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中部鋼鈑 Research Memo(5):2023年3月期は増収増益。コスト上昇分の販売価格転嫁が進捗

配信元:フィスコ
投稿:2023/06/26 12:05
*12:05JST 中部鋼鈑 Research Memo(5):2023年3月期は増収増益。コスト上昇分の販売価格転嫁が進捗 ■業績動向

1. 2023年3月期の業績概要
中部鋼鈑<5461>の2023年3月期の連結業績は、売上高76,320百万円(前期比18.5%増)、営業利益12,261百万円(同120.8%増)、経常利益12,328百万円(同123.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益8,577百万円(同126.6%増)と親会社株主に帰属する当期純利益は過去最高業績を更新した。同社は、鋼板価格上昇をにらんだ加工ユーザーの発注調整や想定を下回る鉄スクラップの価格変動などにより、期中に予想を2度見直したが、最終予想に対して、売上高は1.2%増、営業利益は7.6%増、経常利益は7.2%増、親会社株主に帰属する当期純利益は10.0%増となり、売上高・各利益ともに上回って着地した。

鉄鋼大手は、国内需要の頭打ちへの懸念から設備の休止・集約化を実施して生産能力を削減し、ユーザーに対しては原料・エネルギーコスト上昇分の価格転嫁を求めている。いわゆる量から質の経営への転換を図る動きが進展している。こうした事業環境が追い風となり、同社においてもコスト上昇分の販売価格への転嫁が順調に進み、原料となる鉄スクラップ価格やエネルギー・副資材価格上昇等のコスト増加を吸収して、前期比で大幅な増益を実現した。

2. 事業別業績概要
(1) 鉄鋼関連事業
売上高は73,385百万円(前期比18.9%増)、セグメント利益は11,800百万円(同129.6%増)と増収、大幅な増益となった。主力製品である厚板の販売数量は、主要ユーザーである土木・建築業界、産業機械・建設機械業界の需要が景気の回復に伴い堅調に推移したため、前期比で微増となった。一方で、2024年3月期に電気炉更新工事をはじめとする大型工事に伴い生産を一時休止する。生産休止期間中の安定供給を確保するため、業務提携先である中山製鋼所(本社:大阪市)向けのスラブ供給を抑制して備蓄に回したため、鉄鋼製品全体での販売数量は前期比6.2%減少した。また、主原料である鉄スクラップ価格は引き続き高い水準で推移し前期を上回った。電力などエネルギー、副資材(合金鉄、生石灰等)の価格も前期から高騰した。販売価格は期初からコスト上昇分の価格転嫁が順調に進み、通期の販売単価は前期比で26.8%上昇した。その結果、製造コストは前期比で上昇したものの、収益環境が改善したことにより利益率は前期の8.3%から16.1%に上昇した。

(2) レンタル事業
売上高は674百万円(前期比2.4%増)、セグメント利益は68百万円(同14.9%増)となった。レンタル事業は、子会社のシーケークリーンアドが厨房用グリスフィルターのレンタル事業と広告看板事業を行っている。飲食店への休業要請や行動制限がなくなったこと、代理店を活用するなど積極的な営業活動を展開して新規顧客を取り込んだこと等により、厨房用グリスフィルターのレンタル枚数が増加し増収増益となった。

(3) 物流事業
売上高は539百万円(前期比15.8%減)、セグメント利益は171百万円(同33.6%減)となった。物流事業は子会社のシーケー物流が運送・荷役事業と危険物倉庫事業を行っている。自動車メーカーの減産により危険物倉庫の取扱量が減少したことで減収減益となった。

(4) エンジニアリング事業
売上高は1,720百万円(前期比23.5%増)、セグメント利益は146百万円(同362.3%増)となった。エンジニアリング事業は、子会社の明徳産業が鉄鋼関連設備を中心とするプラントの設計・施工と設備保全に関するエンジニアリングを行っている。金属加工の受注増加のほか大型工事案件も動き出していることから増収増益となった。

3. 財務状況
2023年3月期末の資産合計は前期末比10,349百万円増の、88,095百万円となった。流動資産は仕掛品が3,565百万円、現金及び預金が2,595百万円、有価証券が2,297百万円それぞれ増加したことにより同7,984百万円増の60,574百万円となった。仕掛品の増加は、電気炉更新工事をはじめとする大型工事に伴う生産休止中の安定供給を確保するため、スラブの備蓄を増やしたことによる。固定資産は有形固定資産が1,225百万円、投資有価証券が1,149百万円それぞれ増加したことにより同2,365百万円増の27,521百万円となった。

負債合計は未払法人税等が1,456百万円、未払金が456百万円それぞれ増加したことにより同2,687百万円増の14,375百万円となった。純資産は親会社株主に帰属する当期純利益が8,577百万円、その他有価証券評価差額金が361百万円それぞれ増加し、利益余剰金の配当が1,408百万円生じたため同7,662百万円増となった。この結果、自己資本比率は82.9%と前期比1.3ポイント低下した。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)

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配信元: フィスコ
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