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東京個別指導学院のニュース
―収益力強化で好業績発表が相次ぐ、高配当利回り銘柄多く投資妙味は大きい―
学習塾の業績回復が強まっている。個別指導学習塾「トーマス」を展開するリソー教育 <4714> が10月4日に発表した3-8月期決算は32%増収、営業黒字転換で着地。その後に通期予想の上方修正も発表し、売上高・営業利益ともに過去最高見通しにある。大学受験予備校「東進ハイスクール」を運営するナガセ <9733> [JQ]も直近発表した4-9月期決算が好調で、営業14倍増益と大幅な改善を示した。学習塾 関連株はコロナ禍からの回復が加速しており、堅調な業績成長を背景にキャピタルゲインも期待できる銘柄として要マークとなる。
●アフターコロナとオンライン化進展で業績復活
ここ国内の新型コロナウイルス新規陽性者数が急速に減少し、ようやく日常生活を取り戻す動きが広がってきた。株式市場では一足早くコロナ後を見据えた機運が盛り上がりをみせ、旅行関連を筆頭に鉄道、外食関連株などが買われたほか、足もと経済正常化期待に伴う世界的なコモディティ価格上昇を背景に市況関連株に物色の矛先が向かった。コロナ禍からの回復で恩恵が及ぶ銘柄群に次々と光が当たるなか、アフターコロナ銘柄の範疇にあり、かつ相対的に割安さが目立つセクターとして学習塾関連株に注目してみたい。
同セクターに属する銘柄は、既に業績の回復色が鮮明だ。前述したリソー教育やナガセのほか、早稲田アカデミー <4718> は好調な集客状況を受けて8月に通期見通しの上方修正を発表、ベネッセホールディングス <9783> は塾・教室事業において顧客数が増加し足もと同部門収益は増収増益。学研ホールディングス <9470> も運営する塾や学習教室の会員数が回復基調をたどり、直近のセグメント業績は増収・営業黒字転換で着地している。こうした業績回復の要因として対面授業など通常営業の再開が挙げられるが、加えてコロナ禍以降で急速に進んだオンライン化が寄与した面も見逃せない。各社取り組みを積極化させており、学研HDは今春から双方向オンラインライブ授業サービス「Gakken ON AIR」を提供、ナガセは昨年に開校した「東進オンライン学校」において有料講座の新設やサービス拡充を図っている。また、英ファンドによる買収観測が直近話題となった学習塾大手のトライグループ(東京都千代田区)や、学習塾「栄光ゼミナール」を運営するZ会ホールディングス(静岡県三島市)などもオンラインサービスの展開を加速させている。
アフターコロナ環境の追い風とオンライン化進展による収益力強化という2つのポジティブ要素を持ち、配当利回りの高さといった株価指標面からの魅力もある学習塾関連株のなかから、5銘柄をピックアップした。
●投資妙味高い5銘柄をマーク
東京個別指導学院 <4745> はベネッセHD傘下で、小中高向け個別指導塾 を首都圏で直営展開している。昨夏からオンライン個別指導サービスを提供しており、今後新たなオンラインサービスの開始や、対面とオンライン授業のハイブリッド化を見据えた店舗施策を進める方針にある。直近3-8月期決算は33%増収、営業黒字転換で着地。通期予想は、売上高が前期比16%増の221億3200万円、営業利益が同3.6倍の22億400万円と急回復の見通し。年間配当予想は26円を見込み、利回りは3%台半ばと高めだ。
早稲アカは、家庭学習支援ツールの拡充やウェブサービス強化をはじめ、今春に「早稲田アカデミー オンライン校」を開校、9月からはオンライン自習室「早稲アカRoom」を開設するなどここ取り組みを加速させている。29日に発表した4-9月期決算は15%増収、営業2.8倍増益と好調。今後、冬期講習会や新年度に向けて更なる集客が見込まれるだけに、8月に上方修正した通期見通しの一段の上振れも期待される。株価は、4月安値を起点に上値指向を続けており、上値メドとして意識される1200円近辺を目指す展開が見込める。
市進ホールディングス <4645> [JQ]は学習塾「市進学院」などを首都圏中心に展開、好決算を受けて株価を急動意させ、直近マーケットの注目を集めた経緯がある。10月15日に発表した3-8月期決算は、集客の好調やオンライン対応を進めてきたことなどが貢献し、売上高は前年同期比16%増、営業損益は4億7800万円の黒字に転換した。通期の売上高は前期比6%増の170億1100万円、営業利益は同13%増の6億1200万円を見込む。営業利益ベースでの対通期進捗率は78%と高く、上方修正への期待も高まる。
スプリックス <7030> は小中高校向け個別指導の「森塾」を主力に、教育ITを取り入れた学習塾「自立学習RED」のフランチャイズ展開や教育コンテンツの販売などを手掛ける。昨年12月に集団指導塾の「湘南ゼミナール」を子会社化したことで、個別指導・集団指導・自立学習の3業態を網羅することとなり、幅広い顧客ニーズに対応することが可能となった。足もと20年10月-21年6月期の営業利益は前年同期比11%増の13億9200万円で、通期計画(14億7700万円)に対する進捗率は94%に達する。
ステップ <9795> は神奈川を地盤に学習塾を運営。コロナ禍からの回復が進んでいることやオンライン授業の充実に取り組み、前21年9月期業績は売上高19%増、営業82%増益で着地。続く今9月期も成長路線継続を見込み、売上高・営業利益ともに過去最高見通しだ。株価は10月に入り、2018年1月高値の1977円を上抜け上場来高値を更新。商い薄である点には注意が必要だが、マークしておく価値はありそうだ。
このほか、学習塾「ena」を展開する学究社 <9769> 、京都・滋賀で学習塾を運営する京進 <4735> [東証2]にも着目したい。また、明光ネットワークジャパン <4668> 、学習塾「第一ゼミナール」が主力のウィザス <9696> [JQ]をはじめ、進学会ホールディングス <9760> 、成学社 <2179> [JQ]、クリップコーポレーション <4705> [JQ]、城南進学研究社 <4720> [JQ]などが関連銘柄として挙げられる。
●周辺銘柄にも商機
学習塾業界の回復は、教育システムなど関連サービスや周辺事業を手掛ける企業の商機拡大にもつながることになる。まずは、ネット学習教材を提供するすららネット <3998> [東証M]に注目。学習塾向けを主力に学校、個人向けなどに幅広く展開しており、旺盛なオンライン化・自宅学習ニーズを捉えている。直近29日に発表した1-9月期決算は24%増収、営業6%増益だった。
教育関連の口コミポータルサイトを運営するイトクロ <6049> [東証M]も、押さえておきたい銘柄の一つだ。オンライン学習サービスや個別指導塾の増加をはじめ、コロナ禍におけるウェブ広告需要の高まりを追い風に業績を伸ばしており、直近20年11月-21年7月期業績は2ケタ増収増益と好調。このほかでは、グループ会社が学習塾ポータルサイトを運営するインタースペース <2122> [東証M]、傘下で学習塾向けマーケティング支援サービスを手掛けているブランディングテクノロジー <7067> [東証M]などがある。
株探ニュース
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