システムインテグレータのニュース
【QAあり】システムインテグレータ、拠点増床等に伴う赤字予想を覆し黒字転換を達成 旺盛な市場を背景にERP事業が順調に進捗
2025年2月期第2四半期決算説明
引屋敷智氏(以下、引屋敷):みなさま、こんにちは。株式会社システムインテグレータ代表取締役社長の引屋敷です。本日はお忙しい中、ありがとうございます。2025年2月期第2四半期の決算説明会を始めたいと思います。
業績ハイライト
業績のハイライトです。売上高は22億3,000万円弱です。当社は、前期12月末に、長年行っていたEC事業を譲渡しました。
その関係上、以降の数字に関しては、当然ながら減収減益となっています。その分を残った事業で継続した結果、今回の数字となっています。
売上については、前年比で8.1パーセント減少になっています。EC事業を除いた比較では、11.6パーセントの増収です。
営業利益について、上期は5,000万円近い赤字の予算計画となっていました。その要因として、拠点の移転や大きな研究開発を見込んでいましたが、8,000万円弱の黒字で終えることができました。
社員数については244名となっています。私どもは「人」がすべての資源であり、「人」が稼ぐという事業です。
前期のEC事業を分割譲渡したタイミングで、32名が新会社に移籍しました。その32名に代わって、28名を計画どおり増員しています。つまり、減った人数とおよそ同程度、上期で増員しています。
私どもの1つのKPIにしている稼働率です。いわゆる儲けるためのプロジェクトに、いかに人がかかわって、そこで稼働しているか、これが1つのKPIとなります。前年比で1.8ポイント減少しています。
増員した28名がすぐに戦力とはなりませんので、その教育工数が増加しました。加えて、今期からSAPというグローバルなERPを事業として始めました。この教育準備期間として、この半期は、教育工数が増えてきました。そのため若干稼働率が下がっています。
当社のMVV
私どものミッションは、「時間を与えるソフトウェアを創り続ける」です。これはどのようなことかと言うと、世の中に新しいものをソフトウェアとして送り出して、時間を与えることで社会に貢献したいということです。
非効率を解消して、生産性を上げるものを世の中に送り出すのが、私どものミッションです。そのために、毎期製品開発投資を行っています。今期は大きな製品開発投資を進めたいと思っています。
事業概要
事業の概要ですが、大きくフロー型ビジネスとストック型ビジネスにわかれています。フロー型ビジネスは、プロジェクトチームを組織して、パッケージ製品をベースに、カスタマイズ、アドオンしてお納めします。
もちろん、この中にも毎年決まった定額の保守、運用、サポートでストックとなるものがあります。二分した時には、フロー型のビジネスとして、ERPとAIの事業を位置づけています。
もう1つのストック型ビジネスは、定額の月額をいただいているものです。今回始めたSAPビジネス、「Object Browser」という開発ツールビジネス、そしてインキュベーション事業として「TOPSIC」というプログラミングスキル判定サービスを今、提供しています。
このERP事業、AI事業、ObjectBrowser事業、そしてインキュベーション事業の「TOPSIC」が、私どもの今現在の事業の柱になっています。
ベトナム開発拠点:キーストーン社について
昨年度、ベトナムのダナン市に開発拠点を開設しました。主にオフショアの拠点として、親会社の仕事以外にも、ベトナム国内にある日系企業の案件をSAPやノーコードツールを使って開発をしています。
スライド左下にあるとおり、親会社とそれ以外の外販で、約半分ずつの比率でビジネスを行っています。
親会社に依存するということではなく、ビジネスの収益構造として、この割合程度を維持していきます。社員数としては、昨年開設してから順調に社員を増やしています。
初年度から黒字でスタートを切りました。
2025年2月期 決算 損益計算書(連結)
この半期の決算内容です。前年同期比では、持分法での利益の加算を含めても、EC事業の譲渡により減収減益となっています。
しかし、市場も非常に投資意欲旺盛であることから、ERP事業を中心に順調に伸びています。粗利率は33.1パーセントです。
売上高販管費率は前年同期比で、若干増えています。拠点の移転、増床、開発投資などによって、以前より若干膨らみ、この数字となっています。
営業利益は、当初は赤字の業績予想でしたが、約8,000万円の黒字で着地となっています。
2025年2月期 決算 貸借対照表(連結)
BSです。半期ですので、配当金、法人税の支払いでキャッシュアウトがあったため、流動資産の現金および預金が若干減少しています。
現時点で、大きく変わったところはありません。今後ビジネスが進んでいくにつれて、前期を超えるような財務体質ができると予測しています。
事業セグメント別実績(連結)
事業セグメント別実績です。ERPの事業が売上の約6割から7割を占めています。これは、「GRANDIT」というERPと6月ごろから始まったSAPのプロジェクトの2つを含んだものです。
AIについては、外観検査事業となっています。こちらも、昨年度より売上が順調に伸びています。Object Browserについては、開発ツールと、IT企業向けのプロジェクト管理というパッケージになっており、どちらもSaaS型、サブスクリプション型を提供しています。
こちらも堅調に毎年伸びてきています。インキュベーションは、「TOPSIC」というプログラミングスキル判定サービスです。
これが前年同期比で減収となっています。昨年までインキュベーションの中に「IDEA GARDEN」という別のサービスがありましたが、今後の市場性や伸びなどの予測から、撤退したため、その分若干落ち込んでおり、約22億3,000万円となっています。こちらも昨年と比べ、ECを含んでいるため減収となっていますが、ECを除いた数字では10パーセント以上伸びている状況です。
ご説明した連結の数字は、今期よりベトナムの子会社も含んでいます。その旨もご了承願います。
事業セグメント別実績(連結)
各事業セグメント別のグラフです。主力のERP、AI、Object Browserは、すべて半期ベースでは伸びています。今のところ、通期予想でも、昨年対比では上回る予想です。
[補足] ストック型ビジネスの現況
先ほどお伝えしたとおり、事業形態をストック型ビジネスとフロー型ビジネスの2つに分けています。まだ私どもの会社は、どうしてもフロー型ビジネスのほうが大きいのですが、ストック型ビジネスの数字をどんどん伸ばしていくことが経営課題の1つになっています。
当然ながらERPやAIの中にもストック型の数字は若干ありますが、「OPBM Neo」というプロジェクト管理システムと「TOPSIC」というプログラミングスキルを向上させるサービスの2つが純粋なストック型ビジネスになっています。
スライドのグラフは、売上が伸びていく様子と、解約を抑えるとチャーンレートがいかに低く抑えられるかを表しています。「OPBM Neo」については、ずっと右に上がり、だいたいチャーンレートの1パーセント台をキープしています。「TOPSIC」については、売上が若干減っており、それに伴いチャーンレートが上がってしまっています。
こちらは、さらなる新規顧客、市場の開拓が重要な課題となっています。
事業ドメインの集中と変革
今期の初めに打ち出した経営戦略についてです。前期までは、EC事業も含め、さまざまな新規事業が乱立していました。収益性や未来の市場性を鑑みて、いくつか事業撤退を行いました。
私どもの強みは、企業向けの業務システムです。売上高が50億円弱で、お客さまはだいたい売上高が100億円から1,000億円ぐらいの会社です。プライムベンダーを行わせていただいている、要は直接取引をさせていただいている会社は、非常に少ないのが現状です。
したがって、私どもはオービックやSAPなどがコンペ先となっています。このような強みを活かし、さらに集中的に投資していく意味で、まず業務系のシステムを集中的なドメインとして設定しました。
そちらに、今私どもが積極的に投資しているAIや、生産性の高いノーコード・ローコードツールを外側につけ、そこから生み出した開発ツールを世の中に送り出すことにより、私どもの技術力を市場に知らしめたいと考えています。
そのためにも、この業務システム、AI、開発ツールの3つを、今後主力のビジネスにしていきます。そして、その中から、積極的な研究開発投資を行い、新製品、新サービスを生み出していこうという、事業ドメインへの集中となっています。
人的資本経営と価値提供型人材の育成
先ほどお伝えしたように、私どもは「人」でしか稼げません。よって、人的資本経営の中でも、人材育成に重きを置いています。「人」が育ち、その結果、会社が成長して業績が良くなります。さらに、それにより株主へのトータルの価値と、還元率を高めていくことを目指しています。
また、働き方の制度改革として、人事制度を変え、社員の満足度向上に前期から継続して取り組んできました。今期はそれぞれの制度をさらに充実させ、安定的に運用していくフェーズに入っています。
2年経営計画 2032年に向けた長期ビジョン (将来像)
私どもは、3年の中期計画ではなく、2年の経営計画を定めています。特にIT業界は、AI・「ChatGPT」でもわかるとおり、2年、3年先が本当にわかりません。したがって、まず2年を見据え、どのようなところに軸足を置いていくか、未来に向けどうやって歩いていくかを、2年計画できっちり定めていこうと考えました。
来期の2026年2月期が終わった時点で売上高50億円、その2年後に70億円、さらに5年後に120億円を、ロードマップとしています。そのために、1つ目はお客さまの課題をインテグレートし解決します。このようなものをカルチャーとしてブランディングし、さらにお客さまの役に立つ会社でありたいと、社員全員が思って仕事をしています。
2つ目は、役に立つソフトウェアを生み出すことで、新規ビジネスを創出し、既存の事業とともに、大きな柱に育てていきます。そして、これらを一つひとつ、30億円、50億円という規模に育てていきます。そのために、他社から参入障壁の高い人材の育成、サービス、製品の提供を、常に心がけて進めていきたいと思っています。
2年経営計画 2026年2月期に目指す姿
今期と来期の2期、そして2026年2月期にどのような姿を目指すかについてです。私どもは、たとえ細く長くでも、持続的に、常に成長していることが必要だと考えます。
しかし、成長の中では無理をすることもあるため、ガバナンスやコンプライアンスをきちんと強化し、これらを両立した中で、株主の最大価値を高めていこうと、社員に目標を掲げています。そのために、私どもの社名である「システムをインテグレートする」、この名に恥じないような、ITや最新技術をコーディングし、お客さまの期待以上の価値を提供できるよう邁進していきます。
したがって、「事業ドメインの確立」「新規事業の創出」、そしてもう1つ、今期は「収益性の改善」を社員全員に強く打ち出していました。
これは、「1パーセントの改善を行ってみよう」ということです。プロジェクト単位で稼ぐメンバーに、「10パーセント改善しろ」というのは大変です。5パーセントも非常に大変ですので、1パーセント改善しよう、間接部門であれば販管費を1パーセント改善しようということです。今回少しずつ改善したおかげで、赤字予想が黒字着地という成果で表れました。
2年経営計画 業績予想
2年後は売上高50億円、営業利益3億円を目標としています。
2年経営計画の基本方針
収益構造や事業を新しくしていくことや、人材の育成について、今まで私どもは、M&Aや他社との提携に関する投資をしていませんでした。今期より、私どもの戦略として、補完関係が組めるような企業への投資を、少しずつ行っていく計画です。
加えて、経営インフラについても、再整備を行い、経営、そして社員の働き方に効率的な力を与えるような体制を整えつつあります。
そして、株主のみなさまに向けては、トータルの価値創造とガバナンスをしっかり行っていくことが、私どもの基本方針です。
若手IT人財の採用と育成状況
先ほどもお伝えしたとおり、人財の育成が重要だと考えています。これは私ども社員のKPIの1つです。積極的に社員を募集し、たくさんの方から応募があり、数多くの優秀な人財が入社していますが、この人財をいかに早く戦力化していくかが、私どもの業績に直結します。
一番大きな事業はERPですが、社員の採用数は順調にキープできています。開発要員として稼ぎ頭となるエンジニアの数も増えてきています。
新入社員が戦力化するまでには約3年、中途採用やキャリア採用の社員でも2年程度かかります。それぞれの社員が戦力化し、どのように業績に貢献できているかを、KPIの数字として定期的にチェックしています。
今期は採用人数が少し多かったため、スライド右側のグラフにあるように若干粗利が落ちています。1人当たりの付加価値は下がっていますが、教育の成果が出てくることで、今後は少しずつ上がっていくと予想しています。
株主還元
株主還元についてご説明します。2024年2月期の株主総利回りは66パーセントとなっています。株主還元を常に意識した経営をしていきたいのですが、今期はまず人材育成および新規事業創出で1パーセントずつでも改善させ、より多くの利益率、利益額を叩き出していきたいと思います。
配当性向に関しては、従来どおり30パーセントを目標の水準とします。
株主優待についてです。株主のみなさまには、先週、従来どおりお米を贈呈しました。
SDGsの取り組み
SDGsの取り組みについてご説明します。埼玉県に本社があるIT企業、上場企業ということで、主に埼玉県の地域貢献に取り組んでいます。子ども食堂の支援、また近隣中学校の職場体験の実施など、社会貢献、地域貢献を行っています。
以上が、2025年2月期第2四半期決算の報告になります。
質疑応答:ベトナムでの開発について
「ベトナムでの開発はどのようになっていますか?」というご質問です。
内販、いわゆる親会社からのものに関して、一番多いのはERPの開発です。お客さま向けのものと製品開発を行っています。
外販に関しては、SAPが一番多くなっています。よく「SAP 2027年問題」と言われていましたが、日系企業へ導入するSAPの「HANA」と呼ばれるアドオン開発を行っています。
質疑応答:AIの収益化の目処について
「AIの収益化の目処についてお聞かせください」というご質問です。
AIに関しては、今後どんどんスケールさせていくのは、外観検査だけでは現時点では難しいと予想しています。外観検査には今期1億円近い予算を立てていますが、おそらく8,000万円程度で着地すると予測しています。
現在、私どもが不足部分をどのようにしているかというと、お客さまと一緒に生成AIを使った研究開発的なものに取り組んでいます。
その1つが、ロボット関係の3次元のデータを使ったものです。これまでは私どもも2Dでしたが、3次元の世界で画像認識やデータの分析ができないかと、継続的に研究開発を行ってきました。現在、ある会社と一緒に事業化のための研究開発を行っています。
もう1つは完全に生成AIなのですが、製造業の設計分野で活用して、お客さまから評価をいただいています。
今後はAI事業の中でも、ピボットしながらスケールを狙っていく可能性はあります。外観検査に続く何かでスケールを狙っていくかもしれませんが、収益化にはもう少し時間がかかるのではないかと思います。
今お話しした2つを加えた新規ビジネスで、どのくらいの収益化を見込めるかという計画をもって、来年以降の事業の方向性を定めたいと思っています。
質疑応答:ERPの営業活動での品揃えの効果について
「ERPの営業活動で、カスタム対応の『GRANDIT』と標準的な『SAP』といった品揃えの効果は出ていますか?」というご質問です。
SAPは、「パブリッククラウド」という製品を扱っています。これはむしろカスタマイズしないという製品です。「GRANDIT」は、お客さまからのニーズを受けてそれを埋め込んでいくことができましたが、「パブリッククラウド」ではできません。
私どもとしても、今後のビジネスの方向性を見たいということで、あえてまったく違うものを扱ってみました。実際のところ品揃えの効果は出ています。
お客さまがどちらを望むかというと、私どもが狙っている100億円から1,000億円規模の日本企業の場合はカスタム品を望むケースが多いため、現時点では「GRANDIT」が優勢です。
私どもは独自の製品をいろいろと作ってきました。当社独自の尖ったアドオンの製品をカスタマイズできないSAPと組み合わせ、製造業を狙っていくということを、来期に向けて検討しています。SAPにも協力してもらい、どのようなところを狙っていくかといった戦略を立てていこうと考えています。
現状では、カスタムできないものとして、いわゆるFit to Standardという中でどこまでできるかという意味では、考え方がまったく違うお客さまに対して効果が十分に出ていると考えています。
質疑応答:ノーコード・ローコードの利用と進捗度合いについて
「ノーコードとローコードでは、お客さまにとって開発の容易さに差異があると思いますが、それぞれどのようなお客さまのどのような開発で利用することが多いでしょうか? また、進捗度合いについても教えてください」というご質問です。
ノーコードは、おそらくエンドユーザーが使えないものは普及していかないと思います。よって、経理の方がこのようなものを作りたい、または生産技術や生産管理の方が現場のこのようなシステムを作りたいといった時にできるものでないと、なかなか効果が出ないのではないかと思います。
ローコードは、私どものようなベンダーや、情報システムの方が頼まれて作るものです。若干のITスキルを必要とするため、そういったところで使われてくるのではないかと思います。
実は私どもは、「GRANDIT」の中でも自社でローコードツールを作って使っています。少し画面を見たい、帳票を出したい、あるいは簡単な入力画面を作ってみたいといった時に、ERP分野でこのローコードツールを使っています。
実際のところ私どもは、ノーコードツールをお客さまに入れた実績はまだありません。日本の現場の方々は、今のところITリテラシーがそこまで追いついていないようです。私どもとしてはこのような武器は持っているのですが、ノーコードツールのほうはまだというイメージです。
ローコードツールは「GRANDIT」の導入、「SAP」の導入など、すべてにおいて活用が進んでいます。
質疑応答:離職率について
「離職率について教えてください」というご質問です。
森田涼斗氏:離職率は10パーセント弱程度と、横ばいで推移している状況です。
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