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*15:02JST 日本リビング保証 Research Memo(2):「住宅設備の延長保証サービス」のパイオニア的存在
■会社概要
1. 沿革
日本リビング保証<7320>は、2009年3月に創業し、2023年に創業15期目を迎え、「独創的なリアルとデジタルなサービスで、暮らしの資財価値を最大化するワーステックカンパニー」として新たに定義付けた。
(1) 創業当時
同社は2009年3月に設立された。会社設立当初は、複数のアイデア(商品・サービス)を検討していたが、試行錯誤した結果、同年8月に「住宅設備の延長保証サービス」を発表した。
(2) 「住宅設備の延長保証サービス」の誕生
創業メンバーは、以前より「地震保険」を取り扱っていた。それをどうやって応用するか検討するなか、住宅会社を通じて販売するビジネスモデルを築いていった。一方、住宅会社では「火災保険」「耐震保険」等保険サービスは品揃えしていた。そこで、“空白になっている”保険サービスはないかと探した結果、「住設機器の延長保証サービス」に辿り着いた。住宅設備(特にキッチン、バス、トイレ等水まわり)は通常メーカー保証が1~2年で終了するところを10年間の延長保証としている。実際に同社ユーザ調査結果をみても、水周り設備の不具合は新築10年以内に2~3回発生、そのうち91%がメーカー保証切れ期間に発生しており、修理費用は3~30万円程度発生するため、住宅オーナーの大きな困りごとになっていた。業界初の本サービスは、その後も色々な着想を得ながら、オリジナルなアイデアを付与し、住宅オーナーの「住み心地」「便利」「安心感」等顧客体験として徐々に浸透していった。
ストック型&フロー型ビジネスで健全な財務構造と安定収益基盤を確立
2. 事業概要
(1) 事業ドメインと事業ポートフォリオ
1) コア事業領域…HomeworthTech事業
住宅会社が新築住宅を住宅オーナーへ引き渡してから、同社のHomeworthTech事業が始まる。まず、長期保証サービスを付与、メンテナンス(点検・補修)をマネジメントし、最後はリフォーム、建替へと繋げる。すなわち、「おうちのケア等の“住宅の一生”を面倒みる」ことが顧客(住宅オーナー)に提供する価値である。BtoCビジネスでは「顧客生涯価値(ゆりかごから墓場まで)」というビジネス用語があるが、その住宅版“生涯価値”と言っていいだろう。
住宅はメガ市場で付随するすそ野も広く、アフターメンテナンス市場もその中の一つである。現在、同社のHomeworthTech事業は業界トップクラスの市場ポジションをキープし、高成長・高収益を確保している。しかし、メガ市場のなか、同社がまだカバーできていない保証サービスやおうち情報もあり、今後も同社のコア事業として一層の拡大強化を図っていく。
2) 成長事業領域…ExtendTech事業
長期的視点でみると、住宅だけでは、“一本足打法”となり、事業成長と事業リスク上、大きな壁に突き当ってしまう。同社の経営幹部は、常に住宅に次ぐ「次の柱」を視野に入れて事業推進や新規事業探索を行っている。ExtendTech事業は、再生可能エネルギー向け補助金(太陽光発電の普及政策)を絡めて、ここ5年の間で急激に伸びてきた。ExtendTech事業は、「住宅設備の保証」ノウハウをベースに“蓄電システム機器やタブレット等の機器製品への保証・保険&ファイナンスのソリューション”と定義できる。言い換えると、「メーカー保証制度の立上げ代行」となる。具体的には、製造メーカーや販売会社と損害保険会社との間に立ち、保証業務をアレンジメントし保証業務代行を行う。現在、ExtendTech事業は損害保険会社からの顧客紹介が圧倒的に多く、蓄電システム機器保証サービスの受注は計画を大きく上回っている状況で、ここ数年はこの状態が続くものと思われる。
3) 新領域への挑戦
●デジタルツール(アプリ)の提供
住宅会社と住宅オーナー間の接点・コミュニケーションツールとしてのアプリを開発し、アプリから気軽にリフォームや修繕の相談ができるため、工事の受注促進やポイント状況等も確認できるようになっている。これらのアプリは住宅会社のカスタマーサクセスの一貫としてツールを提供しており、同社の各種サービス(保証サービス、ポイント等)の利用拡大による付加価値を提供する役割を担えればよいという認識である。
●“両利き”の経営を実践
閉塞感が漂う大企業を中心に“両利きの経営”が今注目されている。現在の主力事業以外にも積極的に新規事業を考えようという経営論で、言い換えると、既存事業の「深掘り」と新規事業の「探索」の“二兎を追う”経営である。同社では主力事業である住宅分野の保証サービス事業を「深掘り」しつつ、ExtendTech事業や海外進出といった非住宅分野での新規事業の「探索」にも力を入れており、創業15期目の若い会社が“両利き経営”を実践している希有な存在である。
(2) ビジネスモデル
同社は創業と同時に、業界初の住宅設備の延長保証サービス「住設あんしんサポート」の提供を開始した。保証サービスの特徴は会計処理上、設備保証の売上・原価は保証期間に応じて前受収益・前払費用として按分計上される。設備保証料は一括キャッシュインされ潤沢な手元資金として留保され、成長投資や資産運用の原資となる。従って、収入からキャッシュ循環で成長投資を賄うため借入金は不要、極めて財務健全性に優れたビジネスモデルと言える。売上については、期間按分され将来にわたって安定的な売上が確保される“ストック型ビジネス”である。
一方、2013年ごろからBPO事業の名称でスタートしたExtendTech事業(メーカー保証制度の立上げ代行)は、当初は国の補助金関連として、再生可能エネルギー関連(太陽光パネル、発電システム)が、最近では、蓄電システム機器やGIGAスクール構想実現に向けた小中学校へ導入されたタブレットが対象となっている。直近の業績では、蓄電システム機器とタブレットが大きく収益に貢献している。これは、“フロー型ビジネス”で、最初に「メーカー保証制度の構築」の一括受注となり、会計処理上は大半が当期一括計上となる手数料ビジネスであるため、売上が増えた分だけ利益も増える仕組み(一般には、リカーリングビジネスとも言う)である。同社はストック型ビジネス(HomeworthTech事業)とフロー型ビジネス(ExtendTech事業)を最適な組合せとすることで、財務健全性と持続的安定収益基盤を確立している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
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1. 沿革
日本リビング保証<7320>は、2009年3月に創業し、2023年に創業15期目を迎え、「独創的なリアルとデジタルなサービスで、暮らしの資財価値を最大化するワーステックカンパニー」として新たに定義付けた。
(1) 創業当時
同社は2009年3月に設立された。会社設立当初は、複数のアイデア(商品・サービス)を検討していたが、試行錯誤した結果、同年8月に「住宅設備の延長保証サービス」を発表した。
(2) 「住宅設備の延長保証サービス」の誕生
創業メンバーは、以前より「地震保険」を取り扱っていた。それをどうやって応用するか検討するなか、住宅会社を通じて販売するビジネスモデルを築いていった。一方、住宅会社では「火災保険」「耐震保険」等保険サービスは品揃えしていた。そこで、“空白になっている”保険サービスはないかと探した結果、「住設機器の延長保証サービス」に辿り着いた。住宅設備(特にキッチン、バス、トイレ等水まわり)は通常メーカー保証が1~2年で終了するところを10年間の延長保証としている。実際に同社ユーザ調査結果をみても、水周り設備の不具合は新築10年以内に2~3回発生、そのうち91%がメーカー保証切れ期間に発生しており、修理費用は3~30万円程度発生するため、住宅オーナーの大きな困りごとになっていた。業界初の本サービスは、その後も色々な着想を得ながら、オリジナルなアイデアを付与し、住宅オーナーの「住み心地」「便利」「安心感」等顧客体験として徐々に浸透していった。
ストック型&フロー型ビジネスで健全な財務構造と安定収益基盤を確立
2. 事業概要
(1) 事業ドメインと事業ポートフォリオ
1) コア事業領域…HomeworthTech事業
住宅会社が新築住宅を住宅オーナーへ引き渡してから、同社のHomeworthTech事業が始まる。まず、長期保証サービスを付与、メンテナンス(点検・補修)をマネジメントし、最後はリフォーム、建替へと繋げる。すなわち、「おうちのケア等の“住宅の一生”を面倒みる」ことが顧客(住宅オーナー)に提供する価値である。BtoCビジネスでは「顧客生涯価値(ゆりかごから墓場まで)」というビジネス用語があるが、その住宅版“生涯価値”と言っていいだろう。
住宅はメガ市場で付随するすそ野も広く、アフターメンテナンス市場もその中の一つである。現在、同社のHomeworthTech事業は業界トップクラスの市場ポジションをキープし、高成長・高収益を確保している。しかし、メガ市場のなか、同社がまだカバーできていない保証サービスやおうち情報もあり、今後も同社のコア事業として一層の拡大強化を図っていく。
2) 成長事業領域…ExtendTech事業
長期的視点でみると、住宅だけでは、“一本足打法”となり、事業成長と事業リスク上、大きな壁に突き当ってしまう。同社の経営幹部は、常に住宅に次ぐ「次の柱」を視野に入れて事業推進や新規事業探索を行っている。ExtendTech事業は、再生可能エネルギー向け補助金(太陽光発電の普及政策)を絡めて、ここ5年の間で急激に伸びてきた。ExtendTech事業は、「住宅設備の保証」ノウハウをベースに“蓄電システム機器やタブレット等の機器製品への保証・保険&ファイナンスのソリューション”と定義できる。言い換えると、「メーカー保証制度の立上げ代行」となる。具体的には、製造メーカーや販売会社と損害保険会社との間に立ち、保証業務をアレンジメントし保証業務代行を行う。現在、ExtendTech事業は損害保険会社からの顧客紹介が圧倒的に多く、蓄電システム機器保証サービスの受注は計画を大きく上回っている状況で、ここ数年はこの状態が続くものと思われる。
3) 新領域への挑戦
●デジタルツール(アプリ)の提供
住宅会社と住宅オーナー間の接点・コミュニケーションツールとしてのアプリを開発し、アプリから気軽にリフォームや修繕の相談ができるため、工事の受注促進やポイント状況等も確認できるようになっている。これらのアプリは住宅会社のカスタマーサクセスの一貫としてツールを提供しており、同社の各種サービス(保証サービス、ポイント等)の利用拡大による付加価値を提供する役割を担えればよいという認識である。
●“両利き”の経営を実践
閉塞感が漂う大企業を中心に“両利きの経営”が今注目されている。現在の主力事業以外にも積極的に新規事業を考えようという経営論で、言い換えると、既存事業の「深掘り」と新規事業の「探索」の“二兎を追う”経営である。同社では主力事業である住宅分野の保証サービス事業を「深掘り」しつつ、ExtendTech事業や海外進出といった非住宅分野での新規事業の「探索」にも力を入れており、創業15期目の若い会社が“両利き経営”を実践している希有な存在である。
(2) ビジネスモデル
同社は創業と同時に、業界初の住宅設備の延長保証サービス「住設あんしんサポート」の提供を開始した。保証サービスの特徴は会計処理上、設備保証の売上・原価は保証期間に応じて前受収益・前払費用として按分計上される。設備保証料は一括キャッシュインされ潤沢な手元資金として留保され、成長投資や資産運用の原資となる。従って、収入からキャッシュ循環で成長投資を賄うため借入金は不要、極めて財務健全性に優れたビジネスモデルと言える。売上については、期間按分され将来にわたって安定的な売上が確保される“ストック型ビジネス”である。
一方、2013年ごろからBPO事業の名称でスタートしたExtendTech事業(メーカー保証制度の立上げ代行)は、当初は国の補助金関連として、再生可能エネルギー関連(太陽光パネル、発電システム)が、最近では、蓄電システム機器やGIGAスクール構想実現に向けた小中学校へ導入されたタブレットが対象となっている。直近の業績では、蓄電システム機器とタブレットが大きく収益に貢献している。これは、“フロー型ビジネス”で、最初に「メーカー保証制度の構築」の一括受注となり、会計処理上は大半が当期一括計上となる手数料ビジネスであるため、売上が増えた分だけ利益も増える仕組み(一般には、リカーリングビジネスとも言う)である。同社はストック型ビジネス(HomeworthTech事業)とフロー型ビジネス(ExtendTech事業)を最適な組合せとすることで、財務健全性と持続的安定収益基盤を確立している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
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