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―コスト高などの逆風もなんのその、増益トレンド堅持の割安成長株を6銘柄リストアップ―
企業業績の先行きに不透明感が強まっている。上場企業の23年3月期業績は、新型コロナウイルス感染拡大前の利益水準を上回る企業が相次いだ前期から一転し、経常利益段階で約3%の減益となる予想だ。原材料価格の高騰やウクライナ情勢、中国経済減速などへの懸念から慎重な見通しを示す企業が目立つ。また、足もとの業績が伸び悩んできたことも企業マインドを下押しする要因となっている。前期は3月期決算企業の半数が10%以上の大幅増益を達成したのに対し、今期2ケタ増益を見込むのは全体の25%にとどまる。
こうしたなか、今回の株探トップ特集では、17日に配信した「逆風跳ね返し成長続く! 今期も躍進期待の『最高益バリュー株』6銘柄選抜」に続いて、収益環境に向かい風が強まるなかでも成長を続ける見通しを示す企業に注目。株価指標を活用して先高期待が高まる好業績銘柄を探った。
●22年1-3月期は6四半期ぶり減益に
3月期決算企業の業績が足もとで減速している。「株探」集計によると、直近3ヵ月実績である22年1-3月期(第4四半期)における経常利益の合計額は前年同期比13%減と6四半期ぶりの減益に転じた。多額の投資損失を計上したソフトバンクグループ <9984> [東証P]が2兆円を超える大幅赤字に陥った影響が大きかったほか、トヨタ自動車 <7203> [東証P]をはじめとする製造業や電力会社などに資材やエネルギー価格の上昇が重くのしかかったことも利益を圧迫した。資源高が追い風となった商社、出資先コンテナ会社の利益が急拡大した海運大手などは好調を維持したが補いきれなかった。また、社数ベースでも増益または黒字転換した企業は全体の半数に満たず、業績回復にブレーキがかかったことがうかがえる。
ここでは、逆風が吹いた22年1-3月期に利益成長を遂げ、かつ23年3月期に業績拡大トレンド継続を見込んでいる中小型株に照準を合わせた。なかでも、株価が1株当たり純利益の何倍まで買われているかを示す「PER」(株価収益率)が低位で、株価の水準訂正が進むことが期待できる割安成長株を6銘柄紹介していく。買い一巡後に利益確定売りに押されている銘柄もあるが、荒れた相場展開を警戒しながら押し目狙い候補としてマークしてみたい。
●メイコーは車載用基板が絶好調、成長投資にも積極姿勢
プリント配線板メーカーのメイコー <6787> [東証P]は高機能・高性能基板に強みを持ち、自動車やスマートフォン向けを中心に多くのニーズを捉えている。前期業績は経常利益が142億9400万円(前の期比2.5倍)と過去最高益を大幅に塗り替えた。コロナ禍の影響で中国とベトナムで一時的に稼働が低下したものの、その後は生産を挽回し、車載分野を中心に販売を大きく伸ばした。23年3月期は原材料コストの高騰が懸念されるが、増収効果でカバーし、増益トレンドを堅持する見込みだ。足もとでは半導体パッケージ基板事業への参入を決定したほか、山形県で車載向け先端基板の工場建設計画を進めるなど成長投資にも余念がない。決算発表を受けて株価は反転基調を強めているが、予想PER9.5倍と割高感はなく、一段の上値に期待がかかる。
●サンコールは業績高変化で大幅増配、配当利回り6%近辺
サンコール <5985> [東証P]は自動車エンジン用弁ばねを主力とする精密部品メーカー。電気自動車(EV)の普及が進むなか、EV関連製品への傾注を強めている。今月13日には需要が急増する電流検出部品「シャントバスバー」の生産能力を倍増させる計画を打ち出した。一方、自動車分野と両輪を成す電子情報通信分野では、デジタル化の進展で活況なデータセンター向けにHDD用サスペンションが大きく伸びている。23年3月期はHDD用の好調継続に加え、自動車生産の回復やEV関連製品の販売拡大も寄与し、経常利益は21億円(前期比2.1倍)に膨らむ見通しだ。また、配当はROE9%を超過するまで配当性向75%とする方針としており、今期は38円(前期比18円増)と大幅増配を予定する。配当利回りは6%近辺と高水準で株主還元の切り口でも投資妙味は大きい。
●牧野フは前期急拡大で今期も好調継続へ
工作機械大手である牧野フライス製作所 <6135> [東証P]の前期業績は、2度にわたる上方修正を経て、経常利益142億7400万円(前の期は13億7400万円の赤字)と期初予想の26億円を5.5倍も上回る好決算となった。国内で半導体製造装置の部品や自動車金型の加工に使われるマシニングセンターなどが好調だったほか、中国のEV関連や米国の航空機向けも大きく伸びた。また、為替の円安進行も追い風となった。23年3月期は高水準な受注残高を背景に増収増益基調が続く計画で、配当も150円(前期比90円増)に大幅増配する方針だ。株価は年初来高値圏に急浮上したが、指標面では予想PER8倍近辺、PBR0.5倍台にとどまっており、更なる上値に期待が膨らむ。
●エンプラスは半導体検査用ソケットの引き合い旺盛
エンプラス <6961> [東証P]はOA機器や自動車、半導体関連、光通信用デバイス、バイオなど幅広い分野で事業展開する精密プラスチック加工のトップメーカー。足もとでは世界的な半導体需要の拡大を背景に、半導体の性能確認のために欠かせないICテスト用ソケットやバーンインソケットが好調を極めている。前期業績は半導体機器部門でサーバーやパソコン向けを中心に高水準な需要が継続し、経常利益は34億5100万円(前の期比81.1%増)と大幅増益を達成した。23年3月期は半導体検査用ソケットが続伸するほか、健康意識の高まりによる遺伝子検査市場の拡大を背景にライフサイエンス部門も拡大し、経常利益は前期比15.9%増の40億円を見込む。予想PER10倍台は過去の推移からみてほぼ底値圏で上値期待は強い。
●T&Gニーズはコロナ禍からの逆襲続く
ウエディング業界最大手のテイクアンドギヴ・ニーズ <4331> [東証P]は21年3月期に新型コロナ感染拡大による大打撃を受けて、経常損益が116億8700万円の大幅赤字に転落した。その後は緊急事態宣言などの行動制限を受けながらも、婚礼取扱組数が挙式日の延期で積み上がっていたこともあって大幅に回復したほか、婚礼単価も底打ちをみせ、22年3月期は15億4800万円の黒字に急浮上した。23年3月期は回復基調が継続するなか、売上高435億円(前期比10.2%増)、経常利益24億円(同55.0%増)と2ケタ増収増益を目指す。また、長期経営計画では31年3月期に売上高700億~850億円の目標を掲げる。独創的なデザインやサービスを提供する高価格帯のブティックホテルを展開するホテル事業を成長ドライバーに位置づけ、今後拡大が見込まれるインバウンド需要などを取り込む構えだ。
●JBCCHDは24期ぶり最高益更新も視野
ITインフラ構築大手のJBCCホールディングス <9889> [東証P]は、高付加価値化を目指して事業構造改革を進めており、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援するトータルITサービス「HARMONIZE」の取り組みを加速させている。前期は注力事業である超高速開発、クラウド、セキュリティーの案件が急拡大し、経常利益は32億2700万円(前の期比18.4%増)に伸びて着地。続く23年3月期の同利益予想は34億円と1999年3月期に記録した最高益(36億5800万円)を視野に捉える。同社の期初予想は保守的で期中に上方修正するケースが多く、24期ぶり最高益更新への期待が高まっている。予想PERは10倍台と割安で株価の見直し余地は大きいとみられる。
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