329円
ブイキューブのニュース
■ブイキューブ<3681>の事業概要
同社グループは、「いつでも、どこでも、『だれでも』使える」をコンセプトに、ユーザーのPCあるいはスマートフォン、タブレット等のモバイル端末から、インターネットを通じて相手と互いの顔や資料を共有しながら遠隔会議を行うWeb会議サービスやWebセミナー等の映像コミュニケーションサービスの提供を主力事業としている。こうしたサービスをSaaSとして提供するだけでなく、Webセミナーなどオンラインイベントにおいては専門スタッフを配置し、イベントの運営が円滑に進むよう顧客ニーズに合わせてソリューションサービスを提供していることが特徴である。これがZoom等のその他競合ベンダーとの大きな違いで、差別化要因となっている。
事業セグメントは、エンタープライズDX事業、イベントDX事業、サードプレイスDX事業の3セグメントで開示している。2021年12月期第2四半期累計の事業セグメント別構成比については、売上高、セグメント利益ともにイベントDX事業が40%台と最も高く、次いで、エンタープライズDX事業、サードプレイスDX事業の順となっている。
1. エンタープライズDX事業
エンタープライズDX事業では、主に企業内外向けリモートコミュニケーションプロダクトの提供や、業界/用途特化型ソリューションの開発、提供、運用支援などを行っている。主要サービスとしては、汎用Web会議サービスとなる「V-CUBEミーティング」のほか、オンライン営業専用のWeb会議ツール「V-CUBEセールス+」、緊急対策・災害対策用ソリューション「V-CUBEコラボレーション」「V-CUBE Board」、米Qumuの提供する企業向け動画配信プラットフォームサービス「Qumu」、顧客企業が自社サービスにビデオ通話やライブ配信機能など付加機能を組み込むことができる「SDK」(ソフトウェア開発キット)、シンガポール子会社で展開するLMS/TMS※などがある。また、汎用Web会議サービス市場はコモディティ化しているとの経営判断から、Zoomの販売代理店にもなっており、顧客ニーズがあれば「Zoomミーティング」の販売(サブスクリプション契約)も行っている。
※シンガポール子会社のWizlearn Technologiesが開発・運営しているサービスで、LMS(Learning Management System)は学校向け学習管理用プラットフォーム「ASKnLearn」、TMS(Teaching Management System)は企業向け教育研修管理用プラットフォーム「Wizlearn」としてそれぞれ提供している。
各サービスはSaaSとしてクラウド上で提供され、売上形態は月額で課金するサブスクリプションモデルが大半となっている。オンプレミス型は自治体向けの緊急対策・災害対策用ソリューションなどの一部にとどまっている。また、シンガポール子会社Wizlearnが展開しているLMS/TMSについてもクラウドサービスとして提供されている。同子会社では従来、学校向けが売上の過半を占めていたが、2019年以降政府が内製化方針を打ち出した影響で学校向けが減少し、2020年以降は企業向けが学校向けを逆転している。直近では学校向け売上の減少は底を打ち、今後はWizlearn売上の2~3割の売上を見込む。
2. イベントDX事業
イベントDX事業では、様々な分野におけるイベントのリモート化を実現するソリューションサービスを提供している。「V-CUBEセミナー」や「EventIn(イベントイン)」といったプロダクトの提供と合わせて、専門の技術スタッフを現場に派遣し(2人程度)、イベントの運営がスムーズに行われるよう運営支援を行うサービスで、高い顧客満足度を得られる「SaaS+Service」型のビジネスモデルとなる。競合となる外資系ベンダーはツールのみの提供にとどまっていることから、「Service」の必要性を感じる企業や、オンラインイベントでの運営トラブル発生を避けたい企業の需要を取り込むことで、2020年以降急成長している。
主な用途としては、製薬業界向けでプロモーション施策として利用されているオンライン講演会のほか、就職・採用オンライン説明会、バーチャル株主総会や決算説明会等が挙げられる。製薬業界向けオンライン講演会など「V-CUBEセミナー」による配信サービスを多く利用する企業については、顧客の希望に沿った日時・場所で配信サービスを行うが年間開催枠を用意してサービス提供しているため、実質的にサブスクリプションサービスとなっている。
また、2020年11月より従来のオンラインイベントの課題を解決する新たなサービスとして「EventIn」の提供を開始している。オンラインイベント後に、講演者に個別質問したり、企業ごとに分かれて商談・面談を行うことが可能で、ほぼリアルのセミナーに近いサービスを実現している。また、参加者のイベント中の行動履歴などを取得し、出展者に詳細なデータを提供でき、イベントセミナーの開催効果をより一段と高めることが可能なサービスとなっている。
そのほか、2021年6月より連結子会社化に加わった、米Xyvidのサービスも同事業セグメントに含まれる。Xyvidも米国でセミナーや講演会などのイベント向けに「SaaS+Service」モデルでイベントDX事業を展開している。従業員数は30名(2021年6月末時点)であるものの、顧客企業は大手金融機関やコンサルティング会社などのグローバル企業20~30社程度となる。2020年12月期の業績は売上高で5.4百万米ドル、営業利益で1.6百万米ドルと既に収益化していることから、今後はグループ連携を図ることでシナジーを高めていく戦略となっている。
3. サードプレイスDX事業
サードプレイスDX事業は、2017年より販売を開始した個室型スマートワークブース「テレキューブ」を提供している。企業内においてはリモート文化が普及したことで出社時もWeb会議を行うことが増え、周囲のノイズが入らないようにするために利用する会議室や個室不足を解消する場として、また、駅構内やオフィスビルエントランス、複合施設など公共空間でテレワーク等を行う場として、コロナ禍を機に急速に需要が拡大している。
営業展開は、一般企業向けと公共空間向けの2つの市場に分けて進めている。一般企業向けについては、同社及び販売代理店のほか、共同開発及び製造委託先であるオカムラやアイリスチトセ(株)(2021年2月発売開始)で販売している。2019年12月期第4四半期からは顧客ニーズに応えて、初期投資負担が軽い月額サブスクリプションモデルでのサービスも開始している。同社及び販売代理店での販売については、売り切りモデル及びサブスクリプションモデルでの提供での収入が売上高として計上される。一方、オカムラ及びアイリスチトセで販売されたものについては、同社が一定のロイヤリティ収入を受け取り、売上高として計上している。このため、オカムラ及びアイリスチトセ経由での販売が増加すれば、利益率が上昇することになる。
一方、公共空間向けについては、持分法適用関連会社のテレキューブサービス(出資比率30.2%)やOEM(他社ブランド名でのサービス提供)先のJR東日本(東日本旅客鉄道<9020>)に販売している。テレキューブサービスでは、都心のオフィスビルエントランスや各私鉄の駅構内、商業施設や複合施設、マンション、コンビニエンスストアなどに順次設置を進めており、個人・法人会員向けからの利用料金を売上に計上する(個人会員の場合、利用料金は250円/15分)。
JR東日本向けについては、2019年8月より開始したシェアオフィスサービス「STATION WORK」で設置されるブース型シェアオフィス「STATION BOOTH」の筐体として「テレキューブ」を採用しており、都内の駅から順次設置を進めている。同社の業績としては、テレキューブサービスやJR東日本への「テレキューブ」の販売(売り切りモデル)が売上高として計上されるほか、テレキューブサービスの利益が持分法による投資損益として営業外収支に計上されることになる。ただ、テレキューブサービスについては設置台数を拡大する先行投資段階となるため、当面は損失計上が続く見通しとなっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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同社グループは、「いつでも、どこでも、『だれでも』使える」をコンセプトに、ユーザーのPCあるいはスマートフォン、タブレット等のモバイル端末から、インターネットを通じて相手と互いの顔や資料を共有しながら遠隔会議を行うWeb会議サービスやWebセミナー等の映像コミュニケーションサービスの提供を主力事業としている。こうしたサービスをSaaSとして提供するだけでなく、Webセミナーなどオンラインイベントにおいては専門スタッフを配置し、イベントの運営が円滑に進むよう顧客ニーズに合わせてソリューションサービスを提供していることが特徴である。これがZoom等のその他競合ベンダーとの大きな違いで、差別化要因となっている。
事業セグメントは、エンタープライズDX事業、イベントDX事業、サードプレイスDX事業の3セグメントで開示している。2021年12月期第2四半期累計の事業セグメント別構成比については、売上高、セグメント利益ともにイベントDX事業が40%台と最も高く、次いで、エンタープライズDX事業、サードプレイスDX事業の順となっている。
1. エンタープライズDX事業
エンタープライズDX事業では、主に企業内外向けリモートコミュニケーションプロダクトの提供や、業界/用途特化型ソリューションの開発、提供、運用支援などを行っている。主要サービスとしては、汎用Web会議サービスとなる「V-CUBEミーティング」のほか、オンライン営業専用のWeb会議ツール「V-CUBEセールス+」、緊急対策・災害対策用ソリューション「V-CUBEコラボレーション」「V-CUBE Board」、米Qumu
※シンガポール子会社のWizlearn Technologiesが開発・運営しているサービスで、LMS(Learning Management System)は学校向け学習管理用プラットフォーム「ASKnLearn」、TMS(Teaching Management System)は企業向け教育研修管理用プラットフォーム「Wizlearn」としてそれぞれ提供している。
各サービスはSaaSとしてクラウド上で提供され、売上形態は月額で課金するサブスクリプションモデルが大半となっている。オンプレミス型は自治体向けの緊急対策・災害対策用ソリューションなどの一部にとどまっている。また、シンガポール子会社Wizlearnが展開しているLMS/TMSについてもクラウドサービスとして提供されている。同子会社では従来、学校向けが売上の過半を占めていたが、2019年以降政府が内製化方針を打ち出した影響で学校向けが減少し、2020年以降は企業向けが学校向けを逆転している。直近では学校向け売上の減少は底を打ち、今後はWizlearn売上の2~3割の売上を見込む。
2. イベントDX事業
イベントDX事業では、様々な分野におけるイベントのリモート化を実現するソリューションサービスを提供している。「V-CUBEセミナー」や「EventIn(イベントイン)」といったプロダクトの提供と合わせて、専門の技術スタッフを現場に派遣し(2人程度)、イベントの運営がスムーズに行われるよう運営支援を行うサービスで、高い顧客満足度を得られる「SaaS+Service」型のビジネスモデルとなる。競合となる外資系ベンダーはツールのみの提供にとどまっていることから、「Service」の必要性を感じる企業や、オンラインイベントでの運営トラブル発生を避けたい企業の需要を取り込むことで、2020年以降急成長している。
主な用途としては、製薬業界向けでプロモーション施策として利用されているオンライン講演会のほか、就職・採用オンライン説明会、バーチャル株主総会や決算説明会等が挙げられる。製薬業界向けオンライン講演会など「V-CUBEセミナー」による配信サービスを多く利用する企業については、顧客の希望に沿った日時・場所で配信サービスを行うが年間開催枠を用意してサービス提供しているため、実質的にサブスクリプションサービスとなっている。
また、2020年11月より従来のオンラインイベントの課題を解決する新たなサービスとして「EventIn」の提供を開始している。オンラインイベント後に、講演者に個別質問したり、企業ごとに分かれて商談・面談を行うことが可能で、ほぼリアルのセミナーに近いサービスを実現している。また、参加者のイベント中の行動履歴などを取得し、出展者に詳細なデータを提供でき、イベントセミナーの開催効果をより一段と高めることが可能なサービスとなっている。
そのほか、2021年6月より連結子会社化に加わった、米Xyvidのサービスも同事業セグメントに含まれる。Xyvidも米国でセミナーや講演会などのイベント向けに「SaaS+Service」モデルでイベントDX事業を展開している。従業員数は30名(2021年6月末時点)であるものの、顧客企業は大手金融機関やコンサルティング会社などのグローバル企業20~30社程度となる。2020年12月期の業績は売上高で5.4百万米ドル、営業利益で1.6百万米ドルと既に収益化していることから、今後はグループ連携を図ることでシナジーを高めていく戦略となっている。
3. サードプレイスDX事業
サードプレイスDX事業は、2017年より販売を開始した個室型スマートワークブース「テレキューブ」を提供している。企業内においてはリモート文化が普及したことで出社時もWeb会議を行うことが増え、周囲のノイズが入らないようにするために利用する会議室や個室不足を解消する場として、また、駅構内やオフィスビルエントランス、複合施設など公共空間でテレワーク等を行う場として、コロナ禍を機に急速に需要が拡大している。
営業展開は、一般企業向けと公共空間向けの2つの市場に分けて進めている。一般企業向けについては、同社及び販売代理店のほか、共同開発及び製造委託先であるオカムラやアイリスチトセ(株)(2021年2月発売開始)で販売している。2019年12月期第4四半期からは顧客ニーズに応えて、初期投資負担が軽い月額サブスクリプションモデルでのサービスも開始している。同社及び販売代理店での販売については、売り切りモデル及びサブスクリプションモデルでの提供での収入が売上高として計上される。一方、オカムラ及びアイリスチトセで販売されたものについては、同社が一定のロイヤリティ収入を受け取り、売上高として計上している。このため、オカムラ及びアイリスチトセ経由での販売が増加すれば、利益率が上昇することになる。
一方、公共空間向けについては、持分法適用関連会社のテレキューブサービス(出資比率30.2%)やOEM(他社ブランド名でのサービス提供)先のJR東日本(東日本旅客鉄道<9020>)に販売している。テレキューブサービスでは、都心のオフィスビルエントランスや各私鉄の駅構内、商業施設や複合施設、マンション、コンビニエンスストアなどに順次設置を進めており、個人・法人会員向けからの利用料金を売上に計上する(個人会員の場合、利用料金は250円/15分)。
JR東日本向けについては、2019年8月より開始したシェアオフィスサービス「STATION WORK」で設置されるブース型シェアオフィス「STATION BOOTH」の筐体として「テレキューブ」を採用しており、都内の駅から順次設置を進めている。同社の業績としては、テレキューブサービスやJR東日本への「テレキューブ」の販売(売り切りモデル)が売上高として計上されるほか、テレキューブサービスの利益が持分法による投資損益として営業外収支に計上されることになる。ただ、テレキューブサービスについては設置台数を拡大する先行投資段階となるため、当面は損失計上が続く見通しとなっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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