604円
レアジョブのニュース
■市場環境と成長戦略
2. 中期事業戦略
レアジョブ<6096>は今後の成長戦略として、主力事業である英語関連事業の成長だけでなく、人材を取り巻く市場環境とニーズの変化に応えていくため、データをテコにして新規事業としてグローバルリーダー育成事業、キャリア関連事業を展開していくことで、更なる事業拡大を目指している。
(1) 英語関連事業
a) AIの活用で学習効果を向上
英語関連事業では、テクノロジーを用いて学習効率の向上と個別最適化できる仕組みを構築することで、誰でも英語が話せるようになる「成果」の提供を目指していく。学習成果は、「学習効率」×「学習の量」によって決まるが、AIやビッグデータ解析等のテクノロジーを活用していくことで、個別最適化による効率の改善や、動機付けによる量の向上を目指す取り組みを進めている。
一般的な学習の流れでは、アセスメント(個人の状態を正確に評価)を行い、アセスメント結果に基づいてレコメンド(個人に適した学習プラン/コンテンツを推奨)した後に、学習サービスを提供する。このうち、アセスメントではスピーキングテストの採点自動化への取り組みを進めている。現在は、人が採点しているため、人的リソースに依存しているが、今後、AI技術によって採点の自動化が実現すれば、採点期間の短縮による学習サイクルの効率化が図られるほか、採点コストの大幅圧縮による価格競争力の向上により、大規模な受検者向けにもサービス提供が可能となる。現在、CEFR-Jに準拠したスピーキングテストの自動採点システムを開発中で、2020年度の実用化を目指している。
また、レコメンドに関しても膨大な個人データをもとに分析して抽出された最適なプランの提案を行うシステムを開発している。学習コンテンツの提供では、既存の「レアジョブ英会話」のほか、米EdTech企業のVoxy, Inc.と提携を発表し、英語学習サービス「Voxy」※に対応したビジネス英会話総合学習トレーニング「サーキットトレーニング」を開発、2019年10月より法人向け限定でβ版サービスとして試験提供を開始している。「サーキットトレーニング」はインプット学習とアウトプット(オンラインレッスン)を完全に連動させたトレーニングサービスとなる。今回はビジネスシーンに特化したトレーニングで初級者を対象としたサービスとなっている。今後の予定は試験提供による効果検証を踏まえて決定していくことにしている。
※「Voxy」は世界150ヶ国、400万人以上が利用する英語学習サービスで、AIが学習者のレベルや回答内容を分析して、個別最適化された学習プログラムを作成、提供するサービスとなる。
b) 基本戦略
基本戦略として、英語関連事業の売上高を年率2ケタ増で伸ばしていくほか、法人向け成果保証型サービス「スマートメソッド®コース」の販売にも注力していく。これまでは英語を話す「機会」の提供で事業を拡大してきたが、今後は「成果」を提供していくことで付加価値を高め売上成長を加速させていく。まだ、「スマートメソッド®コース」は先行投資段階のため利益率は低いものの、受講者数が一定水準を超えてくれば利益率の向上も見込まれる。なぜなら一定水準を超えるまでは運用体制の構築・安定化のための先行投資負担や、スキルの高い専任講師や専任の日本人コンサルタントの固定費負担が重いためだ。
また、他社プロダクトとの連携等も進めながら学習コンテンツを拡充し、英語学習のプラットフォーム化を推進するとともに、スピーキングテストの自動採点化にも注力していく。
c) 業績目標
2020年3月期からスタートした3ヶ年の業績目標の中で、同社は2022年3月期における目標値として売上高62.3億円、営業利益7.0億円とし、利益の額※については5.0億円を掲げている。売上高は個人向け、法人・教育機関向けともに2ケタ成長が続く前提で、新規事業となるグローバルリーダー育成事業やキャリア関連事業の数値は織り込んでいない。営業利益率は増収効果で上昇し、2022年3月期には11.2%と2019年3月期の水準4.9%から2倍に上昇することになる。
※東証1部指定の形式要件の1つである、連結経常利益に少数株主損益を加減した利益の額。
2020年3月期の業績については個人向けを中心に「レアジョブ英会話」の受講者数が順調に推移し、売上高で45.0億円、営業利益で4.0億円に上方修正を発表しており順調な滑り出しを見せている。
(2) 事業領域の拡大
a) 事業領域拡大の背景
同社は事業領域を英語関連事業から、グローバルリーダー育成事業、キャリア関連事業へと広げていく方針を打ち出している。この背景としては、社会環境の変化によって英語だけでなく、グローバルに活躍するために必要なスキル習得のニーズが拡大しており、また、同社の顧客にもそのニーズが見込まれるため、シナジー効果が期待できることが挙げられる。同社の個人会員の英語学習の目的は、仕事で活躍することであり、「レアジョブ英会話」だけではそうしたニーズの一部しか応えきれていないこと、法人会員も同様で、英語以外の研修ニーズがあるにもかかわらず、現状は実施されていないケースが多く、こうした潜在的なニーズを、業務提携やM&Aも活用しながら取り込んでいく戦略だ。さらに、同社の個人会員には英語やグローバルに活躍するために必要なスキルを身に付け、その後活躍する場や機会に対するニーズもある。一方で、法人顧客にはそのようなスキルを身に付けている人材の採用ニーズがあり、これらをマッチングするキャリア関連事業についても、今後業務提携やM&Aも活用しながら取り組む準備を進めている。
b) グローバルリーダー育成事業
グローバルリーダー育成事業では、「グローバルに活躍するために必要なスキル・経験の獲得」を付加価値として提供していく。具体的な取り組みとしては、パソナグループ<2168>で対面型の人材研修事業を展開するキャプラン(株)と2019年11月に業務提携を発表している。今後、両社のノウハウを融合して顧客ごとのニーズに合わせて、アセスメントから、必要となるグローバルリーダー育成トレーニングをプログラム化してサービス提供する。例えば、同社のサービスとしては、「レアジョブ英会話」のほか、「スマートメソッド®コース」、海外留学プログラム、学習カウンセリングなどから顧客ニーズにあわせて必要なサービスを組み合わせた研修プログラムを提供する。また、アセスメントから研修プログラムの結果までをデータ化し、データに基づくグローバルリーダーの育成実現を目指していく。
また、グローバル水準の先進的なプログラムの開発を進めるべく、2019年4月にシンガポールの英会話学校、Geos Language Centre Pte Ltd.を完全子会社化し、R&D拠点の1つとしている。その他にも、人材研修企業のM&Aや業務提携なども引き続き検討を進めている。
c) キャリア関連事業
キャリア関連事業では、「グローバルに活躍する機会と、適切な人材のマッチング」を付加価値として提供していく。「レアジョブ英会話」やグローバルリーダー育成事業によって英語やグローバルに活躍するために必要なスキルを身に付けた会員に対して、その「出口」となる活躍の場を提供する。また、同社の法人顧客に対して、そのようなスキルを身に付けた人材の採用を支援する。法人顧客の人材に対するニーズは、研修により社員を育成し、既存社員の能力を高めるニーズと、社外から優秀な人材を採用するニーズと両面があるからだ。特に英会話スキルを採用条件とする企業においては、判断基準としてTOEICやTOEFL等の資格試験を参考にする企業が多いが、同社が保有する個人の学習データなどを活用することで、より顧客企業のニーズにマッチした人材を紹介していくことが可能と見ている。2019年10月よりレアジョブキャリア準備室を新設し、テストサービスを開始しているほか、今後の本格的な事業拡大に向けて人材紹介の運営ノウハウを持つ企業等を対象にM&Aやアライアンスなどを進めていく考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 中期事業戦略
レアジョブ<6096>は今後の成長戦略として、主力事業である英語関連事業の成長だけでなく、人材を取り巻く市場環境とニーズの変化に応えていくため、データをテコにして新規事業としてグローバルリーダー育成事業、キャリア関連事業を展開していくことで、更なる事業拡大を目指している。
(1) 英語関連事業
a) AIの活用で学習効果を向上
英語関連事業では、テクノロジーを用いて学習効率の向上と個別最適化できる仕組みを構築することで、誰でも英語が話せるようになる「成果」の提供を目指していく。学習成果は、「学習効率」×「学習の量」によって決まるが、AIやビッグデータ解析等のテクノロジーを活用していくことで、個別最適化による効率の改善や、動機付けによる量の向上を目指す取り組みを進めている。
一般的な学習の流れでは、アセスメント(個人の状態を正確に評価)を行い、アセスメント結果に基づいてレコメンド(個人に適した学習プラン/コンテンツを推奨)した後に、学習サービスを提供する。このうち、アセスメントではスピーキングテストの採点自動化への取り組みを進めている。現在は、人が採点しているため、人的リソースに依存しているが、今後、AI技術によって採点の自動化が実現すれば、採点期間の短縮による学習サイクルの効率化が図られるほか、採点コストの大幅圧縮による価格競争力の向上により、大規模な受検者向けにもサービス提供が可能となる。現在、CEFR-Jに準拠したスピーキングテストの自動採点システムを開発中で、2020年度の実用化を目指している。
また、レコメンドに関しても膨大な個人データをもとに分析して抽出された最適なプランの提案を行うシステムを開発している。学習コンテンツの提供では、既存の「レアジョブ英会話」のほか、米EdTech企業のVoxy, Inc.と提携を発表し、英語学習サービス「Voxy」※に対応したビジネス英会話総合学習トレーニング「サーキットトレーニング」を開発、2019年10月より法人向け限定でβ版サービスとして試験提供を開始している。「サーキットトレーニング」はインプット学習とアウトプット(オンラインレッスン)を完全に連動させたトレーニングサービスとなる。今回はビジネスシーンに特化したトレーニングで初級者を対象としたサービスとなっている。今後の予定は試験提供による効果検証を踏まえて決定していくことにしている。
※「Voxy」は世界150ヶ国、400万人以上が利用する英語学習サービスで、AIが学習者のレベルや回答内容を分析して、個別最適化された学習プログラムを作成、提供するサービスとなる。
b) 基本戦略
基本戦略として、英語関連事業の売上高を年率2ケタ増で伸ばしていくほか、法人向け成果保証型サービス「スマートメソッド®コース」の販売にも注力していく。これまでは英語を話す「機会」の提供で事業を拡大してきたが、今後は「成果」を提供していくことで付加価値を高め売上成長を加速させていく。まだ、「スマートメソッド®コース」は先行投資段階のため利益率は低いものの、受講者数が一定水準を超えてくれば利益率の向上も見込まれる。なぜなら一定水準を超えるまでは運用体制の構築・安定化のための先行投資負担や、スキルの高い専任講師や専任の日本人コンサルタントの固定費負担が重いためだ。
また、他社プロダクトとの連携等も進めながら学習コンテンツを拡充し、英語学習のプラットフォーム化を推進するとともに、スピーキングテストの自動採点化にも注力していく。
c) 業績目標
2020年3月期からスタートした3ヶ年の業績目標の中で、同社は2022年3月期における目標値として売上高62.3億円、営業利益7.0億円とし、利益の額※については5.0億円を掲げている。売上高は個人向け、法人・教育機関向けともに2ケタ成長が続く前提で、新規事業となるグローバルリーダー育成事業やキャリア関連事業の数値は織り込んでいない。営業利益率は増収効果で上昇し、2022年3月期には11.2%と2019年3月期の水準4.9%から2倍に上昇することになる。
※東証1部指定の形式要件の1つである、連結経常利益に少数株主損益を加減した利益の額。
2020年3月期の業績については個人向けを中心に「レアジョブ英会話」の受講者数が順調に推移し、売上高で45.0億円、営業利益で4.0億円に上方修正を発表しており順調な滑り出しを見せている。
(2) 事業領域の拡大
a) 事業領域拡大の背景
同社は事業領域を英語関連事業から、グローバルリーダー育成事業、キャリア関連事業へと広げていく方針を打ち出している。この背景としては、社会環境の変化によって英語だけでなく、グローバルに活躍するために必要なスキル習得のニーズが拡大しており、また、同社の顧客にもそのニーズが見込まれるため、シナジー効果が期待できることが挙げられる。同社の個人会員の英語学習の目的は、仕事で活躍することであり、「レアジョブ英会話」だけではそうしたニーズの一部しか応えきれていないこと、法人会員も同様で、英語以外の研修ニーズがあるにもかかわらず、現状は実施されていないケースが多く、こうした潜在的なニーズを、業務提携やM&Aも活用しながら取り込んでいく戦略だ。さらに、同社の個人会員には英語やグローバルに活躍するために必要なスキルを身に付け、その後活躍する場や機会に対するニーズもある。一方で、法人顧客にはそのようなスキルを身に付けている人材の採用ニーズがあり、これらをマッチングするキャリア関連事業についても、今後業務提携やM&Aも活用しながら取り組む準備を進めている。
b) グローバルリーダー育成事業
グローバルリーダー育成事業では、「グローバルに活躍するために必要なスキル・経験の獲得」を付加価値として提供していく。具体的な取り組みとしては、パソナグループ<2168>で対面型の人材研修事業を展開するキャプラン(株)と2019年11月に業務提携を発表している。今後、両社のノウハウを融合して顧客ごとのニーズに合わせて、アセスメントから、必要となるグローバルリーダー育成トレーニングをプログラム化してサービス提供する。例えば、同社のサービスとしては、「レアジョブ英会話」のほか、「スマートメソッド®コース」、海外留学プログラム、学習カウンセリングなどから顧客ニーズにあわせて必要なサービスを組み合わせた研修プログラムを提供する。また、アセスメントから研修プログラムの結果までをデータ化し、データに基づくグローバルリーダーの育成実現を目指していく。
また、グローバル水準の先進的なプログラムの開発を進めるべく、2019年4月にシンガポールの英会話学校、Geos Language Centre Pte Ltd.を完全子会社化し、R&D拠点の1つとしている。その他にも、人材研修企業のM&Aや業務提携なども引き続き検討を進めている。
c) キャリア関連事業
キャリア関連事業では、「グローバルに活躍する機会と、適切な人材のマッチング」を付加価値として提供していく。「レアジョブ英会話」やグローバルリーダー育成事業によって英語やグローバルに活躍するために必要なスキルを身に付けた会員に対して、その「出口」となる活躍の場を提供する。また、同社の法人顧客に対して、そのようなスキルを身に付けた人材の採用を支援する。法人顧客の人材に対するニーズは、研修により社員を育成し、既存社員の能力を高めるニーズと、社外から優秀な人材を採用するニーズと両面があるからだ。特に英会話スキルを採用条件とする企業においては、判断基準としてTOEICやTOEFL等の資格試験を参考にする企業が多いが、同社が保有する個人の学習データなどを活用することで、より顧客企業のニーズにマッチした人材を紹介していくことが可能と見ている。2019年10月よりレアジョブキャリア準備室を新設し、テストサービスを開始しているほか、今後の本格的な事業拡大に向けて人材紹介の運営ノウハウを持つ企業等を対象にM&Aやアライアンスなどを進めていく考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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