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エヌ・シー・エヌ Research Memo(8):プレカット工場ネットワークは、3年後に100社の加入を目指す

配信元:フィスコ
投稿:2021/01/18 15:08
■2020年以降の取り組みの変化

1. 木構造デザインの進捗
エヌ・シー・エヌ<7057>は2021年3月期の方針として、住宅分野においては、登録施工店の増加に向けた施策及び「重量木骨の家」のブランディング強化を掲げている。大規模木造建築(非住宅)分野としては、SE構法以外の非住宅木造建築の構造計算への取り組みを挙げている。住宅分野における新規登録店の獲得強化では、2020年3月期までは約500社の既存登録店の活性化に注力していたが、耐震性の高い木造住宅の更なる普及に向けて、新規登録店の獲得強化を図っている。「重量木骨の家」のブランディング強化については、更なるブランド強化に向けて「重木事業部」を新設した。ブランドサイトだけでなく、特設サイト「FAMILY TREE」の充実や、雑誌「ML WELCOME」の発刊、Instagramでの発信など積極的なプロモーションを展開している。

大規模木造建築(非住宅)分野におけるSE構法以外の非住宅木造建築の構造計算への取り組みについては、木構造デザイン設立が大きな変化をもたらす。2010年の法律施行により、住宅以外の木造建築物市場は大きく成長しているが、成長には課題もある。この成長課題を解決するため、同社の24,000棟以上の構造計算実績と、60%以上の木造CADのマーケットシェアを持つネットイーグルとのシナジー効果は大いに期待される分野である。

2020年10月に大規模木造建築市場のゼネコン・設計事務所とプレカット工場をつなぐ日本初のマッチングプラットフォーム事業を開始した。これにより、構造設計サポートと加工サポートに加えて、プレカット工場ネットワークの組成により生産体制を整備するとともに、ゼネコンや設計事務所向けの広告宣伝活動を行うことで、構造設計から生産設計までワンストップでサービスを提供する。プレカット工場ネットワークは現在までに東北、関東、中部、関西、中国、九州において14社となり、全国の加工実績に占める割合は13%以上となる。プレカット工場ネットワークについては、3年後に100社の加入を目指す。


DXの推進を加速、いち早くデジタル住宅展示場のYouTubeチャンネルをオープン。BIMソリューションを展開するMAKE HOUSEへ経営資源を投資
2. DXの推進
Withコロナ時代における住宅業界のなかで、集客方法の変化が最も大きな変化とも言える。同社の関係会社であるMUJI HOUSEの集客数の状況を見ても、展示場に顧客を集める従来型の営業形式が取りにくい時代である。また、営業上は顧客と面談する行為になるわけだが、その面談という行為が変化している。この大きな環境の変化に対してDXがもたらすものとして、住宅業界の中に「見える化」という現象が起こってきている。今までの住宅は、買うまで性能がわからない、見積もりを取るまで値段がわからないのが当たり前だったが、DXによりその改善が急速に進んでいる状況だと同社は考えており、いち早くDXの推進を加速させている。既に「重量木骨の家」のモデルハウスや実例を集めたデジタル住宅展示場のYouTubeチャンネルをスタートさせており、Withコロナ時代に適した新たな集客手法を展開している。住宅展示場といえば、今までは「30社」や「60棟」といった数字が並んでいることが、ハウスメーカーや展示場の優位性を表すものであったが、このコロナ禍においては「人が集まっている」「たくさん人が来ている」という宣伝は、マイナスの印象を与えかねないという状況に変わっている。

デジタル住宅展示場のメリットとしては、効率的な広告展開や再来場の促進ができるため、中小の工務店が大企業に対抗する施策を実施することが可能となる。地域・性別・世帯年収など、特定のセグメンテーションに向けた「効率的な広告展開」、新着動画がアップされる度にお知らせが届くため再来場の促進が可能、来場者についてはオープン以来1日あたり約4,000回視聴されており、一般的な住宅総合展示場の来場者(1日約700組)を上回る。デジタル住宅展示場は現在も、アクセス数また問い合わせは非常に良好な状況である。

YouTubeチャンネル「理想の家が見つかる!重量木骨の家ハウスコレクション」は、同社が展開するSE構法による高級住宅ブランド「重量木骨の家」のモデルハウスや実例を集めたデジタル住宅展示場となる。「重量木骨の家」は、北海道から沖縄まで全国各地の選び抜かれた68社の工務店からなるプレミアムパートナーが手掛ける高級住宅ブランドである。各地域の気候や環境を熟知したプレミアムパートナーによる快適かつバリエーションに富んだ注文住宅を対象に、外観だけでなく室内の隅々まで魅力的な動画として撮影・編集することで、家づくりにおける「事例を見たい+事例を体感したい」というニーズに応えている。

プレミアムパートナーが手掛けた「重量木骨の家」の累計棟数は5,500棟以上で、それらを動画に収めることによる豊富な施工事例数と、大手ハウスメーカーにはないバリエーションに富んだ住宅実例がデジタル住宅展示場の特長のひとつとなる。今後もWithコロナ時代に適した工務店ビジネスを後押しする非接触型(バーチャルコンテンツ)の支援メニューを拡充し、デジタル施策を推進することで、「日本に安心・安全な木構造を普及させる。」「日本に資産価値のある住宅を提供する仕組みをつくる。」という創業からの目標に向けて取り組んでいく。

また、田鎖郁男社長自らが出演する住宅購入者向けYouTubeチャンネル「耐震住宅に住もう『教えて!田鎖さん」を開設・運営している。自らの言葉で、日本の住宅業界の問題点から、木材の知識、工務店選びのポイントなど、住宅購入者の目線にたった内容で、耐震住宅の良さをアピールしている。さらに、同社の工務店ネットワークへのDX化推進を後押ししており、工務店各社によるYouTubeチャンネルなどデジタル化を支援している。

また、住宅性能シミュレーションサービスを拡充した。BIMを手掛ける子会社MAKE HOUSEを以前から有しているため、MAKE HOUSEが脚光を浴びる時代として、経営資源を投資していく考えである。

その他、動画による耐震シミュレーションとして、木造軸組構法住宅を対象とする倒壊解析ソフトウェアであり、住宅の倒壊解析に有効であるといわれる国内唯一のシミュレーションソフト「Wallstat(ウォールスタット)」を活用し、耐震シミュレーションを可視化する。PC上で木造住宅をモデル化し、振動台実験のように地震動を与え、最先端の計算理論に基づいたシミュレーションを行うことで、変形の大きさ、損傷状況、倒壊の有無を視覚的に確認することができる。

市場の変化に対する対応としてまとめると、「集客のデジタル化」への対応として、「デジタル住宅展示場をオープン」。「住宅性能の数値化・見える化」への対応に対して、「住宅性能シミュレーションサービスの拡充」。「設計・施工プロセスのDX」への対応は、「BIMソリューションの強化」。「木造建築市場は住宅から大規模木造建築(非住宅)分野へ拡大」との変化への対応においては、「大規模木造マッチングプラットフォーム事業の開始」という形で成長に向けた取り組みを加速させている。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)


<NB>
配信元: フィスコ

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