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ネツレン、IH技術で自動車、土木・建築など各業界に貢献 多数の国内シェアトップ製品を源泉に、安定した成長を実現

投稿:2024/03/19 15:00

個人投資家向け会社説明会

大宮克己氏:みなさま、こんにちは。ただ今ご紹介にあずかりました、ネツレン・高周波熱錬株式会社の大宮でございます。本日は、お寒い中、当社の会社説明会にご参加いただき、厚く御礼申し上げます。

まず、今年1月に発生した能登半島地震により犠牲となられた方々に謹んでお悔やみ申し上げますとともに、被災されたみなさまに心からお見舞い申し上げます。被災地域の1日も早い復旧、復興をお祈り申し上げます。

目次

それでは、高周波熱錬株式会社・ネツレングループの事業概要について、ご説明申し上げます。

本日のご説明内容は、ご覧のとおりでございます。

会社概要

ネツレングループの事業概要でございます。

当社は1946年、我が国で初めて誘導加熱技術、いわゆるIH技術の事業化・工業化に成功した企業です。このIH技術を中核として、事業を展開しております。

資本金は約64億円、従業員数は連結で1,638名で、東証プライム市場に上場させていただいております。

経営理念

当社の経営理念です。2007年に制定されました。

現在、企業に求められている数々の要求事項に対して、ほぼすべてを網羅した理念となっています。この理念のもと、地道に事業を展開しております。

国内・海外ネットワーク

国内ネットワークとしては、当社単体の拠点として、北は福島いわきから、南は岡山までの13拠点、グループ会社としては、北は山形から、南は北九州までの8社12拠点で事業展開しております。

海外ネットワークとしては、6ヶ国に、持分法適用会社を含め、16拠点を配しています。米国に4拠点、中国に6拠点、韓国に2拠点、インドネシアに2拠点、メキシコに1拠点、チェコに1拠点となっております。当社のIH技術をグローバルに展開する体制をとっております。

事業内容

事業内容でございます。IH技術を核として、2つの事業部にて展開しています。

左側の製品事業部関連事業では、建築・土木でお使いいただいているPC鋼棒関連製品、主に自動車のサスペンションばね用材料としての高強度ばね鋼線ITW、さらに一貫加工部品として、自動車用ステアリング部品である中空ラックバー、二輪部品であるフロントフォークインナーチューブ、建設機械用の旋回輪がございます。

右側のIH事業部関連事業では、自動車、建設機械、産業・工作機械における、部品の熱処理受託加工、さらに、高周波焼入設備をはじめとした誘導加熱装置の設計・製造・販売を行っております。

IH技術とは①

ここで簡単にIH技術についてご説明申し上げます。IH技術とは、日本語で「誘導加熱技術」と称しており、金属部品を自己発熱させる技術です。みなさまおなじみの「IHクッキングヒーター」や「IH炊飯ジャー」などに用いられている技術と同じです。

加熱コイルに高周波電流を流すことで、コイル内に磁場が発生します。こちらのスライドでは、交番磁束と称しております。その中に金属を入れると、「電磁誘導」という現象が起こり、金属表面に「うず電流」というものが発生します。

金属自体には、電気を流れにくくする電気抵抗を有しており、この抵抗により金属自身が自己発熱します。これがIH技術の原理となります。IHによる加熱エネルギーは電気だけで、加熱自身でのCO2排出量はゼロ、非接触で加熱が可能で、加熱したいところだけを加熱できる特徴をもっています。

ここで動画をご覧ください。

IH技術を使った熱処理とは①

この技術の必要部分だけを加熱できる特性を活かすことで、金属をステーキのような、レアからウェルダンまで加熱制御することができます。

また、加熱された金属を冷却することで、刀鍛冶が刀の焼入れ・焼戻しを行うように金属の機械的性能を向上させることが可能です。

写真の黒い部分が硬くなった部分で、グレーの部分が硬くしない部分です。外が硬く、中が柔らかい金属が出来上がることで、「強さ」と「しなやかさ」の両方をもつ金属製品が出来上がります。

金属部品の小型軽量化・高強度化・長寿命化を実現しており、産業ではなくてはならない技術となっております。

IH技術を使った熱処理とは②

IH技術を使用した熱処理については、産業界で一番多く使われている熱処理工法が棒グラフ一番左側にある「通常ガス浸炭」です。

「ガス浸炭」とはガスオーブンのようなイメージです。この工法では、加熱炉の中で熱処理を行うため、加熱炉の内部全体を1,000度近くまで温める必要があります。また、浸炭の工程では、金属の表面に炭素を浸み込ませるため、ガスを注入する必要もあります。

しかし、IH熱処理は加熱したいところだけを加熱し、ガスを必要とせず電気だけを使います。そのため、通常ガス浸炭の工法に比べ、当社比でCO2排出量が75パーセント以上削減できる特長があります。

身近にあるネツレンのIH技術

このIH技術を核とした事業を展開しておりますが、当社の製品、技術は、世の中でほとんど目に触れることはありません。

しかし意外にも、さまざまな産業界に貢献しており、身近に当社製品が使われております。主要なお客さまは、自動車、土木・建築、建設機械・産業工作機械の各業界です。

事業内容① (自動車関連)

事業内容をご紹介いたします。自動車関連では、高強度鋼材製品として、足回りに使用されているサスペンション用ばね鋼材の高強度ばね鋼線ITWや、ステアリング部品の中空ラックバーがあります。足回り部品やジョイント部品、トランスミッション用部品等の熱処理受託加工も行っております。

さらに、自動車メーカー各社、自動車部品メーカー各社向けに、誘導加熱設備の設計・製造・販売等も展開しています。

事業内容② (土木・建築関連)

建築関連では、高層・超高層鉄筋コンクリート造建築物、いわゆる高層マンションなどの柱や梁に使用されている高強度せん断補強筋があります。

最近の採用実績では、東京オリンピックの選手村の宿泊棟マンション「晴海フラッグ」3棟に採用されました。また、2023年秋に開業した複合ビル「麻布台ヒルズ」にも採用していただいております。

その他、構造物の基礎杭の補強として使用されている杭用異形PC鋼棒、さらに、耐震補強用として使用されるPC鋼棒等があります。

事業内容③ (土木・建築関連)

土木関連では、建造物の基礎になる基礎杭(コンクリートパイル)や電柱等に使用されているコンクリートポールの補強材として、異形PC鋼棒が使用されております。

直近では、九州で建設されている外資系半導体製造工場の基礎杭や、現在建設中の新東名高速道路の橋脚部分にも使用されています。

また、コンクリート製の地下共同溝や各新幹線・山手線などの在来線用コンクリート枕木等、世の中のコンクリート製品の補強材としてPC鋼棒が使用されています。

事業内容④ (建設機械関連)

建設機械関連では、高強度鋼材製品として、パワーシャベルの上部のアーム部分を旋回させるための旋回輪を供給しています。

また、足回り部品としては、スプロケット、アイドラー、リンク、シュー等の熱処理受託加工や建設機械メーカー向けの設備の製造・販売も展開しています。

事業内容⑤ (産業機械・大型特殊品関連)

熱処理受託加工については、大型部品も得意としております。

外径8メートルのトンネルマシン用歯車付旋回ベアリングや、重量50トンの製紙機械用大型ロール、船舶エンジンに使用される全長約4メートルの大型クランクシャフト等、幅広く対応が可能です。

ここまで大型の熱処理加工ができる会社は限られており、当社の大きな強みとなっております。

業界別 「売上高」 比率

業界別の売上高推移でございます。2023年度は、2022年度まで堅調に伸びていた工作機械、建設機械、建築関連の売上高が低下する見通しです。一方、低迷していた自動車関連は回復し、国内外ともに売上高比率が増加する見込みです。

製品別 市場シェア

主な製品の国内シェアです。IH熱処理受託加工業界では、その処理能力の高さから国内シェアの45パーセントを占めています。

高強度ばね鋼線ITWは、冷間成形ばね用材料として国内シェアの47パーセントを占めており、この製品は海外戦略製品の位置づけで、グローバルに展開をかけています。

建築土木業界においてはPC鋼棒・異形PC鋼棒が国内シェア35パーセント、建築業界で使用されている高強度せん断補強筋は、多くのメーカーが参入する中、国内シェア28パーセントを確保しています。

誘導加熱装置は28パーセントと国内シェア2位ですが、お客さまのニーズに即した新技術を随時投入しており、シェア拡大に向けて積極的に技術開発を行っています。

事業領域の 『沿革』

このように、当社はIH技術を核とし、事業領域を拡大し現在に至っています。1940年代に、誘導加熱を事業化し、1960年代に、この技術を使用した高強度鋼材の事業化、1980年代には、高強度鋼材の事業拡大を進め、2000年代に入り、さらに高い高付加価値製品の事業化を進めてまいりました。

連結 『売上高』 の推移

業績・株主還元について説明いたします。まずは連結売上高の推移でございます。

2020年度を底に、順調に売上高は増加しております。しかし、2023年度の売上高は、高騰するコストの価格転嫁は進んではいるものの、下期後半からの一部自動車メーカーの出荷停止の影響や下期から回復すると見込んでいた建築・土木関連の着工遅れや工事遅れ等の影響、さらに小型中型建設機械、工作機械関連の大幅減産などの影響を受け、前期比微増の581億円を予想しております。

ちなみに、この売上高581億円は、当社グループ過去最高の売上高となります。

連結 『営業利益』・連結営業利益率の推移

連結営業利益・連結営業利益率の推移でございます。2023年度の連結営業利益は、17億円を予想しております。

先ほどご説明しましたとおり、回復を見込んでおりました自動車関連における出荷停止の影響、建築土木関連の需要回復遅れ、小型中型建設機械、工作機械関連の減産により、販売量が大幅に減少し、労務費などの固定費負担が収益を圧迫しております。

引き続き、コスト上昇分の販売価格への転嫁、より一層の原価低減活動を推進し、1円でも収益を上積みするべく事業運営を進めているところでございます。

配当の推移

株主還元の充実としまして、2023年度より配当政策を変更したしました。これまでの、「DOE(自己資本配当率)1.5パーセントを下限とし、連結配当性向40パーセント以上を目処とする」という方針から、DOE(自己資本配当率)へ一本化し、「DOE3.0パーセント以上」としております。

2024年3月期の中間配当より実施いたしており、2023年度の年間配当は、48円を予定いたしております。

株主還元

株主優待として、当社オリジナルQUOカードをご用意しております。それと同時に、協賛募金制度として「緑の募金」も進めております。

これは株主さま1名につき、当社より100円を寄付するというものです。昨年12月には、林野庁長官から感謝状をいただいております。今後も微力ではございますが、緑化事業支援を継続してまいります。

自己株式の取得/消却

機動的な資本政策を遂行するため、自己株式の取得を進めております。直近では、昨年5月から12月にかけ、発行済株式総数の7.2パーセントにあたる、約154万株の取得を行い、2024年2月に消却を実施いたしました。

今後の株主還元につきましては、キャッシュインや投資計画を踏まえ、最適資本構成を念頭に、実行してまいります。

NETUREN VISION 2030

将来に向けた成長戦略の一部をご説明いたします。

当社は2021年に、2030年に向けた「NETUREN VISION 2030」を策定しております。さらにこのビジョン達成に向け、「第15次中期経営計画」を策定し、計画に沿って事業運営を展開するとともに、来年度から開始する「第16次中期経営計画」を策定中でございます。

環境にやさしいIH技術を広く展開することで、省資源・省エネルギー・CO2 削減に貢献し、スピード感をもった技術開発を進め、さらに多くの新商品・新技術を世の中に送り出し、そして多くのステークホルダーのみなさまに当社を評価していただくという考え方をベースに「NETUREN VISION 2030」は組み立てられております。

現在、当社の若手社員たちによる、ビジョン浸透活動が全社で展開されており、グループ全員でビジョン達成に向けた意識改革を進めております。

第15次中期経営計画の進捗①

今年度が最終年度であります「第15次中期経営計画」でございます。「NETUREN VISION 2030」達成に向けた第1フェーズととらえ、策定いたしました。

スローガンは「Change!! New NETUREN 2023」で、趣旨は「変わろう、変えよう、進化しよう。グループの総智・総力を結集して、新しいネツレンを創り上げよう」としております。

第15次中期経営計画の進捗②

本中期経営計画では、ご覧の基本方針のもと、4つの戦略を設定し、活動を推進しております。先ほどからご説明いたしておりますとおり、2023年度は、非常に厳しい事業環境であり、目標数値を修正せざるを得ませんでした。

現在、この実績予想数値達成に向けまして、販売量の上積み、機能本部を巻き込んだ原価低減活動の強力な推進を展開し、さらに市場の活発な海外拠点の拡充を進めております。

第15次中期経営計画の進捗③

「第1の戦略」であります、収益基盤の確立に関しましては、既存製品の適用拡大や、グループ会社への増産投資、新規部品への展開、新型電源の拡販に取り組んでおります。厳しい事業環境ではありますが、売上高の拡大、収益確保につなげており、収益基盤は確実に強化されつつあります。

「第2の戦略」であります、情報展開力の向上に関しましては、6つのアイテムを進めております。デジタル化の有効性を全従業員に認識してもらい、情報展開の早期化に向けた業務改革への足がかりができつつあります。

第15次中期経営計画の進捗④

「第3の戦略」であります、CO2削減に関しましては、尼崎工場、神戸工場に設置した太陽光発電システムの効果もあり、CO2排出量原単位も、順調に削減されております。2024年度には、岡山工場で太陽光発電システムを導入、2025年度には、いわき工場、2026年度には、尼崎・神戸工場での増設を計画いたしております。 「第4の戦略」であります、グローバル人財の輩出に関しましては、全社QCサークル発表大会でのグループ会社からの参加、目視測温大会で初めて女性社員が優勝、海外渉外担当に女性社員を起用するなど、多様な人財育成が進んでおります。

さらに、社長と従業員とのコミュニケーション促進としまして、「社長診断」と称する従業員懇談会を、全拠点で実施いたしております。総勢212名の従業員と建設的な対話を実施いたしました。

引き続き、キラリと光る人財の育成を進めてまいります。

第15次中期経営計画の進捗⑤ 目指すべきバランスシート

第15次中期経営計画および「NETUREN VISION 2030」に向けた、目指すべきバランスシートを示させていただきます。

事業リスクを勘案しつつ、大胆に資金を成長分野・戦略投資に配分、事業ポートフォリオを見直し、資産効率の改善を進め、純資産、自己資本をコントロールしながら、目指すべきバランスシートを実現してまいります。

成長分野、戦略投資に配分する資金につきましては、状況に応じて柔軟な資金調達を進めることしております。

自己資本比率につきましては、当面60パーセントから65パーセント程度を目指し、時期にこだわらず、前倒しで進めていきたいと考えております。株主還元につきましても、これからも積極的に継続してまいります。

第15次中期経営計画の進捗⑥ キャピタルアロケーション

第15次中期経営計画のキャピタルアロケーションでございます。2023年9月末現在の予想額も載せております。

左の数値が計画、右のピンクの数値が予想額となっています。今後の成長に向け、従来の定常投資から戦略投資に資金をシフトしているところです。

株主還元として、自己株式取得は計画どおり、30億円を実行し、配当に関しましても、2023年度に配当政策を変更しましたことから、41億円になる見通しです。

次期中期経営計画につきましても、キャピタルアロケーションを作成し、計画に沿った資金活用を進めてまいります。

成長戦略① グローバル事業拡大~ITWのグローバル展開

成長戦略の一部をご紹介いたします。高強度ばね鋼線ITWのグローバル展開の状況でございます。本製品は、当社のグローバル製品と位置づけており、各拠点にて精力的に拡販活動を進めております。

日本では、お客さまの挽回生産への対応を進めております。さらに、マザー工場として生産能力1.5倍への取り組みを継続し、その技術を各拠点と共有する体制を取っております。

中国におきましては、中国国内景気を横睨みしつつ、EV車メーカーを含む中国国内新規顧客の獲得を進めるとともに、ASEANを中心とした、海外顧客への拡販を進めております。

北米では、第2次増設を展開中で今月より量産を開始します。また現在、日本と協業し線材の新たな用途に向けた試作試験を進めております。

欧州では、徐々に主要なお客さまからの受注が増加してきており、アフター市場も回復の兆しが見え始めております。さらに欧州での認知度向上に向けて、来月4月には、ドイツで開催される「国際ワイヤー産業展」に出展いたします。本製品はさらに成長すると見込んでおり、次の拠点進出に向けて議論を進めております。

成長戦略② グローバル事業拡大~アセアン・中米生産体制強化 IH事業部

熱処理受託加工のグローバル拡大でございます。当社の高い技術力、品質保障力を背景に、インドネシア、メキシコ、アメリカの各拠点にて、自動車用軸受部品を中心に熱処理受託加工への引き合いや受注が増加しております。

インドネシアでは、2021年から自動車用軸受部品量産を開始し、2023年上期には2号機を増設しております。さらに2025年の増産対応依頼を受けまして、3号機の増設と工場増築を進めているところです。

メキシコでは、2022年8月より新規品番の量産を開始しており、今年立ち上げ予定の新たな品番の量産準備も完了いたしました。

アメリカでは、高強度ばね鋼線ITWを生産するネツレンアメリカにて、2018年下期より︎受託加工事業を展開しておりますが、受注車種が向上に推移していることから、2024年の増産要請をいただき、2023年増築、増設を実施いたしました。

また、新規米国系自動車メーカー向け軸受け部品やその他の部品への対応依頼もいただいておりまして、更なる増産投資について検討しているところでございます。

成長戦略③ 国内既存事業領域の拡大~超大型部品熱処理の実現

IH事業部関連事業の一例でございます。先ほどもご説明しましたが、当社の熱処理受託加工の大きな武器として、部分熱処理ができることによる超大型部品の熱処理加工がございます。この度、産業用機械製造メーカーより、過去最大級の超大型ダブルヘリカルギアの熱処理受託を受注しました。

外形が約4.1メートル、高さは約1.3メートル、重量が約47トンでございます。実際にこのようなものは、一度熱処理してしまうと作り直しができません。事前に想定できる各種の技術課題を当社の研究開発本部と共同で検討し、最適な熱処理方案を策定、要求品質水準の品質でこの製品を納期どおりに納めることができました。

この実績を受けまして、お客さまから新たな引き合いをいただいているところでございます。

成長戦略④ 高周波焼入れシミュレーション 研究

当社の研究開発関連の一例として熱処理受託をご紹介させていただきます。当社は従来、高周波熱処理のシミュレーション開発を進めております。この技術により、試験結果を事前予測し、開発期間、工数、費用等を低減することを可能にしております。さらに、新しい手法としまして、冷却材の流れによる冷却度合いを考慮に入れたシミュレーション開発も実施いたしました。

従来の磁場プラス熱処理の連成解析に加え、この熱流体解析というものを加えることで、さらに熱処理品質の予測精度を向上させており、業界トップクラスのシミュレーション技術と自負しております。この技術によりまして、試作開発期間を当社比で30パーセント程度短縮することができ、お客さまのご要望に高精度でスピーディな対応を可能としております。

これらのシミュレーション技術と、3Dプリンターによる造形技術、これらを融合しまして、熱処理技術の更なる革新に取り組んでまいります。

新商品・新規事業への取り組み

新商品・新規事業への取り組み状況です。2023年度の新商品売上高は95億円、売上高比率は15パーセントを見込んでおります。

2021年度をピークに伸び悩んでおりますが、これは、建築土木関連の工事遅延などにより新商品販売量が減少したこと、また、半導体などの部品不足により、北米向けの新規のITW設備の立ち上げ遅れを起因とした販売開始の遅延、国内EV用熱処理受託部品などの伸び悩み等によるものです。

新商品・新規事業の拡大は、これからのネツレングループの成長に欠かせないものでございます。営業・技術・製造を連動させ、部門間連携を推進し、新商品の投入、新規事業の創成を進めてまいります。

基本方針と推進体制

当社グループのサステナビリティに対する取り組みをご紹介させていただきます。

当社グループは、長期経営ビジョン「NETUREN VISION 2030」のもと、SDGsを経営の中心に据えて事業を行っています。昨年4月には、サステナビリティに関する取り組みを推進するため、「ネツレングループサステナビリティ基本方針」を制定しました。

今までCSR活動として活動してきたテーマに加え、気候変動、地域環境への配慮、さらに人権尊重に関わる活動を盛り込み、持続可能な社会作りへの貢献と企業価値向上に向け、取り組んでまいります。

企業価値向上と主な取り組み(社会活動)

社会活動について、ご紹介いたします。環境・教育・文化関連に対しまして、日本赤十社への紛争災害地域の医療等の支援の継続をはじめ、地域社会のスポーツ振興活動、「緑の募金」活動等の他に、2023年からは「CSRレポート」に代わり「統合報告書」を発行しております。

さらに、地域清掃や献血等といった地域活動を推進するとともに、学術研究関連では、2022年に日本熱処理技術協会よりご覧のような賞を拝受しております。

今後も、社会貢献活動や地域活動、学術研究活動、このようなものを積極的に推進してまいります。

企業価値向上と主な取り組み(IR活動)

広報、IR関連につきまして︎も、メディア掲載をはじめ、活動を強化しております。中でも、2022年6月に放映されました、テレビ東京の番組「知られざるガリバー〜エクセレントカンパニーファイル〜」への出演では、さまざまな方面から反響をいただきました。

さらにラジオに出演させていただき、国内外の情報誌にも当社記事を掲載していただきました。今後は、︎知名度の低い当社の認知度向上に向け、活動を積極的に進めてまいりたいと考えております。

以上で、ネツレン・高周波熱錬株式会社の会社説明を終わらせていただきます。このIH技術というユニークで環境に優しい技術で、広く社会に貢献している企業であることを、ご理解いただけたかと存じます。

更なる成長へ向けて

現在、更なる成長に向けて次期中期経営計画を策定中でございます。このスライドの「3本の矢」が新しいコンセプトとなります。

まず、事業ポートフォリオを整理し、分析し、成長分野への積極投資をはじめ、新規事業や技術開発のスピードアップのため、M&Aを含めた施策を展開いたします。

また、ROE・PBRの目標実現に向け、ROIC経営を本格的に展開し、当社グループ全拠点にその目標を設定し、具体的なアクションへ落とし込んでまいります。

そして、サステナビリティという観点から、CO2排出量削減をグローバルに展開、サプライチェーンのCO2排出量を削減する取り組みも進め、その成果を開示いたします。この新中期経営計画は、5月に開示予定です。

今後とも、この環境に優しいIH技術を、世界に広げ、持続可能な社会づくりに貢献するとともに、その光景を目に見える形で表すことにより企業価値を高めてまいります。

本日、このようなご縁をいただき、当社に対しまして、少しでも興味を持っていただき、ご支援、ご指導を賜りましたら幸いでございます。本日は誠にありがとうございました。

配信元: ログミーファイナンス
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