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【QAあり】カバー、売上高・営業利益ともに大幅増、マーチャンダイジング分野の「hololive OFFICIAL CARD GAME」の販売が好調
2025年3月期第2四半期決算説明
谷郷元昭氏(以下、谷郷):みなさま、本日は当社決算説明会のためにお時間をいただき、ありがとうございます。カバー株式会社CEOの谷郷です。
本日はまず、CFOの金子から2025年3月期第2四半期決算概況及び2025年3月期下半期にかけてのサービス分野別の事業展開についてご説明し、続いて私から中長期事業開発の進捗状況についてご説明します。
決算ハイライト 2025年3月期Q2のサマリー①
金子陽亮氏(以下、金子):CFOの金子です。2025年3月期第2四半期の決算ハイライトをご説明します。第2四半期単体の業績概況は、売上高が106億8,800万円、売上総利益が57億5,700万円、限界利益が48億6,500万円、営業利益が25億3,700万円、純利益が15億円となりました。
サービス別売上の概況はスライドに記載のとおりです。配信/コンテンツは、前年同期比プラス21.4パーセントの21億8,400万円です。こちらは昨年デビューした新規タレントの収益貢献などにより、順調に進捗しています。
ライブ/イベントは、前年同期比マイナス11.0パーセントの11億4,400万円です。こちらは海外ライブコンサートの好調などにより社内計画を上振れたものの、第2四半期のライブコンサート件数が昨年度対比で少ないことにより減収となっている状況です。一方で、今期は第3四半期以降に中・大型のライブコンサートを実施する計画のため、通年計画は順調に進捗していると理解しています。
マーチャンダイジングは、前年同期比プラス79.8パーセントの58億7,900万円です。こちらは「hololive OFFICIAL CARD GAME」などの新規施策が想定を超える販売を記録し、大きく伸長しています。
ライセンス/タイアップは、前年同期比プラス90.1パーセントの14億8,000万円です。こちらは年初からの営業組織の刷新の効果が見え始めているほか、海外案件の獲得など、取引パイプラインが順調に拡大しています。
そして、第2四半期においては新規タレント「ReGLOSS」の3D配信ライブが最大同時接続数20万人を集めるなど、好評を博しました。また、米国拠点である「COVER USA」の稼働と並行して、海外施策の強化を行っています。
決算ハイライト 2025年3月期Q2のサマリー②
サービス分野別の実績を表で示しました。2025年3月期第2四半期累計の全体の売上高は171億400万円、通期進捗率は46.9パーセントです。
限界利益が78億3,200万円で通期進捗率は49.9パーセント、営業利益が33億7,200万円で通期進捗率は46.2パーセント、純利益が21億2,000万円で通期進捗率は41.9パーセントとなっています。
当社の業績は下半期に拡大しやすいという季節性を持っていることを考えると、順調な進捗と理解しています。
VTuberあたり収益の状況
第2四半期期間の在籍VTuberあたり四半期収益の指標は、前年同期比で41.2パーセント上昇しました。トレーディングカードゲームなどのIPの多面展開を通じて限界利益を改善することにより、VTuberあたりの収益は引き続き大きく伸長しています。
売上高の推移
売上高の推移です。マーチャンダイジング及びライセンス/タイアップ分野の事業拡大により、売上高は前年同期比プラス49.8パーセントまで成長しています。
マーチャンダイジングについては、販売チャネルの拡充を背景に小売売上高が着実に拡大しています。加えて、受注生産商品も好調が継続し、BS上では前受金残高が過去最高の約84億円を記録している状況です。
ライセンス/タイアップについては、営業組織再編の効果が出始め、国内外で取引クライアント数や案件数が増加しています。
コスト推移(売上原価)
売上原価の推移です。第2四半期期間ではマーチャンダイジング取引の増加を背景とした製造原価の増加や、コンテンツの増加に伴うスタジオ関連費用の増加が確認された一方で、イベント費が前年同期比でやや限定的な水準に留まっています。
売上総利益及び売上総利益率の推移
売上総利益と売上総利益率の推移です。第2四半期期間は、トレーディングカードゲームなどの収益性が高い商品が売上高を牽引した結果、粗利率及び粗利水準が過去最高値を更新しています。
コスト推移(販管費および販管費率)
販管費の推移です。第2四半期期間はマーチャンダイジング売上の増加に伴い、倉庫販管費が増加しました。しかし売上高対比の販管費率は、固定費率の相対的な低下によって、前四半期対比で低下して推移している状況です。
限界利益及び限界利益率の推移
限界利益の状況です。非労働集約的なコマース領域が売上高を引き続き牽引していることを背景に、限界利益水準は前年同期比プラス63.6パーセントまで拡大し、過去最高値を更新しました。
営業利益及び営業利益率の推移
営業利益の推移です。限界利益の継続的な改善により、営業利益水準は前年同期比プラス80.2パーセントまで拡大しています。将来の業績拡大に向けた人材投資を継続しつつ、営業利益は2022年3月期以来の高水準を記録しています。
サービスミックス及びプロダクトミックスの概観
第2四半期累計期間で売上高全体に占めるコマース領域の構成比は、66.6パーセントまで上昇しています。右側のグラフで示しているように、小売流通による卸売が大部分を占めるトレーディングカードゲームの展開開始により、商品カテゴリ及び販路の拡大も大きく進捗している状況です。
2025年3月期下半期にかけてのサービス分野別の事業展開
下半期以降の事業展開に関してご説明します。各サービス分野で着々と進捗している状況です。
配信/コンテンツについては、2024年11月9日に「hololive DEV_IS」より新規ユニット「FLOW GLOW」がデビューしました。また、音楽を起点とした商品・サービスの拡充、海外タレントをフィーチャーしたコンテンツの拡充などが進捗している状況です。
ライブ/イベントについては、多数の中・大型のイベントがすでに公表されています。2024年10月に有明アリーナで「さくらみこ」のソロライブ、11月から12月にかけて「星街すいせい」の国内ライブツアー、12月にKアリーナ横浜で「宝鐘マリン」のソロライブ、2025年2月にぴあアリーナMMで「白上フブキ」のソロライブの開催など、複数本の中・大型ライブを実施予定です。
これらに加え、今年度も2025年3月8日、9日に、超大型の「hololive Super EXPO/hololive Fes.」の開催を予定しています。
マーチャンダイジングについては、9月からトレーディングカードゲームの販売が開始しています。また、コンテンツの拡充に合わせた商品企画・生産及び物流キャパシティの拡大が進捗しています。
さらに、国内・海外における小売店販売も拡大しています。トレーディングカードゲームについては、2024年12月にブースターパック第2弾の発売を予定しており、今後も定期的に新商品を拡充していく想定です。
ライセンス/タイアップについては、引き続き、営業組織再編による収益力の強化、北米現地拠点や各地域の現地代理店などを介した海外BtoBの拡大を進めていきます。
タレントの開発
谷郷:中長期事業開発の進捗状況について、私からご説明します。当社はVTuberタレントのプロデュースとそのIT展開の両輪を回すことにより、事業を大きく拡大してきました。
ホロライブプロダクションのファンコミュニティをベースにした新規VTuberタレントの立ち上げ、企業として蓄積された制作能力や最新のモーションキャプチャ設備を活用したタレント育成、トレーディングカードゲームやゲームのようなIP露出によるファンコミュニティ拡大及び回遊、企業収益の再投資によるタレントの個性に応じたさらなる活躍機会の提供に取り組んでいます。
このような弾み車の存在により、当社の所属VTuberは個人では実現できないような大きな影響力を持てるようになりつつあります。
ホロライブ内でのファンの回遊・メンバーシップ加入の状況
YouTube上で当社VTuberの有料メンバーシップに加入するファンのうち、複数のVTuberのチャンネルメンバーシップに加入しているファンは全体の約55パーセントに上ります。ブランド内でのファンの回遊が、ファンコミュニティのリテンションの高さや新規タレントの立ち上げに寄与しています。
ReGLOSS – 初の 3D ライブ開催 –
2024年9月に開催された、デビュー1周年のユニット「ReGLOSS」の初3Dライブコンサートでは、最大同時接続数約20万という大きな集客を確認できました。
自社保有のモーションキャプチャ・スタジオの運用能力や表現技術の向上によって、以前に増して一層臨場感のあるライブコンサート演出が可能となっており、「ReGLOSS」の人気を加速させる一因となりました。
ReGLOSS – ファン数の増加 –
昨年2023年にデビューした「ReGLOSS」は、ショート動画のヒットや、先の3Dライブコンサートの盛況などを経て、2024年8月頃からファン数が顕著に増加しています。
当社の能力拡充を活かした再現性の高い人気VTuberの立ち上げが、今後も継続的な事業成長の基礎となっていくと考えています。
ホロライブEnglish のモメンタム向上
英語圏向けVTuberグループ「ホロライブEnglish」については、2023年以降のメンバー増員により配信コンテンツ数のフローが顕著に拡大しています。コンテンツ数の拡充は、着実にファンの総視聴時間数の増加にもつながっており、ファンのエンゲージメント強化に寄与しています。
今年度の海外イベント出展について
今年度は、スライドの地図上にプロットした世界各地でのイベント出展を実施しています。海外イベント出展を通じ、現地のファンコミュニティの拡大とエンゲージメントの向上を図っていきます。
自社企画TCG 「hololive OFFICIAL CARD GAME」の販売開始
2024年9月20日より販売開始した「hololive OFFICIAL CARD GAME」は、販売前より全国での試遊会やルール講習会などを通じたプロモーションを実施した結果、9月販売分のブースターパック第1弾やスタートデッキが好調な売れ行きとなっています。
12月にはブースターパック第2弾の発売が予定されているほか、発売後も大型の関連イベントを実施するなど、今後もユーザーコミュニティの拡大を実施していく想定です。
マーチャンダイジング分野における物流改善について
マーチャンダイジングの取引高が急速に拡大する一方で、物流についても生産性の改善を計画しています。来期には新物流センターの立ち上げを計画しており、これによって複数稼働している倉庫を1箇所に集約し、生産性を高める想定です。
加えて、生産販売計画の合理化を推進し、期間を通じた取扱物量の変化にも柔軟に対応可能な体制を構築する予定となっています。
ホロアース / ゲームの開発状況について
中長期の事業拡大に向けた新規サービス開発も着実に進捗しています。開発中の「ホロアース」については、月ごとに頻繁なアップデートを行っており、ユーザー体験の基盤となるインフラの拡充を行っています。
「ホロアース」については、下半期より一部開発資産の償却を開始予定であり、2025年3月期は3億5,000万円程度のPLへの影響を見込んでいます。
また、子会社を通じて行っているゲーム開発は、インディーズゲームブランド「holo Indie」にて、すでに14本のゲームをリリースしており、ゲーム・ディベロッパーコミュニティにおける認知拡大を推進しています。
これとは別に、当社IPをベースにしたライセンスゲームの開発も、ゲームディベロッパー企業との協業により継続的に進行しています。
その他財務状況に関わる事項に関して
最後に、その他の財務状況に関わる事項に関してご説明します。1つ目は、2024年10月25日に公正取引委員会から発表された、下請代金支払遅延等防止法に基づく勧告についてです。
当該事項については、同日の公正取引委員会からの「下請代金支払遅延等防止法に基づく勧告について」のリリースにて言及しているとおり、クリエイターのみなさまや各取引先との取引を円滑かつ安心して進められるよう、役員及び従業員に対する社内研修を実施するなど、各法令の遵守とともに、社内体制の強化とモニタリング等の未然の対策を整備し、引き続きコンプライアンスの強化と再発防止に向け、改善を図る方針です。
直接の財務的な影響は軽微であるものの、今後も改善に向けて対応を進めていきます。
2つ目は、諸外国間接税引当金の特別損失の計上についてです。本件は2024年10月29日に「2025年3月期第2四半期(累計)業績予想の修正及び特別損失の計上に関するお知らせ」の中で開示しています。
米国における売上税をはじめとしてユーザーから徴収していなかった諸外国間接税を見積もり、当社の責任において、当該諸外国間接税の納付見積金額を諸外国間接税引当金繰入額として4億5,000万円の特別損失を計上しました。
こちらは、各税務論点を税務アドバイザーとともに精査し、今回のみの一過性の計上となる見通しです。現状は最大の見積金額を引当金として計上しているため、今後においては戻入等が発生する可能性があります。
ご説明は以上となります。
質疑応答:マーチャンダイジング事業の売上の内訳について
質問者:マーチャンダイジング事業の第2四半期の売上を分解すると、どのような構成になっていますか? トレーディングカードゲーム、小売、ECなどの比率を教えてください。
金子:スライド13ページ右側のグラフをご覧いただくと、第2四半期期間はマーチャンダイジング売上に占める小売売上高の構成が20パーセント程度となっており、残りはEC経由での売上となっています。トレーディングカードゲームの売上高は、7割から8割程度がホールセラー経由での小売流通となっており、小売売上高の中でも大きな構成を占めています。
質疑応答:下半期の業績が上振れる要素について
質問者:下半期の業績の見方を教えてください。今回、計画は特に修正されていないと思いますが、期初で予想していた下半期業績に対し、現段階でどのような上振れ要素を見込んでいますか?
金子:10月末に上半期の業績予想は修正したものの、下半期については据え置きました。当社業績は下半期の構成が大きくなる季節性があるため、通期は据え置いている一方で、業績を上振れさせるような要素はいくつかあるかと思います。
例えば、期初時点ではトレーディングカードゲームの収益などは保守的に予算化していましたが、第2四半期時点でもトレーディングカードゲームの売上は予想を上回る水準となっている状況です。今年度中に12月以降も商品が発売されるため、トレーディングカードゲームが業績の上振れ要因になってくる可能性はあると思います。
また、上半期はマーケティング趣旨が強い海外のライブコンサートを多く開催していましたが、下半期以降はお客さまの入りを読みやすい、あるいは制作コストを比較的コントロールしやすい国内の中・大型ライブコンサートが続きます。そのため、こちらもアップサイドがあるのではないかと思っています。
さらにトレンドとして、マーチャンダイジング、ライセンス/タイアップの売上が平均的に上がっていることに加え、毎年下半期には受注生産グッズの発送が大きく進むため、アップサイドは一定程度あるのではないかと思います。
質疑応答:来期以降のIPの展開について
質問者:IPの展開について、今回はトレーディングカードゲームによる下半期の成長を見込まれていますが、冒頭のご説明でゲーム開発に言及されたように、来期以降は別の材料が期待できる想定でしょうか?
金子:まず、トレーディングカードゲームについては、収益性が従前のグッズよりもやや高く、まとまった売上ボリュームもあるため、来期の業績にも相応のインパクトを与える可能性があると思っています。まだ9月下旬に発売したばかりですが、今後新しいシリーズの展開や、販売市場を広げるようなマーケティングの強化により、来期以降も拡大を期待しています。
ゲームの収益が規模感を持ってくるのは、来期の下半期以降になる可能性があります。現在、小型のインディーズゲーム・クリエイターや中型のゲーム・ディベロッパーとの取り組みにより、徐々にリリースタイトルが増加している状況です。
質疑応答:トレーディングカードゲームの持続性と今後の施策について
質問者:トレーディングカードゲームは、今後の持続性をどのように捉えればよいでしょうか? 足元ではリセール時にかなり高い価格で売られているようにも思います。今後、さらに生産キャパシティを拡充する考えはあるのか、あるいは海外展開などを検討されているのかを教えてください。
金子:持続性については、まだトレーディングカードに加わっていないVTuberの展開、あるいはすでに加わっているVTuberでも、多面的なIPの見せ方で新商品の展開を続けられると思っています。また、おっしゃるように、展開地域の拡大も含め、中期的な売上を見込める1事業として拡大させていきたいと思っています。
「供給をどの程度増やすことができるか」については、スライド22ページで紹介したようなカードゲーム大会や、全国のカードショップでのイベントなどのマーケティングを通じてプレイヤー人口を増やしながらカードの生産供給を進めている状況です。
ですので、例えば初期ロットで投入した数量の3倍、4倍を、ある時期に突然投入するようなことは、地域展開を拡大するまでは見込んでいません。新商品が出るたびに市場への供給は徐々に増加していくと思っています。
質疑応答:第2四半期に前受金が積み上がった要因について
質問者:今回、第2四半期のタイミングで前受金が大幅に積み上がっていますが、これについては「御社のIPの価値が上がっている」と素直に受けとめてよいのでしょうか? 例えば、引退したVTuber関連など、一時的な要因があるのかを教えてください。
金子:VTuberあたりの人気が平均的に上がって受注数が伸びている部分と、一時的な部分の2要素があると思っています。前者はお伝えしたとおりですが、後者については、おっしゃるとおり、VTuberの卒業時に販売した関連グッズの受注残が、特需的に積まれていることが要因です。
質問者:一時的な要因の規模はどの程度ありますか?
金子:全体では10億円前後の受注残があります。スライド7ページの右下に記載しているように、受注販売商品に関しては、商品を生産し、お客さまに発送して役務を提供した時点でBS上の前受金からPL上の売上に転嫁していきます。 一時要因の10億円分程度については今年度中に売上に転嫁しない部分も一部発生する可能性があるとみています。
質疑応答:海外展開の状況と売上比率について
質問者:海外人気もかなり高まっており、他社とのライセンス案件で売上を引き上げるような事例も出てきているのではないかと思います。現在の海外展開の状況と、海外売上の比率などを教えてください。
金子:事業開発の進捗により、海外ライブコンサート、商品の海外小売展開、及び海外企業とのBtoB取引等が拡大しています。
四半期ごとの海外売上は開示していませんが、昨年度末に開示した海外売上比率25パーセント程度よりも、着実に高まっていると思います。
質疑応答:今後の人材拡充について
質問者:人材投資や陣容強化に取り組まれていますが、今後、年間でどの程度の陣容強化を行う予定でしょうか? また、どのような業種の人材拡充を狙われているのかを教えてください。
金子:まだ社内で来年度の予算精査が進捗していない状況ですが、100名前後の人員の純増をイメージしています。
トレーディングカード業界、アニメ業界、ゲーム業界など、業界ごとの専門知識が豊富なシニア担当者を据えた上で、その人の交渉力や専門性を起点とし、各部に人材を拡充している状況です。
上半期までは、制作、営業、マーチャンダイジング周辺の人員を拡大してきたほか、海外事業開発関連の人員拡大も進捗しました。
先ほど社長の谷郷からお話ししたとおり、メディアミックスで獲得した利益を大きく投資し、制作能力やタレントIPの影響力を強めることによって、当社の競争優位性を高めていくことがポイントだと思います。ですので、それに資するような専門人材を来年度も獲得していきます。
質疑応答:トレーディングカードのポテンシャルについて
質問者:トレーディングカードについて、推定では9月のみで10億円強の売上を立てていると思われますが、販売拡大により年間100億円を超える可能性はありますか? また、カードの生産キャパシティが流通量のボトルネックになっているとしたら、どの程度の時間をかければそれを解消できる見込みでしょうか?
金子:印刷段階での生産キャパシティは、まだ初期ロットであるため深刻な問題にはなっていません。
100億円の市場規模になる可能性については、中長期的には十分あり得ると思っています。決算説明の中で、トレーディングカードゲームは7割から8割がホールセラー経由で小売販売しているとご説明しました。
お客さまの手に商品が渡るまでのサプライチェーンを考えると、短期的な過剰供給によって小売店側で過剰在庫が発生してしまわないように、適切なスピード感で商品を供給していく必要はあると思っています。
どのくらいの早さで100億円規模にたどり着くかは、販売チャネル拡大やマーケティングの進捗、または新しいプロダクトの供給スピード等によって変わってくるかと思います。
質疑応答:タレントの離脱リスクについて
質問者:「湊あくあ」の卒業がありました。
外から見て、卒業後のVTuberのIP権利関係がどのようになっているのかが、わかりづらい部分もあると感じています。そのあたりについて教えてください。
金子:所属VTuberのIP権利は卒業後も会社側に帰属しています。
当社でVTuberとして活動する場合、例えば名前などの表層的なIPの権利のみならず、楽曲や映像等の関連制作アセットも、会社に蓄積されていきます。
IPの権利が会社にあることによって、コンテンツの蓄積による継続的な事業の成長を促しやすい状況は変わっていないと思っています。
影響力の高いタレントの離脱リスクを極力抑える方策としては、会社の競争優位性を強化し、会社と一緒にコンテンツを作っているからこそ実現できる利点を強めていくことが重要だと思っています。
当社の優位性として、デビュー当初から大きな注目を浴びられるようなブランドやグローバルなファンコミュニティ、国内最大級のモーションキャプチャ・スタジオのような設備インフラ、大きなライブコンサートも実施可能な制作体制、トレーディングカード等の大規模な商品展開によるクロスセルを通じたファンの還流等が挙げられます。
こうした企業としての強みが継続的なブランド成長の基礎になっていくと考えており、その強化には今後も注力していきたいと思っています。
質疑応答:トレーディングカードゲームの利益率について
質問者:トレーディングカードゲームの売上が非常に好調のようですが、トレーディングカードの利益率は、他のマーチャンダイジングの商材と比べてどのくらいなのでしょうか? 良いのか悪いのか、そのあたりを教えてください。
金子:トレーディングカードに関しては、他のマーチャンダイジング商品よりも、収益性がやや高くなっています。当該商品はホールセラーを通じた流通を行っていますが、この場合、我々はPL上の収益をホールセラーへの納入価格で認識しているため、PL上の流通コストは重くならないような構造になっています。
質疑応答:海外市場のポテンシャルについて
質問者:上期は海外でさまざまな大規模ライブを実施されましたが、その一部にはマーケティングの要素もあったというお話がありました。
御社が今まで展開していなかった海外地域でのライブイベントに関して、市場の可能性や手応えをどのように感じていますか?
金子:市場のポテンシャルは非常に大きいと思っています。第2四半期期間で実施したライブコンサートのうち、大きいものではニューヨークで実施した数千人規模の自社企画のライブコンサートがありました。そちらの現地チケットは発売当初に即日完買し、配信チケットの伸びも比較的好調でした。
この点における業界での優位性については、海外のお客さまとの双方向的なふれあいの機会を多く作っていることも要因になっていると思います。そのように築き上げたコミュニティのモメンタムを受け、大規模なライブコンサートを実施する際には、チケット販売も大きく伸びている状況だと思います。
質疑応答:ライセンスタイアップ事業の今後の成長について
質問者:ライセンスタイアップ事業について、第2四半期も伸びが非常に大きく強かったかと思います。これまで取り組んできた施策の効果が出始めたのではないかと思いますが、この勢いは下半期や来期にさらに加速する想定でしょうか? どのようになると考えればよいのかを教えてください。
金子:期初からの営業組織の強化の効果が出てきていることに加え、ライセンス/タイアップ分野の売上には、毎年、下半期に拡大しやすい季節性があります。したがって、今年度も下半期にかけて、さらなる拡大が期待できると思っています。
質疑応答:「ホロアース」の事業展開について
質問者:「ホロアース」の事業展開について、いろいろなサービスは見えてきていますが、社長の中でイメージされている進捗状況と比べると、現状はどのような状況にあるのでしょうか? 印象について教えてください。
また、来期からおそらく収益が上がってくるのではないのかと思いますが、どのようなサービスで収益を上げていく可能性が高いのでしょうか? 中長期的な年間収益の規模感なども少し見えてきていると思いますが、そのへんを差し支えない範囲で教えてください。
谷郷:「ホロアース」の開発は順調に進捗しています。4月により本格的なサービスのリリースを目指しているため、現状は多くを語ることはできませんが、実際にそれがリリースされてからが本番だと認識しています。
ビジネスモデルに関しては、この領域において、「VRChat」というサービスの存在感が際立ってきていると思います。この「VRChat」について、特に日本においては「BOOTH」という販売サイトを活用し、アバターの衣装や3Dモデルの販売がかなり活発に取引されている状況だと認識しています。
我々のマーチャンダイジングにおいても、Tシャツやアパレル商材は非常に人気があります。メタバースにおいても、デジタルファッションのような、アバターの衣装などがビジネスモデルとしては非常に大きくなると想定しています。
質疑応答:「ホロアース」の開発における課題について
質問者:メタバースは無限に世界が広がるため、作り込む際に想定よりも時間がかかるのではないか、あるいは、どこまで作るかの目処が立てづらいのではないのかと個人的には考えています。
実際に開発を進めていく中で、課題として感じられている部分があれば教えてください。
谷郷:課題は特段感じていませんが、4月にリリースした後も、継続的に開発を続けていくコンテンツになるとは思っています。クリエイターを巻き込みながら、お客さまが買いたいと思うデジタルファッション商材をいかに用意していくかがポイントになると思います。
現状のゲーム市場を見ると、中国などの大手ゲーム企業の制作能力の蓄積が際立っており、ゲーム内アセットやコンテンツを自社の制作能力のみで供給する企業は相対的に苦戦を強いられていると思います。
我々としては、自社のコンテンツ供給能力のみではなく、VTuberで我々自身が行っているように、クリエイターを巻き込みながらコンテンツを供給していくことによって、コンテンツ全体の量を担保していくことがポイントになるだろうと認識しています。
質疑応答:新規のVTuberの発掘と育成の見通しについて
質問者:新規のVTuberの発掘と育成の現状について教えてください。また、中長期的には「年間で何名くらいはデビューさせたい」といった見込みがあれば教えてください。
谷郷:そもそも、コンスタントにタレントを投入していくことだけが正解とは考えていません。
当社に所属している既存のタレントのプロモーションに注力し、トップタレントとして売り出していくまでの循環を回していくことのほうが、コンスタントにタレントを投入していくことよりも重要性が高いと思っています。
現状の年間10名から15名規模の増員ペースは、いわゆるリアルなタレント、芸能人の業界に比べ、むしろペースが速すぎると思っています。
さらにトップタレントを生み出していくにあたって、今後はこのペースを徐々に落としていくほうが、一人ひとりのタレントをしっかりと売り出せる可能性があるため、そのようにアジャストしていく必要があると思っています。
タレントの発掘については、オンラインのオーディションを開けば、多数の方に応募していただける状況です。発掘自体が難しいのではなく、例えば音楽やゲームなどのセグメントごとに適したタレントを募集し、獲得していくことのほうが重要です。つまり、全体のタレントのポートフォリオを重要視しています。
また、同じグループ内でのカニバリゼーションも一定程度、避ける必要があります。ただし、一定の規模がなければ、音楽などでプレゼンスを示すことも難しくなります。ですので、適正量でポートフォリオを組んでいくことが重要だと認識しています。
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