124,221円
サムティ・レジデンシャル投資法人のニュース
■要約
1. 会社概要
サムティ<3244>は、関西圏及び首都圏を中心として全国に展開している総合不動産会社である。不動産事業(不動産ファンド向け大型賃貸マンションやホテルの開発及び販売等)と不動産賃貸事業(賃貸マンションの保有等)を両輪とし、ホテル事業なども手掛けている。不動産賃貸事業による安定収入と不動産事業による成長加速のバランスにより事業環境の変化に柔軟に対応できるところに特長があり、大きな金融危機を乗り越えながら持続的な成長を実現してきた。また、両事業の組み合わせによる一気通貫型のビジネスモデルにも優位性があり、ここ数年高い成長を続けている。営業エリアの拡大とともに、2015年6月にはJ-REIT事業※にも進出し、さらなる事業拡大に向けてビジネスモデルの基礎固めが完了した。
※2015年3月に設立したサムティ・レジデンシャル投資法人<3459>(以下、SRR)を東証J-REITに上場。
新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響により、2020年中に予定していたホテルREITの上場は2022年春以降に延期したものの、景気変動の影響を受けにくい賃貸マンションは堅調に推移している上、今後に向けた投資計画(用地仕入れや収益不動産の取得)も順調に進捗している。一方、アフターコロナ等を見据え、2021年1月に中期経営計画の見直しを実施した。戦略的投資を継続するとともに、「開発して保有する」ビジネスへの転換(安定収益の拡大)や海外事業の強化、長期目線でのホテル事業の取り組みにより、持続的な成長を目指す方向性となっている。
2. 2021年11月期上期の業績
2021年11月期上期の業績は、売上高が前年同期比11.5%減の24,193百万円、営業利益が同36.9%減の3,599百万円、経常利益が同10.3%増の5,114百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同133.1%増の7,393百万円と減収及び営業減益となったが、おおむね想定どおりの進捗である。「資産保有型」ビジネスへの転換に向けて物件売却を大幅に抑えたことに加え、一部物件の期ずれ分を含め、下期偏重の予算編成になっていることから減収となった。一方、利益面でも、減収による収益の下押しに加え、ホテルの新規開業に係る費用の増加等により営業減益となった。なお、経常利益以下が増益となったのは、特別目的会社(以下、SPC)を通じた「アロフト大阪堂島」(ホテル)の取得等に伴って、営業外収益及び特別利益が発生したことが理由である。活動面では、積極的に収益不動産を積み増したことに加え、ホテルREIT上場及び拡大に向けて、ウェルス・マネジメント<3772>(以下、WMI)との提携や外資オペレーターとの連携を強化しており、今後のホテル事業の方向性を示す意味でも、特筆すべき成果を残したと評価できる。
3. 2021年11月期の業績予想
2021年11月期の業績予想(レンジ形式)について同社は、期初予想から2回の増額修正を行った。修正後の業績予想としては、売上高を88,000百万円(前期比13.0%減)~120,000百万円(同18.7%増)、営業利益を10,000百万円(同42.4%減)~11,800百万円(同32.0%減)、経常利益を12,200百万円(同20.0%減)~13,600百万円(同10.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益を11,900百万円(同12.1%増)~12,900百万円(同21.5%増)と見込んでいる。なお、売上高の下限値が減収となっているのは、上期同様、中期経営計画の見直しに従い、「資産保有型」ビジネスへと転換していくプロセスにあることが理由である。一方、重視するインカムゲイン(賃貸収入等)については同12.5%増の14,795百万円と順調に拡大する見通しである。利益面でも、物件売却数の減少に伴う影響や、ホテル事業における費用増(新規開業に伴う初期費用を含む)等により、営業利益は上限・下限ともに減益を見込んでいる。ただ、親会社株主に帰属する当期純利益については、特別利益の計上等により増益(9期連続)を確保する予想となっており、年間配当額も前期比4円増の1株当たり86円を予定している。
4. 中期経営計画(アフターコロナ版)の概要
同社は、アフターコロナを見据え、2021年1月に5ヶ年の中期経営計画(アフターコロナ版)へと見直しを行った。基本方針として、(1) 「開発して保有する」ビジネスへの転換(安定収益の拡大)、(2) ホテルREIT設立に向けた取り組みの継続、(3) 地方大都市圏における戦略的投資の継続、(4) 海外事業での収益基盤の構築、を掲げており、5年間の投資計画は約7,500億円、最終年度である2025年11月期の業績目標として売上高2,200億円水準、営業利益350億円以上、ROE15.0%水準、ROA7.0%水準、自己資本比率30.0%以上を目指している。特に、グループ資産(REITを含む)を1兆円規模にまで拡大するとともに、営業利益の50%をインカムゲイン(賃貸収入等)、15%を海外事業で構成する収益構造への転換を図る方針である。
■Key Points
・2021年11月期上期は減収及び営業減益となるも、おおむね想定どおりの進捗
・重視するインカムゲイン(賃貸収入等)はコロナ禍においても順調に伸長。活動面でも、収益不動産の積み増しやホテル事業の強化に向けて特筆すべき成果を挙げる
・2021年11月期の業績予想(レンジ形式)を増額修正。親会社株主に帰属する当期純利益では9期連続の最高益を更新する見通しであり、年間配当額も前期比4円増の1株当たり86円を予定
・アフターコロナ等を見据え、2021年1月に5ヶ年の中期経営計画(アフターコロナ版)への見直しを実施。戦略的投資を継続するとともに、「資産保有型」ビジネスへの転換や海外事業の強化等により持続的な成長を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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1. 会社概要
サムティ<3244>は、関西圏及び首都圏を中心として全国に展開している総合不動産会社である。不動産事業(不動産ファンド向け大型賃貸マンションやホテルの開発及び販売等)と不動産賃貸事業(賃貸マンションの保有等)を両輪とし、ホテル事業なども手掛けている。不動産賃貸事業による安定収入と不動産事業による成長加速のバランスにより事業環境の変化に柔軟に対応できるところに特長があり、大きな金融危機を乗り越えながら持続的な成長を実現してきた。また、両事業の組み合わせによる一気通貫型のビジネスモデルにも優位性があり、ここ数年高い成長を続けている。営業エリアの拡大とともに、2015年6月にはJ-REIT事業※にも進出し、さらなる事業拡大に向けてビジネスモデルの基礎固めが完了した。
※2015年3月に設立したサムティ・レジデンシャル投資法人<3459>(以下、SRR)を東証J-REITに上場。
新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響により、2020年中に予定していたホテルREITの上場は2022年春以降に延期したものの、景気変動の影響を受けにくい賃貸マンションは堅調に推移している上、今後に向けた投資計画(用地仕入れや収益不動産の取得)も順調に進捗している。一方、アフターコロナ等を見据え、2021年1月に中期経営計画の見直しを実施した。戦略的投資を継続するとともに、「開発して保有する」ビジネスへの転換(安定収益の拡大)や海外事業の強化、長期目線でのホテル事業の取り組みにより、持続的な成長を目指す方向性となっている。
2. 2021年11月期上期の業績
2021年11月期上期の業績は、売上高が前年同期比11.5%減の24,193百万円、営業利益が同36.9%減の3,599百万円、経常利益が同10.3%増の5,114百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同133.1%増の7,393百万円と減収及び営業減益となったが、おおむね想定どおりの進捗である。「資産保有型」ビジネスへの転換に向けて物件売却を大幅に抑えたことに加え、一部物件の期ずれ分を含め、下期偏重の予算編成になっていることから減収となった。一方、利益面でも、減収による収益の下押しに加え、ホテルの新規開業に係る費用の増加等により営業減益となった。なお、経常利益以下が増益となったのは、特別目的会社(以下、SPC)を通じた「アロフト大阪堂島」(ホテル)の取得等に伴って、営業外収益及び特別利益が発生したことが理由である。活動面では、積極的に収益不動産を積み増したことに加え、ホテルREIT上場及び拡大に向けて、ウェルス・マネジメント<3772>(以下、WMI)との提携や外資オペレーターとの連携を強化しており、今後のホテル事業の方向性を示す意味でも、特筆すべき成果を残したと評価できる。
3. 2021年11月期の業績予想
2021年11月期の業績予想(レンジ形式)について同社は、期初予想から2回の増額修正を行った。修正後の業績予想としては、売上高を88,000百万円(前期比13.0%減)~120,000百万円(同18.7%増)、営業利益を10,000百万円(同42.4%減)~11,800百万円(同32.0%減)、経常利益を12,200百万円(同20.0%減)~13,600百万円(同10.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益を11,900百万円(同12.1%増)~12,900百万円(同21.5%増)と見込んでいる。なお、売上高の下限値が減収となっているのは、上期同様、中期経営計画の見直しに従い、「資産保有型」ビジネスへと転換していくプロセスにあることが理由である。一方、重視するインカムゲイン(賃貸収入等)については同12.5%増の14,795百万円と順調に拡大する見通しである。利益面でも、物件売却数の減少に伴う影響や、ホテル事業における費用増(新規開業に伴う初期費用を含む)等により、営業利益は上限・下限ともに減益を見込んでいる。ただ、親会社株主に帰属する当期純利益については、特別利益の計上等により増益(9期連続)を確保する予想となっており、年間配当額も前期比4円増の1株当たり86円を予定している。
4. 中期経営計画(アフターコロナ版)の概要
同社は、アフターコロナを見据え、2021年1月に5ヶ年の中期経営計画(アフターコロナ版)へと見直しを行った。基本方針として、(1) 「開発して保有する」ビジネスへの転換(安定収益の拡大)、(2) ホテルREIT設立に向けた取り組みの継続、(3) 地方大都市圏における戦略的投資の継続、(4) 海外事業での収益基盤の構築、を掲げており、5年間の投資計画は約7,500億円、最終年度である2025年11月期の業績目標として売上高2,200億円水準、営業利益350億円以上、ROE15.0%水準、ROA7.0%水準、自己資本比率30.0%以上を目指している。特に、グループ資産(REITを含む)を1兆円規模にまで拡大するとともに、営業利益の50%をインカムゲイン(賃貸収入等)、15%を海外事業で構成する収益構造への転換を図る方針である。
■Key Points
・2021年11月期上期は減収及び営業減益となるも、おおむね想定どおりの進捗
・重視するインカムゲイン(賃貸収入等)はコロナ禍においても順調に伸長。活動面でも、収益不動産の積み増しやホテル事業の強化に向けて特筆すべき成果を挙げる
・2021年11月期の業績予想(レンジ形式)を増額修正。親会社株主に帰属する当期純利益では9期連続の最高益を更新する見通しであり、年間配当額も前期比4円増の1株当たり86円を予定
・アフターコロナ等を見据え、2021年1月に5ヶ年の中期経営計画(アフターコロナ版)への見直しを実施。戦略的投資を継続するとともに、「資産保有型」ビジネスへの転換や海外事業の強化等により持続的な成長を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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