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アドバネクス Research Memo(1):2020年3月期上期中にハコモノ投資が終了し、収穫期に向かう

配信元:フィスコ
投稿:2019/01/09 15:31
■要約

アドバネクス<5998>は、精密ばねの大手専業メーカー。市場戦略として自動車、医療、インフラ・住設を重点分野とする。長いリードタイムを経て、2020年3月期以降の収穫期に向かう。

1. 2019年3月期第2四半期の業績概況
2019年3月期第2四半期の業績は、売上高が前年同期比4.2%増の10,488百万円、営業利益が同97.9%減の2百万円と大幅な減益となった。短期的な収益悪化要因は、米中貿易摩擦、材料費の高騰、インドネシア子会社のスクラップ売却の遅れがあった。中長期的な要因としては、工場新設やM&Aを計画どおり実施した一方、本格稼働の遅れと立ち上げコストの負担増が挙げられる。2019年3月期の通期予想は、売上高が前期比4.5%増の21,200百万円、営業利益で同61.5%減の100百万円へ下方修正された。

2. 自動車産業の構造的変化と同社のグローバル供給体制の状況
自動車産業では、汎用品を使用する割合が高まり、複数の自動車メーカーに製品を供給するTier1の自動車部品メーカーがメガサプライヤーと化している。同社は、メガサプライヤーに世界の複数拠点から精密ばね部品を供給するグローバルTier2サプライヤーを目指してグローバル供給体制の確立に邁進している。2019年6月の埼玉工場増設をもってハコモノ投資は終了し、国内6拠点、海外17拠点の生産ネットワークが完成する。総工場面積は、5年間で1.75倍の13万平米に拡張する。

自動車関連事業は、引合いから量産までのリードタイムが4~6年と長く、先行投資負担が重い。自動車専用の中核工場となる埼玉工場は、自動車産業向け品質マネジメントシステム規格が想定したものではなく、定義の変更や要求事項が倍増した新たな規格「IATF16949」の認証を2018年7月にようやく取得した。スマート工場を目指した同工場の評価は高く、パワーコントロールユニット、インバーター、バッテリーなど多くの次世代自動車基幹部品向けの供給が決まり、増設工事に着手している。自動車がEV化されると、同社の1台当たりの販売金額は従来車の1.25倍となる。グローバル供給体制が高く評価され、グローバルベースで発注窓口が一本化される傾向が出てきた。さらに、発注予定のアイテムを優先的に受注できる優先サプライヤー認定を目指す。

3. 新工場の早期収益化に関する施策
2018年3月期の黒字工場の営業利益の合算額は、中期経営計画の2021年3月期の目標値である12億円に相当する。2019年3月期までの3期間の業績低迷は、主に新規開設した若い工場の損失計上に起因している。既設の“未成年”工場の損失削減を進めると同時に、2019年に開設するインド工場とチェコ工場は賃貸の形態を採るなどの施策を講じている。また、欧州の自動車関連工場として計画したチェコ工場は、生産品目を他工場から移管することで自動車関連以外のものから始め、操業開始時期の仕事量を確保する。生産量に応じた段階的な設備拡張を行うなど、より柔軟な施策を取ることで新設工場の早期収益化を図る。

■Key Points
・メガサプライヤーに対応するグローバルTier2部品メーカー
・2019年3月期第2四半期は、新工場の立ち上がりコストなどで大幅減益
・EVや自動運転などの次世代自動車へのシフトは追い風

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)

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配信元: フィスコ

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