1,618円
ベルシステム24ホールディングスのニュース
■中期経営計画
1. 目標数値
ベルシステム24ホールディングス<6183>は、2018年2月期から2020年2月期を対象とする中期経営計画を推進中である。目標数値は、最終年度の2020年2月期に売上収益1,310億円(2017年2月期実績1,089億円)、営業利益115億円(同81億円)、営業利益率8.8%(同7.5%)、ROE14.3%(同11.0%)、ネットD/Eレシオ1.2倍(同1.8倍)を目指す。2020年2月期の売上収益計画1,310億円の内訳は、既存領域が1,170億円、新規領域で140億円を見込んでいる。
現在までのところ、業績や事業環境は、ほぼ同社の想定どおりに推移しているようだ。企業によるコールセンター事業のアウトソーシングは増加傾向にあり、売上げは今後も順調に増えると予想されることや、価格適正化や低収益業務の改善等により利益率の改善が続くと期待されることから、目標数値の達成は十分に可能と考えられる。
従来ビジネスの拡大、新領域での拡大、人材マネジメントの高度化が3本柱
2. 成長戦略~3つの取り組み~
同社は中期経営計画における具体的戦略として、(1)従来ビジネスの拡大、(2)新領域での拡大、(3)人材マネジメントの高度化の3つを掲げている。具体的な施策の中では、2019年2月期は特に凸版印刷とのアライアンスと新人事制度に重点を置いて取り組む方針である。
(1) 従来ビジネスの拡大:顧客との関係性強化、伊藤忠シナジー拡大、品質優位性の更なる追求
従来ビジネスにおける拡大では、既存クライアント企業との関係性強化、伊藤忠シナジー拡大、品質優位性の更なる追求を軸に深掘りしていく。
既存クライアント企業との関係性強化においては、良好な関係を生かした既存クライアント企業内でのシェアの拡大、満足度の向上と、新しい付加価値の提供に取り組む。年間売上収益5億円超の顧客の売上収益合計及び顧客数(旧BBコール業務を含む)は、2016年2月期の457億円、31社から、2018年2月期には588億円、38社にまで拡大している。このように、大型顧客との取引は順調に拡大しており、同社の営業力や現場品質の優位性が発揮されている。今後も顧客満足度の向上を追求しながら、顧客内シェアを拡大し、新しい価値の提供に努める方針である。
伊藤忠シナジー拡大については、同社の筆頭株主である伊藤忠商事のネットワークを活用し伊藤忠グループ関連の案件をはじめとする新規案件の獲得を継続・拡大する。同社が定義する伊藤忠シナジーとは、伊藤忠商事の子会社や関連会社だけでなく、その取引先も含むため、同社が対象とする開拓先は広大になる。これらの伊藤忠グループ案件による売上収益は、2017年2月期の72.5億円から、2018年2月期の97.6億円へ、さらに2019年2月期は第2四半期までで54.2億円へと拡大しており、順調に増加を続けている。
(2) 新領域での拡大:Advanced CRM Platform、Advanced BPO、海外事業展開、凸版シナジー
新領域の拡大においては、Advanced CRM Platform、Advanced BPO、海外事業展開、凸版シナジーを掲げており、今期は特に凸版シナジーに重点を置く方針である。
2017年12月の同社と凸版印刷との資本業務提携に伴い、凸版シナジーの発揮を中期経営計画に追加した。この資本業務提携により、自治体や金融機関をはじめ、幅広い業種の企業向けに新たなサービスを開発・提供し、BPO事業の拡大を図るとともに、AIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション:ロボットによる業務自動化)等を用いた高度なBPO事業を推進し、国内市場はもちろんアジア地域での事業展開も視野に入れている。同社では、この提携によって、双方の強みを活かした、付加価値の高い新しい商品・サービスを提供したいと考えている。既に同社社内に「凸版アライアンス推進局」を新設し、今期は10億円程度のシナジーを見込んでいるが、2020年には両社で売上200億円を目指している。
同社は、CRMで必要な機能をインタラクティブ、インテリジェンス、アナリティクスといった機能で網羅するAdvanced CRM Platformの構築を推進している。すなわち、Advanced CRM構想におけるプラットフォームとして、クライアント企業と消費者との最適な接点を創出するにとどまらず、消費者や業務に関する知見の提供、さらには消費者の価値観の分析による最適モデルの提案までを行うというもの。このAdvanced CRM Platformの展開を進めることにより、同社は課金型ビジネスやレベニューシェアといった利益率の高いビジネスモデルを実現するとしている。既に2018年2月期には、伊藤忠グループのCTCと共同開発の、AIを活用した自動音声対応ソリューション「BellCloud AI for IVR」の提供を開始し、消費者に対する一次対応において、従来の音声ガイダンスを聞いての電話機プッシュ操作(例:「XXの方は、1番と♯」「●●の方は2番と♯」)ではなく、音声認識とAIを活用することで、音声による双方向の会話での一次対応を実現している。
Advanced BPOについても、RPAを導入した高度なBPO業務を同社が提供することにより、メリットを得ることができるクライアント業界や企業は多い。特に、流通業等においては経理伝票等の処理をFAXで行っている会社などが多く存在する。同社はこれらの受注業務を、経理・人事・IT等の型を整備し生産性が向上するような業務に修正していく。また、CTCとの協業や高効率型モデルの構築(技術活用)も含めて展開していく。
国内では、アウトソーシング市場規模は年5%程度での成長を継続するとみられているが、対GDPにおけるBPO比率は、欧米諸国と比較して低く、今後より一層の拡大が見込まれる。また、海外展開についても視野に入れており、既にベトナムのHoa Saoに対する出資を2017年7月に完了し、今後も同様に有望な地域において案件を開拓していく方針である。伊藤忠グループのネットワークを活用し、成長が見込める案件に絞って検討する。国内向けサービスと同等の高度化したCRM事業をASEAN・韓国・台湾・中国等の海外に展開することで収益拡大を狙う方針である。
(3) 人材マネジメントの高度化:退職抑止、採用力強化、現場人材管理の精微化
人材マネジメントの高度化の戦略として、退職抑止、採用力強化、現場人材管理の精微化を挙げているが、今期は特に新人事制度の実現に重点を置いている。
同社では、退職抑止や採用力強化への継続的な取り組みを実施しており、人事制度改定第1弾として、改正労働契約法で定められた無期雇用化までの5年間を待たずに、継続雇用期間6ヶ月を経過したコールセンターの現場管理者やスタッフ等の有期雇用社員約22,000人に対して、2017年10月より順次無期雇用化を開始しており、現状、3割程度が移行済である。また、本年12月には新たな評価制度や職位の導入といった人事制度改定第2弾予定しており、既にフィージビリティスタディを完了している。
加えて、2019年2月期第2四半期には、以下の諸施策を実現した。まず、北海道下川町、久遠チョコレートと「SDGs(持続可能な開発目標)の推進と持続可能な地域づくりに関する連携協定」を締結した。久遠チョコレートは愛知県内外で多数の障害者が働く事業モデルとして注目を集めている。同社を含む3者で、廃校を利用して障害者雇用のできるチョコレート製造事業に取り組む方針だ。今回の協定は同社のCSR取り組みの一環としても評価できよう。
また、中期経営計画における「人材マネジメントの高度化」の施策等が評価され、日本政策投資銀行より、コールセンター業界初の「DBJ健康経営格付」を取得した。昨年度導入した就業者支援AI-Chat「AI-Chat for Staff」は、シフト、休暇、勤務時間の照会に加え、様々な意見や要望の収集等に活用されている。さらに、従来の採用基準に満たないスキル不足の人材を採用し、就業支援することで即戦力化する就業支援施設「SUDAchi(すだち)」を池袋のコールセンター拠点内に開設し、パソコン等のスキル不足の求職者や多言語コールセンターでの勤務を希望する外国人求職者等に対応している。今後は、全国で同様の施設を展開する予定である。
3. 投資計画
同社は、2017年からの5年間で100億円以上の追加投資を新しい領域に対して積極的に行っていく予定である。投資先は、高効率なオペレーションモデルを提供するためのAIやオートメーションを中心としたテクノロジー領域と、人材戦略及び海外事業などの領域だ。従来の投資額は年間30億円程度であったが、これが拡大する見込みである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
<SF>
1. 目標数値
ベルシステム24ホールディングス<6183>は、2018年2月期から2020年2月期を対象とする中期経営計画を推進中である。目標数値は、最終年度の2020年2月期に売上収益1,310億円(2017年2月期実績1,089億円)、営業利益115億円(同81億円)、営業利益率8.8%(同7.5%)、ROE14.3%(同11.0%)、ネットD/Eレシオ1.2倍(同1.8倍)を目指す。2020年2月期の売上収益計画1,310億円の内訳は、既存領域が1,170億円、新規領域で140億円を見込んでいる。
現在までのところ、業績や事業環境は、ほぼ同社の想定どおりに推移しているようだ。企業によるコールセンター事業のアウトソーシングは増加傾向にあり、売上げは今後も順調に増えると予想されることや、価格適正化や低収益業務の改善等により利益率の改善が続くと期待されることから、目標数値の達成は十分に可能と考えられる。
従来ビジネスの拡大、新領域での拡大、人材マネジメントの高度化が3本柱
2. 成長戦略~3つの取り組み~
同社は中期経営計画における具体的戦略として、(1)従来ビジネスの拡大、(2)新領域での拡大、(3)人材マネジメントの高度化の3つを掲げている。具体的な施策の中では、2019年2月期は特に凸版印刷とのアライアンスと新人事制度に重点を置いて取り組む方針である。
(1) 従来ビジネスの拡大:顧客との関係性強化、伊藤忠シナジー拡大、品質優位性の更なる追求
従来ビジネスにおける拡大では、既存クライアント企業との関係性強化、伊藤忠シナジー拡大、品質優位性の更なる追求を軸に深掘りしていく。
既存クライアント企業との関係性強化においては、良好な関係を生かした既存クライアント企業内でのシェアの拡大、満足度の向上と、新しい付加価値の提供に取り組む。年間売上収益5億円超の顧客の売上収益合計及び顧客数(旧BBコール業務を含む)は、2016年2月期の457億円、31社から、2018年2月期には588億円、38社にまで拡大している。このように、大型顧客との取引は順調に拡大しており、同社の営業力や現場品質の優位性が発揮されている。今後も顧客満足度の向上を追求しながら、顧客内シェアを拡大し、新しい価値の提供に努める方針である。
伊藤忠シナジー拡大については、同社の筆頭株主である伊藤忠商事のネットワークを活用し伊藤忠グループ関連の案件をはじめとする新規案件の獲得を継続・拡大する。同社が定義する伊藤忠シナジーとは、伊藤忠商事の子会社や関連会社だけでなく、その取引先も含むため、同社が対象とする開拓先は広大になる。これらの伊藤忠グループ案件による売上収益は、2017年2月期の72.5億円から、2018年2月期の97.6億円へ、さらに2019年2月期は第2四半期までで54.2億円へと拡大しており、順調に増加を続けている。
(2) 新領域での拡大:Advanced CRM Platform、Advanced BPO、海外事業展開、凸版シナジー
新領域の拡大においては、Advanced CRM Platform、Advanced BPO、海外事業展開、凸版シナジーを掲げており、今期は特に凸版シナジーに重点を置く方針である。
2017年12月の同社と凸版印刷との資本業務提携に伴い、凸版シナジーの発揮を中期経営計画に追加した。この資本業務提携により、自治体や金融機関をはじめ、幅広い業種の企業向けに新たなサービスを開発・提供し、BPO事業の拡大を図るとともに、AIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション:ロボットによる業務自動化)等を用いた高度なBPO事業を推進し、国内市場はもちろんアジア地域での事業展開も視野に入れている。同社では、この提携によって、双方の強みを活かした、付加価値の高い新しい商品・サービスを提供したいと考えている。既に同社社内に「凸版アライアンス推進局」を新設し、今期は10億円程度のシナジーを見込んでいるが、2020年には両社で売上200億円を目指している。
同社は、CRMで必要な機能をインタラクティブ、インテリジェンス、アナリティクスといった機能で網羅するAdvanced CRM Platformの構築を推進している。すなわち、Advanced CRM構想におけるプラットフォームとして、クライアント企業と消費者との最適な接点を創出するにとどまらず、消費者や業務に関する知見の提供、さらには消費者の価値観の分析による最適モデルの提案までを行うというもの。このAdvanced CRM Platformの展開を進めることにより、同社は課金型ビジネスやレベニューシェアといった利益率の高いビジネスモデルを実現するとしている。既に2018年2月期には、伊藤忠グループのCTCと共同開発の、AIを活用した自動音声対応ソリューション「BellCloud AI for IVR」の提供を開始し、消費者に対する一次対応において、従来の音声ガイダンスを聞いての電話機プッシュ操作(例:「XXの方は、1番と♯」「●●の方は2番と♯」)ではなく、音声認識とAIを活用することで、音声による双方向の会話での一次対応を実現している。
Advanced BPOについても、RPAを導入した高度なBPO業務を同社が提供することにより、メリットを得ることができるクライアント業界や企業は多い。特に、流通業等においては経理伝票等の処理をFAXで行っている会社などが多く存在する。同社はこれらの受注業務を、経理・人事・IT等の型を整備し生産性が向上するような業務に修正していく。また、CTCとの協業や高効率型モデルの構築(技術活用)も含めて展開していく。
国内では、アウトソーシング市場規模は年5%程度での成長を継続するとみられているが、対GDPにおけるBPO比率は、欧米諸国と比較して低く、今後より一層の拡大が見込まれる。また、海外展開についても視野に入れており、既にベトナムのHoa Saoに対する出資を2017年7月に完了し、今後も同様に有望な地域において案件を開拓していく方針である。伊藤忠グループのネットワークを活用し、成長が見込める案件に絞って検討する。国内向けサービスと同等の高度化したCRM事業をASEAN・韓国・台湾・中国等の海外に展開することで収益拡大を狙う方針である。
(3) 人材マネジメントの高度化:退職抑止、採用力強化、現場人材管理の精微化
人材マネジメントの高度化の戦略として、退職抑止、採用力強化、現場人材管理の精微化を挙げているが、今期は特に新人事制度の実現に重点を置いている。
同社では、退職抑止や採用力強化への継続的な取り組みを実施しており、人事制度改定第1弾として、改正労働契約法で定められた無期雇用化までの5年間を待たずに、継続雇用期間6ヶ月を経過したコールセンターの現場管理者やスタッフ等の有期雇用社員約22,000人に対して、2017年10月より順次無期雇用化を開始しており、現状、3割程度が移行済である。また、本年12月には新たな評価制度や職位の導入といった人事制度改定第2弾予定しており、既にフィージビリティスタディを完了している。
加えて、2019年2月期第2四半期には、以下の諸施策を実現した。まず、北海道下川町、久遠チョコレートと「SDGs(持続可能な開発目標)の推進と持続可能な地域づくりに関する連携協定」を締結した。久遠チョコレートは愛知県内外で多数の障害者が働く事業モデルとして注目を集めている。同社を含む3者で、廃校を利用して障害者雇用のできるチョコレート製造事業に取り組む方針だ。今回の協定は同社のCSR取り組みの一環としても評価できよう。
また、中期経営計画における「人材マネジメントの高度化」の施策等が評価され、日本政策投資銀行より、コールセンター業界初の「DBJ健康経営格付」を取得した。昨年度導入した就業者支援AI-Chat「AI-Chat for Staff」は、シフト、休暇、勤務時間の照会に加え、様々な意見や要望の収集等に活用されている。さらに、従来の採用基準に満たないスキル不足の人材を採用し、就業支援することで即戦力化する就業支援施設「SUDAchi(すだち)」を池袋のコールセンター拠点内に開設し、パソコン等のスキル不足の求職者や多言語コールセンターでの勤務を希望する外国人求職者等に対応している。今後は、全国で同様の施設を展開する予定である。
3. 投資計画
同社は、2017年からの5年間で100億円以上の追加投資を新しい領域に対して積極的に行っていく予定である。投資先は、高効率なオペレーションモデルを提供するためのAIやオートメーションを中心としたテクノロジー領域と、人材戦略及び海外事業などの領域だ。従来の投資額は年間30億円程度であったが、これが拡大する見込みである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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