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アクセルのニュース
■業績動向
1. 2018年3月期の業績概要
アクセル<6730>の2018年3月期の業績は、売上高が前期比5.8%増の8,477百万円、営業利益が同10.5%増の156百万円、経常利益が同0.9%増の164百万円、当期純利益が同13.5%減の80百万円となり、売上高は3期振りの増収、営業利益と経常利益は5期振りの増益に転じた。遊技機器市場における業界団体の自主規制※の影響等により、遊技人口の逓減傾向が続くなか、遊技機器(パチンコ、パチスロ)の2017年の年間販売台数は前期比14%減の203万台と減少し、主力のグラフィックスLSIの販売数量も同28%減の63万個と大きく落ち込んだものの、メモリモジュールが大幅増となったことが増収要因となった。また、利益面では売上総利益が前期比11.4%減の3,142百万円と減少したが、研究開発費を中心に販管費が同12.3%減の2,985百万円と減少したことが増益要因となった。
※遊技機器市場における「のめり込み防止」を目的として、パチンコ業界では2015年11月にMAXタイプ規制(大当たり確率の上限引き下げ)、12月に盤面の釘調整に関する取り締まり強化(一般入賞口への入賞確率の基準設定)を実施。パチスロ業界では2015年12月に出玉管理をメイン基板制御(新基準)に統一するなどで、射幸性を抑えている。
また、会社計画比では売上高が14.4%下回ったが、利益項目ではいずれも上回って着地した。売上高の下振れ要因は、遊技機器の販売台数が想定(210万台)に届かなかったことに加えてリユース率が上昇したことにより、グラフィックスLSIの販売数量が計画(88万個)を下回ったことが主因となっている。リユース率に関しては前期の2割から4割程度に上昇したものと推定される。また、同社の遊技機器向けグラフィックスLSIの市場シェアは当初の想定どおり51%になったと見られ、前期の45%から6ポイント上昇し、2016年3月期の水準に回復した。
一方、利益面での上振れ要因は、研究開発費が計画を下回ったことが主因となっている。期初計画時点ではグラフィックスLSIの新製品「AG6」の開発費を中心に前期比546百万円増加の3,000百万円を計画していたが、最終テストの時期が2019年3月期にずれ込んだことに伴い、計画比866百万円下回る2,134百万円となった。また、その他の経費抑制に努めたことも上振れ要因となっている。
遊技機器向けはグラフィックスLSIが減少するもメモリモジュールが大幅増に
2. 製品別売上高の動向
製品別売上高の内訳を見ると、遊技機器向けLSIは前期比5.8%増の8,291百万円となった。このうち、主力のグラフィックスLSIは前期比12億円減の約46億円※となった。前述したように遊技機器の販売台数減少に加えて、リユース率が上昇したことが減収要因となった。「AG4」から「AG5」への世代交代が進み(販売構成比で前期65%から85%に上昇)、新たに開始したモジュール基板の販売比率も15%に達するなど順調に推移したが、販売数量減の影響が大きかった。一方、その他製品(メモリモジュール、LEDドライバ等)については、前期比17億円増の36億円※と約2倍増となった。LEDドライバは減収となったものの、メモリモジュール製品の採用機種が増加したことや、搭載機種の販売が好調だったことが大幅増につながった。同社のメモリモジュールは汎用性が高いことが特徴で、顧客側にとって設計上、使い勝手が良いことが評価されているようだ。
※決算説明会資料よりフィスコ推定
組み込み機器向けグラフィックスLSIは、顧客の販売動向の影響を受け前期比2.7%減の113百万円となった。また、その他製品についてはゲーム開発会社やWeb動画広告制作会社向けに「H2MD」等のソフトウェアIP、ミドルウェア製品等の販売が堅調に推移し、同26.4%増の72百万円となった。
無借金経営、手元キャッシュも豊富で、財務の健全性は高い
3. 財務状況と経営指標
2018年3月期末の総資産残高は前期末比1,005百万円増加の13,035百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では、現金及び預金が1,869百万円、商品及び製品が963百万円それぞれ減少した一方、当期は3月末に販売が集中したことで売掛金が3,125百万円増加した。また。固定資産では投資有価証券が155百万円増加した。2017年6月には、2016年6月に資本業務提携したエスディーテック(株)に追加出資を実施したほか、2018年3月には自動運転技術の開発ベンチャーで共同研究先でもある(株)ティアフォーにも出資を行うなど、合わせて444百万円の投資有価証券を取得、一方で保有有価証券の売却や減損を実施している。
負債合計は前期末比1,044百万円増加の1,616百万円となった。3月末の仕入れ状況により買掛金が1,059百万円増加したことが主因となっている。また、純資産は同38百万円減少の11,418百万円となった。利益剰余金が24百万円増加した一方で、その他の有価証券評価差額金が63百万円減少した。
経営指標を見ると、安全性を示す自己資本比率は負債の増加に伴い前期の95.3%から87.6%に低下しているが、無借金経営であり、現金及び預金も60億円以上と事業規模からすれば潤沢に抱えていることから、財務の健全性は極めて高いと判断される。一方で、収益性に関してはROEで0.7%、営業利益率で1.8%とここ数年、低迷が続いている。遊技機器市場の縮小に伴い主力のグラフィックスLSIの販売減少が続いていることが主因となっている。同社では遊技機器市場に依存する収益構造から脱却し、新規事業の育成並びにその他市場への展開を進めていくなかで、中長期的に持続的な成長を図っていく戦略であり、ROEで10%台の水準に回復することを当面の目標としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<MW>
1. 2018年3月期の業績概要
アクセル<6730>の2018年3月期の業績は、売上高が前期比5.8%増の8,477百万円、営業利益が同10.5%増の156百万円、経常利益が同0.9%増の164百万円、当期純利益が同13.5%減の80百万円となり、売上高は3期振りの増収、営業利益と経常利益は5期振りの増益に転じた。遊技機器市場における業界団体の自主規制※の影響等により、遊技人口の逓減傾向が続くなか、遊技機器(パチンコ、パチスロ)の2017年の年間販売台数は前期比14%減の203万台と減少し、主力のグラフィックスLSIの販売数量も同28%減の63万個と大きく落ち込んだものの、メモリモジュールが大幅増となったことが増収要因となった。また、利益面では売上総利益が前期比11.4%減の3,142百万円と減少したが、研究開発費を中心に販管費が同12.3%減の2,985百万円と減少したことが増益要因となった。
※遊技機器市場における「のめり込み防止」を目的として、パチンコ業界では2015年11月にMAXタイプ規制(大当たり確率の上限引き下げ)、12月に盤面の釘調整に関する取り締まり強化(一般入賞口への入賞確率の基準設定)を実施。パチスロ業界では2015年12月に出玉管理をメイン基板制御(新基準)に統一するなどで、射幸性を抑えている。
また、会社計画比では売上高が14.4%下回ったが、利益項目ではいずれも上回って着地した。売上高の下振れ要因は、遊技機器の販売台数が想定(210万台)に届かなかったことに加えてリユース率が上昇したことにより、グラフィックスLSIの販売数量が計画(88万個)を下回ったことが主因となっている。リユース率に関しては前期の2割から4割程度に上昇したものと推定される。また、同社の遊技機器向けグラフィックスLSIの市場シェアは当初の想定どおり51%になったと見られ、前期の45%から6ポイント上昇し、2016年3月期の水準に回復した。
一方、利益面での上振れ要因は、研究開発費が計画を下回ったことが主因となっている。期初計画時点ではグラフィックスLSIの新製品「AG6」の開発費を中心に前期比546百万円増加の3,000百万円を計画していたが、最終テストの時期が2019年3月期にずれ込んだことに伴い、計画比866百万円下回る2,134百万円となった。また、その他の経費抑制に努めたことも上振れ要因となっている。
遊技機器向けはグラフィックスLSIが減少するもメモリモジュールが大幅増に
2. 製品別売上高の動向
製品別売上高の内訳を見ると、遊技機器向けLSIは前期比5.8%増の8,291百万円となった。このうち、主力のグラフィックスLSIは前期比12億円減の約46億円※となった。前述したように遊技機器の販売台数減少に加えて、リユース率が上昇したことが減収要因となった。「AG4」から「AG5」への世代交代が進み(販売構成比で前期65%から85%に上昇)、新たに開始したモジュール基板の販売比率も15%に達するなど順調に推移したが、販売数量減の影響が大きかった。一方、その他製品(メモリモジュール、LEDドライバ等)については、前期比17億円増の36億円※と約2倍増となった。LEDドライバは減収となったものの、メモリモジュール製品の採用機種が増加したことや、搭載機種の販売が好調だったことが大幅増につながった。同社のメモリモジュールは汎用性が高いことが特徴で、顧客側にとって設計上、使い勝手が良いことが評価されているようだ。
※決算説明会資料よりフィスコ推定
組み込み機器向けグラフィックスLSIは、顧客の販売動向の影響を受け前期比2.7%減の113百万円となった。また、その他製品についてはゲーム開発会社やWeb動画広告制作会社向けに「H2MD」等のソフトウェアIP、ミドルウェア製品等の販売が堅調に推移し、同26.4%増の72百万円となった。
無借金経営、手元キャッシュも豊富で、財務の健全性は高い
3. 財務状況と経営指標
2018年3月期末の総資産残高は前期末比1,005百万円増加の13,035百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では、現金及び預金が1,869百万円、商品及び製品が963百万円それぞれ減少した一方、当期は3月末に販売が集中したことで売掛金が3,125百万円増加した。また。固定資産では投資有価証券が155百万円増加した。2017年6月には、2016年6月に資本業務提携したエスディーテック(株)に追加出資を実施したほか、2018年3月には自動運転技術の開発ベンチャーで共同研究先でもある(株)ティアフォーにも出資を行うなど、合わせて444百万円の投資有価証券を取得、一方で保有有価証券の売却や減損を実施している。
負債合計は前期末比1,044百万円増加の1,616百万円となった。3月末の仕入れ状況により買掛金が1,059百万円増加したことが主因となっている。また、純資産は同38百万円減少の11,418百万円となった。利益剰余金が24百万円増加した一方で、その他の有価証券評価差額金が63百万円減少した。
経営指標を見ると、安全性を示す自己資本比率は負債の増加に伴い前期の95.3%から87.6%に低下しているが、無借金経営であり、現金及び預金も60億円以上と事業規模からすれば潤沢に抱えていることから、財務の健全性は極めて高いと判断される。一方で、収益性に関してはROEで0.7%、営業利益率で1.8%とここ数年、低迷が続いている。遊技機器市場の縮小に伴い主力のグラフィックスLSIの販売減少が続いていることが主因となっている。同社では遊技機器市場に依存する収益構造から脱却し、新規事業の育成並びにその他市場への展開を進めていくなかで、中長期的に持続的な成長を図っていく戦略であり、ROEで10%台の水準に回復することを当面の目標としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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