【井川純一の今夜も兜町で一杯】治に居て乱を忘れず

　２月２１日（火曜日）の日経平均株価は１３０円３６銭高の１万９３８１円４４銭と続伸。前日の米株市場はプレジデントデーで休場、手掛かり材料に乏しく、朝方は方向感の定まらない動きでしたが、次第に上値指向。為替が１１３円台半ばへと円安含みに推移したことが追い風材料って感じです。ただ売買代金は低調、続伸はしたもののマーケットのパワーが落ちています。
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　前場に相場を見ていて、思わず「そりゃないぜ」と口に出た。日本製紙<3863.T>が大幅高で２０００円台に回復、王子ホールディングス<3861.T>、北越紀州製紙<3865.T>など紙パ株が大きく買われていたからだ。

　なぜに「そりゃないぜ」なのかというと、次の特集で、この紙パ株を書こうと思って取材を進めていた矢先だったからだ。だったら、せめてあと数日、上がるのを待っていてくれたっていいじゃないのよ。２１日付の日本経済新聞が「日本製紙、印刷用１５～２０％上げ」と報じたことがきっかけのようだが、なんだか気落ちしちゃうのよねぇ。ただ、紙パ株は低ＰＢＲ株の宝庫でもあり、まだまだ評価不足、注目場面は今後も続きそうな気がする。

　昨夜は春の嵐のなか、演芸評論家の高山和久氏と久々に痛飲。はじめは「軽～く」とのことだったが、そこは酒飲みの意地汚さで、飲み始めたら「軽く」といくはずもない。結果、読んで字のごとし「痛飲」となった。

　この高山氏、演芸評論家であって園芸評論家ではない。時おり勘違いされ、「花の育て方」を尋ねられたりするという。まっ、そんなことはどうでもいいのだが、この人の専門分野は落語、漫才といった“演芸”の評論。最近では“世界のピコ太郎”について毎度聞かれ辟易（へきえき）しているみたい。この人、実は株にも精通しているのだ。以前にも紹介したが、かつては株式業界紙で敏腕編集者だったのだが、人生とは不思議なもので、現在は演芸評論家として各種メディアで活躍している。

　最初は若手漫才師について語っていたのだが、話題はいつしか最近の株式市場について。当方、「そりゃ、下がっちゃいないけれど、なんだか詰まらない相場なんだよなぁ」と、アルコールがだいぶ入っているせいか愚痴っぽくなる。だまって聞いていた高山氏がぽつり「“治に居て乱を忘れず”ってこったよ」。たまに、この人は小難しいことをおっしゃる。

　「すなわち、平時にあっても武芸を忘れることなく、乱世の準備はしっかりやっとけということ」だという。う～ん、いずれ訪れるであろうトランプ相場の終焉、それを考えれば、これもまた道理ではあるわな。

　平時の行いが乱世で生きるですかぁ。当方のん気なオヤジで、それがなかなかできないのよねぇ。
《ＫＣ》

出所：株経ONLINE（株式会社みんかぶ）