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三菱総合研究所のニュース
■業績動向
1. 2022年9月期の業績
三菱総合研究所<3636>の2022年9月期の連結業績は、売上高が前期比13.2%増の116,620百万円、営業利益が同33.7%増の9,165百万円、経常利益が同38.6%増の10,493百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同53.9%増の7,707百万円となった。増収増益の要因は中期経営計画の順調な進捗だ。
売上高に関してはDX関連事業の実績が着実に積み上がったほか、ITサービスにおいては新規顧客の開拓も進んだ。これを受け、2年連続の売上高過去最高を達成した。また、利益面に関しても経常利益が初の10,000百万円を突破した。増収による増益効果に加えて、中期経営計画の施策の1つである「基盤事業の品質・生産性の向上」が寄与した。案件の大型化・高付加価値化も着実に進捗した。また、顧客としっかりとコミュニケーションを取りながら人財リソースの最適配置を進め、より利益率・生産性の高い案件に注力した。これにより、連結ベースでの営業利益率は前期比プラス1.2ポイントの7.9%まで高まった。特に、利益率に課題があったITサービスにおいて品質・生産性の向上は顕著であり、同セグメントの営業利益は前期比58.2%増に急伸した(営業利益率は同プラス2.3ポイントの7.4%に上昇)。これらの質的改革によって、経常利益は中期経営計画の目標を1年前倒しで達成した。また、ROEに関しても中期経営計画の目標を1年前倒しで達成した。中期経営計画が順調に進捗し、売上高・各利益ともに伸長したことによって、2022年9月期のROEは前期比プラス3.7ポイントの12.8%まで高まった。
同社は、2022年9月期期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用している。前期との業績比較は参考値として記載した。会計基準変更が業績に与えた影響は、売上高が2,582百万円、営業利益、経常利益、税金等調整前当期純利益がそれぞれ1,030百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が567百万円の増加となった。会計基準変更の影響を取り除いた業績値は、売上高が前期比10.7%増の114,038百万円、営業利益が同18.7%増の8,135百万円、経常利益が同25.0%増の9,463百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同42.5%増の7,139百万円となった。
なお、同社有価証券報告書にあるとおり、主要な取引先の官公庁や民間企業の会計年度の関係により、例年3月から4月にかけて完了する案件が多く、特に第2四半期の稼働率が高くなる傾向がある。会計基準変更後は、上期に業績が偏重する傾向が強まっており、業績の季節変動要因には留意が必要である。
セグメント別の業績は、シンクタンク・コンサルティングサービスの売上高が前期比20.2%増の48,548百万円、営業利益が同12.7%増の4,115百万円、経常利益が同23.7%増の5,190百万円となった。成長事業としているDX関連事業の展開を積極的に行うなかで、官公庁向けの大型案件であるAIシミュレーションとローカル5G、最先端ICT、省エネ関連案件がトップラインを押し上げた。これにより、セグメント売上高は過去最高を記録した。同セグメントにおけるDX関連事業のトピックスとしては、「Region Ring(デジタル地域通貨)」の提供開始(2022年4月)、アトラス情報サービス(株)が構築している情報基盤を活用した自治体向け科学的介護予防パッケージの提供の開始(同8月)、卸電力取引向けオンライン情報サービスのMPX(MRI Power Price Index)事業の分社化・事業開始(同10月)※などが挙げられる。
※同社はMPX事業を事業分割、別会社化することを2022年8月4日に発表した。
ITサービスの売上高は、前期比8.6%増の68,072百万円、営業利益は同58.2%増の5,048百万円、経常利益は同57.7%増の5,301百万円となった。売上高に関しては、引き続き基盤事業である金融・カード分野が伸長した。加えて、官公庁向けの案件が増えたことや金融・カード分野以外でのDX関連事業の実績が積み上がったことも増収に寄与した。利益面に関しては、基盤事業の品質・生産性向上と人財リソースの最適配置によって収益性が大きく高まった。これらの要因により、売上、利益共に過去最高を達成している。なお、ITサービスにおけるDX関連事業のトピックスとしては、セキュリティ対策とデータ保護対策を総合的に行える「ランサムウェア対策ソリューション」、特別支援・学級向けコミュニケーションロボットサービス「Link&Robo for グローイング」の提供を2022年9月に開始した。また、MD連携によって、同社が出資している仏 ForePaaS※のビッグデータ解析ツールを活用した海上輸送向けGHG(温室効果ガス)管理ツールの提供も開始した。このように金融・カード分野以外での実績も積み上がった状況だ。
※ForePaaSは欧州最大のクラウドサービス会社OVH Cloudに買収された。OVH Cloudと同社グループは事業提携し、さらなる事業拡大を図っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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1. 2022年9月期の業績
三菱総合研究所<3636>の2022年9月期の連結業績は、売上高が前期比13.2%増の116,620百万円、営業利益が同33.7%増の9,165百万円、経常利益が同38.6%増の10,493百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同53.9%増の7,707百万円となった。増収増益の要因は中期経営計画の順調な進捗だ。
売上高に関してはDX関連事業の実績が着実に積み上がったほか、ITサービスにおいては新規顧客の開拓も進んだ。これを受け、2年連続の売上高過去最高を達成した。また、利益面に関しても経常利益が初の10,000百万円を突破した。増収による増益効果に加えて、中期経営計画の施策の1つである「基盤事業の品質・生産性の向上」が寄与した。案件の大型化・高付加価値化も着実に進捗した。また、顧客としっかりとコミュニケーションを取りながら人財リソースの最適配置を進め、より利益率・生産性の高い案件に注力した。これにより、連結ベースでの営業利益率は前期比プラス1.2ポイントの7.9%まで高まった。特に、利益率に課題があったITサービスにおいて品質・生産性の向上は顕著であり、同セグメントの営業利益は前期比58.2%増に急伸した(営業利益率は同プラス2.3ポイントの7.4%に上昇)。これらの質的改革によって、経常利益は中期経営計画の目標を1年前倒しで達成した。また、ROEに関しても中期経営計画の目標を1年前倒しで達成した。中期経営計画が順調に進捗し、売上高・各利益ともに伸長したことによって、2022年9月期のROEは前期比プラス3.7ポイントの12.8%まで高まった。
同社は、2022年9月期期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用している。前期との業績比較は参考値として記載した。会計基準変更が業績に与えた影響は、売上高が2,582百万円、営業利益、経常利益、税金等調整前当期純利益がそれぞれ1,030百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が567百万円の増加となった。会計基準変更の影響を取り除いた業績値は、売上高が前期比10.7%増の114,038百万円、営業利益が同18.7%増の8,135百万円、経常利益が同25.0%増の9,463百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同42.5%増の7,139百万円となった。
なお、同社有価証券報告書にあるとおり、主要な取引先の官公庁や民間企業の会計年度の関係により、例年3月から4月にかけて完了する案件が多く、特に第2四半期の稼働率が高くなる傾向がある。会計基準変更後は、上期に業績が偏重する傾向が強まっており、業績の季節変動要因には留意が必要である。
セグメント別の業績は、シンクタンク・コンサルティングサービスの売上高が前期比20.2%増の48,548百万円、営業利益が同12.7%増の4,115百万円、経常利益が同23.7%増の5,190百万円となった。成長事業としているDX関連事業の展開を積極的に行うなかで、官公庁向けの大型案件であるAIシミュレーションとローカル5G、最先端ICT、省エネ関連案件がトップラインを押し上げた。これにより、セグメント売上高は過去最高を記録した。同セグメントにおけるDX関連事業のトピックスとしては、「Region Ring(デジタル地域通貨)」の提供開始(2022年4月)、アトラス情報サービス(株)が構築している情報基盤を活用した自治体向け科学的介護予防パッケージの提供の開始(同8月)、卸電力取引向けオンライン情報サービスのMPX(MRI Power Price Index)事業の分社化・事業開始(同10月)※などが挙げられる。
※同社はMPX事業を事業分割、別会社化することを2022年8月4日に発表した。
ITサービスの売上高は、前期比8.6%増の68,072百万円、営業利益は同58.2%増の5,048百万円、経常利益は同57.7%増の5,301百万円となった。売上高に関しては、引き続き基盤事業である金融・カード分野が伸長した。加えて、官公庁向けの案件が増えたことや金融・カード分野以外でのDX関連事業の実績が積み上がったことも増収に寄与した。利益面に関しては、基盤事業の品質・生産性向上と人財リソースの最適配置によって収益性が大きく高まった。これらの要因により、売上、利益共に過去最高を達成している。なお、ITサービスにおけるDX関連事業のトピックスとしては、セキュリティ対策とデータ保護対策を総合的に行える「ランサムウェア対策ソリューション」、特別支援・学級向けコミュニケーションロボットサービス「Link&Robo for グローイング」の提供を2022年9月に開始した。また、MD連携によって、同社が出資している仏 ForePaaS※のビッグデータ解析ツールを活用した海上輸送向けGHG(温室効果ガス)管理ツールの提供も開始した。このように金融・カード分野以外での実績も積み上がった状況だ。
※ForePaaSは欧州最大のクラウドサービス会社OVH Cloudに買収された。OVH Cloudと同社グループは事業提携し、さらなる事業拡大を図っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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