―日米間投資の共同ファクトシートに記載、今後の物色テーマとなる可能性も―
経済産業省などは18日、日米関税合意に基づく5500億ドル(約85兆円)の対米投融資の第1弾として、ガス火力発電事業など3つのプロジェクトを発表した。米連邦最高裁が20日にトランプ関税に違憲判決を出したことで日米関税合意の前提が揺らいでいるものの、赤沢亮正経産相は24日の閣議後の記者会見で対米投融資を続ける意向を示しており、第2弾以降の計画決定に向けた協議は続く見通し。一部で第2弾として次世代型の原子炉建設が有力視されているが、日米間の投資に関する共同ファクトシートに記載された「アンモニア」関連もマークしておきたい。
●第2弾プロジェクトに関心
日米両政府は2025年10月28日、投資に関する共同ファクトシートを公表した。これは5500億ドルの戦略的投資に関する了解覚書の対象となる案件も含め、両国のサプライチェーン強靱化につながるさまざまなビジネス上の取り組みを推進するもの。このなかで「AP1000原子炉及び小型モジュール式原子炉(SMR)の建設」や「AI向けの電源開発(ガス火力、原子力)の検討」などとともに投資対象のひとつに挙げられているのが「グリーンフィールドのアンモニア及び尿素肥料施設の建設」だ。
赤沢経産相は20日の閣議後会見で、対米投融資の第2弾プロジェクトについて日米の相互利益につながる案件の組成に向けて米側と緊密に連携すると強調。発表時期などは「予断することは控えたい」としたうえで、「高市早苗首相の米国訪問を更に実りよいものにするという観点を念頭に置きながら、経済関係の強化に向けた取り組みを進めていく」「第1弾と比べたときに、もし同じような規模、同じようなプロジェクトを組成しようとすると、第2弾の方が多少効率よくスピードアップできる」と述べた。株式市場で今後の物色テーマになり得る銘柄を模索する動きがみられるなか、 「アンモニア」関連が人気化する可能性がある。
●日揮HDは再生可能エネ由来
UBE <4208> [東証P]と三菱マテリアル <5711> [東証P]が折半出資するUBE三菱セメントは2月9日、セメントキルン(焼成炉)における商業規模でのアンモニア混焼を開始したと発表。アンモニアは燃焼時に二酸化炭素(CO2)を排出しない次世代エネルギー源として世界的に注目されており、同社はセメント製造工程で使用する石炭の熱量比30%をアンモニアに代替する構えだ。なお、中外炉工業 <1964> [東証P]はUBE三菱セメントの宇部セメント工場向けにアンモニア専焼バーナーを納入した実績がある。
日揮ホールディングス <1963> [東証P]は1月27日、再生可能エネルギー由来のグリーンアンモニア製造技術の実証プラント(福島県浪江町)で生産を開始したことを明らかにした。これは21年8月に新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)グリーンイノベーション基金事業として、旭化成 <3407> [東証P]と共同採択された「大規模アルカリ水電解水素製造システムの開発及びグリーンケミカルプラントの実証」プロジェクトの一環。同プラントで製造したグリーンアンモニアは、レゾナック・ホールディングス <4004> [東証P]傘下のレゾナックを通じて近隣の火力発電所に供給し、排煙脱硝用途として活用される予定だという。なお、同プラントはレイズネクスト <6379> [東証P]がEPC(設計、調達、建設)一括工事を担当した。
東京電力ホールディングス <9501> [東証P]傘下の東京電力フュエル&パワーと中部電力 <9502> [東証P]が折半出資するJERAは25年12月、経産省が実施する「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律」に基づく価格差に着目した支援制度で、低炭素水素等供給等事業者として認定を受けた。同制度を活用して、米ルイジアナ州の「Blue Point」で製造する低炭素アンモニアを碧南火力発電所における燃料アンモニア転換などで使用する計画で、国内初となる低炭素アンモニアのバリューチェーンが29年度にも完成する見込みだ。
INPEX <1605> [東証P]は11月、新潟県柏崎市に建設した「柏崎水素パーク」が開所したと発表した。この事業は製造時に発生するCO2を分離・回収して大気への排出を抑えたブルー水素とブルーアンモニアを、その製造から利用まで一貫して行う国内初の実証プロジェクト。水素・アンモニア製造から利用にわたるサプライチェーン全体の技術と経験を蓄積するとともに、国内外で水素・アンモニア事業の先駆者となるための実績を獲得することを目指している。
このほかの関連銘柄としては、アンモニアの製造を手掛ける日産化学 <4021> [東証P]、省エネ型ヒートポンプ式アンモニア回収装置を展開する木村化工機 <6378> [東証S]、アンモニア用キャンドモーターポンプを扱う帝国電機製作所 <6333> [東証P]、液体アンモニア専焼ガスタービンを開発済みのIHI <7013> [東証P]などが挙げられる。
●見逃せないエンジン開発
NEDOはグリーンイノベーション基金事業の一環として、海上輸送の脱炭素化に必要不可欠な水素やアンモニアなどを燃料とする次世代船舶の社会実装を目指す「次世代船舶の開発」プロジェクトを進めており、アンモニアを主燃料とするエンジン開発も見逃せない。
岡山県は2月13日、三井E&S <7003> [東証P]の設備投資にあたり、大型投資・拠点化促進補助金を活用することを決めたと発表。これは同社が玉野工場でアンモニアを主燃料とする二元燃料エンジンの製造に向け、貯蔵タンクからアンモニアをエンジンに供給するための燃料供給装置の導入、燃料弁製造ラインを新設し、生産体制を整備することに伴うもの。投資額は約61億円で、そのうち2億8000万円を岡山県が補助するという。
日機装 <6376> [東証P]は1月6日、グループ会社が次世代クリーン船舶向けに設計された新しい燃料ガス供給システムを開発したことを明らかにした。このシステムは燃料の種類を問わず、現行の380~420barという基準を大きく超える圧力を安定的に供給できるよう設計された将来を見据えたソリューション。造船業者や運航事業者がLNG(液化天然ガス)、エタン、アンモニア、水素などの低炭素燃料へ移行するなか、現行から次世代までのエンジンに幅広く対応するとしている。
これ以外では、カナデビア <7004> [東証P]が25年12月に子会社の日立造船マリンエンジンがアンモニアを燃料とした舶用エンジンの生産に向けて設備投資を行うと発表。ジャパンエンジンコーポレーション <6016> [東証S]は同年9月にフルスケールのアンモニア燃料エンジン初号機が完成したことを明らかにしている。
株探ニュース
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