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エイジア Research Memo(4):クラウドサービスの成長によりアプリケーション事業の利益率は49.6%に上昇

配信元:フィスコ
投稿:2018/06/14 16:37
■エイジア<2352>の業績動向

2. 事業セグメント別動向
(1) アプリケーション事業
アプリケーション事業の売上高は前期比9.2%増の1,228百万円、セグメント利益は同16.3%増の609百万円となった。EC市場の拡大やSNSの普及拡大を背景に、インターネットを活用した販促・マーケティング施策の重要性が高まるなか、主力の「WEBCAS e-mail」を中心にクラウドサービスの2ケタ増収が続き、業績のけん引役となった。売上高の内訳を見ると、クラウドサービスが前期比12.1%増の862百万円と順調に拡大した一方で、ライセンス販売については前期が好調だったこともあり同0.7%減の179百万円と横ばいにとどまり、ライセンス保守・その他は同6.9%増の186百万円となった。

クラウドサービスについてはSaaS型、ASP型ともに2ケタ増収となったが、2017年3月にカルチュア・コンビニエンス・クラブ(株)の子会社であるCCCマーケティング(株)にSaaS型で導入が決まったことも宣伝効果になったと見られる。CCCマーケティングでは6,000万人超の会員に対して日々1,000万通超のメールを配信しており、そこに同社の「WEBCAS e-mail」とアンケートシステムの「WEBCAS formulator」が採用されたことで、改めて同社製品の性能の高さが裏付けられる格好となった。

セグメント利益率で見ると、前期の46.6%から49.6%と3.0ポイント上昇した。利益率の高いクラウドサービスが伸長したことに加えて、SaaS型クラウドサービスの導入プロセスを標準化したことで、生産性が向上したことも寄与している。

なお、2018年3月期における製品開発状況は、主力製品である「WEBCAS e-mail」のほか、LINEビジネスコネクトの新APIに対応した「WEBCAS taLk」、「WEBCAS CRM」のバージョンアップを実施した。また、2018年3月期中のリリースを予定していたマーケティングオートメーションツール「WEBCAS AR (Ver.3)」については、開発途中に新たな機能を追加したために完成の時期が2019年3月期上期にずれ込んだ。

また、AIのマーケティング活用に関する実証実験を既存大手顧客3社と取り組むプロジェクトを2017年後半より順次進めている。1社目が終了し、配信時間を最適化することの効果が確認できている。今後、AIアルゴリズムの見直しも行いながら、残りの実証実験も進めていく予定となっている。同社ではこれらプロジェクトと並行して、2018年3月に慶應義塾大学発のAIベンチャーであるSENSYと業務提携を発表し、WEBCASとのAIエンジン「SENSY」との連携開発に着手したと発表している。

今回の業務提携については、同社の既存大手顧客からの要望によるものとなっている。同顧客企業で「SENSY」をマーチャンダイジングに活用したところ、半年間で在庫回転率が向上し粗利率で4.5ポイントの改善効果があったとしている。「SENSY」の予測精度の高さが実証されたことから、同エンジンを「WEBCAS e-mail」と連携することで販促効率の更なる向上を進めることが同顧客企業の狙いとなっているようだ。ただ、「SENSY」は利用料も高いためサービス化したとしてもターゲット顧客は大企業に限定されることになる。

(2) コンサルティング事業
主に子会社のFUCAが担うコンサルティング事業の売上高は前期比49.2%増の272百万円、セグメント利益は10百万円(前期は1百万円の損失)と2期ぶりに黒字に転換した。なお、FUCAののれん償却費として2百万円が含まれている。

売上高は、既存大手顧客に対するメールコンテンツの企画・制作を主としたコンサルティングサービスが同36.1%増と堅調に推移したほか、大型Web制作案件の寄与によりデザインサービスも同70.0%増と大きく伸長し、いずれも会社計画を上回った。FUCAが前期より推進してきた戦略立案から入る営業施策や人員体制を強化(前期比9名増の30名)したことが売上増につながった。

利益面では増収効果に加えて、売上総利益率が19.4%と前期比で1.8ポイント改善したことも増益要因となっている。ただ、セグメント利益率は3.8%と主力のアプリケーション事業と比較すると低く、今後は付加価値の高いコンサルティングサービスなども強化しながら、利益率の向上を図っていく方針となっている。

(3) オーダーメイド開発事業
オーダーメイド開発事業の売上高は前期比3.6%減の21百万円、セグメント利益は同44.4%減の4.7百万円となった。社内の開発リソースを自社製品の開発に集中させており、新規受注活動を積極的に展開していないことが減収減益要因となっている。


無借金経営で財務内容は良好
3. 財務状況と経営指標
2018年3月期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比345百万円増加の1,851百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では現金及び預金が243百万円増加し、固定資産では有形固定資産が12百万円減少し、無形固定資産が53百万円、投資その他の資産が70百万円それぞれ増加した。

負債合計は前期末比52百万円増加の352百万円となった。流動負債では未払法人税等が26百万円、未払消費税等が13百万円、未払費用が13百万円それぞれ増加した。また、固定負債では長期前受収益が5百万円減少し、株式給付引当金が9百万円増加した。純資産合計は前期末比292百万円増加の1,498百万円となった。配当の支払い51百万円があった一方で、親会社株主に帰属する当期純利益236百万円を計上したほか、その他有価証券評価差額金が106百万円増加したことによる。

なお、その他有価証券評価差額金の増加に関しては同社が出資していたナレッジスイート<3999>が2017年12月に株式上場したことに伴う含み益の増加が主因となっている。同社はナレッジスイートに対して電子メール配信システムのOEM供給している。

経営指標を見ると、安全性を示す自己資本比率は80.6%と引き続き高水準を維持しており、有利子負債もないことから財務の健全性は高いと判断される。今後も大きな資金需要はないことから、引き続き財務内容は良好な状態が継続するものと見られる。M&Aやアライアンス等の投資については引き続き検討しているが、規模的には手元キャッシュで賄える範囲で考えている。収益性については、前述したようにクラウドサービスの売上好調によって営業利益率で前期比1.3ポイント上昇の22.9%、ROEで同2.5ポイント上昇の17.6%となっており、高収益性を維持している。今後もクラウドサービスの成長が続く見通しで、収益性はさらに上昇していくことが予想される。

なお、同社は発行済株式総数の8.8%を自己株式として保有(ESOPを除く)しているが、同株式については今後M&Aを実施する際などに活用していくことを考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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配信元: フィスコ
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