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―「子育て支援」より「婚姻率向上」が重要、出会いは「見合い」「ネット」の時代へ―
石破茂政権が誕生し、改めて 少子化対策への関心が高まっている。石破首相は所信表明演説で「少子化とその結果生じる人口減少は、国の根幹にかかわる課題、いわば『静かな有事』」と述べ、少子化対策を柱の一つに掲げた。
これまで少子化対策といえば 「子育て支援」に重心があったが、自民党総裁選時の討論会で石破首相は、「少子化の本質は、母が少ない『少母化』にある」とし、「どうやって結婚を増やしていくかが本質」と述べたことから、婚姻率の向上を図る施策が進められる可能性も十分にある。婚活関連銘柄には改めて注目が必要だろう。
●深刻度が増す「少子化」
厚生労働省が今年6月5日に発表した2023年の「人口動態統計」によると、1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率は22年に比べて0.06ポイント低下して1.20となり、1947年に統計を取り始めて以降の最低を更新した。特に最も低かった東京都では0.99と初めて「1」を下回り、出生率の低下のニュースに慣れてしまった人々の間でも衝撃をもって受け止められた。
出生率の低下の要因は、未婚化や晩婚化だけではなく、若者の結婚や出産に関する考え方の変化、育児や家事に対する女性の負担が大きいことや育児に対する経済的負担が大きいことなどが挙げられている。これに対して、政府の対策は児童手当の拡充など「子育て支援」に重心が置かれているのが現状だ。
●婚姻率の減少が少子化の大きな要因
社会保障・人口問題研究所が2023年8月に発表した「出生動向基本調査」によると、夫婦1組当たりの平均出生子ども数に相当する「完結出生児数」は、1977年の2.19人から2002年ころまで2.2人前後で安定的に推移していたが、05年から減少し21年は1.90人と77年の87%の水準にある。一方、出生率はこの間低下を続け、1.80から1.30となっている。夫婦1組の出生子ども数が大きく減っていないにもかかわらず、出生率の低下が大きいのは、そもそも未婚率が増えているからだとの見方はここからきている。
完結出生児数と同じスパンで婚姻率(人口1000人当たり)をみると、77年は7.2、21年は4.1となり57%の水準に落ち込んでおり、出生率の低下に比例している。23年は更に低下し3.9と、過去最低を更新した。また婚姻件数は、第1次ベビーブーム(1947~49年)世代が20代前半の年齢を迎えた72年の109万9984組をピークに減少傾向にあり、23年は47万4717組とピーク時の半分以下となって同じく過去最低を更新している。
●出会いのきっかけが変化
婚姻率は過去最低を記録しているものの、結婚を「したい」人が少なくなっているわけではない。21年度内閣府委託調査「人生100年時代における結婚・仕事・収入に関する調査」によると、独身者(結婚経験がない人)で今後の結婚について「結婚意思あり」としたのは20代では女性64.6%、男性54.4%、30代では女性男性ともに46.4%と高かった。
一方、前述の出生動向基本調査によると、夫と妻が知り合ったきっかけの構成をみると、これまで上位を占めてきた「職場や仕事で」の割合が、前回調査の28.2%から21.4%に減少。その代わり「見合い結婚」の割合は6.4%から9.0%へ、「ネットで」は6.0%から13.6%に上昇しており、結婚までの過程が変化していることが見て取れる。したがって、関連銘柄もこうした「出会い」の変化に対応したものを選びたい。
●「婚活」関連銘柄は
IBJ <6071> [東証P]は、日本最大級の結婚相談所ネットワークを運営するほか、直営結婚相談所や結婚相談所「ツヴァイ」「サンマリエ」の展開、婚活アプリ「ブライダルネット」「ユーブライド」の運営などさまざまな婚活サービスを手掛けており、婚活のリーディングカンパニーといえる。23年12月にはオーネット(東京都中央区)と資本提携を伴う業務提携を締結し、ツヴァイ、サンマリエ、オーネットの旧結婚情報大手3社をプラットフォームで連携させ、更なる事業拡大を狙っている。また行政や自治体などと連携し、少子化対策や地域活性化を目指した行政・自治体向け結婚支援サービスも手掛けており、全国で約130件の結婚支援セミナーやイベントを受託開催している。
リクルートホールディングス <6098> [東証P]は、傘下のリクルートが独自のお見合い機能もある婚活アプリ「ゼクシィ縁結び」を運営するほか、結婚相談所「ゼクシィ縁結びエージェント」を展開している。自治体との連携にも注力しており、兵庫県姫路市や群馬県昭和村などで入会金や月会費の支援を実施。今後も全国の自治体との連携を更に進める方針だ。
タメニー <6181> [東証G]は、結婚相談所「パートナーエージェント」をはじめ、オンライン結婚相談所「パートナーエージェントApp」、マッチングアプリ「スマ婚デート」などを展開する。婚活支援に取り組む自治体に対して、独自に開発したAIを活用した婚活支援システム「パームス」をはじめとしたトータルソリューションを提供しており、受託実績を順調に積み上げている。
サイバーエージェント <4751> [東証P]は、子会社タップルが国内最大規模の恋活・婚活マッチングアプリ「タップル」を運営する。佐賀県有田町や東京都江戸川区、富山県氷見市などの自治体と連携を進めており、恋愛気運の醸成やマッチングアプリの適正利用の促進を図っている。
リンクバル <6046> [東証G]は、街コンをはじめとする婚活イベント情報を掲載する国内最大級のイベントECサイト「街コンジャパン」を主力に、恋活・婚活マッチングアプリ「カップリンク」などを運営。自治体や地方企業などに婚活支援を目的とした「街コンモデル」を提供しており、多くの自治体の婚活支援パートナーとなっている。
バンク・オブ・イノベーション <4393> [東証G]は、ゲーム恋活アプリ「恋庭」を運営している。「ゲームをしていたら、恋人ができた」という体験ができる次世代マッチングアプリで、会社側によると、8割以上のユーザーが3日以内にマッチング成立し、実際に会った人の2.3人に1人が婚約・結婚、交際に至っているという。
雨風太陽 <5616> [東証G]は10月1日、新たに地方婚活支援事業として、結婚相談所「ちほ婚!」を開設すると発表した。同社の産地直送サービス「ポケットマルシェ」登録生産者約8300人や、そのつながりを契機に地方在住会員を拡大するほか、Webメディアを通じて「地方婚」の魅力を発信し、都市在住の会員獲得も目指す。同社の自治体向けサービスに婚活支援を加えることで、地方自治体に対するソリューションの提供を行うとしている。
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