535円
ASAHI EITOホールディングスのニュース
■アサヒ衛陶<5341>の中長期の成長戦略
1. 新中期経営計画
2019年8月に、抜本的構造改革と同時に発表した「中期経営計画2020年~2022年」の基本方針は、国内を縮小均衡させ、海外を成長原動力とすることである。
(1) 新中期経営計画の基本方針
日本の人口は2008年に減少に転じており、2023年からは世帯数でも減少期に入ると予想されている。国内市場が縮小傾向にあるなか、運賃及び諸資材の高騰や顧客要求の高度化によりコストを吸収できない事業環境になりつつある。デフレ傾向が続く日本では価格上昇が困難な一方、アジアでは経済発展とともに最低賃金の上昇などが続き、内外価格差が縮小傾向にある。国内事業は、人員削減を含む固定費の徹底した削減、低採算案件からの撤退と製品数及び顧客数の絞り込みで黒字化を定着させる。
海外事業は、海外調達・海外販売の「OUT-OUT取引」の事業モデルである。賃金上昇によるコストアップがあっても購買力向上につながり、市場は急拡大する。ベトナムを中心とした受注見込み案件が約24億円あり、確実な取り込みを図る。加えて、ミャンマーやバングラデシュなどで代理店網を築いており、これらの拡販を目指すとともに、東アフリカなど他の日系企業がいまだ進出していない新興マーケットの開拓を進めている。
(2) 新中期経営計画の目標値
新中期経営計画の目標値の方向性は変わらない。当初計画では、連結ベースで2020年11月期の売上高が2,400百万円、営業利益が70百万円、2021年11月期が同様に3,080百万円、230百万円、2022年11月期が3,750百万円、340百万円としている。国内単体の向こう3ヶ年の営業利益の推移は、15百万円、30百万円、40百万円と多大な期待をしていない。一方、海外子会社は、ベトナムを中心に業績の急拡大を図る。向こう3ヶ年の売上高推移は、400百万円、1,000百万円、1,600百万円、営業利益が55百万円、200百万円、300百万円と急拡大することを計画していた。
2. 海外事業展開
新中期経営計画の海外事業では、ベトナムを中心とした受注見込み工事案件(約24億円)の確実な取り込みを掲げている。ベトナム販売子会社のVINA ASAHIは、2019年1月にショールームを開設し、大型物件の受注を順調に積み上げている。
(1) ベトナムの大口案件納入計画
ベトナムの人口は、9,620万人と東南アジアで3位、世界で15位となる。10年間で1,000万人増加した。同国最大都市のホーチミン市の人口は、約900万人と10年間で180万人増加しており、住宅不足が深刻化している。
2019年夏から2020年1月までに、大口納入予定案件について4回リリースを出している。ベトナム国内における病院、ホテル、集合・戸建住宅に関する9プロジェクトで、合計7,710室、納入予定額187万米ドルになる。2019年9月リリースした大口案件納入計画は、ホーチミン市に建設される600室と130室の2つの病院建設である。ホーチミン市が計画する病院建設を請け負う国営ゼネコングループから受注した。2020年1月リリースの第4弾では、総合病院を運営する投資グループの案件で、2020年度に2病院物件(各約700室)と2021年度に2物件(約750室と約1,000室)にトイレ、洗面器、給水栓、付属金具などを納入する。ホーチミン市の社会住宅(約930室)向けに、トイレと洗面器を納める予定だ。社会住宅は、国家主導の集合住宅を指す。国家または国が認めた組織により、公務員・軍人、経済特区・工業団地・輸出加工区・ハイテク団地の事業に従事する労働者、都市部の貧困者・生活保護対象者、住宅を必要とする学生(大学生、各種学校)などを入居対象とする。
(2) ベトナム以外の地域での市場開拓状況
同社グループは、ベトナムと同様にASEAN経済共同体に属するミャンマーに続き、2019年3月にバングラデシュ、同年11月に東アフリカのウガンダ共和国において販売活動を開始した。
人口が5,000万人を超えるミャンマーでは、2017年より普及活動をしており、既に主要都市のヤンゴン、ダウェイ、マンダレー等5都市に販売拠点を設けている。2019年11月に開催された日本企業を同国国内に紹介する一大イベントである「第8回JAPAN EXPO 2019 YANGON」に出展したが、EXPO来場者とのマッチングにより、世界仏教三大遺跡で有名な中部バガン地域のホテル案件、マンダレー地域での中規模ホテル案件、首都ヤンゴンでのショッピングモール兼アパート案件等の納入が内定した。
バングラデシュは、人口が世界8位の1億6,300万人いる。2019年3月より同国における販売活動を開始し、日本発の優れたトイレ文化・衛生環境の整備普及を目的として順調に拡販をしている。首都ダッカを中心に、複数の代理店とサービス網の構築が進んでいる。同年11月には、同社の現地代理店が同国の建築士協会が主催する「Dhaka International Building Material EXPO」に出展した。併せて建設関係者・関係機関の幹部などを招いて、PRイベントを開催し、2019年暮れには販売代理店がショールームを開設した。
アフリカは、EAC(東アフリカ共同体)をターゲットとする。経済の中心国であるウガンダ、ケニア、タンザニアの3ヶ国を最優先進出先とする。最初に進出したウガンダでは、発売開始記念イベントに同国の国土開発大臣と日本の在ウガンダ共和国特命全権大使など両国関係者が出席した。ほかにも、現地の建築家、建設業者、建材の卸業者、TV、新聞などの報道機関を含め150名を超える人が集まった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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1. 新中期経営計画
2019年8月に、抜本的構造改革と同時に発表した「中期経営計画2020年~2022年」の基本方針は、国内を縮小均衡させ、海外を成長原動力とすることである。
(1) 新中期経営計画の基本方針
日本の人口は2008年に減少に転じており、2023年からは世帯数でも減少期に入ると予想されている。国内市場が縮小傾向にあるなか、運賃及び諸資材の高騰や顧客要求の高度化によりコストを吸収できない事業環境になりつつある。デフレ傾向が続く日本では価格上昇が困難な一方、アジアでは経済発展とともに最低賃金の上昇などが続き、内外価格差が縮小傾向にある。国内事業は、人員削減を含む固定費の徹底した削減、低採算案件からの撤退と製品数及び顧客数の絞り込みで黒字化を定着させる。
海外事業は、海外調達・海外販売の「OUT-OUT取引」の事業モデルである。賃金上昇によるコストアップがあっても購買力向上につながり、市場は急拡大する。ベトナムを中心とした受注見込み案件が約24億円あり、確実な取り込みを図る。加えて、ミャンマーやバングラデシュなどで代理店網を築いており、これらの拡販を目指すとともに、東アフリカなど他の日系企業がいまだ進出していない新興マーケットの開拓を進めている。
(2) 新中期経営計画の目標値
新中期経営計画の目標値の方向性は変わらない。当初計画では、連結ベースで2020年11月期の売上高が2,400百万円、営業利益が70百万円、2021年11月期が同様に3,080百万円、230百万円、2022年11月期が3,750百万円、340百万円としている。国内単体の向こう3ヶ年の営業利益の推移は、15百万円、30百万円、40百万円と多大な期待をしていない。一方、海外子会社は、ベトナムを中心に業績の急拡大を図る。向こう3ヶ年の売上高推移は、400百万円、1,000百万円、1,600百万円、営業利益が55百万円、200百万円、300百万円と急拡大することを計画していた。
2. 海外事業展開
新中期経営計画の海外事業では、ベトナムを中心とした受注見込み工事案件(約24億円)の確実な取り込みを掲げている。ベトナム販売子会社のVINA ASAHIは、2019年1月にショールームを開設し、大型物件の受注を順調に積み上げている。
(1) ベトナムの大口案件納入計画
ベトナムの人口は、9,620万人と東南アジアで3位、世界で15位となる。10年間で1,000万人増加した。同国最大都市のホーチミン市の人口は、約900万人と10年間で180万人増加しており、住宅不足が深刻化している。
2019年夏から2020年1月までに、大口納入予定案件について4回リリースを出している。ベトナム国内における病院、ホテル、集合・戸建住宅に関する9プロジェクトで、合計7,710室、納入予定額187万米ドルになる。2019年9月リリースした大口案件納入計画は、ホーチミン市に建設される600室と130室の2つの病院建設である。ホーチミン市が計画する病院建設を請け負う国営ゼネコングループから受注した。2020年1月リリースの第4弾では、総合病院を運営する投資グループの案件で、2020年度に2病院物件(各約700室)と2021年度に2物件(約750室と約1,000室)にトイレ、洗面器、給水栓、付属金具などを納入する。ホーチミン市の社会住宅(約930室)向けに、トイレと洗面器を納める予定だ。社会住宅は、国家主導の集合住宅を指す。国家または国が認めた組織により、公務員・軍人、経済特区・工業団地・輸出加工区・ハイテク団地の事業に従事する労働者、都市部の貧困者・生活保護対象者、住宅を必要とする学生(大学生、各種学校)などを入居対象とする。
(2) ベトナム以外の地域での市場開拓状況
同社グループは、ベトナムと同様にASEAN経済共同体に属するミャンマーに続き、2019年3月にバングラデシュ、同年11月に東アフリカのウガンダ共和国において販売活動を開始した。
人口が5,000万人を超えるミャンマーでは、2017年より普及活動をしており、既に主要都市のヤンゴン、ダウェイ、マンダレー等5都市に販売拠点を設けている。2019年11月に開催された日本企業を同国国内に紹介する一大イベントである「第8回JAPAN EXPO 2019 YANGON」に出展したが、EXPO来場者とのマッチングにより、世界仏教三大遺跡で有名な中部バガン地域のホテル案件、マンダレー地域での中規模ホテル案件、首都ヤンゴンでのショッピングモール兼アパート案件等の納入が内定した。
バングラデシュは、人口が世界8位の1億6,300万人いる。2019年3月より同国における販売活動を開始し、日本発の優れたトイレ文化・衛生環境の整備普及を目的として順調に拡販をしている。首都ダッカを中心に、複数の代理店とサービス網の構築が進んでいる。同年11月には、同社の現地代理店が同国の建築士協会が主催する「Dhaka International Building Material EXPO」に出展した。併せて建設関係者・関係機関の幹部などを招いて、PRイベントを開催し、2019年暮れには販売代理店がショールームを開設した。
アフリカは、EAC(東アフリカ共同体)をターゲットとする。経済の中心国であるウガンダ、ケニア、タンザニアの3ヶ国を最優先進出先とする。最初に進出したウガンダでは、発売開始記念イベントに同国の国土開発大臣と日本の在ウガンダ共和国特命全権大使など両国関係者が出席した。ほかにも、現地の建築家、建設業者、建材の卸業者、TV、新聞などの報道機関を含め150名を超える人が集まった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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