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伊藤忠テクノソリューションズのニュース
■テクマトリックス<3762>の会社概要
(2) アプリケーション・サービス事業
アプリケーション・サービス事業では、特定市場や特定業界向けにシステム開発、アプリケーション・パッケージ、テスト・ソリューションのほか、クラウドサービス等を展開している。対象分野としては医療、CRM、インターネットサービス、ソフトウェア品質保証の4領域となる。2018年3月期の売上構成比は、医療、CRM、インターネットサービスで各25%程度、ソフトウェア品質保証で20%強となっている。
a) 医療分野
医療分野では、連結子会社のNOBORIが展開する医療情報クラウドサービス「NOBORI」や、「NOBORI」をプラットフォーム化し他社サービスも含めた複数のサービスを利用できるようにした「NOBORI PAL」のほか、連結子会社の医知悟で展開する遠隔読影のためのインフラ提供サービス「医知悟」がある。
「NOBORI」は医療施設向けに提供するクラウド型PACSである。同社は1998年にDICOM規格に対応した医用画像システムを開発し、PACS市場に参入したが、医療情報の病院施設外の保存が認められるようになった機会を捉え、クラウド型PACSサービスを2012年10月より開始した。同社のクラウドサービスは初期導入コストが不要なほか、データはクラウド上で安全に管理されているため、病院側でのデータのバックアップ等のメインテナンス業務負担から解放してくれるというメリットがある。
既存のオンプレミス(サーバを院内に設置する方式)ユーザーからクラウドサービスへの切り替えや、競合他社ユーザーである中規模・大規模病院のリプレイス、従来は初期コストが高く導入に慎重だった小規模医療施設の新規開拓も進み、2018年3月末時点で契約施設数は約800施設まで拡大している。保存している医療画像等の検査件数は1.1億件に上り、患者数では延べ2,154万人分となる(複数病院で画像診断を受ける患者もいるため実際にはもう少し少ない)。月額利用料は最低5万円からで、料金は導入後5年間に蓄積される画像データの予想量による従量課金制となるため、大学病院等のヘビーユーザーではその数十倍にもなる。2012年のサービス開始から5年が経過したが、いまだ解約は発生しておらず、導入した顧客からも高い評価を受けていることがうかがえる。
国内のオンプレミス型のPACS市場では富士フイルムメディカル(株)やキヤノンメディカルシステムズ(株)、GEヘルスケア・ジャパン(株)など大手医療機器メーカーが強いが、クラウドサービス型では同社が約8割とトップシェアとなっている。医療分野のクラウドサービスでは個人情報保護の観点からセキュリティ対策が重要となるほか、外部保存しているファイルサイズが非常に大きい医用画像をストレスなく院内で参照することが求められるため、同社がミッションクリティカルなシステム構築において高い技術力を持っていることが事業上の強みになっているものと思われる。「NOBORI」の損益については、2017年3月期に黒字化して以降、契約施設数の増加に伴って順調に成長している。
また、「NOBORI PAL」は2016年4月より新たに開始したサービスで、「NOBORI」のプラットフォーム上でほかの医療関連サービスを提供している。自社開発した検査予約サービス「TONARI」、緊急時外部画像参照サービス「TSUNAGU」のほか、アドバンスト・メディア<3773>の医療向け音声入力サービス「AmiVoice CLx®」、フランスIntrasense SAの3D医用画像解析ワークステーション「myrian®」を提供しており、2018年6月より新たに東陽テクニカ<8151>の胸部X線 骨組織透過/経時差分クラウドサービス「ClearRead XR-PAL」の提供を開始している。今後も医療関連のクラウドサービスを同プラットフォーム上で提供していくことで、プラットフォームの付加価値向上に取組んでいく方針となっている。
一方、「医知悟」は遠隔画像診断(読影)を行う放射線科医等の専門医と、画像診断を必要とする医療施設等とをつなぐ情報インフラを提供するサービス。「iCOMBOX」と呼ばれる専用通信装置を送り手側、受け手側の双方に設置し、「iCOMSERVER」(センターサーバ)を介して送受信するプラットフォームである。2018年3月末現在で650拠点以上に導入され、利用専門医数は1,400名以上(実質的に稼働している放射線科医の約3分の1が利用)、月間の依頼検査数は約20万件と市場シェアの約34%を占めている。主な導入施設は、医療施設のほか大手健康診断事業者、衛生検査所、各種病院等となる。また、中国でも合弁会社の北京ヘルステック医療情報技術(有)において病理画像の遠隔診断サービスを展開しており、徐々に実績が出始めている。なお、2018年4月から「医知悟」についても「NOBORI PAL」での利用を開始している。「NOBORI」のユーザーであれば、「iCOMBOX」を設置しなくても「医知悟」のサービスが利用できるようになり、利便性向上につながっている。
b) CRM分野
CRM分野では自社開発製品である「Fastシリーズ」を中心に、企業の顧客サービス向上を支援するコンタクトセンターCRMシステムをオンプレミス及びクラウドサービスで提供している。電話、メール、SNS等による「顧客との接触履歴」と「顧客の声」を一元管理し、コンタクトセンター運営を効率化するCRMシステム「FastHelp」のほか、インターネットによる自己解決型の顧客サービス・システム「FastAnswer」(FAQシステム)、顧客特性に応じた販売促進活動を支援するプロモーション支援システム等を提供している。CRMシステム市場では、国内トップクラスの導入実績となっている。また、クラウド型ではセールスフォース・ドットコムが主な競合先となる。
主要パートナーは、(株)ベルシステム24(ベルシステム24ホールディングス<6183>子会社)のほか、NTTデータ<9613>や伊藤忠テクノソリューションズ<4739>など大手システム・インテグレーターとなり、各企業のコンタクト(テレマーケティング)センターや顧客サポートセンターで導入されている。また、医薬品業界で「FastHelp」の導入実績が高いことも特徴となっている。製薬企業では、日本製薬工業協会(製薬協)において提唱されている「くすり相談窓口」を一般的に設置しているが、国内の5割以上の製薬企業で同社のCRMシステムが導入されている。
c) インターネットサービス分野
インターネットサービス分野では、主にWeb系やスマートフォンのシステム開発のほか、EC事業者向けの業務支援サービス、ビッグデータを活用したBIソリューション、金融機関向けの統合リスク管理システム等を提供している。また連結子会社のカサレアルでは、インターネットサービスに関連するシステム開発や技術者教育を行っている。
d) ソフトウェア品質保証分野
ソフトウェア品質保証分野では、ソフトウェアの品質向上や開発工程の生産性向上を目標に、開発過程での全ライフサイクルを支援するベスト・オブ・ブリード※の開発支援ツール(テストツールなど)及びコンサルティングサービスを提供している。取扱製品の中では、ソフトウェアテストツールであるParasoft製品が組込み系ソフトウェアの開発分野で高い市場シェアを持っている。
※同一メーカーのシリーズ製品を使うのではなく、メーカーが異なっても最良と思われる製品を選択し、その組合わせで利用すること。
対象となるのは、デジタル家電や情報通信機器、自動車、医療機器、ロボットなどソフトウェアが組込まれる機器のほか、金融システムのようなミッションクリティカルなソフトウェア等も含まれる。市場別の売上高については、自動運転技術やEV(電気自動車)関連技術の開発需要が旺盛な自動車業界向けが最も大きくなっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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(2) アプリケーション・サービス事業
アプリケーション・サービス事業では、特定市場や特定業界向けにシステム開発、アプリケーション・パッケージ、テスト・ソリューションのほか、クラウドサービス等を展開している。対象分野としては医療、CRM、インターネットサービス、ソフトウェア品質保証の4領域となる。2018年3月期の売上構成比は、医療、CRM、インターネットサービスで各25%程度、ソフトウェア品質保証で20%強となっている。
a) 医療分野
医療分野では、連結子会社のNOBORIが展開する医療情報クラウドサービス「NOBORI」や、「NOBORI」をプラットフォーム化し他社サービスも含めた複数のサービスを利用できるようにした「NOBORI PAL」のほか、連結子会社の医知悟で展開する遠隔読影のためのインフラ提供サービス「医知悟」がある。
「NOBORI」は医療施設向けに提供するクラウド型PACSである。同社は1998年にDICOM規格に対応した医用画像システムを開発し、PACS市場に参入したが、医療情報の病院施設外の保存が認められるようになった機会を捉え、クラウド型PACSサービスを2012年10月より開始した。同社のクラウドサービスは初期導入コストが不要なほか、データはクラウド上で安全に管理されているため、病院側でのデータのバックアップ等のメインテナンス業務負担から解放してくれるというメリットがある。
既存のオンプレミス(サーバを院内に設置する方式)ユーザーからクラウドサービスへの切り替えや、競合他社ユーザーである中規模・大規模病院のリプレイス、従来は初期コストが高く導入に慎重だった小規模医療施設の新規開拓も進み、2018年3月末時点で契約施設数は約800施設まで拡大している。保存している医療画像等の検査件数は1.1億件に上り、患者数では延べ2,154万人分となる(複数病院で画像診断を受ける患者もいるため実際にはもう少し少ない)。月額利用料は最低5万円からで、料金は導入後5年間に蓄積される画像データの予想量による従量課金制となるため、大学病院等のヘビーユーザーではその数十倍にもなる。2012年のサービス開始から5年が経過したが、いまだ解約は発生しておらず、導入した顧客からも高い評価を受けていることがうかがえる。
国内のオンプレミス型のPACS市場では富士フイルムメディカル(株)やキヤノンメディカルシステムズ(株)、GEヘルスケア・ジャパン(株)など大手医療機器メーカーが強いが、クラウドサービス型では同社が約8割とトップシェアとなっている。医療分野のクラウドサービスでは個人情報保護の観点からセキュリティ対策が重要となるほか、外部保存しているファイルサイズが非常に大きい医用画像をストレスなく院内で参照することが求められるため、同社がミッションクリティカルなシステム構築において高い技術力を持っていることが事業上の強みになっているものと思われる。「NOBORI」の損益については、2017年3月期に黒字化して以降、契約施設数の増加に伴って順調に成長している。
また、「NOBORI PAL」は2016年4月より新たに開始したサービスで、「NOBORI」のプラットフォーム上でほかの医療関連サービスを提供している。自社開発した検査予約サービス「TONARI」、緊急時外部画像参照サービス「TSUNAGU」のほか、アドバンスト・メディア<3773>の医療向け音声入力サービス「AmiVoice CLx®」、フランスIntrasense SAの3D医用画像解析ワークステーション「myrian®」を提供しており、2018年6月より新たに東陽テクニカ<8151>の胸部X線 骨組織透過/経時差分クラウドサービス「ClearRead XR-PAL」の提供を開始している。今後も医療関連のクラウドサービスを同プラットフォーム上で提供していくことで、プラットフォームの付加価値向上に取組んでいく方針となっている。
一方、「医知悟」は遠隔画像診断(読影)を行う放射線科医等の専門医と、画像診断を必要とする医療施設等とをつなぐ情報インフラを提供するサービス。「iCOMBOX」と呼ばれる専用通信装置を送り手側、受け手側の双方に設置し、「iCOMSERVER」(センターサーバ)を介して送受信するプラットフォームである。2018年3月末現在で650拠点以上に導入され、利用専門医数は1,400名以上(実質的に稼働している放射線科医の約3分の1が利用)、月間の依頼検査数は約20万件と市場シェアの約34%を占めている。主な導入施設は、医療施設のほか大手健康診断事業者、衛生検査所、各種病院等となる。また、中国でも合弁会社の北京ヘルステック医療情報技術(有)において病理画像の遠隔診断サービスを展開しており、徐々に実績が出始めている。なお、2018年4月から「医知悟」についても「NOBORI PAL」での利用を開始している。「NOBORI」のユーザーであれば、「iCOMBOX」を設置しなくても「医知悟」のサービスが利用できるようになり、利便性向上につながっている。
b) CRM分野
CRM分野では自社開発製品である「Fastシリーズ」を中心に、企業の顧客サービス向上を支援するコンタクトセンターCRMシステムをオンプレミス及びクラウドサービスで提供している。電話、メール、SNS等による「顧客との接触履歴」と「顧客の声」を一元管理し、コンタクトセンター運営を効率化するCRMシステム「FastHelp」のほか、インターネットによる自己解決型の顧客サービス・システム「FastAnswer」(FAQシステム)、顧客特性に応じた販売促進活動を支援するプロモーション支援システム等を提供している。CRMシステム市場では、国内トップクラスの導入実績となっている。また、クラウド型ではセールスフォース・ドットコム
主要パートナーは、(株)ベルシステム24(ベルシステム24ホールディングス<6183>子会社)のほか、NTTデータ<9613>や伊藤忠テクノソリューションズ<4739>など大手システム・インテグレーターとなり、各企業のコンタクト(テレマーケティング)センターや顧客サポートセンターで導入されている。また、医薬品業界で「FastHelp」の導入実績が高いことも特徴となっている。製薬企業では、日本製薬工業協会(製薬協)において提唱されている「くすり相談窓口」を一般的に設置しているが、国内の5割以上の製薬企業で同社のCRMシステムが導入されている。
c) インターネットサービス分野
インターネットサービス分野では、主にWeb系やスマートフォンのシステム開発のほか、EC事業者向けの業務支援サービス、ビッグデータを活用したBIソリューション、金融機関向けの統合リスク管理システム等を提供している。また連結子会社のカサレアルでは、インターネットサービスに関連するシステム開発や技術者教育を行っている。
d) ソフトウェア品質保証分野
ソフトウェア品質保証分野では、ソフトウェアの品質向上や開発工程の生産性向上を目標に、開発過程での全ライフサイクルを支援するベスト・オブ・ブリード※の開発支援ツール(テストツールなど)及びコンサルティングサービスを提供している。取扱製品の中では、ソフトウェアテストツールであるParasoft製品が組込み系ソフトウェアの開発分野で高い市場シェアを持っている。
※同一メーカーのシリーズ製品を使うのではなく、メーカーが異なっても最良と思われる製品を選択し、その組合わせで利用すること。
対象となるのは、デジタル家電や情報通信機器、自動車、医療機器、ロボットなどソフトウェアが組込まれる機器のほか、金融システムのようなミッションクリティカルなソフトウェア等も含まれる。市場別の売上高については、自動運転技術やEV(電気自動車)関連技術の開発需要が旺盛な自動車業界向けが最も大きくなっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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