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Nexus Bankのニュース
■Jトラスト<8508>の業績動向
2. セグメント別業績
同社グループは、日本で構築したビジネスモデルを海外展開することで、アジアの総合ファイナンシャルグループへと成長を遂げてきた。現在、日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業、東南アジア金融事業、投資事業、非金融事業の5事業セグメントを展開するが、メインとなる金融3事業が営業収益全体の84%を占める。2019年3月期は、日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業、非金融事業で利益を確保したが、東南アジア金融事業、投資事業が大幅損失を計上した。
(1) 日本金融事業
日本金融事業には、信用保証業務を中心に事業展開する日本保証、クレジット・信販業務のJトラストカード(株)、サービサー業務のパルティール債権回収(株)などがある。国内の消費者金融市場が縮小するなか、2015年9月には実質的に無担保ローン事業から撤退し、不動産関連の保証業務及び債権買取回収業務に注力する体制を整備した。日本金融事業は、同社グループの強みが生かせる分野を中心に緩やかに成長することで、同社グループ全体の利益を下支えする役割を担っている。
2019年3月期における日本金融事業は、保証料収入の増加などから、営業収益は10,554百万円(前期比1,527百万円増)を計上し、セグメント利益は4,251百万円(同84百万円増)となり、韓国及びモンゴル金融事業と並んで安定した高い利益水準を維持した。
日本金融事業では、子会社の日本保証がアパートローン保証に注力した結果、2019年3月の債務保証残高の合計は2,024億円となり、2016年6月の570億円から大きく増加している。今後は保証商品の多角化を進める方針である。
不動産関連保証業務における同社グループの強みは、市場ニーズに合わせたオーダーメイド型商品の開発力と、独自の不動産ローン審査力である。同社グループが不動産の評価、審査と信用保証を担い、銀行が融資を行う。主に地域銀行数行と提携して、賃貸住宅ローン(アパートローン)保証業務を中心に、2019年3月期までは保証残高は右肩上がりで増加を続けたが、アパートローンについては現時点でデフォルトはない。同社が保証する物件は、東名阪福の各地域の都市部、徒歩10分程度の駅近物件に集中しており、債務保証を行っている賃貸住宅の入居率は98%以上を維持している。保証料が高いその他の保証(個人事業主への融資保証等)は、近年、競争が激化していることから取扱いを抑え、保証料が低いものの貸倒リスクが小さいアパートローンへの有担保保証を増やし、ボリュームでカバーすることで利益を確保している。
ただ、金融機関の審査基準が厳格化していることなどから、当面はアパートローンの保証残高は増加を期待しにくい環境にある。こうした環境下、最近の動きとしては、海外不動産担保ローンやリバースモーゲージなど新たな保証商品を売り出したり、集客サイトを構築し顧客に合った商品プランを提供したりと、保証商品の多角化を推進している。日本保証では2019年3月に、SAMURAI&J PARTNERS<4764>との業務提携を発表し、クラウドファンディング会社が組成した商品(不動産担保融資)の保証を開始した。こうした提携先の拡大や商品の多様化により、今後も保証残高が積み上がると見られる。
また、パルティール債権回収による債権買取回収業務でも、不良債権の買い取りが順調に進み、請求債権残高は合計9,000億円超となった。パルティール債権回収が取り扱う請求可能債権残高は、2017年3月の7,306億円から2019年3月には7,828億円に増加している。これに、日本保証が(株)武富士より承継した簿外債権(請求可能債権)の約1,500億円を加えると、サービサー事業における債権残高は9,000億円を超える。
債権買取回収業務における同社グループの強みは、多様な債権回収事業会社出身者のノウハウを結集した国内トップクラスの回収力にある。回収力の強さは、金融機関やカード会社などから債権を買い取る際の入札競争においても優位性となり、事業拡大という好循環につながる。今後もこの強みを生かした事業拡大を進めていく方針だ。また、こうした国内事業での債権回収力の強さは、韓国やインドネシアでも生かされている。
(2) 韓国及びモンゴル金融事業
韓国では、ソウルを中心に貯蓄銀行業とリース業、債権回収事業を展開し、市場環境に合わせた柔軟かつ迅速な対応により利益の最大化を図っている。中核のJT親愛貯蓄銀行とJT貯蓄銀行のほか、リース業のJTキャピタル(株)やサービサー事業(債権回収事業)のティーエー資産管理(株)を保有する。さらに、2018年5月にはモンゴルのファイナンス会社 現Jトラストクレジット NBFI を子会社化している。同社グループでは、日本でのオペレーションノウハウを活用し、これまでに確立した事業基盤を有機的に連携することで、韓国及びモンゴル金融事業をグループにとっての収益の柱のひとつと位置付けている。金融規制強化にも柔軟に対応し、「量」より「質」を重視して、バランスの取れたリスクーリターンを目標にしている。
2019年3月期の韓国及びモンゴル金融事業は、貯蓄銀行業を始めとした利息収入が順調に増加し、営業収益は39,515百万円(前期比3,660百万円増)、またセグメント利益は4,880百万円(同1,325百万円増)となり、セグメント中最大の利益を稼いだ。
韓国では、2015年3月期までのM&Aなどにより総合金融グループとしての事業基盤を確立した。同社グループが日本国内で培った審査力・回収力・マーケティング力などのオペレーションノウハウは、韓国での金融事業における大きな成果につながっている。新規に貯蓄銀行のライセンスを取得し、2012年に営業を開始したJT親愛貯蓄銀行は、日本の地方銀行に相当する業務を行っているが、2年程で通期黒字化に成功した。
JT親愛貯蓄銀行とJT貯蓄銀行の店舗網は韓国全土の70%をカバーし、2行合算の資産規模は韓国貯蓄銀行中でトップ3に位置する。貯蓄銀行及びキャピタルの貸出資産残高は順調に拡大してきたが、2019年3月にはやや減少し、35,416億ウォン(約347,077百万円)になった。ただ、これは回収の進展や不良債権の売却に伴う一時的な減少のようである。一方、延滞率(90日以上延滞債権の割合)は2015年3月の6.8%から2019年3月には4.0%に低下している。
加えて、サービサー事業も利益に貢献している。ティーエー資産管理における不良債権買取は順調に増加している。不良債権投資・回収は同社グループが最も得意とする事業であり、ティーエー資産管理は業界内でもメジャーなプレイヤーとして認知されているという。今後も高い回収力を背景に事業を推進し、グループ収益に貢献すると見られる。
韓国では、金融当局により段階的に貸出上限金利の引き下げが行われている。2016年3月には上限金利が34.9%から27.9%に引き下げられ、2018年2月にはさらに24.0%に引き下げられた。将来的には20%近くまで低下する見通しだ。こうした規制環境変化のなか、同社グループでは、リスクの低い中・低金利帯の債権を大きく伸ばし、規制強化の影響の小さい大企業向け融資や優良な融資案件を増やすなど、先手を打った戦略を展開している。すなわち、債権の質を重視した貸出を目指し、貸出金利の低下分は中金利帯を中心とする貸出残高の拡大と与信コストの減少によりカバーする方針だ。今後は、ビッグデータを使った審査システムを導入し、より高度な与信を提供する。また、質の高い顧客層を取り込むためのマーケティング活動やブランド戦略も実施する計画だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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2. セグメント別業績
同社グループは、日本で構築したビジネスモデルを海外展開することで、アジアの総合ファイナンシャルグループへと成長を遂げてきた。現在、日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業、東南アジア金融事業、投資事業、非金融事業の5事業セグメントを展開するが、メインとなる金融3事業が営業収益全体の84%を占める。2019年3月期は、日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業、非金融事業で利益を確保したが、東南アジア金融事業、投資事業が大幅損失を計上した。
(1) 日本金融事業
日本金融事業には、信用保証業務を中心に事業展開する日本保証、クレジット・信販業務のJトラストカード(株)、サービサー業務のパルティール債権回収(株)などがある。国内の消費者金融市場が縮小するなか、2015年9月には実質的に無担保ローン事業から撤退し、不動産関連の保証業務及び債権買取回収業務に注力する体制を整備した。日本金融事業は、同社グループの強みが生かせる分野を中心に緩やかに成長することで、同社グループ全体の利益を下支えする役割を担っている。
2019年3月期における日本金融事業は、保証料収入の増加などから、営業収益は10,554百万円(前期比1,527百万円増)を計上し、セグメント利益は4,251百万円(同84百万円増)となり、韓国及びモンゴル金融事業と並んで安定した高い利益水準を維持した。
日本金融事業では、子会社の日本保証がアパートローン保証に注力した結果、2019年3月の債務保証残高の合計は2,024億円となり、2016年6月の570億円から大きく増加している。今後は保証商品の多角化を進める方針である。
不動産関連保証業務における同社グループの強みは、市場ニーズに合わせたオーダーメイド型商品の開発力と、独自の不動産ローン審査力である。同社グループが不動産の評価、審査と信用保証を担い、銀行が融資を行う。主に地域銀行数行と提携して、賃貸住宅ローン(アパートローン)保証業務を中心に、2019年3月期までは保証残高は右肩上がりで増加を続けたが、アパートローンについては現時点でデフォルトはない。同社が保証する物件は、東名阪福の各地域の都市部、徒歩10分程度の駅近物件に集中しており、債務保証を行っている賃貸住宅の入居率は98%以上を維持している。保証料が高いその他の保証(個人事業主への融資保証等)は、近年、競争が激化していることから取扱いを抑え、保証料が低いものの貸倒リスクが小さいアパートローンへの有担保保証を増やし、ボリュームでカバーすることで利益を確保している。
ただ、金融機関の審査基準が厳格化していることなどから、当面はアパートローンの保証残高は増加を期待しにくい環境にある。こうした環境下、最近の動きとしては、海外不動産担保ローンやリバースモーゲージなど新たな保証商品を売り出したり、集客サイトを構築し顧客に合った商品プランを提供したりと、保証商品の多角化を推進している。日本保証では2019年3月に、SAMURAI&J PARTNERS<4764>との業務提携を発表し、クラウドファンディング会社が組成した商品(不動産担保融資)の保証を開始した。こうした提携先の拡大や商品の多様化により、今後も保証残高が積み上がると見られる。
また、パルティール債権回収による債権買取回収業務でも、不良債権の買い取りが順調に進み、請求債権残高は合計9,000億円超となった。パルティール債権回収が取り扱う請求可能債権残高は、2017年3月の7,306億円から2019年3月には7,828億円に増加している。これに、日本保証が(株)武富士より承継した簿外債権(請求可能債権)の約1,500億円を加えると、サービサー事業における債権残高は9,000億円を超える。
債権買取回収業務における同社グループの強みは、多様な債権回収事業会社出身者のノウハウを結集した国内トップクラスの回収力にある。回収力の強さは、金融機関やカード会社などから債権を買い取る際の入札競争においても優位性となり、事業拡大という好循環につながる。今後もこの強みを生かした事業拡大を進めていく方針だ。また、こうした国内事業での債権回収力の強さは、韓国やインドネシアでも生かされている。
(2) 韓国及びモンゴル金融事業
韓国では、ソウルを中心に貯蓄銀行業とリース業、債権回収事業を展開し、市場環境に合わせた柔軟かつ迅速な対応により利益の最大化を図っている。中核のJT親愛貯蓄銀行とJT貯蓄銀行のほか、リース業のJTキャピタル(株)やサービサー事業(債権回収事業)のティーエー資産管理(株)を保有する。さらに、2018年5月にはモンゴルのファイナンス会社 現Jトラストクレジット NBFI を子会社化している。同社グループでは、日本でのオペレーションノウハウを活用し、これまでに確立した事業基盤を有機的に連携することで、韓国及びモンゴル金融事業をグループにとっての収益の柱のひとつと位置付けている。金融規制強化にも柔軟に対応し、「量」より「質」を重視して、バランスの取れたリスクーリターンを目標にしている。
2019年3月期の韓国及びモンゴル金融事業は、貯蓄銀行業を始めとした利息収入が順調に増加し、営業収益は39,515百万円(前期比3,660百万円増)、またセグメント利益は4,880百万円(同1,325百万円増)となり、セグメント中最大の利益を稼いだ。
韓国では、2015年3月期までのM&Aなどにより総合金融グループとしての事業基盤を確立した。同社グループが日本国内で培った審査力・回収力・マーケティング力などのオペレーションノウハウは、韓国での金融事業における大きな成果につながっている。新規に貯蓄銀行のライセンスを取得し、2012年に営業を開始したJT親愛貯蓄銀行は、日本の地方銀行に相当する業務を行っているが、2年程で通期黒字化に成功した。
JT親愛貯蓄銀行とJT貯蓄銀行の店舗網は韓国全土の70%をカバーし、2行合算の資産規模は韓国貯蓄銀行中でトップ3に位置する。貯蓄銀行及びキャピタルの貸出資産残高は順調に拡大してきたが、2019年3月にはやや減少し、35,416億ウォン(約347,077百万円)になった。ただ、これは回収の進展や不良債権の売却に伴う一時的な減少のようである。一方、延滞率(90日以上延滞債権の割合)は2015年3月の6.8%から2019年3月には4.0%に低下している。
加えて、サービサー事業も利益に貢献している。ティーエー資産管理における不良債権買取は順調に増加している。不良債権投資・回収は同社グループが最も得意とする事業であり、ティーエー資産管理は業界内でもメジャーなプレイヤーとして認知されているという。今後も高い回収力を背景に事業を推進し、グループ収益に貢献すると見られる。
韓国では、金融当局により段階的に貸出上限金利の引き下げが行われている。2016年3月には上限金利が34.9%から27.9%に引き下げられ、2018年2月にはさらに24.0%に引き下げられた。将来的には20%近くまで低下する見通しだ。こうした規制環境変化のなか、同社グループでは、リスクの低い中・低金利帯の債権を大きく伸ばし、規制強化の影響の小さい大企業向け融資や優良な融資案件を増やすなど、先手を打った戦略を展開している。すなわち、債権の質を重視した貸出を目指し、貸出金利の低下分は中金利帯を中心とする貸出残高の拡大と与信コストの減少によりカバーする方針だ。今後は、ビッグデータを使った審査システムを導入し、より高度な与信を提供する。また、質の高い顧客層を取り込むためのマーケティング活動やブランド戦略も実施する計画だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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