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ワコムのニュース
*13:03JST ワコム Research Memo(3):環境変化を捉えた商品ポートフォリオの刷新や独自技術の事実上の標準化を推進
■ワコム<6727>の各事業及び主要製品の特徴
1. テクノロジーソリューション事業
デジタルペン技術※に基づき、「AESテクノロジーソリューション」と「EMRテクノロジーソリューション」の2つに分類され、ペン・センサーシステムをスマートフォンやタブレット・ノートPCメーカーに供給している。「AESテクノロジーソリューション」においては、AES方式を採用するレノボや富士通クライアントコンピューティング(株)といった主要PCメーカーとの取引関係を築いている。「EMRテクノロジーソリューション」においては、EMR方式を採用している主要顧客のサムスン電子(Galaxyシリーズ)向けの取引を中心に構成されている。同社は独自のデジタルペン技術の事実上の標準化(デファクトスタンダード)を推進することにより、ユーザーの裾野を拡げながら規模拡大を優位に進める戦略を採っており、これまでも、フォルダブル(折り畳み型)や電子ペーパー技術を採用したデバイスにもいち早く対応してきた。新たにスタートした中期経営計画「Wacom Chapter 4」では、EMR方式、AES方式に加えて、ユースケースの拡大やデバイスのトレンド変化にも対応するため新方式ペン技術の導入も予定している。
※ 独自の静電結合方式であるアクティブES(バッテリー必要)や、電磁誘導方式(EMR)(バッテリー不要)。
2. ブランド製品事業
ターゲット顧客や製品タイプ別に幅広いラインナップを有している。製品区分としては、(1)ディスプレイ、(2)ペンタブレット、(3)ポータブルクリエイティブ、(4)その他の4つに分かれる※。
※ 2026年3月期より新カテゴリーの「ポータブルクリエイティブ」が新たに追加され、従来の「ビジネスソリューション」は「その他」へ合算された。
(1)ディスプレイ
タブレットが液晶パネル※になったもので、デジタルペンで液晶画面に直接描画できるところに特徴がある。一方、OSや記憶装置を持たない入力デバイスという点では後述する「ペンタブレット製品」と同じ性格のPC周辺機器と言える。インチサイズや性能差により価格帯が10万円~50万円前後と幅広く、特に同社の製品はプロやハイエンドアマチュアからの高い支持を保持している。一方で、この数年は消費者センチメントの悪化や他カテゴリーへ需要がシフトする傾向のなかで、他社(中国メーカー等)からの価格攻勢によりエントリーモデルでの苦戦が見られるが、ミドルレンジの「Wacom Cintiq」の最新モデルを2025年5月に投入するなど、クリエイティブ専門領域での訴求に取り組んでいる。
※ 「液タブ」と称されることもある。
(2)ペンタブレット
デジタルペンとタブレット(黒い板状のもの)で構成される最も基本的なデバイス※であり、事業化以降、主力製品として貢献してきた。マウスやキーボードと同じようにPCに接続して使用するPC周辺機器である。簡単な構成であることから、プロからエントリーユーザー向けに幅広い商品ポートフォリオを有している。ハイエンド市場では、「ディスプレイ製品」との併用がユースケースとして見られることなどから、ハイエンドモデルの競争力は維持されており、2025年3月にリリースした「Wacom Intuos Pro」の最新モデルもプロやハイエンドアマチュアからの評価が高い。一方で、差別化を図りにくいエントリーモデルでは他社(中国メーカー等)との競合が生じており、「ペンタブレット製品」に対する顧客ニーズへの対応は継続しつつも、商品ポートフォリオの見直しにより、「ディスプレイ製品」や後述する「ポータブルクリエイティブ製品」へ戦略的に経営資源をシフトしつつある。
※ 「板タブ」と称されることもある。
(3)ポータブルクリエイティブ
新たに3本目の柱として追加区分されたカテゴリーである。ペンを手に取ってすぐ描きだせる点(OS搭載モデル)や、場所を選ばず使用できる点などの特徴を持ち、新たな「描く」体験の実現を追求する。2024年5月にリリースした「Wacom Movink 13」を皮切りに、2025年7月「Wacom MovinkPad 11」、2025年10月「Wacom MovinkPad Pro 14」をリリースするなどラインナップを拡張した。Android OSを搭載した「Wacom MovinkPad」シリーズは、PCとの接続や煩雑な初期設定が不要で、また画面にペンを軽く長押しするとスリープ状態から復帰する機能を搭載するなど、描くことを追求した製品として市場で好意的に受け入れられている。「Wacom MovinkPad 11」はエントリーゾーンをターゲットに順調に販売台数を伸ばしている。一方、「Wacom MovinkPad Pro 14」はディスプレイやCPUなどにより高性能を求めるユーザー向けとして位置付けられ、プロによる2台目のデバイスとしての併用など、ハイエンドなユースケースを想定したものとなっている。
(4)その他
旧ビジネスソリューションの構成要素に加え、これまで各製品ライン別に一定割合で配賦したオプション品も含む。主要製品は、液晶ディスプレイに直接文字入力(署名)や描写ができるビジネス用途向け製品などである。事例として、デジタルサイン分野(ホテルのチェックインやクレジットカード決済、銀行の口座開設等)、医療分野(電子カルテやインフォームドコンセント等)、公共分野(マイナンバーカードの窓口申請手続き等の行政サービスや各種コールセンター、電子投票の支援等)にわたる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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1. テクノロジーソリューション事業
デジタルペン技術※に基づき、「AESテクノロジーソリューション」と「EMRテクノロジーソリューション」の2つに分類され、ペン・センサーシステムをスマートフォンやタブレット・ノートPCメーカーに供給している。「AESテクノロジーソリューション」においては、AES方式を採用するレノボ
※ 独自の静電結合方式であるアクティブES(バッテリー必要)や、電磁誘導方式(EMR)(バッテリー不要)。
2. ブランド製品事業
ターゲット顧客や製品タイプ別に幅広いラインナップを有している。製品区分としては、(1)ディスプレイ、(2)ペンタブレット、(3)ポータブルクリエイティブ、(4)その他の4つに分かれる※。
※ 2026年3月期より新カテゴリーの「ポータブルクリエイティブ」が新たに追加され、従来の「ビジネスソリューション」は「その他」へ合算された。
(1)ディスプレイ
タブレットが液晶パネル※になったもので、デジタルペンで液晶画面に直接描画できるところに特徴がある。一方、OSや記憶装置を持たない入力デバイスという点では後述する「ペンタブレット製品」と同じ性格のPC周辺機器と言える。インチサイズや性能差により価格帯が10万円~50万円前後と幅広く、特に同社の製品はプロやハイエンドアマチュアからの高い支持を保持している。一方で、この数年は消費者センチメントの悪化や他カテゴリーへ需要がシフトする傾向のなかで、他社(中国メーカー等)からの価格攻勢によりエントリーモデルでの苦戦が見られるが、ミドルレンジの「Wacom Cintiq」の最新モデルを2025年5月に投入するなど、クリエイティブ専門領域での訴求に取り組んでいる。
※ 「液タブ」と称されることもある。
(2)ペンタブレット
デジタルペンとタブレット(黒い板状のもの)で構成される最も基本的なデバイス※であり、事業化以降、主力製品として貢献してきた。マウスやキーボードと同じようにPCに接続して使用するPC周辺機器である。簡単な構成であることから、プロからエントリーユーザー向けに幅広い商品ポートフォリオを有している。ハイエンド市場では、「ディスプレイ製品」との併用がユースケースとして見られることなどから、ハイエンドモデルの競争力は維持されており、2025年3月にリリースした「Wacom Intuos Pro」の最新モデルもプロやハイエンドアマチュアからの評価が高い。一方で、差別化を図りにくいエントリーモデルでは他社(中国メーカー等)との競合が生じており、「ペンタブレット製品」に対する顧客ニーズへの対応は継続しつつも、商品ポートフォリオの見直しにより、「ディスプレイ製品」や後述する「ポータブルクリエイティブ製品」へ戦略的に経営資源をシフトしつつある。
※ 「板タブ」と称されることもある。
(3)ポータブルクリエイティブ
新たに3本目の柱として追加区分されたカテゴリーである。ペンを手に取ってすぐ描きだせる点(OS搭載モデル)や、場所を選ばず使用できる点などの特徴を持ち、新たな「描く」体験の実現を追求する。2024年5月にリリースした「Wacom Movink 13」を皮切りに、2025年7月「Wacom MovinkPad 11」、2025年10月「Wacom MovinkPad Pro 14」をリリースするなどラインナップを拡張した。Android OSを搭載した「Wacom MovinkPad」シリーズは、PCとの接続や煩雑な初期設定が不要で、また画面にペンを軽く長押しするとスリープ状態から復帰する機能を搭載するなど、描くことを追求した製品として市場で好意的に受け入れられている。「Wacom MovinkPad 11」はエントリーゾーンをターゲットに順調に販売台数を伸ばしている。一方、「Wacom MovinkPad Pro 14」はディスプレイやCPUなどにより高性能を求めるユーザー向けとして位置付けられ、プロによる2台目のデバイスとしての併用など、ハイエンドなユースケースを想定したものとなっている。
(4)その他
旧ビジネスソリューションの構成要素に加え、これまで各製品ライン別に一定割合で配賦したオプション品も含む。主要製品は、液晶ディスプレイに直接文字入力(署名)や描写ができるビジネス用途向け製品などである。事例として、デジタルサイン分野(ホテルのチェックインやクレジットカード決済、銀行の口座開設等)、医療分野(電子カルテやインフォームドコンセント等)、公共分野(マイナンバーカードの窓口申請手続き等の行政サービスや各種コールセンター、電子投票の支援等)にわたる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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