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テックポイント Research Memo(3):監視・車載カメラシステム向け半導体技術の開発に経営資源を集中

配信元:フィスコ
投稿:2021/09/29 15:13
■事業概要

テックポイント・インク<6697>は、監視(防犯)カメラシステム及び車載カメラシステム向けの受送信半導体の設計開発、マーケティング、販売など、監視カメラ市場と車載カメラ市場に関連する半導体技術の開発に経営資源を集中させているファブレス半導体企業である。自社工場を保有せず、外部の製造専門会社に製造を委託するビジネスモデルであるがゆえに、半導体の設計及び販売・マーケティングにリソースを集中させ、効率の良い経営を目指している。その他、カメラで撮影された映像を記録するための装置である「デジタル・ビデオ・レコーダー(DVR)」向け受信用半導体も提供している。監視カメラ、車載カメラ及びDVRに同社の半導体を用いることによって、鮮明に対象物を映し出せるHD(ハイ・ディフィニション)解像度に高画質化したシステムを実現。さらに、従来型のSD解像度カメラで使用されている低価格な同軸ケーブルを伝送媒体に用いながら、HD画質の映像を圧縮せずにアナログ方式でも信頼性の高い伝送をすることが可能で、設備更新の場合には建物配線を交換せずに高画質化が図れるという。この方式は、監視カメラ業界では「HDアナログ」と呼ばれており、世界中で多数の監視カメラシステムメーカーに採用されている。

次世代HDビデオ市場のニーズの高まりに対応することを目指し、米国に複数の設計拠点と、中国、台湾、韓国、日本とアジア各地にオフィスを持ち、ターゲット市場において最先端の技術を確立していく戦略を採用。これにより2012年4月に設立された新興企業である同社が、HD監視カメラ及びHD車載ビデオ市場において高い市場占有率を迅速に築くことにつながった。今後はいわゆる「4K」といった高画質映像をスムーズに伝送する技術に磨きをかけながら、収益の拡大を目指していく考えだ。なお、2014年に発表した新技術である監視カメラ市場向け「HD-TVI(HDトランスポートビデオインタフェース)」は、業界の注目を集めており、既に監視カメラシステム市場における中国の主要メーカーであるHikvision(ハイクビジョン)社、韓国の最大手メーカーであるIDIS(アイディス)社、台湾の最大手メーカーであるAVTECH(エーヴィテック)社などに同社製品が採用されている。

(1) 監視カメラシステム
既存の同軸ケーブルをそのままに、監視カメラの映像をフルハイビジョンで長距離伝送できる半導体を設計開発している。既に敷設済みの配線インフラを活用でき、設備投資コストの削減が可能。伝送方式は「HD-TVI」と呼ぶ、同社の独自規格を用いる。HD-TVIは、非圧縮HDビデオ信号を取り込み、アナログ伝送技術を活用して、標準的な低価格の3C-2V同軸ケーブルにより500メートル以上の距離を伝送できる。この技術によって、映像の符号化や復号などのデータ圧縮処理が不要となり、伝送遅延が生じないメリットがある。また、イーサネットなどのデータ圧縮が必要な他方式と比較して圧縮処理が不要なため、周辺回路の低コスト化に加えて、リアルタイム性が求められる用途で強みを持つものである。監視カメラに組み込み、映像を送信する半導体(トランスミッター:Tx)と、映像記録装置に組み込んで、映像を受信する半導体(レシーバー:Rx)をラインナップしており、1080pのフルハイビジョン映像を500m以上、低コストの同軸ケーブルで伝送可能としている。デジタルLVDS伝送と比較して長距離伝送が可能であり、ケーブルコストも低く、伝送の信頼性も高い点が特徴である。

(2) 車載カメラシステム
自動車のリアカメラ(バックカメラ)システムや、サラウンドビューカメラシステムで映像をやりとりするための半導体を設計開発。ナビゲーションなどのディスプレイに、フルハイビジョンの映像を表示できるシステムである。伝送方式は「HD-TVI」と呼ぶ、同社の独自規格を用いる。HD-TVIテクノロジーは、車載インフォテインメント(情報の提供(インフォメーション)と娯楽の提供(エンターテインメント))用途にも適している。低コストのシールド無しツイストペアケーブルと低コストのコネクタを使いながら、信頼性の高いHDビデオ伝送を実現できるためである。リアカメラなどに組み込んで、映像を送信する半導体(トランスミッター:Tx)と、カーナビゲーションシステムなど車載器に組み込んで、映像を受信する半導体(レシーバー:Rx)をラインナップ。映像を圧縮せずに伝送するため遅延が少なく、伝送時のノイズも少ないのが特徴である。今後は4K画質対応品や、ディスプレイコントロールと一体化したRxなど、次世代品も展開していくことが期待される。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)


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配信元: フィスコ
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