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三菱ガス化学のニュース
*15:34JST ウェーブロックHD Research Memo(4):2つの事業セグメントで展開(2)
■ウェーブロックホールディングス<7940>の会社概要
c) パッケージングソリューション
乳製品、菓子、コンビニエンスストア等の弁当容器など各種食品用パッケージから電子部品用パッケージまで幅広い製品を提供している。主力の食品用パッケージでは、賞味期限を延ばす高機能素材や特許技術による環境配慮素材を用いた製品を開発し販売を伸ばしている。主な販売先は食品メーカーや容器メーカー等となる。
d) リビングソリューション
網戸用の替え網(防虫網)や住宅まわりのネット資材、サッシと組み合わされた網戸として住宅等に設置される防虫網、農園芸用の被覆資材、関連商品などを主にホームセンターやサッシメーカー向けに販売している。防虫網では国内シェア約7割とトップシェアを握っており、その他の製品についても高シェアを有している。防虫網や園芸用ネット、遮光網等に関しては売上の季節変動が大きく(例年3月から8月がピーク)、また、その年の天候状況によっても需要が大きく変化するため、ホームセンターでは在庫管理が難しい商材として位置付けられている。このため、同社は静岡県内にあるイノベックスの工場敷地内で一定量の在庫を保持することで、需要の急変動に対応可能な物流体制と通年での安定した生産体制を構築している。ここ数年は海外から競合する低価格商品が入ってくるものの、こうした物流体制は構築できておらず品切れが発生することも多い。樹脂の糸から自社で一貫生産していることによる製品の品質の高さだけでなく安定供給体制が整っていることも、同社が高いシェアを維持している要因と考えられる。
e) アグリソリューション
主に農業向け製品として、遮光・遮熱ネット、防虫網や保温シート等の各種被膜資材、土壌改良材など幅広く提供している。主な販売先は大手種苗・農薬メーカー、農業資材卸専門店等となる。
(2) アドバンストテクノロジー事業
アドバンストテクノロジー事業は、デコレーション&ディスプレー分野(金属調加飾フィルム、高透明多層フィルム)、コンバーティング分野、その他に分けられ、売上高の6割弱をデコレーション&ディスプレー分野で占めている。
デコレーション&ディスプレー分野の売上の大半を占める金属調加飾フィルムは、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムに特殊金属を蒸着させ、耐候性を保つために表面側にPMMA(アクリル樹脂)シート、下面側にABSフィルムを重ね、ドライラミネート工法※により貼り合わせた6層構造となっている。同フィルムは平面的な形状だけでなく、異型押出成形やフィルムインサート成形、真空成形など様々な加工技術を用いることで立体的な形状にすることも可能である。メッキ加工品との比較で見た長所は、錆が発生せず車体の軽量化に寄与すること、製造時に廃液が発生しないなど環境負荷が小さいことに加えて、電波並びに光の透過性が高く、成形性、意匠性にも優れるといった点が挙げられる。こうした長所が評価され、自動車や自動二輪車の内外装品向けに採用が広がっている。
※基材となるフィルムに接着剤を塗布し、乾燥炉で乾燥させた後、別のフィルムと圧着して貼り合せる加工方法。
自動車向けでは、国内だけでなくアジア、欧米等で販売実績があるが、2022年に入ってからは米電気自動車メーカーの外装部品向けに相次いで採用されるなど、米国向けで販売が急増している。自動二輪車向けでは、エンブレム用としてインドや東南アジアで需要が拡大中だ。製造拠点は古河工場(フィルム製造)と名古屋工場(パーツ成形加工)、2拠点体制だったが、需要拡大に対応すべく2022年9月に名古屋第二工場(パーツ成形加工)を新設したほか、2023年4月に一関工場を移転拡張しフィルム増産体制を整えた。米国でも顧客要請に対応すべく完成パーツ品に仕上げる工場をオハイオ州に開設した。
金属調加飾フィルムのうち、自動車外装用の競合としてはオランダの大手化学メーカーであるAkzo Nobel N.V.(アクゾノーベル)が挙げられるが、参入企業はまだ少ないようだ。また、金属調加飾フィルムの製法には同社やAkzo Nobelが採用している金属蒸着法のほか転写法等もある。転写法は量産性に優れるためコストが低いものの、耐候性が弱く自動車の外装用としては別途ハードコートが必要となる場合が多いため金属蒸着法が有利と同社では見ている。
高透明多層フィルムについては、2021年3月期にスマートフォン筐体向けから撤退し、現在は光学特性の高さや歪みの少なさ、防塵特性や耐衝撃性等の強みを生かして内装ディスプレーの大型化が進む車載分野(センターインフォメーションディスプレイ(CID)やヘッドアップディスプレイ(HUD)※向け等)の拡販に注力している。競合は三菱ガス化学<4182>など多いものの、製品特性が評価されフォルクスワーゲンなど欧州系自動車メーカーで採用が進んでいる。
※HUDは、車のフロントガラスへ映像を投影することで、ドライバーの視線の先に車速やナビゲーション等のさまざまな情報を表示するシステム。ドライバーの視界の中心近くに情報を投影することで、視線移動によるドライバーの負担を軽減し、安全運転を支援するシステムとして高級車を中心に搭載率が上昇している。
コンバーティング分野には、医療用湿布の不織布印刷や離型フィルムへの印刷・シリコン処理加工等が含まれ、安定収益源となっている。また、その他として液晶テレビモニター向けの拡散板や導光板、食品包材向け開封テープ等の仕入販売も行っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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c) パッケージングソリューション
乳製品、菓子、コンビニエンスストア等の弁当容器など各種食品用パッケージから電子部品用パッケージまで幅広い製品を提供している。主力の食品用パッケージでは、賞味期限を延ばす高機能素材や特許技術による環境配慮素材を用いた製品を開発し販売を伸ばしている。主な販売先は食品メーカーや容器メーカー等となる。
d) リビングソリューション
網戸用の替え網(防虫網)や住宅まわりのネット資材、サッシと組み合わされた網戸として住宅等に設置される防虫網、農園芸用の被覆資材、関連商品などを主にホームセンターやサッシメーカー向けに販売している。防虫網では国内シェア約7割とトップシェアを握っており、その他の製品についても高シェアを有している。防虫網や園芸用ネット、遮光網等に関しては売上の季節変動が大きく(例年3月から8月がピーク)、また、その年の天候状況によっても需要が大きく変化するため、ホームセンターでは在庫管理が難しい商材として位置付けられている。このため、同社は静岡県内にあるイノベックスの工場敷地内で一定量の在庫を保持することで、需要の急変動に対応可能な物流体制と通年での安定した生産体制を構築している。ここ数年は海外から競合する低価格商品が入ってくるものの、こうした物流体制は構築できておらず品切れが発生することも多い。樹脂の糸から自社で一貫生産していることによる製品の品質の高さだけでなく安定供給体制が整っていることも、同社が高いシェアを維持している要因と考えられる。
e) アグリソリューション
主に農業向け製品として、遮光・遮熱ネット、防虫網や保温シート等の各種被膜資材、土壌改良材など幅広く提供している。主な販売先は大手種苗・農薬メーカー、農業資材卸専門店等となる。
(2) アドバンストテクノロジー事業
アドバンストテクノロジー事業は、デコレーション&ディスプレー分野(金属調加飾フィルム、高透明多層フィルム)、コンバーティング分野、その他に分けられ、売上高の6割弱をデコレーション&ディスプレー分野で占めている。
デコレーション&ディスプレー分野の売上の大半を占める金属調加飾フィルムは、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムに特殊金属を蒸着させ、耐候性を保つために表面側にPMMA(アクリル樹脂)シート、下面側にABSフィルムを重ね、ドライラミネート工法※により貼り合わせた6層構造となっている。同フィルムは平面的な形状だけでなく、異型押出成形やフィルムインサート成形、真空成形など様々な加工技術を用いることで立体的な形状にすることも可能である。メッキ加工品との比較で見た長所は、錆が発生せず車体の軽量化に寄与すること、製造時に廃液が発生しないなど環境負荷が小さいことに加えて、電波並びに光の透過性が高く、成形性、意匠性にも優れるといった点が挙げられる。こうした長所が評価され、自動車や自動二輪車の内外装品向けに採用が広がっている。
※基材となるフィルムに接着剤を塗布し、乾燥炉で乾燥させた後、別のフィルムと圧着して貼り合せる加工方法。
自動車向けでは、国内だけでなくアジア、欧米等で販売実績があるが、2022年に入ってからは米電気自動車メーカーの外装部品向けに相次いで採用されるなど、米国向けで販売が急増している。自動二輪車向けでは、エンブレム用としてインドや東南アジアで需要が拡大中だ。製造拠点は古河工場(フィルム製造)と名古屋工場(パーツ成形加工)、2拠点体制だったが、需要拡大に対応すべく2022年9月に名古屋第二工場(パーツ成形加工)を新設したほか、2023年4月に一関工場を移転拡張しフィルム増産体制を整えた。米国でも顧客要請に対応すべく完成パーツ品に仕上げる工場をオハイオ州に開設した。
金属調加飾フィルムのうち、自動車外装用の競合としてはオランダの大手化学メーカーであるAkzo Nobel N.V.(アクゾノーベル)が挙げられるが、参入企業はまだ少ないようだ。また、金属調加飾フィルムの製法には同社やAkzo Nobelが採用している金属蒸着法のほか転写法等もある。転写法は量産性に優れるためコストが低いものの、耐候性が弱く自動車の外装用としては別途ハードコートが必要となる場合が多いため金属蒸着法が有利と同社では見ている。
高透明多層フィルムについては、2021年3月期にスマートフォン筐体向けから撤退し、現在は光学特性の高さや歪みの少なさ、防塵特性や耐衝撃性等の強みを生かして内装ディスプレーの大型化が進む車載分野(センターインフォメーションディスプレイ(CID)やヘッドアップディスプレイ(HUD)※向け等)の拡販に注力している。競合は三菱ガス化学<4182>など多いものの、製品特性が評価されフォルクスワーゲンなど欧州系自動車メーカーで採用が進んでいる。
※HUDは、車のフロントガラスへ映像を投影することで、ドライバーの視線の先に車速やナビゲーション等のさまざまな情報を表示するシステム。ドライバーの視界の中心近くに情報を投影することで、視線移動によるドライバーの負担を軽減し、安全運転を支援するシステムとして高級車を中心に搭載率が上昇している。
コンバーティング分野には、医療用湿布の不織布印刷や離型フィルムへの印刷・シリコン処理加工等が含まれ、安定収益源となっている。また、その他として液晶テレビモニター向けの拡散板や導光板、食品包材向け開封テープ等の仕入販売も行っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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