【井川純一の今夜も兜町で一杯】トランプ大統領誕生へ、やっちまったなぁ～

　今日 １１月９日（水）の日経平均株価は、９１９円８４銭安の１万６２５１円５４銭と急落。まさに「トランプショック」の一言。よもやのトランプ大統領誕生に、マーケットは阿鼻叫喚といったところ。だいぶ前に流行ったコントで「やっちまったなぁ～」というのがあったが、まさにそんな雰囲気だ。ああ、世のなか、どうなるのやら…。

　ご存知のようにトランプ大統領が誕生することになった。「英国のＥＵ離脱どころじゃない」という声も市場からは聞こえてくる。閉塞感を強める米国が、トランプ氏を大統領にしてしまったという見方が大勢だ。超大国のご立派な米国民が選択したわけだから、他国のそれも僕ごときが論評するというのも失礼だと思うが、さすがに「いくらなんでも、そりゃ、ないだろ」といった感じがする。

　市場は大方クリントン大統領誕生で織り込んでいたものだから、まさにネガティブサプライズ。特に東京市場は、場中に大勢が判明したためショック直撃、狼狽売りから一時１０００円超の下げに見舞われる。トランプ勝利で、まさにババを引いたのは日本市場ということになった。

　さて、最近妙に勘が当たる。手前味噌のようだが、これが不思議なくらい当たる。もはや、予感、いや予知能力と言ってもいいのかもしれない。ちなみに、１１月２日の当欄で「市場関係者の間でも『まさか、そりゃないだろ』という声が聞こえてくるが、英国のＥＵ離脱を思い起こせば、その『まさか』が起こる可能性もあり得なくはない。かつての米国ならば、トランプ氏を選ぶような愚挙を起こすことはなかったと思うが、超大国と言われた同国も迷い道くねくね～♪といった感じの現代、なにが起きるかなんて、誰にも分かりはしない」と予言している。

　と、予言者気取りで書いてはいるが、そんなことがある訳がない。そうなってほしくないという裏返しで文章を書いているにほかならないのである。きょうは、混迷を買うような銘柄物色が既に見られた。波乱相場のなか石川製作所<6208.Ｔ>、東京計器<7721.Ｔ>、豊和工業<6203.Ｔ>など防衛関連の一角と言われる銘柄が急動意したのだ。日本など同盟国に対して、独自に軍備を拡大するよう主張する共和党のトランプ氏の優勢が場中伝わり、防衛関連企業には思惑から短期資金が向かったようだ。

　とにもかくにも米国民はトランプ氏を選択した。蘊蓄（うんちく）語りは、さも「予想できていた」かのように、あちらこちらで話し出すだろう。困惑から混迷へ、そして世界が、その度合いを深めることにならないよう願うばかりだ。
《ＫＣ》

出所：株経ONLINE（株式会社みんかぶ）