861円
シャープの個人投資家の売買予想
予想株価
3,380円
現在株価との差
+2,377.0
円
登録時株価
1,633.0円
獲得ポイント
-109.87pt.
収益率
-38.57%
期間
中期投資 (数週間~数ヶ月単位で売り買い)
理由
業績(会社計画の修正発表を含む)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53398880W9A211C1000000/
世界を変える超高効率太陽電池 コスト200分の1へ
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オランダの電気自動車(EV)ベンチャー、ライトイヤーが予約受付を始めたガリウムヒ素系太陽電池を搭載するEV「ライトイヤー・ワン」。(写真:ライトイヤー)
ガリウムヒ素(GaAs)系の超高効率太陽電池はこれまで、変換効率は現在主流のシリコン(Si)系太陽電池の2倍近くと高いが、製造コストが高価なため、人工衛星など限られた用途にしか使われていなかった。今、コストを200分の1に低減する技術開発が進展している。街乗り用電気自動車(EV)が必要とするエネルギーの大半を太陽電池で賄えるなど、エネルギー問題のゲームチェンジャーになりそうだ。
■街乗りなら充電作業なし
1日数十キロの街乗りであれば太陽電池だけでEVが走る──。そんな世界の到来が急速に現実味を帯びてきた。
ここにきて、GaAs系の超高効率太陽電池を車体に1キロワット分前後と大量に貼り付けた4人乗り前後の乗用車の開発例が急増している。中国・漢能移動能源控股集団(ハナジー・モバイル・エネルギー・ホールディング)は米国のGaAs系太陽電池メーカーである米アルタデバイセズを2013年に買収。その技術を利用し、16年に4種類のコンセプトカーを発表した。1日の太陽光による充電で80キロ走るクルマや、太陽電池パネルが可動式で駐車時などはフロントグラスを覆う一石二鳥のクルマなどである。
ハナジー・ソーラーR
ハナジー・ソーラーA。太陽光充電1日分で最大80キロ走行可能。太陽光パネルの一部が可動式で、停車時には伸長して総面積を増やせる
ハナジー・ソーラーO。太陽光パネルの一部が可動式で、伸長時にはフロントグラスをほぼ覆う
ハナジー・ソーラーL
(写真: 4車種ともハナジー)
■蘭EVベンチャーが予約開始、21年納車へ
実際の製品も登場してきた。もともとは大学発ソーラーカーチームだったオランダのライトイヤーは19年6月、高効率太陽電池を搭載したEV「ライトイヤー・ワン」を開発し、予約販売を開始した。納車は21年の予定だ。太陽電池に加えて空力特性の高さが特徴で、推定60キロワット時の蓄電池で725キロ、太陽電池も併せると約800キロ走行できるとする。電費は1キロワット時当たり12キロ~13キロと非常に高い。
動きは海外ばかりではない。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とシャープおよびトヨタ自動車は19年7月、トヨタのプラグインハイブリッド車「プリウスPHV」にシャープのGaAs系太陽電池(約860ワット分)を貼り付けたクルマを発表した。計算上は1日分の太陽光充電で50キロ前後走るが、これを実証する走行試験を19年度末まで続ける。GaAs系太陽電池を実装したプリウスPHV(全景写真:シャープ)
一般に日本の自家乗用車の走行距離は、国土交通省の04年の調査で1日平均約29キロ。15年のソニー損害保険の調査でも、自家乗用車の6割は1日平均19キロしか走っていない。こうしたクルマは、2~3日のうち1日晴天であれば、超高効率太陽電池の発電分で走行に必要な電力の大半を賄えることになる。
■追加費用は1000万円?
これらの数字を見ると良いことずくめだ。しかしこれまで普及していないのには理由がある。GaAs系太陽電池の価格が非常に高いのである。価格は1ワット当たり約5000~2万円。一方、大規模太陽光発電システム(メガソーラー)などに用いられているSi系太陽電池は同50円前後であることから、実に100~400倍になる。乗用車1台に実装する1キロワット分のGaAs系太陽電池セルは、500万~2000万円する計算だ。
実際、ライトイヤー・ワンの価格は税込みで約1790万円。うち約1000万円分が太陽電池の費用だとみられる。仮に年間走行距離1万キロで電費が1キロワット時当たり7キロのEVなら、電気代は、1キロワット時当たり25円として年間3万5714円。10年乗っても36万円弱で済むことから、それがゼロになるからといって高額なGaAs系太陽電池を使う経済的合理性は成り立たない。
■大幅なコスト低減技術が進展
それでも最近になって、大量の太陽電池を貼り付けたクルマの試作が増えてきたのには、このコストの高い壁を大幅に低減する技術開発が進んでいることがある。それを推進するのは、米国立再生可能エネルギー研究所(NREL)やNEDOだ。
NRELは既存のGaAs系太陽電池のコストを100分の1にするロードマップ、NEDOは200分の1にするロードマップをそれぞれ描いている。仮にコストが200分の1になれば、発電単価はSi系太陽電池に並ぶ水準となる。すると変換効率の高さが大きな強みとなり、Si系太陽電池の大部分がGaAs系に置き換わる可能性も出てくる。同面積であれば、発電出力はSi系の1.5~2倍となり、世界や日本のエネルギー問題の軽減に大きく寄与することにもなる。
NEDOが想定する大幅コスト削減のシナリオを示した。技術的な改善でコスト10分の1にした後は、主に量産規模を拡大することでさらにコストを20分の1にすることを目指す(図:NEDOの資料を基に日経エレクトロニクスが作成)
NRELとNEDOのコスト低減のシナリオの大枠はよく似ている。NEDOによるコスト200分の1化計画は具体的にはこうなる。
まずはおよそ4種類の技術的な改善で製造コストを10分の1にする。具体的には、(1)現在のコストの約3割を占めるGaAs基板を「ELO」という技術で太陽電池から剥離し、繰り返し再利用できるようにする(2)太陽電池の発電層を3分の1以下に薄くすることで、「エピタキシャル成長(エピ成長)」の時間短縮と材料の低減を図る(3)エピ成長の層の一部をSi系太陽電池に置き換えたり、低集光のモジュールにしたりする(4)製造装置の革新と製造プロセスの高速化による装置の減価償却の期間短縮や材料の利用効率の向上を図る──の4種類だ。
これらの技術的改善によって、結果としては製造プロセスのスループットも10倍以上に向上する。
残る20分の1のコスト低減は、主に量産規模を拡大することで進める計画だ。現状のGaAs系太陽電池の市場規模は年間1メガ~2メガワット。これを年間10ギガワットと1万倍に拡大できれば、量産効果によって自然にそれだけのコスト低減が実現できるとする。
(日経 xTECH/日経エレクトロニクス 野澤哲生)
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オランダの電気自動車(EV)ベンチャー、ライトイヤーが予約受付を始めたガリウムヒ素系太陽電池を搭載するEV「ライトイヤー・ワン」。(写真:ライトイヤー)
ガリウムヒ素(GaAs)系の超高効率太陽電池はこれまで、変換効率は現在主流のシリコン(Si)系太陽電池の2倍近くと高いが、製造コストが高価なため、人工衛星など限られた用途にしか使われていなかった。今、コストを200分の1に低減する技術開発が進展している。街乗り用電気自動車(EV)が必要とするエネルギーの大半を太陽電池で賄えるなど、エネルギー問題のゲームチェンジャーになりそうだ。
■街乗りなら充電作業なし
1日数十キロの街乗りであれば太陽電池だけでEVが走る──。そんな世界の到来が急速に現実味を帯びてきた。
ここにきて、GaAs系の超高効率太陽電池を車体に1キロワット分前後と大量に貼り付けた4人乗り前後の乗用車の開発例が急増している。中国・漢能移動能源控股集団(ハナジー・モバイル・エネルギー・ホールディング)は米国のGaAs系太陽電池メーカーである米アルタデバイセズを2013年に買収。その技術を利用し、16年に4種類のコンセプトカーを発表した。1日の太陽光による充電で80キロ走るクルマや、太陽電池パネルが可動式で駐車時などはフロントグラスを覆う一石二鳥のクルマなどである。
ハナジー・ソーラーR
ハナジー・ソーラーA。太陽光充電1日分で最大80キロ走行可能。太陽光パネルの一部が可動式で、停車時には伸長して総面積を増やせる
ハナジー・ソーラーO。太陽光パネルの一部が可動式で、伸長時にはフロントグラスをほぼ覆う
ハナジー・ソーラーL
(写真: 4車種ともハナジー)
■蘭EVベンチャーが予約開始、21年納車へ
実際の製品も登場してきた。もともとは大学発ソーラーカーチームだったオランダのライトイヤーは19年6月、高効率太陽電池を搭載したEV「ライトイヤー・ワン」を開発し、予約販売を開始した。納車は21年の予定だ。太陽電池に加えて空力特性の高さが特徴で、推定60キロワット時の蓄電池で725キロ、太陽電池も併せると約800キロ走行できるとする。電費は1キロワット時当たり12キロ~13キロと非常に高い。
動きは海外ばかりではない。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とシャープおよびトヨタ自動車は19年7月、トヨタのプラグインハイブリッド車「プリウスPHV」にシャープのGaAs系太陽電池(約860ワット分)を貼り付けたクルマを発表した。計算上は1日分の太陽光充電で50キロ前後走るが、これを実証する走行試験を19年度末まで続ける。GaAs系太陽電池を実装したプリウスPHV(全景写真:シャープ)
一般に日本の自家乗用車の走行距離は、国土交通省の04年の調査で1日平均約29キロ。15年のソニー損害保険の調査でも、自家乗用車の6割は1日平均19キロしか走っていない。こうしたクルマは、2~3日のうち1日晴天であれば、超高効率太陽電池の発電分で走行に必要な電力の大半を賄えることになる。
■追加費用は1000万円?
これらの数字を見ると良いことずくめだ。しかしこれまで普及していないのには理由がある。GaAs系太陽電池の価格が非常に高いのである。価格は1ワット当たり約5000~2万円。一方、大規模太陽光発電システム(メガソーラー)などに用いられているSi系太陽電池は同50円前後であることから、実に100~400倍になる。乗用車1台に実装する1キロワット分のGaAs系太陽電池セルは、500万~2000万円する計算だ。
実際、ライトイヤー・ワンの価格は税込みで約1790万円。うち約1000万円分が太陽電池の費用だとみられる。仮に年間走行距離1万キロで電費が1キロワット時当たり7キロのEVなら、電気代は、1キロワット時当たり25円として年間3万5714円。10年乗っても36万円弱で済むことから、それがゼロになるからといって高額なGaAs系太陽電池を使う経済的合理性は成り立たない。
■大幅なコスト低減技術が進展
それでも最近になって、大量の太陽電池を貼り付けたクルマの試作が増えてきたのには、このコストの高い壁を大幅に低減する技術開発が進んでいることがある。それを推進するのは、米国立再生可能エネルギー研究所(NREL)やNEDOだ。
NRELは既存のGaAs系太陽電池のコストを100分の1にするロードマップ、NEDOは200分の1にするロードマップをそれぞれ描いている。仮にコストが200分の1になれば、発電単価はSi系太陽電池に並ぶ水準となる。すると変換効率の高さが大きな強みとなり、Si系太陽電池の大部分がGaAs系に置き換わる可能性も出てくる。同面積であれば、発電出力はSi系の1.5~2倍となり、世界や日本のエネルギー問題の軽減に大きく寄与することにもなる。
NEDOが想定する大幅コスト削減のシナリオを示した。技術的な改善でコスト10分の1にした後は、主に量産規模を拡大することでさらにコストを20分の1にすることを目指す(図:NEDOの資料を基に日経エレクトロニクスが作成)
NRELとNEDOのコスト低減のシナリオの大枠はよく似ている。NEDOによるコスト200分の1化計画は具体的にはこうなる。
まずはおよそ4種類の技術的な改善で製造コストを10分の1にする。具体的には、(1)現在のコストの約3割を占めるGaAs基板を「ELO」という技術で太陽電池から剥離し、繰り返し再利用できるようにする(2)太陽電池の発電層を3分の1以下に薄くすることで、「エピタキシャル成長(エピ成長)」の時間短縮と材料の低減を図る(3)エピ成長の層の一部をSi系太陽電池に置き換えたり、低集光のモジュールにしたりする(4)製造装置の革新と製造プロセスの高速化による装置の減価償却の期間短縮や材料の利用効率の向上を図る──の4種類だ。
これらの技術的改善によって、結果としては製造プロセスのスループットも10倍以上に向上する。
残る20分の1のコスト低減は、主に量産規模を拡大することで進める計画だ。現状のGaAs系太陽電池の市場規模は年間1メガ~2メガワット。これを年間10ギガワットと1万倍に拡大できれば、量産効果によって自然にそれだけのコスト低減が実現できるとする。
(日経 xTECH/日経エレクトロニクス 野澤哲生)
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