ過フィルター事業等、選挙サイクルと無関係な分野を一段と強化し、収益基盤の安定化を図る計画だ。特にメディアコンバート事業については、世の中の「DX」の流れのなか、官公庁における文書のデジタル化需要だけでなく、民間においても新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響によるテレワークの浸透などで書類などのデジタル化は必須となっており、中長期ではさらなる成長が見込まれる。足元の受注も好調のようで、今後の動向が注目される。また現在、同社が取り組んでいるのは、選挙システムにおいても、大型選挙の有無に左右されない体質作りで、その一環として自治体情報システムの統一・標準化に準拠した「業務管理ソフト」(クラウド型)の開発を進めており、これにより選挙関連の売上高の平準化が可能となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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