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ピアラのニュース
■今後の展開
2. 中期経営計画
(1) 経営数値目標と基本方針
ピアラ<7044>は2020年12月期からスタートする3ヶ年の中期経営計画を発表した。経営数値目標としては2022年12月期に連結売上高235億円以上、営業利益12億円、営業利益率5%以上とし、成長のための事業投資として3年間累計で10億円を投下する計画だ。投資に関してはそのほかIT投資(AI投資、業務基幹システム等)に5億円、資本提携やM&A等に15億円の予算枠を取っている。
同社は、悩みデータに基づく再現性及び費用対効果の高いマーケティング施策のプランニング力、また、新規顧客の開拓から育成、海外進出支援までをワンストップで提供できる対応力などを強みに、KPI保証サービスというユニークなビジネスモデルで展開していくことで高成長を目指す。特に、今後は「消費者の悩み(ニーズ)」に従来以上に軸足を置き、ニーズのある商品・サービスを能動的に発掘、場合によっては共同開発しながらマーケティング支援を展開していく方針を打ち出している。
2019年12月に資本業務提携を発表したサラヴィオ化粧品との取り組みは、その一例となる。サラヴィオは大分県に本社を置くバイオ企業で、温泉微生物の研究と「温泉藻類®」が持つ「抗炎症作用」「抗酸化作用」「抗糖化作用」を生かしたスキンケア商品の開発及び製造販売を行っており、年間売上高は6億円強の規模となる。商品のリピート率は高いものの、マーケティングに課題があり売上高が伸び悩んでいた。今回、同社が株式の6.8%を取得するとともに、サラヴィオ化粧品のマーケティングを一括して請け負うことで、既存商品のヒットをねらう。また、同社が提供する「BEATMAKER(ビートメーカー)※」をもとに、「温泉藻類®」の技術を活用したOEM商品の共同開発にも取り組んでいく。今後も地方企業で良い技術や商品を持つ企業があれば、同様の取り組みを進めていく方針だ。
※顧客の商品開発段階からサポートし、売れる商品づくりを行うサービスで2019年7月より本格スタートした。商品開発にかかる業務については無償で行い、KPI保証サービスにより収益を獲得していくビジネスモデル。既存案件のヒット率は25%程度だが、ニーズのある商品を厳選して開発販売するため目標ヒット率を30〜40%と高くすることで開発コストを吸収する。開発期間は半年から1年程度で、現在10社程度の企業とプロジェクトを進めている。
(2) 事業戦略の概要
同社は、新規事業も含めて成長性と収益性の向上に寄与する複数の分野に、3年間で10億円(最終年度に5億円)の投資を行う計画としている。具体的な投資テーマとして、マーケティングテック分野ではOMO※の推進や新規事業「ナレシェア」、AI/RPAの開発などを行い、グローバルソリューション分野では拠点運用の最大化、貿易ほかサービスの拡充、ソーシャルコマース(インフルエンサーとの協業等)の強化のための投資を行っていく予定だ。これら投資により、KPI保証サービスの領域拡大と成長加速、収益性向上を目指す。
※OMO(Online Merges with Offline):オンラインとオフラインの融合を意味するマーケティング概念。ネットとリアルの垣根にとらわれず、あらゆるユーザー体験をデータ化することでユーザーエクスペリエンスの向上を目指す施策。
3年間の事業戦略ロードマップでは、初年度を投資フェーズ、2年目を育成フェーズ、3年目を拡大フェーズと位置付け、各種施策を実行していく。
KPI保証サービスでは、「悩みデータ×AI」の活用により「客数×客単価増」に取り組むほか、後述する「ナレシェア」の拡大やOMOの推進(オフラインデータのデジタル化)により成長を加速していく戦略だ。AIに関しては複数の技術を組み合わせて予算配分の最適化と手法を拡張し、運用のクリエイティブ分野の自動化も進めることで、KPI保証による効果の最大化と再現性の向上に取り組んでいく。AI技術については他社技術も活用しながら開発を進めている。現在、再現性については30~40%程度だが、3年後には新卒社員でも70%程度を実現できるまでに進化させ、運用部門の生産性向上を目指す。
一方、グローバル事業においては、越境ECを主軸に海外進出を支援するとともに、B&H専門卸運用代行サービスの拡大を推進していく。グローバル事業の売上構成比は2020年12月期見込で5%程度とまだ低いが、3年間で10%以上まで引き上げていく。ワンストップソリューションで提供することにより、高収益モデルの確立を目指す。そのほか、第3の収益柱育成のため、新規事業の創出にも取り組んでいく。具体的には、独自データ&マーケティングテックによるヘルステック関連事業を育成していく考えだ。
人事戦略については、今後も年間20名程度の採用を継続していく予定となっている。増加率は10%台となるため、1人当たりの売上高、利益が増加する計算だ。採用を強化する分野は上流コンサルタント及び技術者となる。特に上流コンサルタントについては現在10名程度だが、成長の核となるため中長期的に強化していく方針となっている。また、グローバル事業拡大のため、グローバル人材の採用についても積極的に行っていく。
(3) 「ナレシェア」とOMOの推進について
a) ナレシェア
KPI保証サービスの引き合いが急増するなかで、同社だけではリソース面で対応しきれないという課題も抱えている。こうした課題を解消し、成長加速につなげていく新たなサービスが「ナレシェア」となる。広告代理店や同業者など協業が可能な優良なパートナーを組織化し、互いのナレッジを共有することで、KPI保証の最適化がより促進できる効果が期待できる。具体的には、同社が保有する「悩み特化型DMP」をパートナーに開放し、パートナーのノウハウやデータを一緒にAIで学習させることで最適化のスピードを促進する。この取り組みにより、中期的に誰でも70%程度の再現性のあるマーケティング施策の実行が可能になることを目指している。クライアント企業との契約は、同社がKPI保証サービスを行い、パートナー企業とレベニューシェアする格好となる。既に数社とトライアルプロジェクトが進んでいるもようだ。
b) OMO推進
BtoC市場における商品の購入率は約94%がEC以外のリアル店舗等での販売であり、大きなマーケットであることに変わりない。同社ではこうした市場において、リアルな体験やテレマーケティング等による「データ化×テクノロジー」を進めることで、KPI保証サービスの拡張を目指していく。「リアル体験×データ取得」の取り組みでは、2018年以降、郵便局でコスメやサプリメント等の実演販売を開始したのを皮切りに、大手スーパーや百貨店、ホームセンター、温浴施設等へと拡大している。消費者の悩みごと(膝や腰の痛み等)をアンケートからデータ収集し、実際に商品を体験してもらって購入してもらうスタイルなので、効果も大きい。アンケートで取得したデータは、既存事業の各種施策に生かしていくほか、新規事業となるヘルステック関連事業にも活用していく予定だ。なお、現状は新型コロナウイルス感染症の影響で、対面型のプロモーションはストップしている状況にあるが、今後はITを活用したプロモーションなどの検討も進めていくことにしている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 中期経営計画
(1) 経営数値目標と基本方針
ピアラ<7044>は2020年12月期からスタートする3ヶ年の中期経営計画を発表した。経営数値目標としては2022年12月期に連結売上高235億円以上、営業利益12億円、営業利益率5%以上とし、成長のための事業投資として3年間累計で10億円を投下する計画だ。投資に関してはそのほかIT投資(AI投資、業務基幹システム等)に5億円、資本提携やM&A等に15億円の予算枠を取っている。
同社は、悩みデータに基づく再現性及び費用対効果の高いマーケティング施策のプランニング力、また、新規顧客の開拓から育成、海外進出支援までをワンストップで提供できる対応力などを強みに、KPI保証サービスというユニークなビジネスモデルで展開していくことで高成長を目指す。特に、今後は「消費者の悩み(ニーズ)」に従来以上に軸足を置き、ニーズのある商品・サービスを能動的に発掘、場合によっては共同開発しながらマーケティング支援を展開していく方針を打ち出している。
2019年12月に資本業務提携を発表したサラヴィオ化粧品との取り組みは、その一例となる。サラヴィオは大分県に本社を置くバイオ企業で、温泉微生物の研究と「温泉藻類®」が持つ「抗炎症作用」「抗酸化作用」「抗糖化作用」を生かしたスキンケア商品の開発及び製造販売を行っており、年間売上高は6億円強の規模となる。商品のリピート率は高いものの、マーケティングに課題があり売上高が伸び悩んでいた。今回、同社が株式の6.8%を取得するとともに、サラヴィオ化粧品のマーケティングを一括して請け負うことで、既存商品のヒットをねらう。また、同社が提供する「BEATMAKER(ビートメーカー)※」をもとに、「温泉藻類®」の技術を活用したOEM商品の共同開発にも取り組んでいく。今後も地方企業で良い技術や商品を持つ企業があれば、同様の取り組みを進めていく方針だ。
※顧客の商品開発段階からサポートし、売れる商品づくりを行うサービスで2019年7月より本格スタートした。商品開発にかかる業務については無償で行い、KPI保証サービスにより収益を獲得していくビジネスモデル。既存案件のヒット率は25%程度だが、ニーズのある商品を厳選して開発販売するため目標ヒット率を30〜40%と高くすることで開発コストを吸収する。開発期間は半年から1年程度で、現在10社程度の企業とプロジェクトを進めている。
(2) 事業戦略の概要
同社は、新規事業も含めて成長性と収益性の向上に寄与する複数の分野に、3年間で10億円(最終年度に5億円)の投資を行う計画としている。具体的な投資テーマとして、マーケティングテック分野ではOMO※の推進や新規事業「ナレシェア」、AI/RPAの開発などを行い、グローバルソリューション分野では拠点運用の最大化、貿易ほかサービスの拡充、ソーシャルコマース(インフルエンサーとの協業等)の強化のための投資を行っていく予定だ。これら投資により、KPI保証サービスの領域拡大と成長加速、収益性向上を目指す。
※OMO(Online Merges with Offline):オンラインとオフラインの融合を意味するマーケティング概念。ネットとリアルの垣根にとらわれず、あらゆるユーザー体験をデータ化することでユーザーエクスペリエンスの向上を目指す施策。
3年間の事業戦略ロードマップでは、初年度を投資フェーズ、2年目を育成フェーズ、3年目を拡大フェーズと位置付け、各種施策を実行していく。
KPI保証サービスでは、「悩みデータ×AI」の活用により「客数×客単価増」に取り組むほか、後述する「ナレシェア」の拡大やOMOの推進(オフラインデータのデジタル化)により成長を加速していく戦略だ。AIに関しては複数の技術を組み合わせて予算配分の最適化と手法を拡張し、運用のクリエイティブ分野の自動化も進めることで、KPI保証による効果の最大化と再現性の向上に取り組んでいく。AI技術については他社技術も活用しながら開発を進めている。現在、再現性については30~40%程度だが、3年後には新卒社員でも70%程度を実現できるまでに進化させ、運用部門の生産性向上を目指す。
一方、グローバル事業においては、越境ECを主軸に海外進出を支援するとともに、B&H専門卸運用代行サービスの拡大を推進していく。グローバル事業の売上構成比は2020年12月期見込で5%程度とまだ低いが、3年間で10%以上まで引き上げていく。ワンストップソリューションで提供することにより、高収益モデルの確立を目指す。そのほか、第3の収益柱育成のため、新規事業の創出にも取り組んでいく。具体的には、独自データ&マーケティングテックによるヘルステック関連事業を育成していく考えだ。
人事戦略については、今後も年間20名程度の採用を継続していく予定となっている。増加率は10%台となるため、1人当たりの売上高、利益が増加する計算だ。採用を強化する分野は上流コンサルタント及び技術者となる。特に上流コンサルタントについては現在10名程度だが、成長の核となるため中長期的に強化していく方針となっている。また、グローバル事業拡大のため、グローバル人材の採用についても積極的に行っていく。
(3) 「ナレシェア」とOMOの推進について
a) ナレシェア
KPI保証サービスの引き合いが急増するなかで、同社だけではリソース面で対応しきれないという課題も抱えている。こうした課題を解消し、成長加速につなげていく新たなサービスが「ナレシェア」となる。広告代理店や同業者など協業が可能な優良なパートナーを組織化し、互いのナレッジを共有することで、KPI保証の最適化がより促進できる効果が期待できる。具体的には、同社が保有する「悩み特化型DMP」をパートナーに開放し、パートナーのノウハウやデータを一緒にAIで学習させることで最適化のスピードを促進する。この取り組みにより、中期的に誰でも70%程度の再現性のあるマーケティング施策の実行が可能になることを目指している。クライアント企業との契約は、同社がKPI保証サービスを行い、パートナー企業とレベニューシェアする格好となる。既に数社とトライアルプロジェクトが進んでいるもようだ。
b) OMO推進
BtoC市場における商品の購入率は約94%がEC以外のリアル店舗等での販売であり、大きなマーケットであることに変わりない。同社ではこうした市場において、リアルな体験やテレマーケティング等による「データ化×テクノロジー」を進めることで、KPI保証サービスの拡張を目指していく。「リアル体験×データ取得」の取り組みでは、2018年以降、郵便局でコスメやサプリメント等の実演販売を開始したのを皮切りに、大手スーパーや百貨店、ホームセンター、温浴施設等へと拡大している。消費者の悩みごと(膝や腰の痛み等)をアンケートからデータ収集し、実際に商品を体験してもらって購入してもらうスタイルなので、効果も大きい。アンケートで取得したデータは、既存事業の各種施策に生かしていくほか、新規事業となるヘルステック関連事業にも活用していく予定だ。なお、現状は新型コロナウイルス感染症の影響で、対面型のプロモーションはストップしている状況にあるが、今後はITを活用したプロモーションなどの検討も進めていくことにしている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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