日東工業のニュース
【QAあり】日東工業、新中計にて過去最高の売上高・営業利益達成と成長投資・株主還元の最適バランス実現を目指す
本日の内容
手嶋晶隆氏(以下、手嶋):みなさま、こんにちは。日東工業株式会社常務取締役経営管理本部長の手嶋です。本日はよろしくお願いします。
本日はスライドの内容に沿ってご説明を進めていきます。
日東工業グループの変遷
はじめに、日東工業グループの変遷についてご説明します。スライドには、日東工業グループの業績の推移と歴史を示しています。
赤い棒グラフが日東工業単体の売上高、そしてオレンジ色の棒グラフはグループ企業の売上高で、合わせて日東工業グループの業績を示しています。
2000年代の安定・成熟期を経て、現在は単体経営からグループ経営への転換を進めています。
直近の業績と今期計画
スライドは過去4年間の業績です。コロナ禍での落ち込みはあったものの、需要の拡大や価格改定の実施等により、業績は順調に推移しています。
今期は、グループ全体で売上高1,800億円、営業利益125億円を目指しています。
会社概要
当社グループの中核である日東工業株式会社についてご説明します。まず会社概要です。会社名は日東工業株式会社、本社所在地は愛知県長久手市です。もともとは瀬戸物で有名な瀬戸市に設立しました。
一言でいうと、日東工業は電気と情報に関わる製品を製造・販売する電気機器メーカーです。連結の売上高は1,600億円強、連結の従業員は現在4,500名強です。現在は東証プライムと名証プレミアに上場しています。
会社概要
スライドは、我々の製品が使われている場面を表したイラストです。みなさまの身近なところで必ず使われている製品群を製造販売している、電気と情報のインフラをサポートしている企業です。
製品開発の歴史
製品開発の歴史についてお話しします。創業者である加藤陽一は、「戦後日本の復興に貢献 でき、しかも将来性のある事業を」として、戦後の電気インフラに注目しました。
出身が愛知県の瀬戸市であったことから、絶縁物として使える瀬戸物と、プレスの技術を応用した、現在のブレーカの前身である「カットアウトスイッチ」を作り、販売したことが発祥です。ここから現在のブレーカや分電盤、配電盤、キャビネット等に範囲を広げていきました。
情報インフラ社会に必要なサーバーを収納するシステムラックや、太陽光発電関連の製品、また最近では、電気自動車用の充電スタンドなど、社会環境のニーズに合わせた電気、情報インフラに関わる製品を数多く販売しています。
「配電盤・分電盤」とは
配電盤・分電盤についてご説明します。ここでは標準分電盤や標準キャビネットの製品を紹介します。
分電盤や配電盤は、みなさまがお手元で電気を使う際に、安全に使用するために必ず使われている製品です。火災の要因の約40パーセントが電気火災と言われており、みなさまの財産を電気火災から守るためにも、分電盤や配電盤は電気を使う場所への設置が義務付けられており、陰で活躍しています。
日東工業グループにおける配電盤・分電盤の売上高は約550億円強と、連結売上高の35パーセントを占める主力製品となっています。
配電盤・分電盤使用例:①住宅、マンション
配電盤・分電盤の使用例についてご説明します。住宅やマンションなど、みなさまのご家庭にも必ず1台、住宅用分電盤が付いています。例えば、雷が鳴った時にブレーカが落ちたというご経験があると思います。
玄関やあるいは台所、洗面所などに設置されており、電気を使い過ぎた時に電線を保護するためにブレーカが落ちるようになっています。
配電盤・分電盤使用例:②コンビニ
スライドは、コンビニエンスストアでの設置例です。コンビニエンスストアの横に設置されている四角い大きな箱が高圧受電設備といわれるもので、我々の製品群ではキュービクルと呼んでいます。
高圧線をたどってくる電気は、6,600ボルトと非常に高圧です。キュービクルでは、その電気をみなさまがお使いになる100ボルトや200ボルトに変換しています。
コンビニエンスストアの他にも、工場やビル、マンションなど大きな電力を必要とするところには必ず使われています。
「キャビネット」とは
キャビネットとはいわゆる「箱」であり、製品には鉄製、ステンレス、またはプラスチックのものなどいろいろな素材を使っています。中身は空で、中に入れる機器を守るための箱とお考えください。また、みなさまが直接触れると命に危険がおよぶようなものを収納する目的でも使われています。
我々グループにおけるキャビネットの売上は約200億円強と、グループ全体の売上高の約10パーセントを占めており、配電盤・分電盤に次ぐ主力製品となっています。
キャビネットの使用例:①監視カメラシステム
スライドはキャビネットの使用例です。街を歩いていると一度は目にしたことがあるのではないかと思います。最近は監視カメラ等が街の至るところに設置されていますが、その横にある箱がキャビネットです。
スライドの例は、カメラで撮影した映像を録画するレコーダーや、その電源機器を収納しているものです。
キャビネットの使用例:②工場内
スライドは、工場内で使われているキャビネットの使用例です。ベージュ色で示した四角い箱がキャビネットで、分電盤や制御盤の外箱、自動化ラインの制御機器収納用などに幅広く使われています。
屋外での使用もそうですが、工場内でも油やほこり、熱など外部環境から機器を守らなければならないため、これらのキャビネットがその目的を果たしています。
キャビネットの使用例:③データセンター
スライドの写真は、みなさまが使用しているスマートフォンなどのデータを管理するデータセンターで使われている、システムラックという製品です。さまざまなデータを預かり、管理するためのサーバーや、ネットワーク機器類を収納するためのキャビネットです。
このようにデータセンター等でも、数多くの製品が使われています。
その他:EV用充電スタンド
スライドの写真は、電気自動車用のEV用充電スタンドです。先ほど当社の歴史のところで製品群を拡大してきたとお話ししたとおり、当社は2009年から、このEV用充電スタンドの製造販売を開始しています。現在では数多くのサービス事業者と連携を進めて、非常に多くの納入実績があります。
ただし、業績の全体に占めるインパクトはまだ小さく、今後さらなる売上拡大が期待される製品となっています。
日東工業の3つの強み①
日東工業が70年にわたりビジネス展開してきた強みを、3つご紹介します。まず1つ目は、強固な標準品ビジネスモデルです。
先ほどご紹介した分電盤や配電盤、あるいはキャビネットなどは、もともと一品一様で作るカスタムメイドが中心でした。
我々はこのカスタムメイドの世界から、お客さまが安心して、早くかつ安定した品質の標準品を我々のカタログから選びご購入いただけるようなビジネスモデルを、業界の中でいち早く立ち上げ、現在の規模になりました。
現在標準品として、3万点以上の製品ラインナップを提供しています。国内販売網は営業拠点が40箇所以上、また200社を超える販売代理店を有しており、注文の翌日にはお客さまのお手元に製品が届くという体制を整えています。
日東工業の3つの強み②
2つ目の強みは、徹底した品質へのこだわりです。当社は、業界において他社にはない試験・研究設備を数多く保有しています。過酷な自然環境にも耐える性能、品質の製品をお客さまに提供するため、自社で試験を行い、開発を進めています。
このような品質へのこだわりが、業界における日東工業ブランドを確固たるものにしていると自負しています。
日東工業の3つの強み③
3つ目の強みは、製品開発力です。市場のニーズや社会課題を素早くキャッチし、その対策製品を研究開発することに長けており、それらの製品は業界における各種製品コンクールで数多くの賞を受賞しています。
これら3つの強みが、業界において70年以上の間、日東工業という確固たる地位を築くことができた理由だと考えています。
3つの事業セグメント
日東工業グループの事業セグメントについてご説明します。スライドに記載のとおり、当社は電気と情報に関わる3つの事業セグメントを展開しています。
3つのセグメント(製造・工事・サービス事業)
事業セグメントの1つ目は、電気・情報インフラ関連 製造・工事・サービス事業です。日東工業グループのコア事業として、連結売上高の約6割、営業利益の約8割を占めています。
配電盤・分電盤やキャビネットの設計、製造、販売を行っています。他グループ会社を含め、売上高は950億円強と、当社グループの中核事業になっています。
3つのセグメント(流通事業)
2つ目は電気・情報インフラ関連 流通事業です。当社は製造業を中心としていますが、流通事業として商社を中心とした機能も有しています。
スライドにあるとおり、オフィスネットワークや映像ソリューションなど、ICT環境の構築に必要な情報通信機器、および部材の仕入と販売を行っています。こちらは連結売上高の30パーセントを占める、約500億円規模の事業です。
流通事業のビジネスフィールド
電気・情報インフラ関連 流通事業のビジネスフィールドは非常に幅広く、オフィスや店舗、移動体通信基地局、病院/介護施設といったさまざまな分野で事業を展開しています。
コロナ禍において企業の働き方が変化した時には、そのニーズを満たすために需要が広がりました。また昨今では、セキュリティ対策の強化や学校の授業におけるITツールの活用など、ネットワーク部材の需要が高まっていることから、売上が拡大しているセグメントとなっています。
3つのセグメント(電子部品事業)
電子部品関連 製造事業です。スライドに記載のとおり、電磁波環境コンポーネント・精密エンジニアリングコンポーネント等の製造と販売を行っています。
連結売上高の10パーセント程度を占めており、約150億円規模の事業となっています。
電子部品使用例:自動車、アプライアンス、産業用機器
電子部品の使用例をご紹介します。当社の電子部品は、EV自動車やエアコンを中心としたアプライアンス、産業用機器で使われています。
例えばEV自動車においては、電子機器に影響を与える場面がたくさんあります。そのような電磁波による影響を対策するための技術部品であるフェライトコアや、ケーブル関係を取りまとめる樹脂製のクランプやバンド、熱対策製品を取り扱っています。
長期経営構想 長期成長ストーリー
成長戦略とサステナビリティについてご説明します。まず、当社が描く長期成長のストーリーです。前中計「2023中期経営計画」では、ビジネスを進化させるための土台を築くフェーズとして、3年間取り組みを進めてきました。
現在進行中の「2026中期経営計画」は、2027年度以降も飛躍的な成長を続けるため、成長の仕組みを確立する必要不可欠なフェーズだと捉えています。
2026中期経営計画 基本方針
現在取り組んでいる「2026中期経営計画」についてご紹介します。基本方針は「進化の加速」です。機会への対応としての「挑戦」、リスクへの対応としての「変革」の両輪を素早く繰り返すことで、進化を目指します。
人・技術・事業・企業・グループの進化を連鎖的に広げ、この進化のサイクルを加速していくことを基本方針としています。
2026中期経営計画 財務目標
「2026中期経営計画」で掲げている財務目標についてご説明します。「2026中期経営計画」の最終目標は、連結売上高2,000億円、連結営業利益150億円、ROE9.0パーセント以上としています。
前中期経営計画で築き上げた基盤を使い、事業進化を加速させる3年間とし、過去最高の売上高・営業利益の達成を目指すという、高い目標を掲げています。
加えて、成長と株主還元の最適バランスを追求し、資本効率性を高めることで、ROEの持続的向上を実現します。
成長分野
今後の成長分野についてご紹介します。今後の成長に向けて、コア事業・新規事業・海外事業に取り組んでいきます。
成長分野①:コア事業
成長分野の1つ目であるコア事業の強化についてです。コア事業の電気・情報インフラ関連 製造・工事・サービス事業については、これまで以上にグループ会社との協力を進め、事業規模を拡大するとともに、収益性の向上に努めます。
今期は、同業のテンパール工業社の株式を取得しました。さらに、DXを取り入れた次世代型の工場を瀬戸に新設しています。このような取り組みを通じて、安定的な収益を確保し、他の成長分野への取り組みを加速させていきたいと考えています。
成長分野②:新規事業
成長分野の2つ目である新規事業です。当社グループのコア事業で培った技術を活かし、新規事業にも取り組んでいます。
これまでも当社は、配電盤の技術を活かしEV充電スタンドの分野に参入してきました。今後も、スライドの縦軸に示した製品分野の拡大はもちろん、横軸に示したお客さまニーズに沿った最適製品の提案や保守・メンテナンスといった分野へも、提供価値の範囲を拡大していこうと考えています。
成長分野②:新規事業 EV用充電スタンド
新規事業の1つをご紹介します。当社はEV用充電スタンド業界において、EVの黎明期である2009年から普通充電器を手掛けています。現在は「つながる充電器」ということで、個人向けよりもパブリック向けの製品の販売に注力しています。
普通充電器を設置する公共施設やマンション、オフィスにおいては充電スタンドの運用管理が必要です。当社製品は、4G通信を使った遠隔制御をはじめ、設備の所有者や管理者のみなさまの希望に沿った運用ができるサービスの選択を可能にしています。
製品だけでなく、キャッシュレス決済や利用予約、計画充電など、エネルギーマネジメントの分野にも使える製品として、今後も事業を進めていきたいと考えています。
成長分野②:新規事業 サファLink -ONE-
もうひとつの新規事業として、昨年より受注を開始した、環境配慮型の産業用太陽光自家消費蓄電池システム「サファLink -ONE-」についてご紹介します。
太陽光リユースパネルで発電した電気を、電気自動車の使用済みバッテリーを再利用した蓄電池に充電するという仕組みをパッケージ化し、製品として提供しています。
すでに自治体に非常用の電源として導入いただいたり、再生可能エネルギーに興味をお持ちの民間企業からの引き合いも増えています。このような製品を通じて、エネルギーマネジメントをトータルでサポートする事業を進めていきたいと考えています。
成長分野②:新規事業
このような当社の製品を通じて環境負荷低減活動を推進し、「脱炭素社会・循環型社会の実現」に貢献することが、我々の事業の目標であり、社会に対する使命と考えています。
成長分野③:海外事業
成長分野の3つ目は海外事業です。海外市場へのさらなる展開により、事業規模の拡大を目指します。現段階では、グループにおける海外事業の連結売上高は約10パーセント程度ですが、国内での成功事例や蓄積されたノウハウを海外にも展開し、グローバルでの事業規模拡大を目指します。
以上が、成長戦略となります。
サステナビリティ
成長分野における取り組みと並行して、当社はサステナビリティの取り組みも進めています。1つ目は、環境負荷低減への取り組みです。
新設した瀬戸工場はもちろん、各工場でカーボンニュートラルへの取り組みを進めています。最新の瀬戸工場ではEV用の充電スタンドを100台ほど設置し、従業員や来客の方にご利用いただけるよう準備を進めています。
さらに製品の輸送についても、これまではトラック輸送が中心でしたが、鉄道輸送を推進するなどCO2排出の削減にも取り組んでいます。
また本社が所在する愛知県のサーキュラーエコノミーの活動にも参画し、さまざまな環境負荷低減に向けた取り組みを実施しています。
サステナビリティ
サステナビリティの一環として、地域コミュニティに対するさまざまな取り組みも行っています。
一例として、日東学術振興財団を運営し、独創的な研究を行う方々や若い研究者の方々に助成を行っています。これまでに延べ約1,300件、総額で約7億円を助成しています。
サステナビリティ
つい先日、初めて統合報告書を発行しました。これまで別々に発行していたCSR報告書と環境報告書を併合して発行しています。
さまざまな取り組みを掲載していますので、ぜひ当社ホームページよりご覧ください。
2026中期経営計画 財務方針・株主還元方針
株主還元についてです。「2026中期経営計画」では、資金を積極的に成長投資へと振り向け、収益力を強化することを目指しています。資本コストの意識を高め、BSマネジメントに引き続き取り組むため、自己資本をコントロールしROEの持続的な向上を目指します。
また、「2026中期経営計画」中の株主還元方針を新たに策定しました。当中期経営計画では、配当性向50パーセント、DOE(連結純資産配当率)4パーセントを下限とし、安定配当を実施します。
配当の状況
配当の状況です。スライドのグラフに記載のとおり、2023年度、2024年度は100パーセントの配当となったため少し突出していますが、安定配当を継続して実施してきました。
2025年3月期は、配当性向50パーセント、DOE4パーセントの下限を設け、年間配当128円を計画しています。
本日のまとめ
本日のまとめです。1つ目は、当社は「電気と情報インフラ」に関わる企業グループであるということです。
2つ目は、今後の成長に向けたキーワードを「エネルギーマネジメント」と「循環型社会の実現」と考えており、これらの取り組みを加速させていきたいと思っています。
3つ目として「成長への投資」と「株主還元」のバランスを重視します。引き続き、ROEの持続的向上を意識し、資本効率性を高めた経営を推進していきたいと考えています。ぜひ、この3つを覚えていただければ幸いです。
IRメール配信サービスのご案内
当社では、個人投資家のみなさまにIRのメール配信サービスを行っています。ホームページからも申し込み可能です。さまざまな情報を発信していますので、今日のお話でご興味を持っていただけましたら、ぜひご登録していただければと思います。
以上で、日東工業の紹介を終了します。本日はご清聴ありがとうございました。今後とも、日東工業株式会社をよろしくお願いします。
質疑応答:配当方針を変更した理由について
司会者:「配当方針について、なぜ配当性向を100パーセントから50パーセントに変更したのでしょうか?」というご質問です。
手嶋:100パーセント配当は永続的に続けられるものではないと考えています。
配当性向100パーセントは、前中期経営計画の残り2年間という時期に、期間限定で行う施策として定めたものです。これはROEの向上や資本効率性を高めるための分母政策として取り組んできたもので、当社としては一定の成果があったと捉えています。
先ほどもご説明したとおり、「2026中期経営計画」では成長投資を実施していく方針です。もちろん株主還元とのバランスを取りながら、配当したいと考えています。
我々が期待されるだけの成長を遂げるためにも、投資は必要であると考え、成長投資の方針を設けました。あくまで両輪を意識しているとご理解いただければと思います。
株主のみなさまにおかれては、「そうは言っても、業績は乱高下するだろう」とお考えになると思います。これに対して我々は経営の覚悟として、DOEの下限を4パーセントと設定して、安定的な配当を行う方針です。
質疑応答:配当性向を下げたことによる余剰原資の使途について
司会者:「配当性向を下げて余った原資を、何に使う予定か教えてください」というご質問です。
手嶋:先ほどもご説明したとおり、成長分野への投資に充てたいと思っています。企業価値向上に資するための投資です。
事業戦略としては、コア事業の一層の盤石化を図ります。収益力をさらに高めるための投資です。そのためには、M&Aも1つだと思っています。
その他、生産工程あるいはビジネスプロセスにおけるDX化も、1つの投資先だと思っています。
そのような設備投資だけではなく、新技術開発のための研究開発投資、さらには働いている人たちへの人的投資も視野に入れ、いわゆる持続的な成長を実現するための投資として使っていきたいと考えています。
質疑応答:収益性や利益率を高めていくための主要分野について
司会者:「今後どの分野を伸ばしていくことで、収益性や利益率を高めていくのでしょうか?」というご質問です。
手嶋:我々としては、これからは有限であるエネルギーをいかにマネジメントするかという観点が重要だと考えており、エネルギーマネジメントの分野に注力していく方針です。
当社には、電気・情報インフラ関連の事業に携わってきた長年の実績があります。これを基盤に「我々の製品を使うことで、みなさまがどのように便利になるか、また省エネになるのか」を考え、我々のソリューションや製品によって解決できるようなエネルギーマネジメントを、グループ一丸となって進めていきたいと考えています。したがって、今後はソリューションが1つのキーとなると考えています。
こちらの収益化あるいは利益率の向上については、まだこれからですが、単なる製品の販売ではなく、付加価値をつけて販売することが利益率や収益性を高めていく方法だと考えています。
質疑応答:新規事業のEV用充電スタンドの売上予想について
司会者:「新規事業であるEV用充電スタンドについて、今後どれくらいの売上規模を見込んでいるのでしょうか?」というご質問です。
手嶋:充電スタンドについては黎明期から携わってきているとお話ししましたが、具体的な数値の開示はしていません。
昨年の実績は、両手を使った億円ぐらいと考えていただければと思います。今後の目標については、まだ開示できる段階には至っていません。
最近は政府からの補助金の拡充という流れがあり、一定程度売上は上がってきています。また政府の拡大策によりインフラが整備されてきていることもあり、この流れに乗って当社も売上を増やしていきたいと考えています。
質疑応答:EV車の販売が停滞しハイブリッド車が売れている市況の影響について
司会者:「最近、EV車の販売が停滞して、ハイブリッド車が売れています。御社へはどのような影響があるでしょうか? ハイブリッド車でも、売上は下がらないのでしょうか?」というご質問です。
手嶋:EV車の販売は、確かに停滞しています。EV車の充電用のスタンドや充電器などは、EV車の販売が停滞すれば、売上は下がります。
一方で、先ほど少しご説明したように、電子部品関連 製造事業では電子対策部品を販売しています。こちらの電子対策部品は、EV車両にかかわらず、ハイブリッド車であっても通常の車であっても、必ずニーズがあります。
実際に、この電子部品関連 製造事業の売上も含めた自動車関連の売上は、全体的に非常に伸びています。
したがって、例えばEV車用の充電器に限定して言えば、売上は少し下がるかもしれませんが、他のもので補完することができると考えています。
グループ全体で考えれば、よいところも悪いところも出てくるかと思っています。
質疑応答:海外事業における国別もしくは地域別の売上について
司会者:「海外の売上はどのようになっているのでしょうか? 国もしくは地域別で見て、どこが多いのかなど、教えていただければと思います」というご質問です。
手嶋:当社グループの海外事業について、売上は東南アジアが圧倒的に多くなっています。これからもASEAN地域を中心に、売上を構成していく方針です。
「2026中期経営計画」ベースでは、海外の売上高目標を約200億円と置いています。2024年3月期の実績が150億円程度だったため、さらにそこから50億円程度積み上げる計画です。
これからは、地域を増やすというよりも、すでに進出している東南アジア地域の事業所、あるいは工場等において、現地でいかに販売を増やしていくかという施策を考えていくフェーズだと思っています。
質疑応答:充電スタンドの売上規模および今後の中長期的な目標値について
司会者:「充電スタンドの売上規模と、今後の中長期的な目標値を教えてください」というご質問です。
手嶋:先ほどのご質問と重複するかと思います。売上規模については非公表ですが、昨年の実績は両手を使った億円程度とお考えください。
中長期の目標についても非公表としています。このあたりについては、もう少しかたちになったところで開示していきたいと思っています。
質疑応答:急速充電スタンドに参入しない理由について
司会者:「なぜ急速充電スタンドに参入しないのですか?」というご質問です。
手嶋:EV車用の充電スタンドについては、我々は普通充電で対応しています。充電の仕組みには、いわゆるご自宅で充電される基礎充電と、急速充電が強い経路充電、さらに、例えばホテルなど行った先で充電する目的地充電があります。
この中で、我々は基礎充電、もしくは目的地充電というボリュームゾーンを追いかけています。急速充電の市場規模は普通充電に比べて小さいと見ています。今後も急速充電を扱わないとは言いませんが、現時点では参入せずに進めているところです。
ただ、急速充電そのものは手掛けていないものの、急速充電器が立つところには高圧受電設備が必ず必要になってきます。実際に当社でも、この高圧受電設備の設置を行っています。このように急速充電器の分野でも、間接的に我々のニーズはあるとご認識いただければと思います。
質疑応答:株価を意識した経営施策と資本コストの目標値について
司会者:「株価を意識した経営のための取り組みについてお聞かせください。資本コストは何パーセントとしていますか?」というご質問です。
手嶋:株価を意識した経営として取り組んでいる施策としては、みなさまに成長する期待を感じていただけるような企業経営と収益力向上に取り組んでいます。
資本コストの具体的な目標値については公表していません。現在お答えできる範囲としては、ROEは資本コストを上回っていると認識しています。
先ほど、中期経営計画でもご説明したとおり、持続的な成長を達成するため、我々は収益性の向上を目標に、分子の当期純利益の改善に向けた政策を戦略的に進めています。
同時に、分母の自己資本の改善に向けて有利子負債の活用を進めています。資本効率経営を目指す前は約8割の自己資本比率でしたが、現在は100パーセント配当などを通して有利子負債の活用にシフトしていくなど、BSマネジメントを意識した経営を進めています。
このように、分子の政策と分母の政策のバランスを取りながら経営を進めていきたいと考えています。
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