508円
ココナラのニュース
■今後の見通し
2. 2022年8月期以降の成長戦略
2022年8月期については、「ココナラ」のさらなる成長に向けて、テレビコマーシャル及び関連プロモーションによる大規模なマーケティング投資を3年ぶりに実施する予定にしている。投資額としては10億円以上を予定しているため、営業利益は10数億円規模の損失に転じることになるが、同プロモーション投資を除いた修正後営業利益で見れば利益を維持する計画となっている。またココナラ<4176>は財務方針に従い修正後営業利益の拡大は追わず、一定の利益額を維持する方針としている。それを超える水準となる場合は、成長投資に振り向ける予定にしている。具体的には、人員投資を継続することや人員増に伴うオフィスの増床なども想定している。
人員については事業拡大に合わせて、年間人数が2ケタ台半ばのペースで採用していく計画となっている。主には、プロダクト部門(エンジニア)の人員増強を図っていく。同社ではプラットフォームの開発をすべて社内で行っているため、開発力を強化することが成長の原動力になるものと考えている。
なお、同社の営業利益推移を見ると、2019年8月期に1,038百万円の損失、2020年8月期に80百万円の損失が続いているが、これはテレビコマーシャル及び関連プロモーションの投資をそれぞれ第4四半期に実施したことによるもので、これら費用を除いた修正後営業利益ベースで見ると、四半期ベースで見ても安定的に黒字を継続している。
今後の成長戦略としては、利便性並びに競争力の高いプラットフォームを構築していくための機能拡充を推進していくほか、流通高の拡大施策、新規サービスの育成等に注力していく。このうちプラットフォームの構築に関しては、4方面への拡張を推進することでユーザー体験をさらに向上させ利用率の向上を促進し、流通高の拡大につなげていく。
第1に、サービス提供手法の拡張を図ることで、利用者が出品・購入を簡便に行えるように改良していく。具体的には、「トークルーム※」の管理機能強化やコミュニケーション機能を拡充していくことで最適化を図っていく。第2に、制作・相談系の双方においてカテゴリーを拡張し、様々なサービスが購入できる場として「ココナラ」を育成していく。モノのECプラットフォームではAmazonや楽天市場が総合カテゴリー型プラットフォーマーとして圧倒的基盤を構築しているが、サービスECプラットフォームにおいてまだそのような存在はなく、同社が総合カテゴリー型プラットフォーマーを目指していく。第3に、マッチング手法の拡張に取り組んでいく。すでに「見積もり」「公開依頼」「ブログコンテンツ」等の機能を開発したほか、制作・ビジネス系ではPRO認定制度といった仕組みを導入しマッチング率を高めているが、今後もさらなる機能開発を進めていく。第4に、制作・ビジネス利用に適した新機能やサポート体制の拡充・強化を図ることで、中小企業など法人ユーザーの開拓を進めていく。
※サービスの購入後に出品者と購入者の2人のみが閲覧できる非公開のページ。取引相手とのやりとりや、添付ファイルの送受信ができる。
流通高の拡大施策としては、こうしたプラットフォームの機能強化に加えて、効果的なマーケティング戦略を推進していくことで認知度並びにブランド力の向上を図り、会員数の拡大につなげていく。新サービスとしては「ココナラ法律相談」「ココナラミーツ」などを立ち上げている。「ココナラ法律相談」については前述のとおり、規模はまだ小さいものの年率2倍のペースで成長しており、1~2年後には営業収益の10%を超えてくることが予想される。ビジネスモデルは登録弁護士からの広告課金収入となるため、効果的な集客施策によってターゲット層の利用者数を伸ばし、サイトを活性化させていくことができるかが成長のカギを握るものと思われる。「ココナラ」からの流入も一定以上あるため、「ココナラ」が成長すれば「ココナラ法律相談」にもプラスに作用することになる。登録弁護士数は「弁護士ドットコム」とは大きな差があるが、それだけまだ成長余力があることも意味しており、今後の展開が注目される。
一方、「ココナラミーツ」に関しては2020年にサービスを開始しているものの、コロナ禍が続いているため本格的なプロモーション活動はまだ実施していない。対面型サービスのECマッチング型サービスについては、生活回りや出張撮影など業務特化型のサイトを運営しているところも多い。ただ、こうした専門サイトではサイト内でクロスセルが起こりにくく、競争力も相対的に低い。総合カテゴリー型プラットフォームの展開を目指す同社ではクロスセル効果を享受できることから、同社はこうした専門サイトをM&Aによって取り込んでいくことも成長戦略の1つとして考えているようだ。
スキルシェアサービス(対面型及び非対面型)の市場規模については、足元は1,000億円、2030年にはサービス市場のEC化率上昇や、中小企業による利用拡大に伴い9,600億円〜1.6兆円の規模となっている。こうした市場規模の大きさを考えれば、同社の成長余地は大きいと言え、今後も積極的な成長投資を継続していくことによって高成長を実現していくものと期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>
2. 2022年8月期以降の成長戦略
2022年8月期については、「ココナラ」のさらなる成長に向けて、テレビコマーシャル及び関連プロモーションによる大規模なマーケティング投資を3年ぶりに実施する予定にしている。投資額としては10億円以上を予定しているため、営業利益は10数億円規模の損失に転じることになるが、同プロモーション投資を除いた修正後営業利益で見れば利益を維持する計画となっている。またココナラ<4176>は財務方針に従い修正後営業利益の拡大は追わず、一定の利益額を維持する方針としている。それを超える水準となる場合は、成長投資に振り向ける予定にしている。具体的には、人員投資を継続することや人員増に伴うオフィスの増床なども想定している。
人員については事業拡大に合わせて、年間人数が2ケタ台半ばのペースで採用していく計画となっている。主には、プロダクト部門(エンジニア)の人員増強を図っていく。同社ではプラットフォームの開発をすべて社内で行っているため、開発力を強化することが成長の原動力になるものと考えている。
なお、同社の営業利益推移を見ると、2019年8月期に1,038百万円の損失、2020年8月期に80百万円の損失が続いているが、これはテレビコマーシャル及び関連プロモーションの投資をそれぞれ第4四半期に実施したことによるもので、これら費用を除いた修正後営業利益ベースで見ると、四半期ベースで見ても安定的に黒字を継続している。
今後の成長戦略としては、利便性並びに競争力の高いプラットフォームを構築していくための機能拡充を推進していくほか、流通高の拡大施策、新規サービスの育成等に注力していく。このうちプラットフォームの構築に関しては、4方面への拡張を推進することでユーザー体験をさらに向上させ利用率の向上を促進し、流通高の拡大につなげていく。
第1に、サービス提供手法の拡張を図ることで、利用者が出品・購入を簡便に行えるように改良していく。具体的には、「トークルーム※」の管理機能強化やコミュニケーション機能を拡充していくことで最適化を図っていく。第2に、制作・相談系の双方においてカテゴリーを拡張し、様々なサービスが購入できる場として「ココナラ」を育成していく。モノのECプラットフォームではAmazonや楽天市場が総合カテゴリー型プラットフォーマーとして圧倒的基盤を構築しているが、サービスECプラットフォームにおいてまだそのような存在はなく、同社が総合カテゴリー型プラットフォーマーを目指していく。第3に、マッチング手法の拡張に取り組んでいく。すでに「見積もり」「公開依頼」「ブログコンテンツ」等の機能を開発したほか、制作・ビジネス系ではPRO認定制度といった仕組みを導入しマッチング率を高めているが、今後もさらなる機能開発を進めていく。第4に、制作・ビジネス利用に適した新機能やサポート体制の拡充・強化を図ることで、中小企業など法人ユーザーの開拓を進めていく。
※サービスの購入後に出品者と購入者の2人のみが閲覧できる非公開のページ。取引相手とのやりとりや、添付ファイルの送受信ができる。
流通高の拡大施策としては、こうしたプラットフォームの機能強化に加えて、効果的なマーケティング戦略を推進していくことで認知度並びにブランド力の向上を図り、会員数の拡大につなげていく。新サービスとしては「ココナラ法律相談」「ココナラミーツ」などを立ち上げている。「ココナラ法律相談」については前述のとおり、規模はまだ小さいものの年率2倍のペースで成長しており、1~2年後には営業収益の10%を超えてくることが予想される。ビジネスモデルは登録弁護士からの広告課金収入となるため、効果的な集客施策によってターゲット層の利用者数を伸ばし、サイトを活性化させていくことができるかが成長のカギを握るものと思われる。「ココナラ」からの流入も一定以上あるため、「ココナラ」が成長すれば「ココナラ法律相談」にもプラスに作用することになる。登録弁護士数は「弁護士ドットコム」とは大きな差があるが、それだけまだ成長余力があることも意味しており、今後の展開が注目される。
一方、「ココナラミーツ」に関しては2020年にサービスを開始しているものの、コロナ禍が続いているため本格的なプロモーション活動はまだ実施していない。対面型サービスのECマッチング型サービスについては、生活回りや出張撮影など業務特化型のサイトを運営しているところも多い。ただ、こうした専門サイトではサイト内でクロスセルが起こりにくく、競争力も相対的に低い。総合カテゴリー型プラットフォームの展開を目指す同社ではクロスセル効果を享受できることから、同社はこうした専門サイトをM&Aによって取り込んでいくことも成長戦略の1つとして考えているようだ。
スキルシェアサービス(対面型及び非対面型)の市場規模については、足元は1,000億円、2030年にはサービス市場のEC化率上昇や、中小企業による利用拡大に伴い9,600億円〜1.6兆円の規模となっている。こうした市場規模の大きさを考えれば、同社の成長余地は大きいと言え、今後も積極的な成長投資を継続していくことによって高成長を実現していくものと期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>
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