共英製鋼のニュース
【QAあり】共英製鋼、個人投資家向け説明会を開催 新中計、グローバル展開における成長戦略、株主還元強化等について説明
共英製鋼は一言でいうと
廣冨靖以氏(以下、廣冨):共英製鋼株式会社、代表取締役社長の廣冨です。本日は大変暑い中ご参加いただき誠にありがとうございます。当社グループの事業概要などについて、なるべくみなさまにわかりやすくご説明したいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いします。
はじめに、当社グループの概要です。当社グループは一言でいうと、「電気で鉄をつくる」電炉企業です。電炉という産業自体、みなさまにはあまりなじみがないかもしれませんが、この説明会をとおして少しでも身近に感じていただければありがたいと思っています。
社会インフラを支える当社グループの製品群
当社グループが生産している製品の一部をご紹介します。スライドに示したとおり、鉄筋を中心に、生活や産業の隅々にわたって幅広く使われている鉄鋼製品を製造・販売しています。
スライドの左上にある鉄筋は主に、マンションやオフィスビル、住宅や道路などの基礎部分や、鉄筋コンクリート造りのビルの構造部に使用されています。鉄筋は我々の主力商品です。
納入実績紹介
当社グループの製品が使用されている具体例です。国内の著名な物件でご紹介すると、東京スカイツリーや国立競技場などの基礎部分にも使用されているほか、現在盛んに行われている八重洲の再開発においても当社製品が使用されています。
125メートルの橋脚を持ち、日本一高い橋としても知られている岐阜県の東海北陸自動車道、鷲見橋にも当社の高強度鉄筋が電炉材として初めて採用されています。
鉄をつくる2つの製造方法
ご存知の方も多いと思いますが、ここであらためて鉄の製造方法についてご説明します。製鉄法には大きく分けて高炉法と電炉法の2つがあります。高炉法は、鉄鉱石を石炭由来のコークスで還元し鉄を製造する方法です。一方、我々が採用している電炉法は、鉄スクラップを電気のアーク熱で溶かして鉄を製造します。
高炉法は設備が大規模で連続的に操業を行うため、需要に合わせた生産調整が難しいと言えます。ただし、純度の高い鉄や高品位の鉄製品を作るのに適しています。一方、電炉は設備が比較的小規模で操業のオンオフが容易であるため、需要環境に柔軟に対応することができます。
高炉法は主に、自動車や造船、家電や精密機械の製品を製造し、我々のような普通鋼・電炉は主に、建築・土木用の製品を数多く製造しています。日本では、高炉は日本製鉄やJFEスチールなどの3社、普通鋼・電炉は当社をはじめとした30社程度が事業を営んでいます。
それではここで、電炉で鉄ができるまでを紹介した動画をご覧ください。
電炉の強み 1
電炉事業の強みについてご説明します。1つ目は、我々の電炉事業はサステナブルな事業であるということです。現在、世界には鉄が、社会インフラや自動車、電化製品などのかたちで300億トン強、利用蓄積されており、毎年2パーセントから3パーセントが鉄スクラップとして廃棄されていると言われています。
電炉業は、その鉄スクラップを回収しリサイクルして鉄鋼製品を作り、再び社会インフラに循環させる事業です。つまり、本業として鉄製品の資源循環、再利用を進めている我々の事業そのものが、いわゆるサステナブルな事業であると言えます。
電炉の強み 2
2つ目の強みは、環境負荷が小さいということです。スライドの棒グラフは、鉄鋼各社の鉄の生産1トンあたりのCO2排出量を示しています。左からA社とB社は日本の高炉メーカー、C社は日本の電炉メーカー、右端が当社です。
一般的に電炉のCO2排出量は、コークスによる鉄鉱石の炭素還元を必要としないため、高炉製品に比べて4分の1程度と言われています。世界中で温暖化の影響が顕在化している中で、地球環境にやさしい事業であると言えます。
当社グループの主な事業セグメント
そうした電炉事業を営む電炉企業の中で、当社グループが持つ独自の強みについてご説明します。当社グループは現在、国内鉄鋼事業、海外鉄鋼事業、環境リサイクル事業の3つを柱に、その他の港湾事業などを合わせた4つの事業セグメントを展開しています。
世界3極体制の鉄鋼事業
当社の最大の強みは、電炉鉄鋼業という地産地消ビジネスを、日本だけでなくグローバルに展開していることです。当社は鉄筋製造を世界各国で展開している唯一の日本企業です。創業後間もない1960年代から事業の国際化を図り、60年以上にわたって海外展開を行ってきました。
これまで、台湾を皮切りに、技術指導や工場建設などに関わってきた国は20ヶ国以上に及びます。日本には多くの電炉メーカーがありますが、これほど多くの国で鉄づくりを行った会社はほかに例を見ません。
ただ、その歴史は成功と失敗の歴史でもあり、その教訓を活かして現在、ベトナムと北米に製造・販売拠点を展開し、日本を含め世界3極体制を構築しています。
国内鉄鋼事業
この世界3極のうち、まずは日本における鉄鋼事業の強みについてご説明します。当社は1962年、大阪において電炉業に進出し、その後M&Aなどにより全国展開してきました。現在、関東、中部、関西、中四国・九州という4大需要地に4つの製造・販売拠点があります。
需要地は同時に鉄スクラップの発生地でもあるため、この拠点展開は他社との比較でも大きな強みです。拠点が複数あることは、災害時など有事における事業継続の観点からも1つの強みであると考えています。さらに当社グループでは一般的な鉄筋だけではなく、付加価値製品としてネジ節鉄筋、高強度鉄筋も製造・販売しています。
ネジ節鉄筋は高層ビル建設にも使われる製品ですが、溶接などではなく機械式の継手でつないでいくため、現場作業が容易で天候にも左右されず、工事現場の省人化や工期の短縮に役立ちます。
高強度鉄筋は一般鉄筋よりも少ない本数で同じ強度を確保できるため、鉄筋使用量の削減、ひいてはCO2排出量の削減にも寄与できる製品です。結果として、円グラフのとおり当社グループの鉄筋のマーケットシェアは約18パーセントと、国内No.1です。メーカー数の多い当業界においては大きな存在感があります。
海外鉄鋼事業(ベトナム)
世界3極体制の中で強調しておきたい我々の強みは、グローバル展開の中でのベトナムでの長い歴史に裏打ちされた鉄鋼会社として、現地で高いブランド力があるということです。
ベトナムは2023年4月に人口が1億人を突破し、平均年齢も32歳と若く、ASEAN諸国の中でも高度成長が続く国です。
当社は1994年、ベトナム戦争が終わって間もない時期に、戦後初めてベトナム進出を果たした日系企業として高い評価を受けています。現在、北部は首都ハノイ近郊も含め2社3工場、南部は最大都市のホーチミン近郊のバリア・ブンタウ省に、30年の歴史を持つVKS社の電炉一貫工場を有しています。
ベトナムでは、建物の建築に鉄筋を数多く使い、個人が戸建て住宅を建てる際には施主自身が鉄筋メーカーを指定するなど、鉄筋メーカーとユーザーが直接つながる慣習があります。
そうした中で、「Made in Japan」に対するベトナム国民の信頼度は高く、長年培ってきた「日本品質」という高いブランド力が我々の強みで、価格優位性もあります。ベトナムでも当社グループのシェアは10パーセント強、ベトナム国内で2位グループの位置になります。
現在、ベトナム事業は、昨年からの政府の不動産バブル抑制策などにより大変厳しい事業環境が続いていますが、中長期的には需要増が期待できる市場であり、成長のチャンスがあると考えています。
海外鉄鋼事業(北米)
次に、世界3極のうち北米における鉄鋼事業の強みです。米国への進出は1973年で、日本の製造業としてはソニーに次ぐ2番目でした。その後、北米事業自体は好調でしたが、直後のオイルショックや1990年代の金融不況による国内事業の業績悪化により、2度にわたって北米撤退を余儀なくされました。
2016年に米国テキサス州の電炉会社を再度買収し、3回目の北米進出を果たしています。そして2020年にカナダの電炉会社を買収し、現在に至っています。米国、カナダともに移民を中心に人口増が続いています。
当社グループの拠点は、その中でも人口流入や大企業の転入が多く、住宅や社会インフラ建設による鉄筋需要が旺盛である北米大陸の西海岸に立地しています。両拠点とも鉄スクラップの集積地であり、原料の鉄スクラップを調達する子会社も保有していることから、こちらも北米2社の強みの1つとなっています。
両社とも鉄筋のほか、鉄鉱石や銅鉱石を採掘する際に使われる鉱石粉砕用の製品の製造・販売も行っています。
環境リサイクル事業
世界3極体制の鉄鋼事業に加え、私どもの第2の強みは、環境リサイクル事業を1つの柱として積極的に展開していることです。この事業では、鉄を作る過程で電気炉から発生する数千℃の熱を利用してさまざまな産業廃棄物を無害化溶融処理しています。これは当社が独自に開発したユニークな処理方法です。
今から35年前、「注射針の不法投棄問題を何とかできないか」という問題認識から本事業をスタートしています。
同じ電気炉の中で鉄を作りながら産業廃棄物を処理するという発想は、神聖な電気炉でより良い鉄を作るという当時の考えかたとは正反対で、廃棄物処理に伴う電炉操業への支障も数多くありました。
しかしながら、さまざまな工夫を重ねてこれらの問題を克服し、現在では当社グループの利益を支えるとともに社会性も高い重要な事業となっています。電気炉で無害化溶融処理された廃棄物中の鉄分は製品の一部にもなります。
それ以外の成分は炭化無害化され、スラグやダストとして再利用されています。ガス化溶融炉という製鉄用の電気炉とは別の設備も導入し、ガラスやゴム、樹脂などのシュレッダーダストと呼ばれる物も含む多種多様な廃棄物の処理も行っています。
環境リサイクル事業で手掛ける処理
スライドに、我々の環境リサイクル事業の可能性と強みを示しています。近年では社会や産業廃棄物の排出元の企業の環境に対する意識の高まりにより、アスベストのような有害かつ処理が困難な廃棄物の適正な処理が求められてきています。
我々の高温での溶融処理は、これら処理困難物の無害化処理にも適しています。みなさまが日々ご利用になるコンビニなどのチェーンストアの什器や自動販売機などが廃棄された場合も、当社に持ち込まれ再資源化されるケースが数多くなってきています。
その他の事業(鉄鋼周辺事業)
当社は事業の幅を広げるため、その他の事業として、日本とベトナムにおける鋳物事業など鉄鋼周辺事業にも取り組んでいます。ベトナムにおいては、チー・バイ・インターナショナル・ポート社という港湾事業会社を保有しており、ベトナム南部の製造拠点であるVKS社のスクラップ輸入をはじめ、国際一般港で幅広い貨物を取り扱うことで今後、事業を拡大していきたいと考えています。
共英製鋼の強み:グループ総合力
ここまでは各企業の強みについてお話ししてきましたが、ここからはそれを支える当社の第3の強みである総合力についてお話しします。
スライドは、当社グループの中核事業の流れを示しています。鉄スクラップの調達から生産、副産物の処理、配送、加工など、それぞれの段階を担う我々の直系グループ会社が協力会社や商社と共に当社の電炉事業を下支えすることで、機動的で安定性のある事業体制を作り上げています。
共英製鋼の強み:新しい取り組み
当社の将来に関わる取り組みとして、当社独自の研究・開発をご紹介します。当社は、名古屋事業所内に全社組織として2012年より開発センターを設け、高強度鉄筋や差別化製品の開発を行っています。
2022年には、サステナブルテクノロジー研究センターを設立し、鉄を作る過程で発生する副産物のさらなる有効活用・再資源化に向けて外部機関との共同研究などを行っています。このように将来を見据えた研究・開発を行うことで事業の裾野を広げるべく、今まさに新たなチャレンジに取り組んでいるところです。
業績の推移
過去5年間の業績の推移と今年度の見込みはスライドのグラフのとおりです。ここ数年、海外鉄鋼事業の拡大と製品価格の上昇を背景に、売上高は順調に増加しています。鉄鋼事業は市況に左右されやすく、利益面にブレがありますが、それでもスライド左下のグラフで示しているとおり、最終利益は安定的に確保しています。
特に、前年度までの3年間で取り組んできた中期経営計画の最終年度目標である売上高2,900億円と経常利益180億円は、超過達成することができました。
しかしながらセグメント別に見ると、海外鉄鋼事業はベトナム事業の不調により赤字となっています。なお、2024年度の業績予想については、売上高は3,360億円、営業利益175億円、経常利益180億円、当期純利益125億円となる見通しです。
共英製鋼の長期ビジョン
本年度に開始した新中期経営計画「NeXuSⅡ 2026」についてご説明します。スライドの図は6年前に策定した当社グループ中期計画「Quality Up 2020」を起点に、2030年に向けての⻑期シナリオを示しています。
前中期経営計画で定めた当社の目指すべきゴール「資源循環型社会のエッセンシャル・カンパニーになる」という目標を変えることなく、今回の中期経営計画では「ONE KYOEI」をスローガンに、さまざまな取り組みを進めてきているところです。
中期経営計画 NeXuSⅡ 2026:重点目標
今回の中期経営計画の重点方針は、前中計の反省に基づき、これまでの当社の事業投資の採算性を検証し、注力する分野の見直しを行い、事業成⻑を支える基盤の強化に力を入れていく内容としました。それがこのスライドで示している6項目です。
特に、海外鉄鋼事業の立て直しを図るために行うベトナムから北米への戦力投入によるウエイトシフトが、戦略上のキーとなります。
資本コストと株価を意識した経営の実現
当社の資本コストと株価を意識した経営の実現に向けた対応についてご説明します。現在はPBRが0.4倍で1倍を割り込んでいるため、改善が重要だと認識しています。
スライドをご覧のとおり、当社の前期のROEは7.4パーセントと株主資本コストを上回っており、前中計の目標だった7パーセントもクリアしています。しかしながら、現実問題としてPBRは1倍を大きく割っており、海外鉄鋼事業のうち、特にベトナム事業の収益悪化がその要因だと考えています。
したがって、先ほどからご説明しているとおり、海外の投資戦略をウエイトシフトして見直すことや、国内鉄鋼事業の強化を図ることで、ROE8パーセント以上を達成するとともに、将来には10パーセントを狙えるレベルまで収益力を強化し、企業価値を向上させていきます。
また、人的資本投資やブランド戦略、さらには投資家との対話の機会を増やすことなどにより、中⻑期的に当社の将来性への期待値を高め、PERの向上やPBRの改善につなげていきたいと考えています。
海外鉄鋼事業における地域戦略
成長戦略の実現のためには、中期経営計画の着実な実行、すなわち海外拠点の立て直しが必要であると先ほどのスライドでお話ししましたが、もう少し詳しくご説明します。
ベトナム事業は、ベトナム国内が2022年から政治的要因で不動産不況となり、非常に厳しい事業環境となっていますが、地道なコスト削減から販売戦略の変更、人員整理などを行った結果、足元需要の回復とともに赤字幅が縮小しつつあります。
さらに、ベトナム北部の拠点VIS社においては、ミニ高炉などのコスト構造が異なる競合に対抗すべく製鋼圧延一貫工場の建設を120億円で進めており、こちらは来年の春に稼働する見通しで、稼働後は抜本的なコスト改善を見込んでいます。
北米拠点では、米国の拠点で設備の老朽化が課題となっていました。そこで抜本的対策として、大型の設備投資を実施することにしました。詳細設計はこれからですが、工事開始は2024年の12月、稼働は2027年1月をそれぞれ予定しています。2028年にロサンゼルスでオリンピックが開催されることもあり、今後も好調なインフラ需要が期待できる西海岸エリアで需要の捕捉を目指していきたいと考えています。
カナダの拠点はコロナ禍以降、業績が好調ですが、直径が細い細物鉄筋を製造できるよう圧延ラインを改造しました。今年4月に商業生産を開始し、お客さまからも高い評価を受けています。
中期経営計画 NeXuSⅡ 2026:定量目標
目指すべき3年後の定量目標を掲げています。財務の安定性を示す自己資本比率は、直近時点で55パーセントを上回っており、財務格付けもA格を取得していますが、私としては、本中期経営計画において、中期経営計画最終年度である2026年度の経常利益水準を250億円、ROE8パーセント以上、市況が悪くても常に200億円程度の経常利益があげられる会社に進化させていきたいと考えています。
その実現により初めて十分な株主還元、従業員還元を継続的に実現することができ、我々の将来にとって必要な成長投資資金を十分確保できる会社になれると考えています。
E(環境)に関する取り組み
基盤強化につながる100年企業を目指したESGの取り組みについてご説明します。まず「E」の環境に関する取り組みについては、カーボンニュートラルと鉄鋼副産物削減の取り組みがポイントとなります。
当社は、2050年のカーボンニュートラルを目指し、2030年度にはCO2排出量を2013年度対比50パーセント削減することを目標に掲げています。具体的には、製造現場における省電力操業に加え、加熱炉のエネルギーを重油からLNGに燃料転換する取り組みを国内4つの生産拠点で進めています。
太陽光発電は、枚方事業所と山口事業所で稼働しており、今後も設置を進めていきます。
さらに、ゼロエミッションを実現するために、早稲田大学や東京大学と提携し、リチウムイオン電池のリサイクル方法の共同研究を進めています。先にご説明したとおり、電気炉スラグのさらなる有効活用に向けての研究活動を行っています。
S(社会)に関する取り組み①
「S」すなわち社会に関する取り組みについては、人に関する取り組みをご紹介します。労働災害の撲滅については、従来、人が行っていた電気炉・炉前での温度測定や成分分析など、危険を伴う作業の自動化・ロボット化に取り組んでいます。
採用も含めた人材の育成については、業種柄、比率の低い女性の採用など、ダイバーシティを推進しています。賃金水準や退職年齢の見直し、幹部社員の研修などに加え、2022年4月に開設した研修センターでは、現場社員の育成強化にも取り組んでいます。
さらに、厚生設備の充実については、現場で働く従業員が健康に快適に働けるよう、厚生棟や事務所棟の新築・改修を進めているところです。
S(社会)に関する取り組み②
続いて地域社会への取り組みについてご紹介します。中期経営計画の定量目標として、社会貢献活動にかかる支出を連結当期純利益の0.5パーセント程度に設定しました。
医療活動やその発展を支援するメスキュード医療安全基金への寄付はすでに4億5,000万円を上回っていますが、今後もさまざまな寄付活動に取り組むほか、山口事業所近郊で行っているオリーブの植樹活動など、社会貢献活動もさらに充実させていきたいと考えていています。
G(ガバナンス)に関する取り組み
「G」のガバナンスについては、多様なリスクに対応するため、リスク管理委員会の充実を図るとともに、今年は女性取締役を1名増員して取締役会の多様性の確保に努めています。
さらなる企業価値向上のために
我々はさらなる企業価値向上のために、無形資産投資としてブランド戦略を推し進めています。「電炉を中核に鉄づくりと医療廃棄物処理を同時に行う資源循環型事業」という当社の独自性をブランド化し、インナーおよびアウターに対し、情報発信を行い、さらなる企業価値向上につなげていきます。
今後の展開としては、社内外へ浸透させ、訴求していくことを第一に取り組んでいます。こちらについては約2分の動画を作成していますので、ご覧ください。
株主還元
株主のみなさまへの還元についてご説明します。配当方針については、連結の配当性向の目途を「25パーセントから30パーセント」から5パーセント引き上げ、今期から「30パーセントから35パーセント」にします。業績の変動にかかわらず、少なくとも年間30円の配当を実施していく方針です。今年度の配当予想は中間30円、期末60円、通期90円です。
加えて、株主優待については、スライドに記載している条件で「オリジナルQUOカード」をご進呈しています。単元株が100株なので、現在の株価であれば、16万円から17万円程度で株主になっていただけます。
株価の推移
近年の株価の推移はスライドのとおりです。2024年4月以降は下落基調となっており、8月には日経平均株価の暴落により大きく下がりましたが、足元では徐々に戻してきています。
これまでお伝えしてきた中期経営計画の施策を着実に実行し、安定的に高水準の利益を上げていくことで、株主還元も充実させ、みなさまのご期待に応えていきたいと考えています。
Nexus▶Next Success
中期経営計画のタイトル「NeXuSⅡ」は、「つながる」のほかに、「ネクストサクセス」、つまり「次代での成功」「100年企業を目指して」という意味も込めています。
これからの「サーキュラー・エコノミー社会」の実現に向かって、共英製鋼グループは、日本の電炉メーカーとして、社会の発展と地球環境との調和に貢献する「エッセンシャル・カンパニー」「日本だけでなく世界の人たちに、なくてはならない会社」を目指して、さまざまな課題に取り組んでいく所存です。
引き続き、みなさま方の厚いご理解とご支援をお願い申し上げまして、私からのご説明とします。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:ベトナムに進出した理由について
司会者:「なぜベトナムに進出したのでしょうか?」というご質問です。
廣冨:ベトナムには、ベトナム戦争前に技術支援に行っていた歴史があります。我々の会社は、弊社の創業者である高島浩一が、第二次世界大戦から帰ってきた時に、焼け野原となった日本を見て、鉄鋼業に進出してもう1回日本の復興を支援したいと思ったのが、始まりでした。
ベトナム戦争後の荒廃したベトナムの地を見て、ベトナムの人たちを助けたいという想いで、市場調査を行い、まだアメリカとの敵国条項が残っている中、当時のお金に換算して約50億円で圧延工場を作りたいということを当時のベトナム政府に伝えました。
将来、国内事業が縮小する見通しだからベトナムを頼りにするということではなく、ベトナムの復興支援に貢献したいという想いで、まず南部のホーチミンの工業団地に日系企業の第1号として進出したという経緯があります。
爾来25年、30年と経って現在の事業内容になりました。そのような意味で、最初にベトナムに来てくれた日系企業ということで、現地では名前が通っています。そのような経緯があり、事業拡大というよりもベトナムに貢献したいという思いが強かった、というのがご質問への回答となります。
質疑応答:新製品開発や特許取得、付加価値製品の製造の見通しについて
司会者:「鉄筋は汎用品であり、差別化が難しい製品であるが、今後新製品を開発し、特許を取得したり、付加価値製品を製造したりする予定はありますか?」というご質問です。
廣冨:鉄筋は差別化が難しい汎用品です。トイレットペーパーなどのように、日常で使われているものを我々は生産しています。
高炉メーカーは、バージン鉄の高品位な鉄鋼製品を作っていますが、普通鋼電炉メーカーの場合は、スクラップから鉄筋といった建築土木資材などを作っています。そのため、画期的な新商品や特殊鋼を開発するということは難しいですが、加工がしやすい鉄筋や、鉄筋の使用本数が少なくて済む高強度の鉄筋を作るための開発を、名古屋事業所の開発センターなどで現在行っています。
質疑応答:株主還元を今後さらに増やすかについて
司会者:「配当性向を30パーセント以上に変更されましたが、自社株買いなど、今後さらに還元を増やすことはできないのでしょうか?」というご質問です。
廣冨:今期より配当性向「25パーセントから30パーセント」から「30パーセントから35パーセント」に引き上げることで、還元を増やそうとしています。自社株買いについても、将来的には検討するかもしれませんが、2030年頃以降、国内の鉄筋需要が大きく減る見通しである中、ベトナムや北米での投資をしなければなりません。今回も中期経営計画の3ヶ年で、1,000億円近い大きな投資をしようと検討しているところです。そのため、株主還元にさらに増やすかどうかついては、利益水準とバランスをみて検討していきます。
質疑応答:今後の海外拠点の開拓および世界戦略について
司会者:「海外拠点として、ベトナム以外にインドや、北米以外にブラジルなどの開拓は今後考えていないのでしょうか? 世界戦略は今後どのようにシミュレーションしているのかをお聞かせください」というご質問です。
廣冨:インド、ブラジル、ナイジェリア、スーダン、そしてヨーロッパのスペインなどにも技術指導で行った経験はありますが、メーカーとして事業を行っていく国は、今のところはベトナムと北米だけにしようと考えています。ベトナム事業は足元厳しいのですが再構築を進め、北米事業は設備投資を増やして強化していきます。
質疑応答:人材育成の具体的な施策について
司会者:「人材育成で退職金、年金、賃金水準の見直しを行うとされています。具体的な施策はどのようなものでしょうか? また、若年層の賃金水準を引き上げるなどして見直す考えはありますか?」というご質問です。
廣冨:鉄鋼メーカーは「3K」とも言われる職場ですが、従業員のモチベーションを維持するために、賃金水準を上げています。加えて、厚生施設の充実化や作業現場のロボット化・省人化を進めています。
質疑応答:PBR1倍問題を含む株価対策について
司会者:「株主還元策は魅力的だと思いますが、株価にはまったく反映されていません。PBR1倍問題を含め、対応策を教えてください」というご質問です。
廣冨:自社株買いなどは一時的に株価上昇の効果が出ますが、中長期的にはやはり今赤字になっている海外事業を立て直して収益を上げ、その分利益を配当に回すのが本筋だと思っています。
今日ご説明したように中期経営計画をしっかり成し遂げて、常に200億円以上の利益を出すことができれば、配当性向を上げられ、株主のみなさまのご期待に応えられるだろうと思っています。
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