965円
ヒマラヤのニュース
■株式相場見通し
予想レンジ:上限29250-下限28500円
来週の日経平均は上値の重い展開か。注目の米6月雇用統計は非農業部門雇用者数が85万人増え、市場予測(70万人程度)を上回った。しかし、5月発表の米4月消費者物価指数(CPI)がもたらした、いわゆる“CPIショック”以降、連銀総裁の量的緩和縮小(テーパリング)を許容する発言、6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でのタカ派姿勢へのシフトなど、これまでの多くの材料に神経質に反応してきた分、相場はだいぶ耐性をつけてきた様子。実際、週末の米国市場では米長期金利が1.4%台前半に一段と低下したほか、株式市場もハイテク株から景気敏感株まで総じて上昇した。賃金の伸びが前月比で鈍化したこともインフレへの警戒感を後退させた。週初の東京市場も目先の安心感から堅調な出だしとなりそうだ。
一方、耐性がついてきたとはいえ、テーパリングの本格的な議論開始が予想されている8月のジャクソンホール会合や9月のFOMCまでは警戒感が完全に払しょくされることはないだろう。また、日本独自の株高材料に乏しいなか、国内では五輪開催前後における新型コロナ感染第5波など特有の警戒材料もくすぶる。加えて、来週は上場投資信託(ETF)の分配金捻出のための換金売りが週末にかけて集中する。今年は全体で8000億円規模の売りが想定されており、需給面での重しが指数の上値を抑えそうだ。
ただ、明るい材料も散見される。先日発表された2021年4-6月期を対象とした日銀短観によれば、大企業の製造業及び非製造業の設備投資計画(前年比)は、製造業が3.2%増から13.3%増へ、非製造業も2.9%増から7.4%増へと上方修正され、市場予想もそれぞれ上回った。特に製造業の市場予想は9.2%だったため上振れ度合いが大きい。
さらに、業況判断(DI)を業種別で見ると、半導体製造装置などを含む生産用機械や自動車において「先行き」の改善が確認された。半導体はスマートフォンやPCといった家電から、ゲーム機、電気自動車(EV)、高速通信規格「5G」、データセンターなどまで広範囲で需要が増大し、サプライチェーンの乱れから需給のひっ迫が来年後半まで続くとの見方も一部にあるなか、好況が裏付けられた形だ。加えて、日本半導体製造装置協会(SEAJ)は7月1日、2021年度の日本製の半導体製造装置の販売額が20年度比で22.5%増の2兆9200億円になるとの予測を発表している。1月時点の予測を4200億円上回り、2年連続で過去最高を更新する見込みだ。
自動車も、足元は半導体不足でDIが悪化したが、今後は半導体不足が徐々に解消されることが想定され、先行きは改善する見込み。ドル円相場も1ドル=111円台半ばまで円安進展しており、主力企業の2021年度の想定為替レートが1ドル=105円台にあることを踏まえれば、上振れ期待につながる。
そのほか、引き続き小売企業を中心に決算が相次ぐ。今週はJ.フロント リテイリング<3086>やアダストリア<2685>がさえない反応となった一方、しまむら<8227>やニトリHD<9843>が大幅高となった。ヒマラヤ<7514>は発表直後こそ材料出尽くし感が先行したものの、週末にかけて切り返した。引き続きポジティブな反応とネガティブな反応、どちらが優勢となるか注目したい。
また、週後半には竹内製作所<6432>、SHIFT<3697>、安川電機<6506>など小売以外でも注目度の高い企業決算が予定されている。特に、週末の安川電機は内容が消化されるのは翌週となるが非常に注目だ。振り返れば、前回の12-2月期決算では好内容にもかかわらず市場予想に届かなかったことで株価が急落。これを機にガイダンスリスクが意識され、その後の製造業決算に対する懸念が高まった。今回は、逆に懸念を振り払ってくれるような結果になるのか、それとも前回の二の舞となってしまうのか注目だ。
■為替市場見通し
来週のドル・円は底堅い値動きか。直近で1ドル=111円66銭までドル高・円安が進行している。111円台後半から112円近辺には利益確定を狙ったドル売りの興味が残されているようだが、米民間部門の雇用情勢は改善しつつあり、ドル・円は主に111円近辺で推移し、底堅い動きを維持するとみられる。7月7日に公表される米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨(6月開催分)で量的緩和策の早期縮小についての肯定的な意見が多くみられた場合、リスク回避的なドル売り・円買いは後退し、ドル・円は111円台定着の可能性がある。この場合、新型コロナウイルスの感染拡大前の水準である1ドル=112円台前半の水準が意識されるとの見方が出ている。
一方、英国やオーストラリア、南アフリカなどで新型コロナウイルス変異株(デルタ株など)の感染が増加しており、他の国や地域への波及が警戒される。特に景気回復基調が鮮明なユーロ圏で感染が拡大した場合、世界経済へのダメージも想定されリスク回避のムードが強まりそうだ。その場合は、ユーロ、ポンド、豪ドルに対する米ドル買いが強まり、クロス円レートは円高に振れるが、米ドル・円は下げ渋る可能性があるとみられている。
■来週の注目スケジュール
7月5日(月):日・欧・サービス業PMI(6月)、中・財新サービス業PMI(6月)、米・株式市場は独立記念日の振替休日のため休場、など
7月6日(火):実質賃金総額(5月)、家計支出(5月)、BCCが東証マザーズに新規上場、独・ZEW期待指数(7月)、米・ISM非製造業景況指数(6月)、など
7月7日(水):景気先行CI指数(5月)、独・鉱工業生産指数(5月)、米・JOLT求人件数(5月)、米・連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(6月分)、欧・欧州委員会(EC)が経済見通しを発表、など
7月8日(木):国際収支(経常収支)(5月)、東京オフィス空室率(6月)、景気ウォッチャー調査(6月)、コラントッテが東証マザーズに新規上場、など
7月9日(金):決算発表:安川電機、中・生産者物価指数(6月)、G20財務相・中央銀行総裁会議(10日まで)、など
7月11日(日):東京など10都道府県に適用中のまん延防止等重点措置、沖縄県に発令中の緊急事態宣言の期限
<YN>
予想レンジ:上限29250-下限28500円
来週の日経平均は上値の重い展開か。注目の米6月雇用統計は非農業部門雇用者数が85万人増え、市場予測(70万人程度)を上回った。しかし、5月発表の米4月消費者物価指数(CPI)がもたらした、いわゆる“CPIショック”以降、連銀総裁の量的緩和縮小(テーパリング)を許容する発言、6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でのタカ派姿勢へのシフトなど、これまでの多くの材料に神経質に反応してきた分、相場はだいぶ耐性をつけてきた様子。実際、週末の米国市場では米長期金利が1.4%台前半に一段と低下したほか、株式市場もハイテク株から景気敏感株まで総じて上昇した。賃金の伸びが前月比で鈍化したこともインフレへの警戒感を後退させた。週初の東京市場も目先の安心感から堅調な出だしとなりそうだ。
一方、耐性がついてきたとはいえ、テーパリングの本格的な議論開始が予想されている8月のジャクソンホール会合や9月のFOMCまでは警戒感が完全に払しょくされることはないだろう。また、日本独自の株高材料に乏しいなか、国内では五輪開催前後における新型コロナ感染第5波など特有の警戒材料もくすぶる。加えて、来週は上場投資信託(ETF)の分配金捻出のための換金売りが週末にかけて集中する。今年は全体で8000億円規模の売りが想定されており、需給面での重しが指数の上値を抑えそうだ。
ただ、明るい材料も散見される。先日発表された2021年4-6月期を対象とした日銀短観によれば、大企業の製造業及び非製造業の設備投資計画(前年比)は、製造業が3.2%増から13.3%増へ、非製造業も2.9%増から7.4%増へと上方修正され、市場予想もそれぞれ上回った。特に製造業の市場予想は9.2%だったため上振れ度合いが大きい。
さらに、業況判断(DI)を業種別で見ると、半導体製造装置などを含む生産用機械や自動車において「先行き」の改善が確認された。半導体はスマートフォンやPCといった家電から、ゲーム機、電気自動車(EV)、高速通信規格「5G」、データセンターなどまで広範囲で需要が増大し、サプライチェーンの乱れから需給のひっ迫が来年後半まで続くとの見方も一部にあるなか、好況が裏付けられた形だ。加えて、日本半導体製造装置協会(SEAJ)は7月1日、2021年度の日本製の半導体製造装置の販売額が20年度比で22.5%増の2兆9200億円になるとの予測を発表している。1月時点の予測を4200億円上回り、2年連続で過去最高を更新する見込みだ。
自動車も、足元は半導体不足でDIが悪化したが、今後は半導体不足が徐々に解消されることが想定され、先行きは改善する見込み。ドル円相場も1ドル=111円台半ばまで円安進展しており、主力企業の2021年度の想定為替レートが1ドル=105円台にあることを踏まえれば、上振れ期待につながる。
そのほか、引き続き小売企業を中心に決算が相次ぐ。今週はJ.フロント リテイリング<3086>やアダストリア<2685>がさえない反応となった一方、しまむら<8227>やニトリHD<9843>が大幅高となった。ヒマラヤ<7514>は発表直後こそ材料出尽くし感が先行したものの、週末にかけて切り返した。引き続きポジティブな反応とネガティブな反応、どちらが優勢となるか注目したい。
また、週後半には竹内製作所<6432>、SHIFT<3697>、安川電機<6506>など小売以外でも注目度の高い企業決算が予定されている。特に、週末の安川電機は内容が消化されるのは翌週となるが非常に注目だ。振り返れば、前回の12-2月期決算では好内容にもかかわらず市場予想に届かなかったことで株価が急落。これを機にガイダンスリスクが意識され、その後の製造業決算に対する懸念が高まった。今回は、逆に懸念を振り払ってくれるような結果になるのか、それとも前回の二の舞となってしまうのか注目だ。
■為替市場見通し
来週のドル・円は底堅い値動きか。直近で1ドル=111円66銭までドル高・円安が進行している。111円台後半から112円近辺には利益確定を狙ったドル売りの興味が残されているようだが、米民間部門の雇用情勢は改善しつつあり、ドル・円は主に111円近辺で推移し、底堅い動きを維持するとみられる。7月7日に公表される米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨(6月開催分)で量的緩和策の早期縮小についての肯定的な意見が多くみられた場合、リスク回避的なドル売り・円買いは後退し、ドル・円は111円台定着の可能性がある。この場合、新型コロナウイルスの感染拡大前の水準である1ドル=112円台前半の水準が意識されるとの見方が出ている。
一方、英国やオーストラリア、南アフリカなどで新型コロナウイルス変異株(デルタ株など)の感染が増加しており、他の国や地域への波及が警戒される。特に景気回復基調が鮮明なユーロ圏で感染が拡大した場合、世界経済へのダメージも想定されリスク回避のムードが強まりそうだ。その場合は、ユーロ、ポンド、豪ドルに対する米ドル買いが強まり、クロス円レートは円高に振れるが、米ドル・円は下げ渋る可能性があるとみられている。
■来週の注目スケジュール
7月5日(月):日・欧・サービス業PMI(6月)、中・財新サービス業PMI(6月)、米・株式市場は独立記念日の振替休日のため休場、など
7月6日(火):実質賃金総額(5月)、家計支出(5月)、BCCが東証マザーズに新規上場、独・ZEW期待指数(7月)、米・ISM非製造業景況指数(6月)、など
7月7日(水):景気先行CI指数(5月)、独・鉱工業生産指数(5月)、米・JOLT求人件数(5月)、米・連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(6月分)、欧・欧州委員会(EC)が経済見通しを発表、など
7月8日(木):国際収支(経常収支)(5月)、東京オフィス空室率(6月)、景気ウォッチャー調査(6月)、コラントッテが東証マザーズに新規上場、など
7月9日(金):決算発表:安川電機、中・生産者物価指数(6月)、G20財務相・中央銀行総裁会議(10日まで)、など
7月11日(日):東京など10都道府県に適用中のまん延防止等重点措置、沖縄県に発令中の緊急事態宣言の期限
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