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【QAあり】AeroEdge、売上高・営業利益・当期純利益・EBITDAで過去最高値を達成 新材料等の開発業務受託や円安影響が寄与

投稿:2024/08/28 08:00

24年6月期 決算ポイント

森西淳氏(以下、森西):本日はお忙しい中、AeroEdge株式会社の2024年6月期決算説明会にお集まりいただきまして誠にありがとうございます。AeroEdge株式会社代表取締役社長兼執行役員CEOの森西淳です。

2024年6月期の決算概要からご説明します。まず2024年6月期の事業環境についてです。当社の主要製品であるチタンアルミブレードが搭載されるAirbus社製「A320neo」ファミリー、Boeing社製「737MAX」は、航空機需要拡大により受注残が引き続き高水準で推移しています。

そのため、両社ともに生産拡大に取り組んでいますが、人手不足やサプライチェーン上の課題が継続したこと、また、「737MAX」については2024年1月に起きたドアプラグ事故を発端とした品質上の課題により、当初想定ほど生産拡大は進みませんでした。

加えて、顧客からの支給材料の品質変化に伴う生産レートの一時的な低下などもあり、当社のチタンアルミブレード販売数量は、前期比では微増となったものの、当初想定に対しては未達となりました。

そのような厳しい環境下ではありましたが、売上高、利益ともに結果としては過去最高値を達成することができました。まず売上は、チタンアルミブレードの販売数量が予想に対し下振れたものの、新材料の開発業務を受託したことや円安の影響もあり、前期比14.7パーセント増、過去最高の33億5,000万円となりました。

営業利益は、新規量産案件の立ち上げなどに向けて人材採用を積極化したものの、予想を大きく上回り、前期比47パーセント増、過去最高の7億円となりました。

当期純利益は、前期に一過性の営業外収益を計上したことや税負担の増加により減益予想でしたが、一転して前期比3.8パーセント増、過去最高の6億9,800万円となりました。「A320neo」や「737MAX」は生産拡大に予想以上に時間がかかっており、決して順調な環境ではありませんでしたが、業績としては一定の成果を残すことができたと考えています。

24年6月期トピックス

一方で、当期は成長戦略実現に向けて実りのある1年となりました。まず、「LEAP」エンジン以外の航空機エンジン部品の新規量産のための新工場が竣工しました。こちらの今後の立ち上げスケジュールについては後ほど説明します。

次に、当社が長年開発を進めているチタンアルミブレードの新材料がSAFRAN社から高く評価され、開発業務を受託することができました。新材料の量産実現は我々の成長戦略の1つであり、開発業務の受託はその実現に向けて非常に価値のあるものと考えています。

それ以外にも、積層造形、いわゆる3DプリンターについてJR九州と連携を進めることができました。

規模拡大には時間がかかると考えていますが、積層造形のビジネス化への第一歩となりました。その他、CO2削減に向けてもSBT認証や第三者認証を取得しました。航空産業に携わる企業として、引き続きCO2削減に向けて取り組んでいきます。

24年6月期 決算サマリー

今西貴士氏(以下、今西):取締役兼執行役員CFOの今西です。私からは決算の詳細についてご説明します。

売上高は、チタンアルミブレードの販売の増加、開発業務の受託、円安により、前期比14.7パーセント増、過去最高の33億5,000万円となりました。売上総利益は前期比25.6パーセント増の15億1,200万円となり、粗利益率は前期比3.9ポイント増の45.1パーセントとなっています。

粗利益率向上の主な要因は、利益率の高い開発業務の受託並びに円安です。営業利益は、新規量産案件拡大に向けた人員の採用、上場による各種費用の増加、資本金の増加による外形標準課税の発生とさまざまなコスト増加要因があったのですが、売上総利益の増加により、前期から47.1パーセント増加し7億500万円となりました。その結果、営業利益率は前期の16.4パーセントから21.1パーセントと、4.7ポイント上昇しています。

経常利益は、営業利益の増加に加え、補助金収入1億4,000万円、為替差益4,000万円を計上したため、減益予想から一転し、前期比40.9パーセント増の8億4,200万円となりました。

最終利益、当期純利益は、前期は繰越欠損金により法人税が発生しなかったこと、また、前期に繰延税金資産を初めて計上したことによる反動で、今期は当初減益予想としていましたが、最終的には前期比3.8パーセント増の6億9,800万円となりました。

以上、売上高、利益ともに創業以来最高の業績を達成することができました。なお、平均取組為替レートは145円となっています。

主要KPIの推移

主要KPIについてです。チタンアルミブレードが搭載されるエンジン基数、すなわちチタンアルミブレードの販売ボリュームは、「737MAX」の品質問題、支給材料の品質変化に伴う生産レートの一時的な低下により、当初予想の678基に対し、実績としては15パーセント未達の573基、前期の563基と比較すると2パーセント増にとどまることになりました。

一方で、営業利益は大きく拡大したことから、エンジン1基当たりの営業利益は前期の85万円から123万円と、44パーセントの大幅な増加となっています。

売上高内訳

売上高の内訳をご説明します。当社はチタンアルミブレードの売上への依存度が非常に高くなっています。そのチタンアルミブレードの売上は、ご説明したとおり、737MAXの影響により販売数量が2パーセント程度の増加にとどまりましたが、円安の影響もあり、結果として前期比9.1パーセント増の30億6,000万円となっています。

チタンアルミブレード以外の売上は、新材料の受託開発が約1億8,000万円計上されたことで前期から大きく増加し、2億8,000万円となっています。

この1億8,000万円の受託開発は当社が自社でR&Dを推進していたものであり、利益率は通常よりもかなり高い水準となっています。

営業利益の増減要因

前期と比較した営業損益の増減要因をご説明します。営業利益は前期の4億7,900万円から7億500万円と約2億2,000万円増加しました。主な増加要因としては、チタンアルミブレードの販売増加によるものが3,000万円、為替レートが円安に推移したことによるものが2億2,700万円、新材料の受託開発を含むその他の売上増加によるものが1億7,200万円、減価償却費の減少によるものが5,500万円となっています。

一方、主な減少要因としては、上場に伴う資本金の増加により外形標準課税が発生し、租税公課が増加したことによるものが3,000万円、人員増加に伴う人件費の増加によるものが1億1,900万円となっています。

この人員増加は、まだ収益化していない新規量産案件に向けての増員、すなわち先行投資によるものです。なお、人員数はパート従業員も含む全従業員ベースの期末時点で140名と、前期末から30名ほど増加しています。

設備投資及び減価償却費

設備投資です。上場による調達資金の使途でもあるチタンアルミブレード以外の航空機エンジン部品の量産に向け工場設備投資を実行したことにより、設備投資額は前期の1億3,800万円から大幅に増加し、19億1,900万円となりました。当該工場設備の償却開始は量産が開始されるタイミングである2024年末頃を予定しています。

なお、当該工場および設備投資については、すでに採択済みのサプライチェーン補助金を活用する見込みとなっており、補助金により2分の1超が賄われることを予定しています。補助金が確定した場合の入金時期は2025年6月期の下期を想定しており、その際は圧縮記帳を適用する予定です。そのため圧縮記帳分だけ償却費が減少することを予定しています。

貸借対照表

B/Sについてご説明します。現預金は、19億円の設備投資を実施しましたが、IPOによる調達と営業キャッシュ・フローにより、前期とほぼ同水準の18億1,000万円となっています。また、新たなエンジン部品の量産に向けての工場設備投資を実施したことから、有形固定資産は前期比11億8,200万円増の39億6,400万円となっています。

自己資本比率は、上場による増資と利益計上により42.7パーセントと、前期末から14.8ポイントの大幅な上昇となっています。

その結果、Net有利子負債ベースのDEレシオは0.4倍と、2023年6月期の1.2倍から大きく減少し、財務体質も強固なものとなりつつあります。

後ほどご説明しますが、先日シンジケートローンにより、リファイナンスを含め総額33億円の資金調達を実行しました。これにより資金余力が大幅に増加し、増資等による希薄化を防ぎながら、新たな案件への投資が可能となったと考えています。

キャッシュ・フロー計算書

キャッシュ・フローです。営業キャッシュ・フローは、過去最高の利益を計上したこと、またチタンアルミブレードに関する設備投資が一巡していることにより、減価償却費が多いことから、利益よりかなり高い水準の13億9,100万円となっています。営業キャッシュ・フローマージンは41.5パーセントとなり、非常に高い水準になったと考えています。

新工場を含む大型の設備投資を実施したことから、投資キャッシュ・フローはマイナス15億1,900万円となりましたが、この大型の投資を営業キャッシュ・フローでほぼ賄っている水準であり、利益水準と比較しても高い現金創出能力を確保できたと考えています。

今後はこの高い現金創出能力を最大限活用し、増資等による希薄化を防ぎながらも設備投資を行い、成長戦略の実現を目指していきたいと考えています。

SAFRAN社とのチタンアルミブレードの供給契約更新を決議

森西:2025年6月期の業績予想をご説明する前に、直近の適時開示の内容についてご説明します。まず、当社の過去の実績、技術力が高く評価され、SAFRAN社とチタンアルミブレードの長期契約を更新することとなりました。

これにより、チタンアルミブレードのグローバルマーケットシェアが35パーセントから40パーセントとなり、当社の販売数量は約14パーセント増加することとなります。ただし、生産キャパシティは確保しているため、シェアアップに伴う大型の設備投資は現状不要と考えています。

契約期間は2027年から2034年まで7年間延長され、販売価格はマーケットシェア拡大による販売数量増加から一定の減額となります。これにより利益率は低下することとなりますが、利益の絶対額は更新前よりも微増する見込みです。また、一定の為替レートレンジを超えた場合の価格調整条項を付けることができたため、一定の為替ヘッジを行うことが可能となりました。

当社はSAFRAN社への売上依存度が90パーセント以上と極めて高くなっています。マーケットシェア拡大にもかかわらず、利益が微増にとどまることとなりますが、それ以上に成長が期待できる「LEAP」ビジネスにおいて、今後10年間の切符を獲得できた意義は極めて大きいと考えています。

これだけ長期の契約を継続して獲得できるのは、チタンアルミブレードという難しい部品を供給できる会社が世界でも稀であること、そして何よりSAFRAN社から当社への信頼の表れだと考えています。

また、この契約期間中であっても、さらなるシェアアップの可能性は十分にあると考えています。特に開発中の新材料に対するSAFRAN社の期待は極めて高く、もし量産が成功した場合には、さらなるシェア拡大も目指せると考えています。いずれにせよ、この契約更新は当社にとって極めて重要なマイルストーンとなります。

供給確保計画の認定・助成およびシンジケートローンによる資金調達

スライド左側に記載のとおり、経済産業省による供給確保計画の認定を受けることができました。供給確保計画とは、経済安全保障推進法に基づき、重要な物資について、その安定供給確保に取り組む企業に対し助成が行われるものです。

我々が量産する航空機部品用のチタンアルミはこの重要物資に選定され、2028年までの投資について投資額の2分の1、金額にして最大20億円もの助成を受けることが可能となりました。当社の今期の営業利益が7億円程度であるため、これは非常にインパクトのある助成となります。

当該助成は「LEAP」エンジンのチタンアルミブレードの新材料の開発並びに量産設備だけではなく、加工量産設備も対象となります。さらには「LEAP」エンジン以外の航空機エンジンも対象となるため、当社の将来の幅広い投資で助成を受けることが可能となります。

航空業界は認証などの関係でどうしても設備投資が大きくなってしまいがちですが、この助成を活用することでリスクを低減しながら投資を実施し、今後の利益拡大を目指していきます。

また、スライド右側に記載のとおり、シンジケートローンにより33億円の資金調達を行うこととなりました。17億円の既存借入を返済し、Netで16億円の調達となりますが、返済期間は既存借入よりも長期となり、約定弁済スピードも落ちるため、実質的に20億円規模の資金調達の効果があります。これにより、設備投資余力が大幅に増加することとなります。

当社は「LEAP」エンジン以外のエンジン部品の量産立ち上げを複数進めていますが、そのような投資にも、増資などによる希薄化を防ぎながらも、今後機動的に対応することが可能となったと考えています。航空ビジネスは先行投資がかさみ、収益化も時間がかかる傾向がありますが、このような助成やファイナンスを組み合わせることで、資本を有効活用した成長を目指していきます。

新規量産案件/開発案件の立上マイルストーン

2025年6月期の業績予想についてご説明します。まず、業績予想の前提となるチタンアルミブレード以外の、各種新規案件の立ち上げマイルストーンをご説明します。当社は「LEAP」エンジン、「LEAP」エンジンチタンアルミブレードの量産加工以外に、同時並行で大きな案件立ち上げを3つ進めています。

1つ目が、スライドの表の(2)の航空機エンジンA用の部品量産加工です。こちらは6月に竣工した新工場で量産予定の案件です。

現時点では具体的な内容はお客さまとの関係でお伝えすることができませんが、技術的な難易度はチタンアルミブレード同様に高く、世界で数社しか量産できていない部品と認識しています。多少のスケジュール変更はあったものの、2024年末頃の量産開始を目指しており、通期での業績貢献は2026年6月期を見込んでいます。

次に(3)の航空機エンジンB用の部品量産加工です。こちらは引き合い案件となりますが、現在立ち上げの準備を進めています。

こちらも具体的な顧客の名前や部品名はお伝えすることができませんが、「LEAP」チタンアルミブレード同様、非常に難易度の高い部品であり、我々の「LEAP」チタンアルミブレードの実績を評価され、引き合いがあったものです。2026年の量産開始を目指しており、通期での業績貢献は2027年6月期を見込んでいます。

最後に(4)の「LEAP」エンジンのチタンアルミブレード用の新材料開発・量産です。こちらは「LAEP」エンジンのチタンアルミブレードの材料を鋳造で量産することを目指して開発しているものです。

現在のチタンアルミブレードの材料は、世界でもヨーロッパ企業の1社のみが供給しており、供給リスクを抱えています。また当社が開発している材料は完成形状に近く、原価を抑えることができることから、SAFRAN社からの期待が非常に高い案件となります。なお、2024年6月期に売上計上した受託開発はこちらの案件となります。

当社としては、2026年から2027年頃を目途に少しずつ量産を開始することを目指しています。(2)と(3)の案件が通期で業績に寄与する2027年6月期に現在のチタンアルミブレードビジネスに上乗せするかたちで、約3億円から5億円の営業利益の上乗せを目指していきます。また、(4)の新材料の量産が実現した場合には、さらに利益を上乗せできる可能性があると考えています。

一方で、これらの案件を立ち上げるために、人員採用や設備投資を積極的に行う予定です。特に2025年6月期は、これら複数の案件の立ち上げと開発が同時に進行するため、費用が先行する予定です。

一時的にコスト先行となりますが、2027年6月期には、これらの新規案件の利益に加えて、「LEAP」チタンアルミブレードの成長により、大きな利益拡大を実現していきたいと考えています。

また、「LEAP」チタンアルミブレードの実績により、多方面から引き合いをいただける状況が構築できつつあります。中長期的な成長を見据えて、付加価値の高い新案件には積極的に取り組んでいく所存です。

25年6月期通期予想のポイント

以上を前提に、2025年6月期通期予想についてご説明します。

まず事業環境と方針です。チタンアルミブレードについては、「A320neo」ファミリーは堅調に生産拡大する一方、「737MAX」については、品質問題により生産回復に一定の時間がかかる見込みです。

そのため、2025年6月期のチタンアルミブレード全体の需要は、「A320neo」向けは増加、「737MAX」向けは減少し、合計としては増加するものの、その伸び幅は限定されると考えています。SAFRAN社からは数年分の発注見込みが示されており、それによると2026年6月期以降に本格的な増加となる見込みです。現在の見込みとして、チタンアルミブレードの需要は2026年6月期、2027年6月期と、毎年20パーセント前後の増加を想定しています。

一方で、SAFRAN社と供給期間延長、マーケットシェア拡大の契約締結により、当社のチタンアルミブレード販売数量は大きく増加する見込みです。なお、生産キャパシティは確保しているため、大型の設備投資は見込んでいません。

その他新規案件については、2025年6月期はコストを先行させ、2026年6月期以降の成長加速に向けた準備期間としています。「チタンアルミブレードの新材料開発」「新工場での航空機エンジンA部品の量産立ち上げ」「現在引き合いのある別の航空機エンジンB部品の量産立ち上げ」に向けた投資を加速する予定です。

2027年6月期には、これらの案件で約3億円から5億円の利益の上乗せを目指していきます。2025年6月期はコスト先行により利益に対してはネガティブとなる見込みですが、持続的な成長のために先行投資を行いたいと考えています。

また、2026年6月期以降はSAFRAN社からもチタンアルミブレードの受注数が拡大すると示されています。このことから、2027年6月期においては、チタンアルミブレードの成長に加えて、この両案件の利益を上乗せすることで大きな利益成長を実現できると考えています。

A320neoファミリー・737MAXの市場動向(受注残機数)

「A320neo」ファミリーと「737MAX」の受注生産見込みについてご説明します。

スライドの棒グラフは、航空機種別の受注残機数を示しています。「A320neo」ファミリーは7,600機超、「737MAX」は5,100機超と、ともに13年を超える受注残を継続しています。

あらためて、「A320neo」ファミリー、「737MAX」ともに高水準の受注残を維持していること、また世界的に中小型機は両機種の寡占状態であり、供給不足に伴う他機種への事業転換は起こりにくいことから、中長期的には供給不足は一時的な影響にとどまり、チタンアルミブレードは堅調に成長していくと考えています。

A320neoファミリー・737MAXの市場動向(生産機数見込)

こちらは、「A320neo」および「737MAX」の生産見込みとなります。「A320neo」は2027年度までに月産75機、「737MAX」は2026年度頃に月産50機まで引き上げる予定です。人手不足や品質問題など、短期的にさまざまな課題を抱えているものの、現状の両機の人気ならびに受注残高を見ると、中長期的には着実に拡大すると考えています。

25年6月期通期予想サマリー

今西:2025年6月期の通期予想についてご説明します。まず売上高については、チタンアルミブレード需要が「A320neo」向けは増加、「737MAX」向けは減少、全体として微増にとどまることを予定しています。しかしながらマーケットシェアの拡大により、前期比12.2パーセント増となる、過去最高の37億6,000万円を見込んでいます。

営業利益は、チタンアルミブレード全体の事業拡大が限定される一方で、複数の新規案件の立ち上げや、研究開発による先行投資の発生、また前期に一過性の受託開発を計上したことから、前期比29.1パーセント減の5億円を見込んでいます。

これらの先行投資がない場合は増益を確保できる見通しですが、先ほど森西がご説明したとおり、将来の持続的な成長のために先行投資を実施したいと考えています。

また、チタンアルミブレードの契約更新によるマーケットシェア拡大に伴い、販売単価が低減することから、利益率は前期の21.1パーセントから13.3パーセントと減少する見込みです。一方で、契約更新による利益の絶対額は微増すると見込んでいます。

経常利益については、営業利益の減少に加えて、前期に計上した一過性の補助金収入や為替差益を見込まないこと、またシンジケートローン組成費用が発生することから、前期比48.4パーセント減の4億3,500万円を見込んでいます。

これらの結果、当期純利益についても前期比35.6パーセント減の4億5,000万円を見込んでいます。

なお、「A320neo」の生産レートが後半に向けて拡大していくことと、「737MAX」の生産レート回復が下期以降になることを想定し、業績は前期以上に下期偏重になると見込んでいます。

特に第1四半期は、「737MAX」の落ち込みが一定程度業績に影響を与える予定で、前年同期比での減少を見込んでいます。多少ぶれる要因はあるものの、営業損益はマイナス水準になるだろうと現時点では見込んでいます。

2025年6月期は、「737MAX」の品質問題が継続する中、新規案件に向けた先行投資による費用増加のため減益となります。しかしながら航空機の受注残は10年を超えており、「737MAX」の品質問題が解消し、複数の新規量産案件の立ち上げが落ち着くであろう2026年6月期以降は、着実に利益を拡大できると考えています。

具体的には、チタンアルミブレードだけで2026年6月期、2027年6月期のそれぞれの売上成長率20パーセント前後を目指せると考えています。さらに新規量産案件を拡大することで、2027年6月期はさらに上乗せした利益成長を果たしていきたいと考えています。

主要KPIの推移

主要KPIである、チタンアルミブレードが搭載されるエンジン基数の推移です。チタンアルミブレード全体の需要拡大は限定されるものの、マーケットシェア拡大により、2025年6月期は697基と、前期比で22パーセント増加する見込みとなっています。

なお、契約更新前のマーケットシェア35パーセントを前提とした場合のエンジン基数は610基となり、前期比6パーセント増となっています。エンジン1基あたりの営業利益は、マーケットシェア拡大による販売単価の減少や各種先行投資の発生に伴い、前期の123万円から71万円に減少すると見込んでいます。

売上高内訳

売上高の内訳です。チタンアルミブレード売上については、チタンアルミブレード全体の需要拡大は限定されるものの、マーケットシェア拡大に伴い、前期比18パーセント増の36億2,900万円を見込んでいます。

その他売上については、前期計上した受託開発を今期は見込まないことと、新工場で量産予定のLEAP以外の新規量産案件の立ち上げに一定の時間がかかることを想定し、前期比54パーセント減の1億3,000万円を見込んでいます。

営業利益の増減要因

前期と比較した営業損益の増減要因についてご説明します。2024年6月期の営業利益7億500万円から、今期は5億円になると見込んでいます。

主な増加要因として、チタンアルミブレード販売量の増加による5億6,100万円を見込んでいます。

一方で主な減少要因としては、売上拡大に伴い外注工具費や副資材などの変動費が増加することに加え、新規案件の獲得に向けた人件費の増加が2億1,200万円、材料新開発が進捗したことに伴う研究開発費の増加が1億900万円、そして新規案件の量産開始に伴う減価償却費の増加が1億2,000万円となっています。

このうち、人件費、研究開発費、減価償却費の増加の合計4億円超は主にチタンアルミブレードの量産以外に関連するものとなります。

そのため、今期の減益要因は将来への投資によるものであり、これらの先行投資がない場合には増益を確保できる見込みです。当社は、成長戦略として新たな量産案件や新材料開発を掲げており、中長期的な成長のためにこの投資を実行したいと考えています。

各種詳細項目(為替レート)

想定為替レートについては、145円に設定しています。為替感応度は、ドル1円ごとに1,900万から2,300万円程度を見込んでいます。なお1年内の外貨予定取引の20パーセントから30パーセントに対して、為替予約を実施する予定になっています。

各種詳細項目(人員・研究開発費)

人員については、採用を積極化する予定です。期末人員数ベースで、現状の140名から176名まで採用を加速する予定となっています。

研究開発費については、チタンアルミブレードの材料開発を加速するため、前期比1億1,900万円増の2億4,800万円まで大幅に増加する予定です。こちらの費用増加はいずれも先行投資に関するものとなります。

以上、2025年6月期通期予想のご説明となります。ご清聴いただきましてありがとうございました。

質疑応答:契約更新によるメリットについて

今西:「販売単価が下がってまで契約更新するメリットは何でしょうか?」というご質問です。

森西:いろいろな考え方があるかと思いますが、価格の上げ幅やマーケットシェアの増加などがある中で、今日のマーケットシェアを下げずに契約延長することが最も大きな目論見だったと言い切れます。

そのため、契約延長は最も大きな成果だと考えています。今回は価格を少し下げるものの、マーケットシェアも35パーセントから5パーセント増の40パーセントまで拡大しました。

当社1社への依存が高い一方で、契約期間は2027年までと、残り3年程度となっていました。いくら契約更新に確信を持っていたとしても、事実として契約を更新しなければ、新規案件の設備投資などに踏み切ることが難しくなり、成長の機会を失ってしまう可能性もあります。

また、ステークホルダーから見ても契約期間が短いことは企業活動のリスクでしかありません。成長が見込まれる「LEAP」で今後10年間の契約が取れたことは、極めて大きな成果だと考えています。

また、そのほかにも2つほどメリットがあったと考えています。まず1つ目は、単価は下がるもののシェアが上がることで、トータルとしては利益全体が微増すると想定しています。当社のキャパシティが十分でなければ、その判断はできなかったかもしれません。大型の設備投資が不要でキャパシティがあるのであれば、利益拡大によりROEを向上でき、株主価値の向上にもつながると考えています。

2つ目として、SAFRAN社ならびに航空機エンジン業界におけるプレゼンス向上は非常に重要です。航空機エンジン業界はプレイヤーが限定されており、今回のシェアアップにより当社のプレゼンスが向上し、新たな案件の拡大につながる機会も増加すると考えています。

質疑応答:「737MAX」「A320neo」ファミリーの生産拡大時期について

今西:「『737MAX』『A320neo』ファミリーの生産拡大はいつ頃になるでしょうか?」というご質問です。

森西:顧客からの情報や私見を交えると、「737MAX」は品質問題により、2024年12月頃までは生産量が相当程度落ちると見込んでいます。2025年1月から少しずつ復調するものの、2025年中は品質問題の発生前よりやや低水準を維持し、2026年頃から急激に拡大するのではないかと想定しています。

「A320neo」ファミリーについては、人手不足などの課題は継続しているものの、お客さまからは順調に生産拡大する見込みであると示されています。そのため、今期から拡大すると考えています。

質疑応答:新規案件の詳細について

今西:「新規案件A・Bとは、どのような部品なのか教えてください」というご質問です。

森西:大変申し訳ありませんが、新規案件A・Bともに、お客さまとの守秘義務の関係で、現在は残念ながらお答えすることができません。ただし、いずれも商業用の航空機に使われるエンジン部品であり、難易度が高い案件です。

我々の認識では、この部品を作っている企業は世界でも数社しかありません。「LEAP」チタンアルミブレード同様、技術的にも、またいろいろな意味でも付加価値の高い案件だと認識しています。

質疑応答:新規案件による営業利益への貢献について

今西:「新規案件A・Bにより、営業利益が2027年6月期には3億円から5億円の上乗せになるとのことですが、その確度はいかがでしょうか?」というご質問です。

森西:航空機エンジンビジネスは、技術的にも品質的にも高い水準が求められます。今回の案件は世界でも供給できる企業が限定されている部品ですので、決して簡単ではなく、むしろ非常に難易度が高い部品となります。

しかしながら、当社の技術力に加え、「LEAP」で培った経験により、これを十分実現できると考えています。

質疑応答:設備投資計画について

今西:「新規案件により営業利益が3億円から5億円程度上乗せとのことですが、設備投資計画はいかがですか?」というご質問です。

森西:A案件については開示のとおり、新工場を含めてすでに設備投資を実施済みです。B案件については、現在必要な設備内容などを精査しています。設備投資額などの方向性が決まれば、適宜開示したいと思っています。

なお、B案件については、既存の本社工場内に設備を配置できると見込んでおり、工場の新設は不要だと考えています。また、B案件の設備投資では、経済産業省の助成金の2分の1を活用する予定です。

質疑応答:A案件・B案件の時期と今後の拡大予定について

今西:「A案件とB案件は2027年6月期以降ですか? 2028年6月期以降、さらに拡大する予定はありますか?」という質問です。

森西:いずれも航空機案件で、2027年6月期に3億円から5億円の営業利益を目指していますが、少なくとも片方の案件は顧客の需要が非常に高いです。2028年6月期以降には、我々の生産能力次第でさらに利益を拡大できる余地があると考えています。

質疑応答:新規案件を立ち上げる際の懸念点について

今西:「新規案件の立ち上げにあたっての懸念点は何ですか?」というご質問です。

森西:懸念点としては、いずれも航空機案件であり、高い技術力が求められます。技術的にはしっかりと実現できると考えていますが、技術や品質の人員の拡充が重要だと考えています。

質疑応答:経済産業省の補助金の用途について

今西:「経済産業省の補助金や適時開示についてご説明がありましたが、それはどの案件に利用可能なのでしょうか?」というご質問です。

森西:「LEAP」チタンアルミブレードの新材料の開発費用や、新材料の量産設備投資、加工の設備投資だけでなく、現在引き合いのある新案件の設備投資への活用など、非常に幅の広い活用が期待できる案件です。

質疑応答:想定為替レートの考え方について

今西:「想定為替レートが145円ということですが、現状の為替水準を考慮するとやや円安ではないでしょうか?」というご質問です。

森西:ご質問のとおり、今月は為替が急激に推移しており、どのように推移するか読めないところがあります。ただし、販売量など、一定のストレスをかけた上で業績予想を出しているところもあるため、今後多少円高に振れたとしてもしっかりと業績予想数値を達成していきたいと考えています。

質疑応答:中期経営計画の公表予定について

今西:「中期経営計画は公表しないのでしょうか?」というご質問です。

森西:当社はチタンアルミブレードへの依存が非常に高くなっていますが、チタンアルミブレードの業績は、特定の航空機の生産、すなわち外部環境に大きく依存しています。依存度を下げるために新規案件の立ち上げを進めていますが、やはり多少の時間がかかります。そのため、現状では中期計画を公表しにくい状況です。

とはいえ、先行投資だけではみなさまのご理解が得られないため、今回、新規案件の利益見込みを公表しました。事業ポートフォリオが複数確立したタイミングで、中期経営計画を公表していきたいと考えています。

質疑応答:株価下落や流動性低下に対する考えと対策について

今西:「直近では株価が大きく下落し、かつ流動性も低下しています。このあたりのお考えや対策等についてお聞かせください」というご質問です。

森西:まず、株価が下落していることについては非常に申し訳ないと考えています。その要因として考えている1つ目は、「737MAX」の品質問題の影響です。

現在の報道を見て、不安に思う方が一定数いらっしゃるだろうと考えています。当社としては、「737MAX」は大量の受注残を抱えており、いずれしっかりと成長すると考えているため、この不安は時とともにいずれ解消されると考えています。

次に、成長戦略のもと、先行投資を実施しており、それが目先の利益を圧迫していることかと思います。投資家のみなさまに納得してもらえるよう、IRを進めていきたいと考えています。

質疑応答:「737MAX」の生産回復の見立てについて

今西:「『737MAX』の生産回復の見立てについて教えてください」というご質問です。

こちらは、先ほどご説明したとおりです。

質疑応答:引き合い案件の受注について

今西:「スライド22ページに記載されている(3)の引き合い案件は、受注できない可能性もあるのでしょうか?」というご質問です。

森西:こちらは、お客さまや製品名をお伝えできないため伝わりにくいと思いますが、(3)の航空機エンジンB部品は「LEAP」の実績が評価されています。さらに、実は確実にできることを市場に示せる事例は「LEAP」の実績だけになっています。

したがって、グローバルで「これができる」と言い切れるメーカーは非常に少ないという状況からも、(3)の航空機エンジンB部品の獲得はかなり確度が高いと考えています。

質疑応答:各機の設備投資額と減価償却費について

今西:「スライド22ページに記載の当該各機の設備投資額と減価償却費について教えてください」というご質問です。

質問内容を間違えていたら恐縮ですが、いずれも量産開始のタイミングで償却を開始する予定となっています。

つまり、航空機エンジンAに関しては、量産開始は2024年末頃です。航空券エンジンBに関しては、設備投資は前倒しで行いますが、減価償却が始まるのは量産が開始する2026年となっています。

航空機エンジンビジネスは、設備投資して納品されてから量産開始されるまでに一定の時間がかかります。そのため、投資と償却の開始には差が出ると考えています。

質疑応答:新材料の受託開発について

今西:「今期は前期に計上された新材料の受託開発を見込まないとのことですが、こちらの詳細を教えてください」というご質問です。

森西:新材料に対する受託開発は非常に順調に進んでおり、テストもかなりのフェーズまで進んでいます。こちらとは裏腹に、開発がなかなかうまく進んでいない場合は受託金を受けて加速するといった対応もしますが、テストは順調に進んでいるため、開発期間はなるべく短めにして、早めに量産のフェーズに突入します。

そのような意味では、開発費というよりも、量産準備に向かっていきたいと考えているため、今期は見込んでいないというのが実情です。

質疑応答:為替予約の考え方について

今西:「為替予約は外貨売上の2割から3割とのことですが、外貨為替リスクが大きい割には低い割合の為替予約に見えます。この範囲に決定された理由にはどのようなことがありますか?」というご質問です。

弊社の為替予約は2パターンあります。1つ目は、外貨の売上を計上してから入金までのパターンです。こちらは基本的には100パーセント、ヘッジしています。したがって、我々の今年前期は為替が相当振れたと思いますが、営業外の為替差損益は比較的少ない水準だったと思っています。こちらは、外貨の売上を上げてから入金するまでのヘッジをすることで為替の影響を最大限抑えています。

将来の売上に対して20パーセントから30パーセントの為替予約をすることになっていますが、実際には非常に難しいところがあると思っています。ご存知のとおり、現在は米国と日本の金利の差はかなり開いているため、為替予約をした場合の為替の下落率が非常に高い水準となっています。

1年程度の為替予約をしようとすると、下手をすれば8円、9円、10円と不利な状況になってしまうと考えています。そのような中で、1年間で平均して8円から10円為替が下がるような円高になることを想定して為替予約をするメリットはなかなか見出せないのも実情です。

ボラティリティを防ぐのが為替予約のヘッジだということは、私たちも100パーセント理解していますが、今の金利差ではあまりに条件が悪いところもあるため、現時点ではいったん2割から3割で為替ヘッジをしています。

ただし、将来的にはどのような外部環境かも含め、方針を変える可能性があると思っています。そのため、その時々で適切な為替予約やヘッジをしたいと考えています。

質疑応答:A部品・B部品の投資規模、材料、リスクについて

今西:「新しい航空券エンジンBの部品の投資はどのくらいですか? 新工場なども必要でしょうか? また、A部品やB部品の材料はチタンアルミでしょうか? もし材料が違う場合、習熟に時間がかかるリスクはないのでしょうか?」というご質問です。

森西:将来拡大する可能性はあるため、言い方は難しいのですが、大きく拡大し、想定どおり我々の技術水準などいろいろな部分がうまくいった場合は、そこまで大規模な新工場は必要ではないと考えています。

「A部品やB部品の材料はチタンアルミでしょうか?」というご質問にはなかなかお答えしづらいのですが、簡単に言うと、チタンアルミの経験が活かせる材料の領域です。世間で一般的に言われる難削材にはさまざまな種類がありますが、難削材にも傾向があります。チタンアルミのような脆性材の特性を活用することで加工が実現できる材料のため、習熟に時間がかかるリスクは限りなく低いと考えています。

質疑応答:リファイナンスの要否について

今西:「リファイナンスについて、現預金もそれなりにある中でさらに調達が必要だったのでしょうか?」というご質問です。

私たちはエンジンA、エンジンB、材料というところで、3つの案件に同時並行で取り組んでいます。そのような意味では、補助金なども採択されているものの、補助金が入るまでの一時的な資金も含めると、これら3つの案件を同時にすべて成功させるためには、リファイナンスが必要だったと考えています。

ただし、今回のリファイナンスではこの3案件以上の余力が出たと思っているため、新たな案件が出てきたとしても、一定程度は手元資金でコントロールできるのではないかと考えています。

質疑応答:今後の配当予定について

今西:「今後の株主還元について、配当の予定はありますか?」というご質問です。

森西:当然ながら、将来的にはそのようなことも考えていきたいと思っています。ただし、現時点では魅力的な案件が集中しているため、まずは成長のためということをみなさまにご理解いただいて使用し、継続的な安定と成長を確実に行えるようになった時には、配当もしっかりと実行していきたいと考えています。

質疑応答:経産省からの供給確保計画の補助金の計上方法について

今西:「経産省からの供給確保計画の補助金は、どのように御社の収益に計上されるのでしょうか?」というご質問です。

今回の供給確保計画の補助金は、基本的には設備投資に対して出るのですが、従来どおり圧縮記帳を適用したいと思っています。

したがって、補助金が入った分、設備投資の取得原価が減るため、結果として減価償却費が減ることで、営業利益が拡大するかたちで収益に計上されると考えています。

質疑応答:2025年からの生産ペース回復の考え方について

今西:「Boeing社やAirbus社など、航空機製造業界は人員確保に苦労していると聞きます。Boeing社の品質問題が解決したとしても、2025年からの生産ペース回復は問題なく進むと見ることはできるのでしょうか?」というご質問です。

森西:確かに、Boeing社もAirbus社も人員には苦労しているという声が聞かれます。しかし我々はもの作りのラインがロバストに安定しているため、ランプアップのためにそこまで多くの人材を必要とはしていません。したがって、ここはしっかりと問題なく進むと言い切れると思います。

質疑応答:新製品Bの設備投資について

今西:「引き合い案件である新製品Bについて、設備投資は必要ですか? 工場などは新設されるのでしょうか?」というご質問です。

こちらは、先ほどご説明したとおりです。

質疑応答:2025年6月期の設備投資額における新製品Bの費用計上について

今西:「2025年6月期の設備投資額に、新製品B量産のための費用は計上されるのでしょうか?」というご質問です。

設備投資については、量産開始後に償却を始める予定のため、設備投資に対して費用は計上されないと思っています。一方で、こちらを行うための人員の採用は積極化したいと思っているため、人件費という意味では増加を予定しています。

質疑応答:「COMAC C919」の生産動向について

今西:「御社のチタンアルミブレードが搭載されている『COMAC C919』に関しても生産動向について見解をお聞かせください」というご質問です。

森西:まず、「COMAC C919」にはさまざまなご意見があると思いますが、私自身は成長していく機体だと考えています。ただし、みなさまご存知のとおり、現在中国は世界の空を自由に飛び回る方向性で動いていません。

中国国内で運航するには中国の認証を取れば済むため、当面の間、「COMAC C919」はドメスティックの中での成長がテーマだと思っています。現状は徐々にオーダーも増えています。

質疑応答:トランプ氏再選の場合の事業上のリスクについて

今西:「米国のトランプ政権では米中摩擦の影響で数年前に同型のエンジン供給の規制が検討されたことがあると承知しています。今後の米大統領選ではトランプ氏の再選が有力視されており、規制の議論が再燃する可能性もありますが、事業上のリスクについて見解をお聞かせください」というご質問です。

森西:米国のトランプ政権についてはご質問のとおり話題にはなりましたが、なかなかそれを実行することは難しい状況になっていると思います。

ちなみに参考までに、Boeing社製「737MAX」には「LEAP-1B」、Airbus社製「A320neo」には「LEAP-1A」というエンジンが搭載されています。「COMAC C919」には「LEAP-1C」は「LEAP-1A」と同型のエンジンが搭載されており、どちらかというとヨーロッパ寄りの機体となっています。

このあたりのパワーバランスも考えると、「COMAC C919」に供給しないという決断にはなりづらいかと考えています。

配信元: ログミーファイナンス
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