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スカラ Research Memo(8):2020年6月期は新型コロナウイルス感染拡大の影響により減益が避けられず(1)

配信元:フィスコ
投稿:2020/04/17 15:18
■今後の見通し

1. 2020年6月期の業績見通し
スカラ<4845>は中期経営計画の中で、2020年6月期以降に新規事業を展開していく方針を明らかにしており、これら新規事業については不確定要素が大きいことから2020年6月期業績予想を非開示としている。中期経営計画の中で示した既存事業における業績見通しについては、売上収益で前期比16.9%増の20,000百万円、営業利益で同11.4%増の2,400百万円と増収増益を見込んでいたが、既述のとおり、第2四半期までSaaS/ASP事業やSFA事業の進捗率がやや計画を下回っていることに加えて、2月以降の新型コロナウイルス感染拡大による影響が営業活動でも出始めていることから、通期でも減益となる可能性があると弊社では見ている。市場環境が厳しいなか、同社は将来の成長に向け、以下の施策に取り組んでいく方針となっている。

(1) SaaS/ASP事業
SaaS/ASP事業については、開発案件の大規模化とともに難易度も上昇する傾向にあるなかで、現状の課題点として、開発リソースが不足し内製化の限界が見え始めていることが挙げられる。こうした課題を解決し、将来的に高成長を実現していくための施策として、同社は「ミャンマーにおけるオフショア開発体制構築及び社内開発プラットフォームの再構築」「外注クラウドプラットフォームの構築」「魅力ある汎用サービスの拡販プロセスの構築」の3点に取り組んでおり、2020年末までにこうした体制を構築し、2021年以降の高成長につなげていく考えだ。

このうち、「社内開発プラットフォームの再構築」としては以下の3点に取り組んでいく。

a) 再利用可能なモジュールをマイクロサービス化
開発の上流工程からモジュール化することにより、サービスレベルでの開発連携を柔軟に行えるようにするため、既存サービスも含めてシステムの刷新を図る。モジュール化することで、カスタマイズ開発の外部委託が可能となるほか、大型案件を同時並行で開発できるようになり、開発能力が増大する。また、カスタマイズレスの汎用版サービスの拡販も可能となる。

b) 機能性のある開発手法
手戻りのない開発手法を導入することで生産性を向上していく。同手法の導入により、プロジェクトチームの構築が柔軟に行えるようになるほか、エンジニアのエンゲージメント向上につながる効果も期待される。

c) 最新技術の取り込み
サービスごとに最新の技術を取り込んだ開発を進め、動作パフォーマンスやスケーラビリティの向上を図っていく。また、技術ブランディングを確立することで、ハイスキルのエンジニアの採用につなげていく。

これらの取り組みにより新たな開発プラットフォームを構築できれば、利益率の改善だけでなく、外部委託パートナーの活用や汎用サービスの拡販が可能となり、売上成長も一段と加速すると見ている。なお、外部委託パートナーとは外注クラウドプラットフォームを整備して連携を進めていく予定にしている。

なお、2020年6月期下期の受注見込み案件として、DXサービス分野で保険募集基幹システムを複数の保険会社に提案中で、いくつか決まる見込みとなっている。契約申し込みから受付までの業務プロセスを標準化したシステムで、業務効率の向上に寄与するサービスとなる。初期導入費用は2~5千万円、月額料金は50~200万円を見込んでいる。また、AIサービス分野ではカード会社向けのAI与信システムを顧客要望により開発し、複数社に提案している段階にある。初期導入費用は1~2千万円、月額料金は30~50万円程度となる。そのほか、テレマティクス(運転診断サービス)分野では既存顧客からの追加開発案件を受注する見込みとなっており、受注額は数千万円から数億円規模となる見通しだ。これら案件に関して、売上が2020年6月期中に入るかどうかば流動的だが、需要は確実にあるため、今後の収益に貢献するであろうことには変わりない。

(2) SFA事業
SFA事業では直近の市場環境が厳しいものの、「eセールスマネージャー」の拡販を進めていくことに加えて、中堅・中小企業向けをターゲットとしたセルフサーブ型の「eセールスマネージャーRemix MS」についても、2020年夏以降本格的に販売プロモーションを展開していく予定となっている。従来よりもサービス料金を抑えたサービスを提供することで顧客の裾野を拡大し、2021年以降の売上成長を加速していく戦略となっている。

(3) フィールドマーケティング事業
フィールドマーケティング事業については、2020年6月期下期も堅調な推移が見込まれる。日用品やヘルスケア商品の小売販売については新型コロナウイルス感染拡大の影響もほとんどなく、むしろ一部商材については活況となっているためだ。また、BtoB向けの営業代行業務についても、キャッシュレス決済システムの店舗や宿泊施設等への導入等、新たな案件が増えてきており、収益増に貢献するものと期待される。

(4) カスタマーサポート事業
カスタマーサポート事業については、不採算案件の見直しと新規顧客の獲得を進めていくと同時に、基幹システムである「C7」の導入による業務効率の向上とコールセンターの処理能力拡大を図り、収益を拡大していく戦略となっている。なお、将来的に営業利益率10%を目標としている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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配信元: フィスコ
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