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イグニス Research Memo(1):20年9月期は増収ながら先行費用の拡大により営業損失を計上

配信元:フィスコ
投稿:2021/01/19 15:11
■要約

1. 事業概要
イグニス<3689>は、スマートフォン向けアプリの企画・運営・販売等を主力としている。「世界にインパクトを与えなければ、気がすまない」という経営理念及び「次のあたりまえを創る。何度でも」というミッションの下、ゲーム及び非ゲームの領域で独自のポジショニングを確立してきた。ロングセラーであった『ぼくとドラゴン』等の主力タイトルについては2020年3月2日に譲渡し、「ゲーム事業」は新規開発凍結中だが、恋愛・婚活マッチングサービス『with』を主力とする「マッチング事業」が大きく伸びており、収益の柱となっている。さらには、バーチャルライブアプリ『INSPIX LIVE』や所属タレント等の自社IPによる音楽ビジネスを展開する「エンターテック事業」も着実に実績を積み上げており、今後の方向性も見えてきた。

2. 2020年9月期決算の概要
2020年9月期の業績は、売上高が前期比2.0%増の5,683百万円、営業損失が232百万円(前期は744百万円の損失)と増収ながら、3期連続で営業損失を計上する結果となった。売上高は、『ぼくとドラゴン』(ゲーム事業)等の譲渡による落ち込みを、『with』(マッチング事業)の伸びでカバーし、期初予想を上回る増収を確保した。また、「エンターテック事業」は、IP関連が着実に伸びてきたものの、新型コロナウイルス(以下、コロナ)に伴うイベント中止や延期等により、当初想定していた成長スピードには届かなかったようだ。また、プラットフォーム関連についても、注目を集めた「初音ミクGALAXY LIVE 2020」を開催したほか、次世代型の「INSPIX WORLD」への大型アップデートが最終段階を迎えているが、本格的な業績貢献はこれからである。損益面でも、積み上げ型の『with』の伸びが収益の底上げに寄与した。ただ、連結業績で黒字化に至らなかったのは、第2四半期まで利益貢献してきた『ぼくとドラゴン』(ゲーム事業)の譲渡や「エンターテック事業」への先行投資などが理由である。

3. 2021年9月期の業績予想
2021年9月期の業績予想について同社は、売上高を前期比23.2%増の7,000百万円と大幅な増収を見込む。一方、利益予想については現時点で非公表としている。引き続き『with』(マッチング事業)が順調に伸びるとともに、「エンターテック事業」が『INSPIX WORLD』のローンチ等により大きく拡大する見通しとなっている。ただし、コロナの影響を含め、『INSPIX WORLD』のローンチの時期やライブスケジュールなどに不確定要素が存在するため、保守的な想定となっているようだ。損益面についても、『with』による利益の底上げを見込むが、『INSPIX WORLD』への開発費用などに不確定要素があるため、現時点では非公表としている。

4. 成長戦略
同社の成長戦略は、積み上げ型となる「マッチング事業」及び爆発力のある「エンターテック事業」のそれぞれに経営資源を集中することでバランスの良い事業ポートフォリオを構築し、成長及び拡大を目指す方向性である。特に、『INSPIX LIVE』から『INSPIX WORLD』への大型アップデートやVR音楽ライブの中国展開が、新たな市場の創出(開拓)という点において今後の成長性を大きく左右する可能性が高い。

■Key Points
・2020年9月期は引き続き好調な『with』の伸びが増収に寄与したものの、最終段階に入ってきた『INSPIX WORLD』への開発費用等により営業損失を計上
・財務面では、第14回新株予約権の行使などにより約13億円の資金調達を実現し、GC注記の記載が解消
・2021年9月期は『INSPIX WORLD』のローンチ等により大幅な増収を見込むが、ローンチ時期や開発費用などに未確定要素があるため、利益予想は現時点で非公表
・積み上げ型となる「マッチング事業」及び爆発力のある「エンターテック事業」によるバランスの良い事業ポートフォリオを構築し、成長及び拡大を目指す方向性

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)


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配信元: フィスコ
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