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オービーシステムのニュース
*13:55JST オービーシステム Research Memo(5):2024年3月期の業績は過去最高を更新
■業績動向
1. 2024年3月期の業績概要
オービーシステム<5576>の2024年3月期の業績は、売上高で6,896百万円(前期比11.9%増)、営業利益で591百万円(同17.7%増)、経常利益で632百万円(同22.2%増)、当期純利益で441百万円(同11.2%減)となり、売上高、営業利益、経常利益で過去最高を更新した。当期純利益減少の主な要因は、前期においてスケジューリング可能となった長期未払金に係る繰延税金資産152百万円の計上に伴う法人税等調整額の減少が生じたことによるもので、その特殊要因を除けば、2024年3月期は実質的には過去最高となる。
金融機関等のシステムのオープン化やDXの進展に伴うクラウド化等の需要拡大により各事業とも好調に推移した。特に電力託送システム案件等、電力ICT分野での受注増により社会公共事業が伸長した。旺盛な需要に対応するため開発人員の増員、パートナー企業への外注比率アップもあるが、システム開発単価への転嫁が進捗し売上総利益率は前期比0.8ポイント改善した。営業利益の増減要因としては、増収効果により4.6億円増加するも、外注費・人件費で2.7億円減少、上場関連費用、租税公課等その他経費で1.1億円減少した。
2. サービスライン別動向
(1) 金融事業
金融事業の売上高は2,726百万円(前期比10.4%増)となった。注力している生損保関連分野において、大型マイグレーション案件の受注が順調に拡大し、地銀・都銀、証券分野においても既存顧客からの中型案件の受注拡大、新規案件の獲得により堅調に推移した。
(2) 産業流通事業
産業流通事業の売上高は1,898百万円(前期比8.1%増)となった。主力である産業流通分野において、流通システム案件、医薬システム案件を中心に継続して堅調に推移した。医療分野においては、「臨床検査システム/CLIP」が複数の病院で大規模受注となったことにより大きく伸長した。一方、マイコン分野においては、開発の延期、縮小の影響が残っているものの、家電案件、車載案件を中心に引き合いが活発化し、回復しつつある状況だ。
(3) 社会公共事業
社会公共事業の売上高は1,684百万円(前期比16.3%増)となった。電力託送システムやスマートメーター等主力である電力ICT分野でのシステムが伸長したほか、メディア情報分野も堅調に推移した。公共分野においては自治体及び独立行政法人向けの案件が堅調に推移しており、受注も増加傾向にある。自治体標準化、ガバメントクラウド案件は本格始動を前に準備段階であり、緩やかな立ち上がりである。
(4) ITイノベーション事業
ITイノベーション事業の売上高は586百万円(前期比20.2%増)となった。金融機関における自社運用のサーバーから仮想サーバー、クラウドサーバーへの移行を計画どおり受注した。また、クラウドを中心とした案件の獲得に注力した結果、受注を継続できたことにより業績は順調に推移した。
3. 財務状況と経営指標
2024年3月期末の資産合計は前期末比659百万円増加の5,878百万円となった。現金及び預金が483百万円減少した一方で、売掛金が160百万円増加したほか、株価の上昇と満期保有目的の有価証券600百万円の購入により投資有価証券が1,067百万円増加した。2024年3月期は前年6月に退任した創業者である山田氏の退職慰労金500百万円の支払いがあったが、営業キャッシュ・フローにおいて税引前当期純利益が前期比115百万円増加の632百万円となり、これをカバーした。その結果、未払金も483百万円減少し、負債合計は前期末比222百万円減少の1,167百万円となった。純資産合計は4,711百万円と前期末を882百万円上回った。新株発行により調達した231百万円、当期純利益441百万円に自己株式の取得・売却によるネット収支59百万円が加わったほか、株価上昇に伴い有価証券評価・換算差額金が324百万円増加した。このため、自己資本比率は80.1%と前期末を6.7pt上回り、財務体質を盤石なものとしている。一方、自己資本の増加幅が大きかったためにROEは10.3%と前期末を3.5pt下回ったが、2023年度の東京証券取引所スタンダード市場の平均6.94%、同プライム市場の平均9.06%を上回る水準を確保し、高い収益性を維持している。加えて、無借金を継続しながら、満期保有の有価証券も含めた実質的な流動性を積み上げており、潤沢な準備資金を背景にした今後の成長投資が期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
<SO>
1. 2024年3月期の業績概要
オービーシステム<5576>の2024年3月期の業績は、売上高で6,896百万円(前期比11.9%増)、営業利益で591百万円(同17.7%増)、経常利益で632百万円(同22.2%増)、当期純利益で441百万円(同11.2%減)となり、売上高、営業利益、経常利益で過去最高を更新した。当期純利益減少の主な要因は、前期においてスケジューリング可能となった長期未払金に係る繰延税金資産152百万円の計上に伴う法人税等調整額の減少が生じたことによるもので、その特殊要因を除けば、2024年3月期は実質的には過去最高となる。
金融機関等のシステムのオープン化やDXの進展に伴うクラウド化等の需要拡大により各事業とも好調に推移した。特に電力託送システム案件等、電力ICT分野での受注増により社会公共事業が伸長した。旺盛な需要に対応するため開発人員の増員、パートナー企業への外注比率アップもあるが、システム開発単価への転嫁が進捗し売上総利益率は前期比0.8ポイント改善した。営業利益の増減要因としては、増収効果により4.6億円増加するも、外注費・人件費で2.7億円減少、上場関連費用、租税公課等その他経費で1.1億円減少した。
2. サービスライン別動向
(1) 金融事業
金融事業の売上高は2,726百万円(前期比10.4%増)となった。注力している生損保関連分野において、大型マイグレーション案件の受注が順調に拡大し、地銀・都銀、証券分野においても既存顧客からの中型案件の受注拡大、新規案件の獲得により堅調に推移した。
(2) 産業流通事業
産業流通事業の売上高は1,898百万円(前期比8.1%増)となった。主力である産業流通分野において、流通システム案件、医薬システム案件を中心に継続して堅調に推移した。医療分野においては、「臨床検査システム/CLIP」が複数の病院で大規模受注となったことにより大きく伸長した。一方、マイコン分野においては、開発の延期、縮小の影響が残っているものの、家電案件、車載案件を中心に引き合いが活発化し、回復しつつある状況だ。
(3) 社会公共事業
社会公共事業の売上高は1,684百万円(前期比16.3%増)となった。電力託送システムやスマートメーター等主力である電力ICT分野でのシステムが伸長したほか、メディア情報分野も堅調に推移した。公共分野においては自治体及び独立行政法人向けの案件が堅調に推移しており、受注も増加傾向にある。自治体標準化、ガバメントクラウド案件は本格始動を前に準備段階であり、緩やかな立ち上がりである。
(4) ITイノベーション事業
ITイノベーション事業の売上高は586百万円(前期比20.2%増)となった。金融機関における自社運用のサーバーから仮想サーバー、クラウドサーバーへの移行を計画どおり受注した。また、クラウドを中心とした案件の獲得に注力した結果、受注を継続できたことにより業績は順調に推移した。
3. 財務状況と経営指標
2024年3月期末の資産合計は前期末比659百万円増加の5,878百万円となった。現金及び預金が483百万円減少した一方で、売掛金が160百万円増加したほか、株価の上昇と満期保有目的の有価証券600百万円の購入により投資有価証券が1,067百万円増加した。2024年3月期は前年6月に退任した創業者である山田氏の退職慰労金500百万円の支払いがあったが、営業キャッシュ・フローにおいて税引前当期純利益が前期比115百万円増加の632百万円となり、これをカバーした。その結果、未払金も483百万円減少し、負債合計は前期末比222百万円減少の1,167百万円となった。純資産合計は4,711百万円と前期末を882百万円上回った。新株発行により調達した231百万円、当期純利益441百万円に自己株式の取得・売却によるネット収支59百万円が加わったほか、株価上昇に伴い有価証券評価・換算差額金が324百万円増加した。このため、自己資本比率は80.1%と前期末を6.7pt上回り、財務体質を盤石なものとしている。一方、自己資本の増加幅が大きかったためにROEは10.3%と前期末を3.5pt下回ったが、2023年度の東京証券取引所スタンダード市場の平均6.94%、同プライム市場の平均9.06%を上回る水準を確保し、高い収益性を維持している。加えて、無借金を継続しながら、満期保有の有価証券も含めた実質的な流動性を積み上げており、潤沢な準備資金を背景にした今後の成長投資が期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
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