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戸田工業のニュース
■業績動向
1. 2023年3月期上期の業績概要
戸田工業<4100>の2023年3月期上期の連結業績は売上高18,760百万円(前年同期期比17.4%増)、営業利益1,164百万円(同7.5%減)、経常利益2,286百万円(同22.5%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益1,554百万円(同0.2%増)となった。8月8日に修正した予想に対し、売上では260百万円、営業利益で64百万円、経常利益では686百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益も554百万円増額で着地した。
売上高を最終用途別で見ると、機能性顔料事業に属する環境、複写機、塗料部門が8,400百万円(31.3%増)となっている。コロナ禍からの回復で複写機・プリンター向けの材料が1,800百万円(20.0%増)と回復、塗料向けが5,300百万円(39.5%増)と伸びが大きいのはコンクリートやアスファルト用着色材料が好調に推移、環境関連も堅調な伸びとなった。なお数量の伸びは7~8%程度の伸びで、市況や為替の円安影響もあり売上の伸びが大きくなっている。決算短信では機能性顔料事業の売上高は8,214百万円(同28.1%増)、営業利益は1,077百万円(同0.9%増)となっており、売上の伸びの割に利益の伸びが小さいのは、材料高や輸送費などのコストアップが影響している。
電子素材事業は売上高10,545百万円(同10.1%増)、営業利益1,550百万円(同0.8%増)となった。内訳は自動車向けが6,600百万円(26.9%増)、家電・通信機器向けが3,700百万円(14.0%減)。自動車向けは半導体不足などによる自動車生産の回復の遅れが影響し、連結対象のLIB正極材料に用いられる前駆体を製造するカナダの戸田アドバンストマテリアルズが販売先の電池メーカー向けの不振から低調、全体ではLIB用材料売上が3,200百万円(同0%増)と横ばいに止まった。一方、自動車向けの磁石材料は5,700百万円(同30%増)と伸長した。但しこの売上増加については自動車部品向け主体にプラスチックマグネットを専門製造する江門協立磁業高科技有限公司の売上寄与が含まれており、実質的に既存事業での売上は横ばいに止まった。こちらも自動車生産調整の影響から、電装化などでセンサー向け搭載個数増、電動エアコン向けなどの拡大の動きがあるものの、円安を勘案すると実質で数量の伸びが抑えられたとみられる。家電・通信機器向けは家電向けの磁石材料等が減収、誘電体材料もスマホの不振で減少(EV用含め同期比14%減の600百万円)を余儀なくされた。電子素材セグメント全体でセグメント利益が0.8%増益となっているものの、収益性の高い江門協立磁業高科技有限公司の利益寄与を除くと、為替による見かけ上の売上の嵩上げの中で20%強の減益となったと推察される。
全体事業での共通費控除前セグメント利益は2,627百万円(同0.8%増)と微増益となっているが、江門協立磁業高科技有限公司の利益寄与を除くと既存事業では15%弱の減益となったとみられる。全体のセグメント利益では、全社費用が1,462百万円(同8.6%増)と嵩み、実質では40%弱の減益となった。なお経常利益は持分法適用関連会社の収益がBASF戸田バッテリーマテリアルズの好調から736百万円(同15.2%増)に拡大、円安による為替差益319百万円(同344百万円増で差損から差益に改善)などもあり、営業外収支が大きく改善、経常利益、親会社株主に帰属する四半期純利益は増額着地となっている。
2023年3月期第2四半期だけを取り出すと、第2四半期は売上高9,052百万円(前年同期比15.8%増)ながら、営業利益は311百万円(同49.8%減)、経常利益1,116百万円(同36.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益702百万円(同16.0%増)となっている。セグメント別では機能性顔料事業が売上高4,301百万円(同28.6%増)、営業利益563百万円(同4.7%減)、電子素材事業が売上高4,750百万円(同6.3%増)、営業利益495百万円(同29.1%減)と、いずれも増収減益となった。四半期でのセグメント別細目が開示されていないが、機能性顔料部門ではコスト高要因はあるものの、第1四半期対比で9.9%増収、9.5%営業利益増を確保、底堅い需要があり収益を維持している。一方の電子素材事業は、江門協立磁業高科技有限公司の寄与を除くと実質減収となり、セグメント利益面でも大幅減となっている。しかも第1四半期対比で18.0%減収、53.1%セグメント利益減と、原材料やエネルギーコスト高騰に加え、LIB用部材では、自動車生産の回復の遅れから数量面で影響があり、ニッケルの市況軟化などの影響を受けて円安ながら売上が伸びず、誘電体材料もスマホや家電向けの不振が影響している模様で厳しさが増していると見られる。またこの第2四半期の動きは第3~第4四半期も継続する懸念がある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)
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1. 2023年3月期上期の業績概要
戸田工業<4100>の2023年3月期上期の連結業績は売上高18,760百万円(前年同期期比17.4%増)、営業利益1,164百万円(同7.5%減)、経常利益2,286百万円(同22.5%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益1,554百万円(同0.2%増)となった。8月8日に修正した予想に対し、売上では260百万円、営業利益で64百万円、経常利益では686百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益も554百万円増額で着地した。
売上高を最終用途別で見ると、機能性顔料事業に属する環境、複写機、塗料部門が8,400百万円(31.3%増)となっている。コロナ禍からの回復で複写機・プリンター向けの材料が1,800百万円(20.0%増)と回復、塗料向けが5,300百万円(39.5%増)と伸びが大きいのはコンクリートやアスファルト用着色材料が好調に推移、環境関連も堅調な伸びとなった。なお数量の伸びは7~8%程度の伸びで、市況や為替の円安影響もあり売上の伸びが大きくなっている。決算短信では機能性顔料事業の売上高は8,214百万円(同28.1%増)、営業利益は1,077百万円(同0.9%増)となっており、売上の伸びの割に利益の伸びが小さいのは、材料高や輸送費などのコストアップが影響している。
電子素材事業は売上高10,545百万円(同10.1%増)、営業利益1,550百万円(同0.8%増)となった。内訳は自動車向けが6,600百万円(26.9%増)、家電・通信機器向けが3,700百万円(14.0%減)。自動車向けは半導体不足などによる自動車生産の回復の遅れが影響し、連結対象のLIB正極材料に用いられる前駆体を製造するカナダの戸田アドバンストマテリアルズが販売先の電池メーカー向けの不振から低調、全体ではLIB用材料売上が3,200百万円(同0%増)と横ばいに止まった。一方、自動車向けの磁石材料は5,700百万円(同30%増)と伸長した。但しこの売上増加については自動車部品向け主体にプラスチックマグネットを専門製造する江門協立磁業高科技有限公司の売上寄与が含まれており、実質的に既存事業での売上は横ばいに止まった。こちらも自動車生産調整の影響から、電装化などでセンサー向け搭載個数増、電動エアコン向けなどの拡大の動きがあるものの、円安を勘案すると実質で数量の伸びが抑えられたとみられる。家電・通信機器向けは家電向けの磁石材料等が減収、誘電体材料もスマホの不振で減少(EV用含め同期比14%減の600百万円)を余儀なくされた。電子素材セグメント全体でセグメント利益が0.8%増益となっているものの、収益性の高い江門協立磁業高科技有限公司の利益寄与を除くと、為替による見かけ上の売上の嵩上げの中で20%強の減益となったと推察される。
全体事業での共通費控除前セグメント利益は2,627百万円(同0.8%増)と微増益となっているが、江門協立磁業高科技有限公司の利益寄与を除くと既存事業では15%弱の減益となったとみられる。全体のセグメント利益では、全社費用が1,462百万円(同8.6%増)と嵩み、実質では40%弱の減益となった。なお経常利益は持分法適用関連会社の収益がBASF戸田バッテリーマテリアルズの好調から736百万円(同15.2%増)に拡大、円安による為替差益319百万円(同344百万円増で差損から差益に改善)などもあり、営業外収支が大きく改善、経常利益、親会社株主に帰属する四半期純利益は増額着地となっている。
2023年3月期第2四半期だけを取り出すと、第2四半期は売上高9,052百万円(前年同期比15.8%増)ながら、営業利益は311百万円(同49.8%減)、経常利益1,116百万円(同36.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益702百万円(同16.0%増)となっている。セグメント別では機能性顔料事業が売上高4,301百万円(同28.6%増)、営業利益563百万円(同4.7%減)、電子素材事業が売上高4,750百万円(同6.3%増)、営業利益495百万円(同29.1%減)と、いずれも増収減益となった。四半期でのセグメント別細目が開示されていないが、機能性顔料部門ではコスト高要因はあるものの、第1四半期対比で9.9%増収、9.5%営業利益増を確保、底堅い需要があり収益を維持している。一方の電子素材事業は、江門協立磁業高科技有限公司の寄与を除くと実質減収となり、セグメント利益面でも大幅減となっている。しかも第1四半期対比で18.0%減収、53.1%セグメント利益減と、原材料やエネルギーコスト高騰に加え、LIB用部材では、自動車生産の回復の遅れから数量面で影響があり、ニッケルの市況軟化などの影響を受けて円安ながら売上が伸びず、誘電体材料もスマホや家電向けの不振が影響している模様で厳しさが増していると見られる。またこの第2四半期の動きは第3~第4四半期も継続する懸念がある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)
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