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イードのニュース
■業績動向
1. 2021年6月期の業績概要
イード<6038>の2021年6月期の連結業績は、売上高で前期比2.7%増の5,407百万円、営業利益で同44.1%増の454百万円、経常利益で同67.2%増の464百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同346.5%増の464百万円となった。売上高・営業利益は4期連続の増収増益となり、売上高に関しては過去最高を連続更新した。絵本ナビが第3四半期以降に連結子会社から外れたことで3億円強の減収要因となったものの、ネット広告収入が前下期を底に回復傾向に転じたほか、巣ごもり需要を背景にEC物販が好調に推移したこと、2020年2月に事業取得した「アニメディア」関連事業の売上が通年で寄与し、出版ビジネスが好調に推移したことにより増収となった。また利益面では、増収効果に加えて販管費が前期比で37百万円減少したことも増益要因となった。2021年1月に本社を移転したことにより賃借料が減少したほか、テレワークの推進により交通費等も減少した。
営業外収支は前期比47百万円改善した。為替差損益が26百万円改善したほか、持分法投資損失が21百万円縮小したことが主な要因だ。また、特別利益として絵本ナビの株式売却益418百万円を計上した一方、特別損失として減損損失219百万円、本社移転費用39百万円、投資有価証券評価損37百万円を計上した。減損損失は、M&Aで事業譲受した一部のメディアの収益が新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)で低迷が続いており、今回のれん部分について減損処理を実施したことによる。
(1) CMP事業
CMP事業の売上高は前期比5.5%増の4,676百万円、営業利益は同43.1%増の379百万円と4期連続増収、2期ぶりの増益に転じた。また、営業利益率も同2.1ポイント上昇の8.1%となった。新規に取得したメディアとしては、2020年10月にプロトコーポレーション<4298>から事業譲受した趣味・習い事の教室検索サイト「グースクール」、(株)Adolescenceが運営する婚活関連サービスの情報メディア「Marriage Consultant」のほか、スマートフォンに関する情報メディア「すまアレ」、食事宅配・食材宅配の情報メディア「デリ食ナビ」及び「食事宅配ライフ」の5サイトとなり、自社開発メディアとして、モビリティ・スマートシティビジネス関連の会員制メディア「mirai.Response」を2021年1月に立ち上げた。運営サイト数は前期末比5サイト増加の70サイトとなる。また、2020年6月末に子会社化したマイケルが運営する自動車愛好家向けコミュニティサイト「CARTUNE」や、2020年2月に事業取得した「アニメディア」関連事業についても増収要因となっている。
運営Webサイト全体の月平均UU数は運営サイト数の増加により、前期比3.4%増の54百万UUと拡大したものの、月平均PV数は同0.7%減の167百万PVと若干減少した。テレワークの普及により会社員が通勤する機会が減少したこともあり、主力メディアでビジネスユースのアクセスが多い「Response」のPV数が落ち込んだことが主因だ。また、広告単価については、期の前半に企業の広告出稿意欲が低調だったことから低迷していたが、後半以降は緩やかながら上昇に転じている。この結果、ネット広告売上高も上期は減収だったものの、下期に盛り返し通期では前期比4.1%増の1,846百万円となった。
また、データ・コンテンツ提供売上高(EC物販含む)は、前期比5.3%減の1,849百万円となった。絵本ナビが子会社から外れた影響で2.5億円程度の減収要因となっており、同要因を除けば5%近い増収であった。巣ごもり需要の拡大を追い風に、子会社(エンファクトリー、ネットショップ総研)で手掛けるEC物販売上が伸長した。出版ビジネスについても、2020年2月に学研プラスから取得した「アニメディア」関連事業が上乗せ要因となったほか、アニメ「鬼滅の刃」がブームになったこともあり、同72.7%増の682百万円と大幅増となった。一方、メディア・システム売上高は、オウンドメディア構築支援の新規案件が減少したことにより、前期比5.1%減の332百万円と低調に推移した。
営業利益の増減要因を見ると、売上増に伴う外注費や商品原価の増加で137百万円、人件費の増加で40百万円の減益要因となったが、売上高の増加243百万円とその他費用の減少48百万円で吸収して2ケタ増益となった。
(2) CMS事業
CMS事業の売上高は前期比12.3%減の730百万円、営業利益は同49.5%増の74百万円と減収増益となった。収益性重視の営業活動を推進したことにより、売上高はリサーチソリューションで同6.8%減の559百万円、ECソリューションで同27.9%減の192百万円とそれぞれ減少したものの、採算が改善したほかコスト抑制に取り組んだこともあり、利益は2期連続で増益となった。
資金はM&Aや新規事業開発など、さらなる成長投資に充当する方針
2. 財務状況
2021年6月期末の資産合計は、前期末比745百万円増加の4,724百万円となった。主な変動要因を見ると、流動資産では現金及び預金が913百万円増加した。一方、固定資産ではのれんが減損処理を実施したことにより、前期末の264百万円から67百万円に減少した。
一方、負債合計は前期末比265百万円増加の1,275百万円となった。有利子負債が208百万円増加したことが主因となっている。また、純資産合計は利益剰余金の増加等により前期末比479百万円増加の3,448百万円となった。
収益性を見ると、ROA、ROE、売上高営業利益率ともに2018年6月期以降は収益拡大とともに上昇傾向となっている。また、自己資本比率については70%台と高い水準で推移し、有利子負債も少なく財務の健全性は高い。積み上がった現金及び預金は、今後のM&Aや新規事業開発投資に充当していく方針となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>
1. 2021年6月期の業績概要
イード<6038>の2021年6月期の連結業績は、売上高で前期比2.7%増の5,407百万円、営業利益で同44.1%増の454百万円、経常利益で同67.2%増の464百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同346.5%増の464百万円となった。売上高・営業利益は4期連続の増収増益となり、売上高に関しては過去最高を連続更新した。絵本ナビが第3四半期以降に連結子会社から外れたことで3億円強の減収要因となったものの、ネット広告収入が前下期を底に回復傾向に転じたほか、巣ごもり需要を背景にEC物販が好調に推移したこと、2020年2月に事業取得した「アニメディア」関連事業の売上が通年で寄与し、出版ビジネスが好調に推移したことにより増収となった。また利益面では、増収効果に加えて販管費が前期比で37百万円減少したことも増益要因となった。2021年1月に本社を移転したことにより賃借料が減少したほか、テレワークの推進により交通費等も減少した。
営業外収支は前期比47百万円改善した。為替差損益が26百万円改善したほか、持分法投資損失が21百万円縮小したことが主な要因だ。また、特別利益として絵本ナビの株式売却益418百万円を計上した一方、特別損失として減損損失219百万円、本社移転費用39百万円、投資有価証券評価損37百万円を計上した。減損損失は、M&Aで事業譲受した一部のメディアの収益が新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)で低迷が続いており、今回のれん部分について減損処理を実施したことによる。
(1) CMP事業
CMP事業の売上高は前期比5.5%増の4,676百万円、営業利益は同43.1%増の379百万円と4期連続増収、2期ぶりの増益に転じた。また、営業利益率も同2.1ポイント上昇の8.1%となった。新規に取得したメディアとしては、2020年10月にプロトコーポレーション<4298>から事業譲受した趣味・習い事の教室検索サイト「グースクール」、(株)Adolescenceが運営する婚活関連サービスの情報メディア「Marriage Consultant」のほか、スマートフォンに関する情報メディア「すまアレ」、食事宅配・食材宅配の情報メディア「デリ食ナビ」及び「食事宅配ライフ」の5サイトとなり、自社開発メディアとして、モビリティ・スマートシティビジネス関連の会員制メディア「mirai.Response」を2021年1月に立ち上げた。運営サイト数は前期末比5サイト増加の70サイトとなる。また、2020年6月末に子会社化したマイケルが運営する自動車愛好家向けコミュニティサイト「CARTUNE」や、2020年2月に事業取得した「アニメディア」関連事業についても増収要因となっている。
運営Webサイト全体の月平均UU数は運営サイト数の増加により、前期比3.4%増の54百万UUと拡大したものの、月平均PV数は同0.7%減の167百万PVと若干減少した。テレワークの普及により会社員が通勤する機会が減少したこともあり、主力メディアでビジネスユースのアクセスが多い「Response」のPV数が落ち込んだことが主因だ。また、広告単価については、期の前半に企業の広告出稿意欲が低調だったことから低迷していたが、後半以降は緩やかながら上昇に転じている。この結果、ネット広告売上高も上期は減収だったものの、下期に盛り返し通期では前期比4.1%増の1,846百万円となった。
また、データ・コンテンツ提供売上高(EC物販含む)は、前期比5.3%減の1,849百万円となった。絵本ナビが子会社から外れた影響で2.5億円程度の減収要因となっており、同要因を除けば5%近い増収であった。巣ごもり需要の拡大を追い風に、子会社(エンファクトリー、ネットショップ総研)で手掛けるEC物販売上が伸長した。出版ビジネスについても、2020年2月に学研プラスから取得した「アニメディア」関連事業が上乗せ要因となったほか、アニメ「鬼滅の刃」がブームになったこともあり、同72.7%増の682百万円と大幅増となった。一方、メディア・システム売上高は、オウンドメディア構築支援の新規案件が減少したことにより、前期比5.1%減の332百万円と低調に推移した。
営業利益の増減要因を見ると、売上増に伴う外注費や商品原価の増加で137百万円、人件費の増加で40百万円の減益要因となったが、売上高の増加243百万円とその他費用の減少48百万円で吸収して2ケタ増益となった。
(2) CMS事業
CMS事業の売上高は前期比12.3%減の730百万円、営業利益は同49.5%増の74百万円と減収増益となった。収益性重視の営業活動を推進したことにより、売上高はリサーチソリューションで同6.8%減の559百万円、ECソリューションで同27.9%減の192百万円とそれぞれ減少したものの、採算が改善したほかコスト抑制に取り組んだこともあり、利益は2期連続で増益となった。
資金はM&Aや新規事業開発など、さらなる成長投資に充当する方針
2. 財務状況
2021年6月期末の資産合計は、前期末比745百万円増加の4,724百万円となった。主な変動要因を見ると、流動資産では現金及び預金が913百万円増加した。一方、固定資産ではのれんが減損処理を実施したことにより、前期末の264百万円から67百万円に減少した。
一方、負債合計は前期末比265百万円増加の1,275百万円となった。有利子負債が208百万円増加したことが主因となっている。また、純資産合計は利益剰余金の増加等により前期末比479百万円増加の3,448百万円となった。
収益性を見ると、ROA、ROE、売上高営業利益率ともに2018年6月期以降は収益拡大とともに上昇傾向となっている。また、自己資本比率については70%台と高い水準で推移し、有利子負債も少なく財務の健全性は高い。積み上がった現金及び預金は、今後のM&Aや新規事業開発投資に充当していく方針となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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