小田原機器のニュース
小田原機器、新紙幣特需の継続、路線バス運賃箱の大型リプレイスを確実に取り込み、2024年12月期は増収増益計画
業績サマリー
丸山明義氏:小田原機器代表取締役社長の丸山です。2023年12月期決算の内容についてご説明します。
業績サマリーです。2023年12月期は売上高39億3,000万円、営業利益2億900万円の減収増益となりました。
売上高については、2024年7月に予定されている新紙幣発行に伴い、新紙幣検定機を開発・生産・納入しましたが、2022年12月期の地域連携ICカード案件のピークアウトの影響により、減収となりました。
一方、利益面については、商品構成の変化により採算性の高い案件が利益貢献したことに加え、新紙幣検定機を自社製造へ切り替えたことで利益率が改善し、増益となりました。
2023年1月に新規事業推進室を設立し、小田原市よりマイナンバーカードによる地域ポイントアプリを受注するなど、新規領域の創出に向けた道筋を作ることができました。
当期業績の増減
売上高の増減要因はスライドに記載のとおりです。運賃箱他及びキャッシュレスについては、2022年12月期の地域連携ICカード案件のピークアウトにより、減収となりました。
新紙幣特需については、2024年7月に予定されている新紙幣発行に伴い、新紙幣検定機の開発・生産・納入を開始しました。システム開発事業は、システム受託開発の需要が堅調に推移し、微増となりました。
当期業績の増減
営業利益の増減要因です。2022年12月期の地域連携ICカード案件のピークアウトにより減収となる一方で、採算性の高い案件が利益貢献し、原価率が低減しました。
しかし、新規事業推進室の設立や研究開発費など、成長領域の創出に向けた成長投資を実行したことで販管費が増加し、営業利益は2億900万円で着地しました。
セグメント別業績
セグメント別業績です。当社には、運賃収受機器事業とシステム開発事業の2つのセグメントがあります。運賃収受機器事業は、路線バス用運賃箱や運賃表示器をはじめとした製品の開発・製造・販売・メンテナンスを手がけています。
システム開発事業は、ETCシステム等の社会インフラ構築、アプリケーションソフト・プリント基板の開発受託を行っています。
各セグメントの売上高は、スライドに記載のとおりです。
連結業績の推移
連結業績の推移です。2022年12月期比で減収となりましたが、利益は大幅に改善することができました。
連結貸借対照表
連結貸借対照表です。資産については、2023年12月期に売上が集中したことにより、売上債権が増加しました。また、2024年の大型案件に備えた部材の先行手配や製品先作りにより、たな卸資産が増加しました。
負債については、運転資金の調達に係る借入を主因に増加しました。
連結キャッシュ・フロー計算書
連結キャッシュ・フロー計算書です。営業キャッシュ・フローは、2023年12月に売上が集中したことによる売上債権増と、2024年の大型案件に備えた部材手配や製品先作りによるたな卸資産増を主因に減少しました。
投資キャッシュ・フローは、新紙幣検定機に係る金型取得を主因に減少しました。財務キャッシュ・フローは、運転資金の調達に係る借入を主因に増加しました。
来期業績予想
来期業績予想についてご説明します。
2024年12月期の売上高は56億4,800万円、営業利益は2億4,400万円と、増収増益を計画しています。新紙幣特需の継続に加え、2023年12月期に受注した路線バス運賃箱の大型リプレイスの売上を計画に反映しました。
成長事業については、2023年12月期に受注した小田原市のマイナンバーカードによる地域ポイントアプリを他の自治体へ拡大することに注力します。さらに、2024年問題に伴うバス運転手不足という社会的課題の解決を図るべく、データサービスソリューションの事業化へ向けて取り組んでいきます。
来期業績の増減
2023年12月期に対する売上高の増加要因は、スライドに記載のとおりです。運賃箱他については、2023年12月期に受注した運賃箱の大型リプレイスなどを計画に織り込み、増収となる見込みです。
キャッシュレスは、2023年12月期比で同水準と見ています。新紙幣対応は、2023年12月期に引き続き特需を見込みます。新規領域については、地方自治体向けソリューションの拡販に取り組みます。システム開発は、プリント基板開発の受託増加を見込んでいます。
来期業績の増減
営業利益の増減については、6億4,700万円の売上増を見込んでいます。また、商品構成の変化による原価率増、新規事業推進体制の強化や研究開発拡充などの成長投資の強化、稼ぐ力を高める社内ITインフラ投資による販管費増加を計画に反映しました。
設備投資および研究開発費
設備投資と研究開発費についてご説明します。設備投資について、2023年12月期の実績は6,300万円で、主に新紙幣検定機の金型取得を行いました。2024年12月期は1億4,600万円を計画しており、主に金型取得や社内インフラ投資を予定しています。
研究開発費について、2023年12月期の実績は1億6,000万円となりました。主な内容は、キャッシュレス決済端末の機能拡張や新紙幣検定機の開発などです。2024年12月期は2億6,800万円を計画しており、主にデータサービスソリューションに係る商材開発や、キャッシュレス決済端末の機能拡張を予定しています。
配当の状況
配当の状況です。
2023年8月10日、株主のみなさまに対して積極的な利益還元を実施するため、配当方針を変更し、DOEに関する基準を追加しました。また、株主のみなさまの日頃のご支援に感謝するとともに、当社株式への投資の魅力を高め、中長期的に保有いただける株主の増加を図るため、2023年12月期より株主優待制度を新設しました。
配当方針については、配当性向30パーセントとDOE2.0パーセントのうち、金額が大きいほうを配当します。ただし、1株あたり15円の安定配当部分を設定します。
以上の配当方針に基づき、2023年12月期は1株あたり26円の配当を予定しています。2024年12月期は、同額の1株あたり26円を予定しています。
中期経営計画2025の全体像
中期経営計画2025の進捗についてご説明します。当社は、2020年1月から2025年12月までの6年間において、「持続的成長企業」を目指すためのリバイバルプランを策定しています。
社会と顧客に対してのビジョンを掲げています。社会に対しては、ストレスフリーな交通利用環境を提供します。顧客に対しては、経営課題を解決し、新たな高付加価値を提供します。
2025年度の業績目標としては、売上高75億円、営業利益8億円、営業利益率10.0パーセントを目指しています。
基本戦略は、成長事業の創出として、キャッシュレス決済事業の強化と加速、データサービスの事業化に取り組んでいきます。また、継続的な成長投資の原資を確保するために、売上高総利益率を向上させながら、技術ビジョンに基づく研究開発投資を実行していきます。
ドメイン戦略
ドメイン戦略についてです。「戦略1」として既存事業で収益構造を強化し、「戦略2」として提供価値の拡大と市場拡張で成長することを目指しています。
事業環境認識の変化
事業環境認識の変化です。中期経営計画の策定当初と比べると、事業環境が変化してきています。
顧客であるバス会社・地方自治体の経営が、従来以上に厳しくなってきています。少子高齢化の加速による地域人口の減少に伴い、赤字路線・時間帯が増加しています。また、2024年問題による運転手不足が深刻化していることにより、バス路線の維持が困難になってきています。
しかし、バス会社・地方自治体は、地域交通の担い手として重要な役割を担っているため、公共交通サービスの維持と健全な経営の両立が大きな課題となっています。当社の立場でお話しすると、創業以来、バスの運賃箱を主体に事業展開してきましたが、それだけでは2025年以降の成長が難しいと感じています。
一方、2022年8月に小田原市と交通政策の推進に関する協定を締結したことに象徴されるように、地域の課題解決に貢献するソリューションニーズが広がりつつあります。地域活性化の仕組み作りや、移動ニーズと運行コストの適正化に大きなビジネスチャンスがあると見込んでいます。
さらに、今後は自動運転バスの普及や無人化が間違いなく加速しますので、運転手の乗務を前提にした現在の運賃箱から、運転手・運賃箱レスという新たな料金収受システムの構築に大きく舵を切らなければならない状況に変化しています。
以上のような環境の変化から、従来の延長線ではなく、2025年以降のポスト中期経営計画を見据えた成長の仕込みが不可欠であると考え、ドメイン戦略の見直しを実行します。
ドメイン戦略の見直し
ドメイン戦略の見直しです。基盤領域においては、自動運転バスの普及や無人化の加速を見据えて、次世代乗降システムを追加します。
新規領域においては、バス会社や自治体における公共交通サービスの維持と、健全な経営の両立を図るため、マイナカードソリューションやデータサービスソリューションに取り組みます。
今後も、「基盤領域」の提供価値の拡大と、「新規領域」の創出により成長していきたいと考えています。
今後の成長シナリオ
ドメイン戦略の見直しに基づいて、今後の成長シナリオを整理しました。中期経営計画2025の最終年度である2025年までは、新紙幣特需や、関東圏の大規模更新需要によるシェア拡大で、基盤領域における現在価値の拡大を図っていきます。
ポスト中期経営計画2025である2026年以降については、自動運転レベル4を見据えた次世代乗降システムの開発により、基盤領域における新たな価値を提供します。また、マイナカードソリューションやデータサービスソリューションに取り組むことで、新規領域における新たな事業の創出を目指します。
【参考】マイナカードソリューション
成長シナリオの確からしさを示す事例をご紹介します。2023年12月に小田原市からマイナカードソリューションとして、小田原市地域ポイントアプリの開発と運用を受注しました。
地域住民及び観光客を対象とするスマートフォン向けアプリです。マイナンバーカードによる共通IDの発行及び地域ポイントの付与を通じ、地域活性化のためのさまざまな仕組みを提供しています。
さまざまな仕組みを通じて収集される人流や購買履歴等のデータを、自治体のデータ基盤と連携します。そのため、地域住民及び観光客向けに展開する施策をより効果的に評価、改善、実行することが可能になります。
地域ポイントアプリを通じ、地域住民や観光客の「楽しみ」と「安心」を作り、小田原市の魅力を発信していきます。
今後の投資計画
今後の投資計画についてです。成長シナリオに基づく成長投資の強化として、新規事業推進体制を増強していきます。具体的には、専門性を持つ「とがり」人財のキャリア採用や、異業種との協業体制の構築を図ります。
また、研究開発費の拡充として、クラウド技術の強化、データサービスソリューション商材の開発、キャッシュレス決済端末の機能拡張開発などに取り組んでいきます。
稼ぐ力を高める社内ITインフラ投資については、事業プロセスの効率化を目的とし、2025年12月までに新基幹システムを構築します。製番方式からMRP方式へのものづくり改革や、仕様の標準化による原価率の低減を図っていきます。
業績計画
中期経営計画2025の業績計画は、スライドに記載のとおりです。2025年には売上高75億円、営業利益8億円、営業利益率10パーセント、ROE8.3パーセントを目指していきます。
人的資本経営の取組み
社員と会社が共に成長することを目的として、新たに人的資本を意識した経営に取り組みたいと考えています。従来は、社員にかかわる人件費はコストと位置付けていましたが、この考え方を変え、価値を生み出す源泉として人的資本に投資する方針です。
社内人財の育成・能力開発や、専門性を持つ人財を採用することで、基盤領域における新たな価値の提供、新規領域における新たな事業の創出を目指します。また、社員エンゲージメントを実現することで、社員のチャレンジ姿勢の向上に取り組んでいます。
指名・報酬委員会のミッションとして、サクセッションプランの策定を追加し、ポスト中期経営計画を見据えた経営のあり方を議論していきます。
上場維持基準の適合状況
上場維持基準の適合状況についてご説明します。市場再編当初は、流通株式時価総額の基準を満たしていませんでしたが、2023年12月31日現在においては、すべての基準を満たすことができました。
当社の持続的成長に向けた取り組みや最近の株式市場の情勢から、2026年12月末に定めた計画期間満了前の段階において、流通株式時価総額に関する上場基準に適合したものと考えています。
今後も中期経営計画を着実に実行し、持続的な成長を図るとともに、株主還元やIR施策等の充実に取り組むことで、流通株式時価総額のさらなる改善を図っていきます。
株価の推移
ご参考までに、株価の推移です。2023年8月10日に「配当方針の変更、配当予想の修正及び株主優待制度の新設に関するお知らせ」を開示しました。直後に株価が急騰した後も、1,000円を若干上回る水準で堅調に推移しています。
引き続き、ご支援のほどよろしくお願いします。ご清聴ありがとうございました。
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