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ベルシステム24ホールディングスのニュース
■中期経営計画
(2) 新領域での拡大
新領域の拡大においては、Advanced CRM Platform、Advanced BPO、海外事業展開、凸版シナジーを掲げている。
2017年12月のベルシステム24ホールディングス<6183>と凸版印刷との資本業務提携に伴い、凸版シナジーの発揮を中期経営計画に追加した。この資本業務提携により、自治体や金融機関を始め、幅広い業種の企業向けに新たなサービスを開発・提供し、BPO事業の拡大を図るとともに、AIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション:ロボットによる業務自動化)等を用いた高度なBPO事業を推進し、国内市場はもちろんアジア地域での事業展開も視野に入れている。同社では、この提携によって、双方の強みを生かした、付加価値の高い新しい商品・サービスを提供したいと考えている。既に凸版との連携による「デジタルカスタマーサービス」の提供を開始し、2019年2月期は6~7億円の売上げがあったが、2020年2月期には30億円弱への増加を見込んでいる。
同社は、CRMで必要な機能をインタラクティブ、インテリジェンス、アナリティクスといった機能で網羅するAdvanced CRM Platformの構築を推進している。すなわち、Advanced CRM構想におけるプラットフォームとして、クライアント企業と消費者との最適な接点を創出するにとどまらず、消費者や業務に関する知見の提供、さらには消費者の価値観の分析による最適モデルの提案までを行うというもの。このAdvanced CRM Platformの展開を進めることにより、同社は課金型ビジネスやレベニューシェアといった利益率の高いビジネスモデルを実現するとしている。
Advanced BPOについても、RPAを導入した高度なBPO業務を同社が提供することにより、メリットを得ることができるクライアント業界や企業は多い。特に、流通業等においては経理伝票等の処理をFAXで行っている会社などが多く存在する。同社はこれらの受注業務を、経理・人事・IT等の型を整備し生産性が向上するような業務に修正していく。また、CTCとの協業や高効率型モデルの構築(技術活用)も含めて展開していく。
国内では、アウトソーシング市場規模は年5%程度での成長を継続するとみられているが、対GDPにおけるBPO比率は、欧米諸国と比較して低く、今後より一層の拡大が見込まれる。また、海外展開についても視野に入れており、既にベトナムのHoa Saoに対する出資を2017年7月に完了し、今後も同様に有望な地域において案件を開拓していく方針である。伊藤忠グループのネットワークを活用し、成長が見込める案件に絞って検討する。国内向けサービスと同等の高度化したCRM事業をASEAN・韓国・台湾・中国等の海外に展開することで収益拡大を狙う方針である。
最近の取り組みとしては、2019年7月には、MR(複合現実)ソリューションを開始した。MRによる遠隔サポートツール「ヘルプライトニング」を活用し、音声だけでは難しい遠隔地のカスタマーサポート等の複雑な作業を、統合されたビデオストリーミング動画等によりリモートで支援する新たなソリューションを提供するものだ。また、人手不足への対応として、在宅コンタクトセンターのテスト活用も始めている。
就業支援を行うことで即戦力化するための施設「SUDAchi」を開設、LGBT・女性活躍などにも取り組む
(3) 人材マネジメントの高度化
人材マネジメントの高度化の戦略として、退職抑止、採用力強化、現場人材管理の精微化を挙げている。
同社では、退職抑止や採用力強化への継続的な取り組みを実施しており、改正労働契約法で定められた2018年4月からの無期雇用化を待たずに、継続雇用期間6ヶ月を経過したコールセンターの現場管理者やスタッフ等の有期雇用社員約22,000人に対して、2017年10月より順次無期雇用化を開始している。また、正社員登用制度に加え、2018年12月には契約社員の待遇向上を実現する新人事制度を導入し、社員のライフスタイルに合わせた働きがいのある評価制度の運用を開始している。
最近の取り組みでは、2019年8月には、従来はスキル不足により採用を見送っていた人材を確保し、就業支援を行うことで即戦力化するための施設「SUDAchi(すだち)」を札幌に開設した。すなわち、コンタクトセンター業務に必要な、コミュニケーションやタイピングといったスキル等を就労前に教育をすることで即戦力化を図るものである。こうした就労支援の結果、人材の定着率も高まっているという。SUDAchiは現在全国9ヶ所に開設しており、今後さらに増やす計画である。さらに、2019年7月には、沖縄、福岡に続き全国3ヶ所目の企業内保育園を札幌オフィス内に開設し、産休・育休明けの従業員の復職や育児と仕事の両立を支援している。
さらに、同社では、同性パートナー、事実婚パートナーを持つ社員を対象に人事労務規定を改定し、多様なパートナー関係を持つ社員の処遇を改善している。その結果、2019年10月には、任意団体work with PrideよりLGBTなど性的少数者に関する取り組みの評価指標「PRIDE指標2019」の最高位“ゴールド”を受賞した。
これまでにも、2018年4月には厚生労働大臣から女性活躍推進法に基づく「えるぼし」の最高位に認定、2018年7月には(株)日本政策投資銀行よりコールセンター業界初の「DBJ健康経営格付」を取得、2019年3月には厚生労働省よりコールセンター業界初の「プラチナくるみん」に認定、さらに同月には経済産業省・東京証券取引所よりコールセンター業界初の「なでしこ銘柄」に認定されるなど、数々の実績となって表れている。このような外部認定の取得は、中期経営計画における「人材マネジメントの高度化」の施策等が評価された結果であり、採用時にも大きな効果が期待できそうだ。
(4) CSRへの取り組み
同社では、中期経営計画を推進するとともに、CSR(企業の社会的責任)にも積極的に取り組んでおり、これまでにCSR推進室の新設や障がい者社員の活躍機会の創出などを実現してきた。2018年11月には、久遠チョコレート((一社)ラバルカグループ)と多様な人材による多様な働き方の実現を目的に、障がい者10名によるチョコレート製造を愛知県豊橋市において開始した。さらに2019年2月には、コーヒーを通じたSDGs(持続的な開発目標)の実現を進める(株)ミカフェートのプロデュースのもと、同社の本社オフィスラウンジにて障がい者がコーヒーを抽出し、提供するカフェの開設及び来客者への提供、社員へのコーヒーサービスを開始した。2019年9月には、札幌コールセンター内にも同様のカフェを開設した。また、2019年8月には、国際NGOコンサベーション・インターナショナルによる、コーヒーを真に持続可能な農産物とするための呼びかけである、「サステナブル・コーヒー・チャレンジ」への参画を開始した。こうした同社のCSR活動が、同社の社会的な評価や企業ブランドを高め、結果として同社の更なる利益拡大につながると考えられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
<SF>
(2) 新領域での拡大
新領域の拡大においては、Advanced CRM Platform、Advanced BPO、海外事業展開、凸版シナジーを掲げている。
2017年12月のベルシステム24ホールディングス<6183>と凸版印刷との資本業務提携に伴い、凸版シナジーの発揮を中期経営計画に追加した。この資本業務提携により、自治体や金融機関を始め、幅広い業種の企業向けに新たなサービスを開発・提供し、BPO事業の拡大を図るとともに、AIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション:ロボットによる業務自動化)等を用いた高度なBPO事業を推進し、国内市場はもちろんアジア地域での事業展開も視野に入れている。同社では、この提携によって、双方の強みを生かした、付加価値の高い新しい商品・サービスを提供したいと考えている。既に凸版との連携による「デジタルカスタマーサービス」の提供を開始し、2019年2月期は6~7億円の売上げがあったが、2020年2月期には30億円弱への増加を見込んでいる。
同社は、CRMで必要な機能をインタラクティブ、インテリジェンス、アナリティクスといった機能で網羅するAdvanced CRM Platformの構築を推進している。すなわち、Advanced CRM構想におけるプラットフォームとして、クライアント企業と消費者との最適な接点を創出するにとどまらず、消費者や業務に関する知見の提供、さらには消費者の価値観の分析による最適モデルの提案までを行うというもの。このAdvanced CRM Platformの展開を進めることにより、同社は課金型ビジネスやレベニューシェアといった利益率の高いビジネスモデルを実現するとしている。
Advanced BPOについても、RPAを導入した高度なBPO業務を同社が提供することにより、メリットを得ることができるクライアント業界や企業は多い。特に、流通業等においては経理伝票等の処理をFAXで行っている会社などが多く存在する。同社はこれらの受注業務を、経理・人事・IT等の型を整備し生産性が向上するような業務に修正していく。また、CTCとの協業や高効率型モデルの構築(技術活用)も含めて展開していく。
国内では、アウトソーシング市場規模は年5%程度での成長を継続するとみられているが、対GDPにおけるBPO比率は、欧米諸国と比較して低く、今後より一層の拡大が見込まれる。また、海外展開についても視野に入れており、既にベトナムのHoa Saoに対する出資を2017年7月に完了し、今後も同様に有望な地域において案件を開拓していく方針である。伊藤忠グループのネットワークを活用し、成長が見込める案件に絞って検討する。国内向けサービスと同等の高度化したCRM事業をASEAN・韓国・台湾・中国等の海外に展開することで収益拡大を狙う方針である。
最近の取り組みとしては、2019年7月には、MR(複合現実)ソリューションを開始した。MRによる遠隔サポートツール「ヘルプライトニング」を活用し、音声だけでは難しい遠隔地のカスタマーサポート等の複雑な作業を、統合されたビデオストリーミング動画等によりリモートで支援する新たなソリューションを提供するものだ。また、人手不足への対応として、在宅コンタクトセンターのテスト活用も始めている。
就業支援を行うことで即戦力化するための施設「SUDAchi」を開設、LGBT・女性活躍などにも取り組む
(3) 人材マネジメントの高度化
人材マネジメントの高度化の戦略として、退職抑止、採用力強化、現場人材管理の精微化を挙げている。
同社では、退職抑止や採用力強化への継続的な取り組みを実施しており、改正労働契約法で定められた2018年4月からの無期雇用化を待たずに、継続雇用期間6ヶ月を経過したコールセンターの現場管理者やスタッフ等の有期雇用社員約22,000人に対して、2017年10月より順次無期雇用化を開始している。また、正社員登用制度に加え、2018年12月には契約社員の待遇向上を実現する新人事制度を導入し、社員のライフスタイルに合わせた働きがいのある評価制度の運用を開始している。
最近の取り組みでは、2019年8月には、従来はスキル不足により採用を見送っていた人材を確保し、就業支援を行うことで即戦力化するための施設「SUDAchi(すだち)」を札幌に開設した。すなわち、コンタクトセンター業務に必要な、コミュニケーションやタイピングといったスキル等を就労前に教育をすることで即戦力化を図るものである。こうした就労支援の結果、人材の定着率も高まっているという。SUDAchiは現在全国9ヶ所に開設しており、今後さらに増やす計画である。さらに、2019年7月には、沖縄、福岡に続き全国3ヶ所目の企業内保育園を札幌オフィス内に開設し、産休・育休明けの従業員の復職や育児と仕事の両立を支援している。
さらに、同社では、同性パートナー、事実婚パートナーを持つ社員を対象に人事労務規定を改定し、多様なパートナー関係を持つ社員の処遇を改善している。その結果、2019年10月には、任意団体work with PrideよりLGBTなど性的少数者に関する取り組みの評価指標「PRIDE指標2019」の最高位“ゴールド”を受賞した。
これまでにも、2018年4月には厚生労働大臣から女性活躍推進法に基づく「えるぼし」の最高位に認定、2018年7月には(株)日本政策投資銀行よりコールセンター業界初の「DBJ健康経営格付」を取得、2019年3月には厚生労働省よりコールセンター業界初の「プラチナくるみん」に認定、さらに同月には経済産業省・東京証券取引所よりコールセンター業界初の「なでしこ銘柄」に認定されるなど、数々の実績となって表れている。このような外部認定の取得は、中期経営計画における「人材マネジメントの高度化」の施策等が評価された結果であり、採用時にも大きな効果が期待できそうだ。
(4) CSRへの取り組み
同社では、中期経営計画を推進するとともに、CSR(企業の社会的責任)にも積極的に取り組んでおり、これまでにCSR推進室の新設や障がい者社員の活躍機会の創出などを実現してきた。2018年11月には、久遠チョコレート((一社)ラバルカグループ)と多様な人材による多様な働き方の実現を目的に、障がい者10名によるチョコレート製造を愛知県豊橋市において開始した。さらに2019年2月には、コーヒーを通じたSDGs(持続的な開発目標)の実現を進める(株)ミカフェートのプロデュースのもと、同社の本社オフィスラウンジにて障がい者がコーヒーを抽出し、提供するカフェの開設及び来客者への提供、社員へのコーヒーサービスを開始した。2019年9月には、札幌コールセンター内にも同様のカフェを開設した。また、2019年8月には、国際NGOコンサベーション・インターナショナルによる、コーヒーを真に持続可能な農産物とするための呼びかけである、「サステナブル・コーヒー・チャレンジ」への参画を開始した。こうした同社のCSR活動が、同社の社会的な評価や企業ブランドを高め、結果として同社の更なる利益拡大につながると考えられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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