643円
クロス・マーケティンググループのニュース
■事業内容
1. 国内リサーチ事業
クロス・マーケティンググループ<3675>のネットリサーチは、企画に沿ったアンケートプログラムを開発してアンケートサーバー上に設置、抽出されたパネルからアンケートを取り、論理矛盾や不正回答などのデータクリーニングを行って調査結果を集計、多くの場合分析レポートを作成して顧客に納品する——という流れになっている。特徴は、パネルの量と質、分析レポートなど付随する付加価値サービスにある。
ネットリサーチにとって最も重要なのがパネルの量と質である。量については、直近1年以内にアンケートに回答したアクティブパネル数が219万人、提携先も合わせたアクティブパネル数は465万人と日本最大規模のアンケートパネル数を誇る(2019年10月時点)。質については、性別・年代・居住地といった基本情報のほか、同居家族構成や居住形態など基本的な属性を網羅しているほか、データの信頼性を確保するため、(株)リサーチパネルが毎年会員登録情報を更新し、パネルの基本属性を常に最新の状態に保っている。また、アンケートの調査回答内容をチェックし、悪質な不正回答者を登録抹消するなどパネルの品質管理も徹底している。スムーズな調査を実現するため、自動車保有や疾病などあらかじめ特定のテーマでセグメントした、20を超える専門的なパネルを用意している。以上から、同社のネットリサーチは精度の高い効率的な調査が可能となっている。
さらに、実際に調査協力者を集めてインタビューなどを行うオフラインの定量調査・定性調査や、既存の調査方法にITなどを組み合わせるデジタルマーケティングも展開している。通常のアンケートに加えてSNSなどを利用した投稿データの収集・分析や、アンケートデータと既存データを統合したデータドリブンな意思決定体制を構築するサポートも行っている。2015年に子会社化したメディリードでは、医師・医療従事者や患者のパネルに対してリサーチし、健康管理プログラムや発症リスクモデルの策定支援、創薬・治験などに関する論文・研究・医療技術評価の支援などのサポートをしている。このような専門領域に特化したサービスは、専門人材の確保や新しい技術への対応などが必要なため、非常に付加価値の高いサービスと言える。このため、メディリードのマーケティングソリューションは非常に高く評価されており、業容を拡大しているところである。
Kadenceグループの構造改革は一段落
2. 海外リサーチ事業
日本企業がアジアなど海外へ進出していることに対して、同社も2014年に米英及びアジアでマーケティングリサーチ事業を行うKadenceグループをM&A、アジアへの展開を強化した。しかし、組織上の問題などから連結業績になかなか貢献せず、2018年12月期−2019年12月期で構造改革を進めた。足元ではKadenceグループの構造改革が一段落したため、更なる組織体制の強化を図っているところである。今後は、米国(西海岸エリア)やアジア未進出エリアへの着実な拠点展開や、アジア英語圏でのBPO(Business Process Outsourcing)拠点やR&Dセンターの開設など、インフラ基盤を強化していく考えである。
金融向けなど堅牢性が求められるシステム開発に強み
3. ITソリューション事業
ITソリューション事業では、マーケティングから企画、開発、運用、プロモーションまで、モバイルやスマートフォン向けサービスに必要なあらゆる機能をワンストップで提供している。具体的には、Webサイトの構築、スマートフォンアプリの開発、各種ツール・パッケージの提供、調査・分析、インフラ・サーバ構築、Webプロモーション、セキュリティ対策、運用アウトソーシングなどである。同社は、金融機関向けアプリや決済・ポイント管理といった堅牢性が求められるシステムや、会員数100万人規模の大規模なシステムの構築・運用などに強みを持っている。このため、上場ネット証券会社の保有する口座において同社開発のアプリが高いシェアを占めるなど、証券会社を中心に金融業界で多数の開発・運用実績を誇っており、こうした実績を背景に、カード会社やネット銀行などへも営業を拡大している。また、アプリだけでなく、顧客企業にIT人材を提供することで、継続性のある運用業務も取り込んでいる。このため、2019年にはWebやECに特化した人材紹介・派遣を行っているサポタントと(株)クロス・ジェイ・テックを合併して(株)Fittioに商号を変更、顧客向けに開発したWeb/ECサイトの運用や保守向け人材派遣を強化した。
同社マーケティングソリューションのキー事業
4. その他の事業(プロモーション事業)
その他の事業の主力が(株)ディーアンドエムで、消費者データを活用したデジタルマーケティングやデジタルプロモーションなど、最先端のマーケティングサービスを提供している。なかでも伝統的PDCAとは異なる独自の「OODA(Observe、Orient、Decision、Action)」というマーケティングシステムは、顧客のマーケティング戦略を支援するサービスとして好評である。また、TREASURE DATAやAdobeなどDMP(Data Management Platform)大手とのデータ連携を進めており、大規模な属性データと企業のデータを連携することで、複雑化する広告主ニーズや市場環境の変化に対応することが可能となっている。プロモーション事業は、リサーチ事業やITソリューション事業と連携することで、同社のマーケティングソリューションを一気通貫したサービスとして提供するためのキー事業と言うこともできる。
グループ企業の連携によるサポート体制に強み
5. 事業の強み
同社リサーチの特徴は、回答負荷軽減を意識したアンケート画面作り、的確なターゲット選定のための配信設定、精度の高いハイクオリティなデータクリーニング、高機能なアンケートシステムによる画面作成・配信・データ納品などの即応体制、国内最大規模のパネル数、基本属性だけでなくレアな属性にも対応した調査——ということになるだろう。しかし、こうした機能・サービスは多少なりとも同業大手にもあり、大きな差別化要因とまでは言えない。最大の強みは、機能が分離しがちな大手他社に対して、セールス、リサーチャー、ディレクターなどすべての担当者が一丸となって顧客に接し、グループ企業が一体となって機動的に課題解決に当たるサポート体制にあると考えられる。また、顧客からすると、そうしたサポート体制に加え、課題に対し適切に提案・設計するリサーチャーの経験や、ITソリューション事業やプロモーション事業の機能を機動的に活用したトータルなマーケティングソリューションの提案なども強みと言えるだろう。以下は同社の事業を構成し、強みを支えるグループ企業である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<KS>
1. 国内リサーチ事業
クロス・マーケティンググループ<3675>のネットリサーチは、企画に沿ったアンケートプログラムを開発してアンケートサーバー上に設置、抽出されたパネルからアンケートを取り、論理矛盾や不正回答などのデータクリーニングを行って調査結果を集計、多くの場合分析レポートを作成して顧客に納品する——という流れになっている。特徴は、パネルの量と質、分析レポートなど付随する付加価値サービスにある。
ネットリサーチにとって最も重要なのがパネルの量と質である。量については、直近1年以内にアンケートに回答したアクティブパネル数が219万人、提携先も合わせたアクティブパネル数は465万人と日本最大規模のアンケートパネル数を誇る(2019年10月時点)。質については、性別・年代・居住地といった基本情報のほか、同居家族構成や居住形態など基本的な属性を網羅しているほか、データの信頼性を確保するため、(株)リサーチパネルが毎年会員登録情報を更新し、パネルの基本属性を常に最新の状態に保っている。また、アンケートの調査回答内容をチェックし、悪質な不正回答者を登録抹消するなどパネルの品質管理も徹底している。スムーズな調査を実現するため、自動車保有や疾病などあらかじめ特定のテーマでセグメントした、20を超える専門的なパネルを用意している。以上から、同社のネットリサーチは精度の高い効率的な調査が可能となっている。
さらに、実際に調査協力者を集めてインタビューなどを行うオフラインの定量調査・定性調査や、既存の調査方法にITなどを組み合わせるデジタルマーケティングも展開している。通常のアンケートに加えてSNSなどを利用した投稿データの収集・分析や、アンケートデータと既存データを統合したデータドリブンな意思決定体制を構築するサポートも行っている。2015年に子会社化したメディリードでは、医師・医療従事者や患者のパネルに対してリサーチし、健康管理プログラムや発症リスクモデルの策定支援、創薬・治験などに関する論文・研究・医療技術評価の支援などのサポートをしている。このような専門領域に特化したサービスは、専門人材の確保や新しい技術への対応などが必要なため、非常に付加価値の高いサービスと言える。このため、メディリードのマーケティングソリューションは非常に高く評価されており、業容を拡大しているところである。
Kadenceグループの構造改革は一段落
2. 海外リサーチ事業
日本企業がアジアなど海外へ進出していることに対して、同社も2014年に米英及びアジアでマーケティングリサーチ事業を行うKadenceグループをM&A、アジアへの展開を強化した。しかし、組織上の問題などから連結業績になかなか貢献せず、2018年12月期−2019年12月期で構造改革を進めた。足元ではKadenceグループの構造改革が一段落したため、更なる組織体制の強化を図っているところである。今後は、米国(西海岸エリア)やアジア未進出エリアへの着実な拠点展開や、アジア英語圏でのBPO(Business Process Outsourcing)拠点やR&Dセンターの開設など、インフラ基盤を強化していく考えである。
金融向けなど堅牢性が求められるシステム開発に強み
3. ITソリューション事業
ITソリューション事業では、マーケティングから企画、開発、運用、プロモーションまで、モバイルやスマートフォン向けサービスに必要なあらゆる機能をワンストップで提供している。具体的には、Webサイトの構築、スマートフォンアプリの開発、各種ツール・パッケージの提供、調査・分析、インフラ・サーバ構築、Webプロモーション、セキュリティ対策、運用アウトソーシングなどである。同社は、金融機関向けアプリや決済・ポイント管理といった堅牢性が求められるシステムや、会員数100万人規模の大規模なシステムの構築・運用などに強みを持っている。このため、上場ネット証券会社の保有する口座において同社開発のアプリが高いシェアを占めるなど、証券会社を中心に金融業界で多数の開発・運用実績を誇っており、こうした実績を背景に、カード会社やネット銀行などへも営業を拡大している。また、アプリだけでなく、顧客企業にIT人材を提供することで、継続性のある運用業務も取り込んでいる。このため、2019年にはWebやECに特化した人材紹介・派遣を行っているサポタントと(株)クロス・ジェイ・テックを合併して(株)Fittioに商号を変更、顧客向けに開発したWeb/ECサイトの運用や保守向け人材派遣を強化した。
同社マーケティングソリューションのキー事業
4. その他の事業(プロモーション事業)
その他の事業の主力が(株)ディーアンドエムで、消費者データを活用したデジタルマーケティングやデジタルプロモーションなど、最先端のマーケティングサービスを提供している。なかでも伝統的PDCAとは異なる独自の「OODA(Observe、Orient、Decision、Action)」というマーケティングシステムは、顧客のマーケティング戦略を支援するサービスとして好評である。また、TREASURE DATAやAdobeなどDMP(Data Management Platform)大手とのデータ連携を進めており、大規模な属性データと企業のデータを連携することで、複雑化する広告主ニーズや市場環境の変化に対応することが可能となっている。プロモーション事業は、リサーチ事業やITソリューション事業と連携することで、同社のマーケティングソリューションを一気通貫したサービスとして提供するためのキー事業と言うこともできる。
グループ企業の連携によるサポート体制に強み
5. 事業の強み
同社リサーチの特徴は、回答負荷軽減を意識したアンケート画面作り、的確なターゲット選定のための配信設定、精度の高いハイクオリティなデータクリーニング、高機能なアンケートシステムによる画面作成・配信・データ納品などの即応体制、国内最大規模のパネル数、基本属性だけでなくレアな属性にも対応した調査——ということになるだろう。しかし、こうした機能・サービスは多少なりとも同業大手にもあり、大きな差別化要因とまでは言えない。最大の強みは、機能が分離しがちな大手他社に対して、セールス、リサーチャー、ディレクターなどすべての担当者が一丸となって顧客に接し、グループ企業が一体となって機動的に課題解決に当たるサポート体制にあると考えられる。また、顧客からすると、そうしたサポート体制に加え、課題に対し適切に提案・設計するリサーチャーの経験や、ITソリューション事業やプロモーション事業の機能を機動的に活用したトータルなマーケティングソリューションの提案なども強みと言えるだろう。以下は同社の事業を構成し、強みを支えるグループ企業である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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