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東洋合成工業のニュース
―TSMCの九州工場建設など呼び水に、機械・物流株などに好影響を期待―
日本企業の「日本回帰」に対する関心が高まっている。1990年代から2000年代にかけ、円高対策として日本企業の海外生産が急進展した。しかし、米中対立を背景にした世界経済の分断に加え、今年の春先以降の円安進行、更に経済安全保障に対する意識の高まりとともに、日本国内での生産を進める動きが強まっている。この国内回帰の動きは、設備投資関連のほか物流、研究開発関連などを含め幅広い需要を巻き起こす可能性が高い。
●90年代以降の海外生産推進からの分水嶺に
日本企業の海外生産は、90年代以降の急激な円高を背景に急進展した。有力メーカーでは「円高でも利益が出せる生産体制」が意識され、中国のほか東南アジア、そして欧米へと海外生産を進めた。しかし、この海外展開の潮流に変化が生じており、時代は大きな分水嶺を迎えている。まず、海外生産を推進した円高はいまや円安へと転換し始めた。円安の流れのなかでは、国内での生産に優位性が生まれ、海外からの輸入は割高となりデメリットを発生させかねない。
また、米中対立の激化による世界経済の分断の動きも新たな潮流の変化だ。米国の対中制裁関税の影響は、脱中国を加速させている。更に、ウクライナ紛争の勃発もあり、「経済安全保障」に対する注目度は一段と高まった。
●経済安保の観点から半導体育成は国策に
経済安保では、過度な海外依存は有事の際の国民生活を脅かしかねない、という認識を強めさせた。例えば、かつて「産業のコメ」と呼ばれた 半導体はいまや「産業の頭脳」と呼ばれ、経済安保の観点から外せないキーデバイスとしての存在感は一段と高まっている。その象徴的な出来事が、先端半導体の量産で世界トップの台湾積体電路製造(TSMC)
「大きな流れとしての海外生産の流れは変わらない」(アナリスト)という見方は少なくないが、為替や経済安保面からのリスク管理の意味も含め、日本回帰を見直す機運は今後、一段と強まりそうだ。
●SUBARUがEV向け新工場建設など国内回帰の動き
そんななか、足もとでは国内大手企業による設備投資の国内回帰や強化の動きが活発化している。例えば、半導体大手ルネサスエレクトロニクス <6723> [東証P]は5月に、電気自動車(EV)向けに需要が拡大するパワー半導体の生産能力増強を発表。14年にいったん閉鎖した甲府工場を復活させることを明らかにした。
また、SUBARU <7270> [東証P]は、EV専用として約60年ぶりに国内新工場の建設を決め、既存工場でのEV生産を含め約2500億円を投資する方針だ。SMC <6273> [東証P]は岩手県遠野工場(遠野市)のエリアを整備して、「遠野サプライヤーパーク」を建設。サプライヤーを誘致し、生産能力を拡大する計画だ。
TDK <6762> [東証P]は、秋田県にかほ市に電子部品の新たな生産拠点となる「稲倉工場西サイト」を建設中で、秋田地区の電子部品の生産拠点強化を進めている。また、セイコーエプソン <6724> [東証P]は、水平多関節(スカラ)ロボットの生産能力を25年度までに国内で20年度比で5倍に高める方針であることも、伝わっている。米国輸出時の対中制裁関税の影響を避けるため、国内での生産能力を増強する意向があるとみられている。
●半導体やFA関連、物流、試験機器など注目
これら、設備投資の国内回帰は新たな需要を呼ぶことが期待される。半導体関連では製造装置の東京エレクトロン <8035> [東証P]をはじめ、ICパッケージのイビデン <4062> [東証P]や新光電気工業 <6967> [東証P]、EUVレジスト向けなどに感光性材料が伸びる東洋合成工業 <4970> [東証S]、液晶・半導体製造装置の芝浦メカトロニクス <6590> [東証P]、特殊ガス供給装置のジャパンマテリアル <6055> [東証P]、電子顕微鏡で世界首位の日本電子 <6951> [東証P]、ウエハー基板搬送機のローツェ <6323> [東証P]など幅広い分野への需要が期待できる。
また、国内設備投資に絡んで、 FA関連のキーエンス <6861> [東証P]、SMC、ファナック <6954> [東証P]や工作機械のツガミ <6101> [東証P]などのほか、迅速流体継ぎ手の日東工器 <6151> [東証P]、制御機器大手のIDEC <6652> [東証P]、機械商社のミスミグループ本社 <9962> [東証P]、搬送・保管システムのダイフク <6383> [東証P]など。総合物流大手で顧客の工場内での工程請け負いなども手掛ける鴻池運輸 <9025> [東証P]、環境試験機器のエスペック <6859> [東証P]など。また、九州地区へ半導体関連企業などが集まることによりJR九州 <9142> [東証P]などへの追い風も期待されている。
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