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And Doホールディングスのニュース
*11:04JST AndDo Research Memo(4):成長強化事業への積極的な投資を継続し、さらなる収益拡大を目指す(2)
■事業概要
(2) 高齢者の資金需要に対応する「不動産×金融」サービス
高齢者は「住宅」という資産を所有しているものの、収入と支出が低水準に留まっている。2人以上世帯の高齢者の持家率は60~69歳が92.3%、70歳以上が92.5%と極めて高い※。一方で、公的年金以外にも老後資金として2,000万円が必要との試算が出ているものの、高齢者の平均貯蓄額は2,284万円、中央値は1,515万円と、60%以上で貯蓄が2,000万円未満というデータもある。And Doホールディングス<3457>は、不動産ストックの流動化により資産を資金化することで市場に還流させ、経済活性化の一翼を担うことを目的として、高齢者の資金需要に対応する「不動産×金融」サービスを提供している。このサービスにより高齢者は、自宅に住みながら老後の生活資金を得られ、資金面で老後のQOLを向上できる。
※ 出所:総務省統計局「家計調査年報(貯蓄・負債編)」(2022年)
具体的には、2013年10月に自宅を売却した後も住み続けられるハウス・リースバック事業を他社に先駆けて開始し、2016年7月に一時的な資金ニーズはあるものの自宅を売却するほどの金額を必要としない人向けに「不動産担保融資」を、2017年10月には地域の金融機関と提携して自宅を担保に融資を受けられる「リバースモーゲージ保証事業」を開始した。これらの幅広い商品ラインナップにより、多様な顧客のニーズに応えている。
a) ハウス・リースバック事業
ハウス・リースバック事業は、同社が住宅を買い取り、売主とリース(賃貸)契約を結ぶスキームである。持ち主は自宅を売却して資金を得た後も、愛着のある住居や地域で住み続けられるほか、資金の使途、年齢、収入、対象者、対象物件に制限がなく、賃貸契約の保証人も不要である。同社は地域密着型の店舗網を展開していることに加え、不動産の査定や不動産売買、金融サービスのノウハウを有していることから、ハウス・リースバックに必要な機能をすべて自社の経営リソースでカバーできることが強みとなっている。
ハウス・リースバック事業は、買取時の事務手数料、毎月の家賃収入、売却時のキャピタルゲインと3種類の収益機会がある。物件は顧客から直接取得し、仕入額の約3%が買取時の事務手数料となる。取得翌月からは毎月家賃としてインカムゲインが発生し、年間で仕入額の約8%程度がリターンとして入る。売却時には、諸費用及び手数料別途で仕入額の15%程度のキャピタルゲインが発生する。
ハウス・リースバック事業は従来、先行投資負担が大きく、財務状況を勘案しながら事業展開する必要があったが、2018年6月期より、収益拡大と保有資産の効率的活用及び財務の健全化のため、HLBファンドへの譲渡によるハウス・リースバック資産の流動化を実施している。HLBファンドからの利益分配は匿名組合投資利益という形で営業外収益として計上され、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益の拡大に寄与する。2024年6月期には、HLBファンド19号へ過去最高となる53.6億円を譲渡した。このため2024年6月期は、累計保有総額・保有件数ともに前期末を下回ったものの、高水準で推移していることに変わりはない。
b) リバースモーゲージ保証事業
リバースモーゲージは、自宅を担保として融資を受けることができる金融商品の1つである。住宅ローンが元本・利息を毎月返済するのに対し、リバースモーゲージは利息のみを毎月支払い、元本については生存中は返す義務がなく、死亡後担保である自宅を売却するなどして一括返済する。自宅は所有しているが、現金収入が少ないという高齢者向けの資金調達手段として日本では1981年に導入された。欧米では主流の金融サービスであるものの、日本では資金の出し手となる金融機関が限定されており、本格的な普及には至っていない。これは金融機関が不動産売買を本業としていないため、物件の査定と物件処分がネックとなるためである。リバースモーゲージは不動産価格の下落、金利上昇、長命化などのリスクがあるものの、同社子会社のフィナンシャルドゥが保証サービスを提供することで活性化を図っている。フィナンシャルドゥは契約時に不動産調査料を受け取り、利用者が金融機関に支払う利息の一部を保証料として得るため、同サービスはイニシャルコストとランニングコストの両方で収益機会があるストック型収益ビジネスである。なお、将来的に不動産の処分が発生した場合についても、グループ内の不動産サービスを提供することで収益を得られる。
リバースモーゲージ保証事業では、同社グループがこれまで培った不動産売買のノウハウを生かすことで、市場取引価格に基づいた査定が可能となる。また通常、金融機関で債権処理が発生した場合、不動産の処分までに20~25%の中間マージンが発生するが、同社は直接販売のため不要となる。このため、金融機関が安全性を考慮して行うよりも大きな融資枠を提供でき、利用客がフィナンシャルドゥと商品取引契約を結ぶ動機付けとなる。
2024年6月期末のリバースモーゲージ累計保証残高は20,841百万円(前期末比58.3%増)、累計保証件数は1,639件(前期末比454件増)と順調に拡大している。累計保証件数に関しては、2023年1月末に1,000件を突破し、累計保証残高は2024年7月に20,000百万円を突破した。2025年6月期末には33,937百万円(前期末比62.8%増)と保証残高の累積スピードを加速させる方針であり、同社全体の成長に寄与することが期待される。
同社グループでは、金融機関と提携することで、リバースモーゲージ保証のサービスエリアを拡げている。2017年10月に大阪信用金庫との提携により「リバースモーゲージ保証事業」を開始して以降、リバースモーゲージ保証に対する金融機関の関心は高く、提携金融機関が順調に増加している。2024年6月期では、呉信用金庫(2023年7月)、東京シティ信用金庫(同年9月)、朝日信用金庫(同年9月)、多摩信用金庫(同年11月)、瀧野川信用金庫(2024年2月)、さがみ信用金庫(同年3月)との提携を開始した。その後、中日信用金庫(同年7月)との提携を開始し、2024年8月14日時点(リリース日基準)の提携金融機関数は前期末比7件増の52件まで拡大している。また同社は、都内の金融機関との提携を推進している。リバースモーゲージ保証事業の業績を拡大するには、保証残高を積み上げる必要がある。不動産価格の高い都内を中心に提携金融機関を増やし、1案件あたりの保証額を拡大する方針だ。リバースモーゲージ保証事業自体は市場の黎明期にあるものの、高齢化が進行する中で需要が高まることが期待できる。今後も提携する金融機関の拡大を図りながら、市場を黎明期から成長期へと押し上げていく。
c) 不動産担保融資
不動産担保融資のスキームは、融資の金利及び事務手数料などで同業他社と大差がない。ただし、同社のメインビジネスが不動産売買仲介業であることから、不動産価格の査定については質量ともに他社を凌駕するうえ、査定のスピードも速い。不動産担保融資残高は2017年6月期末に2,865百万円、2018年6月期末に5,587百万円、2019年6月期末に8,163百万円、2020年6月期末に11,045百万円と急速に拡大した。しかしながら、リバースモーゲージ保証事業を注力事業にシフトしたことや、より収益の拡大を図れる売買事業に資金を振り分ける方針により、2021年6月期以降は不動産担保融資残高は縮小傾向となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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(2) 高齢者の資金需要に対応する「不動産×金融」サービス
高齢者は「住宅」という資産を所有しているものの、収入と支出が低水準に留まっている。2人以上世帯の高齢者の持家率は60~69歳が92.3%、70歳以上が92.5%と極めて高い※。一方で、公的年金以外にも老後資金として2,000万円が必要との試算が出ているものの、高齢者の平均貯蓄額は2,284万円、中央値は1,515万円と、60%以上で貯蓄が2,000万円未満というデータもある。And Doホールディングス<3457>は、不動産ストックの流動化により資産を資金化することで市場に還流させ、経済活性化の一翼を担うことを目的として、高齢者の資金需要に対応する「不動産×金融」サービスを提供している。このサービスにより高齢者は、自宅に住みながら老後の生活資金を得られ、資金面で老後のQOLを向上できる。
※ 出所:総務省統計局「家計調査年報(貯蓄・負債編)」(2022年)
具体的には、2013年10月に自宅を売却した後も住み続けられるハウス・リースバック事業を他社に先駆けて開始し、2016年7月に一時的な資金ニーズはあるものの自宅を売却するほどの金額を必要としない人向けに「不動産担保融資」を、2017年10月には地域の金融機関と提携して自宅を担保に融資を受けられる「リバースモーゲージ保証事業」を開始した。これらの幅広い商品ラインナップにより、多様な顧客のニーズに応えている。
a) ハウス・リースバック事業
ハウス・リースバック事業は、同社が住宅を買い取り、売主とリース(賃貸)契約を結ぶスキームである。持ち主は自宅を売却して資金を得た後も、愛着のある住居や地域で住み続けられるほか、資金の使途、年齢、収入、対象者、対象物件に制限がなく、賃貸契約の保証人も不要である。同社は地域密着型の店舗網を展開していることに加え、不動産の査定や不動産売買、金融サービスのノウハウを有していることから、ハウス・リースバックに必要な機能をすべて自社の経営リソースでカバーできることが強みとなっている。
ハウス・リースバック事業は、買取時の事務手数料、毎月の家賃収入、売却時のキャピタルゲインと3種類の収益機会がある。物件は顧客から直接取得し、仕入額の約3%が買取時の事務手数料となる。取得翌月からは毎月家賃としてインカムゲインが発生し、年間で仕入額の約8%程度がリターンとして入る。売却時には、諸費用及び手数料別途で仕入額の15%程度のキャピタルゲインが発生する。
ハウス・リースバック事業は従来、先行投資負担が大きく、財務状況を勘案しながら事業展開する必要があったが、2018年6月期より、収益拡大と保有資産の効率的活用及び財務の健全化のため、HLBファンドへの譲渡によるハウス・リースバック資産の流動化を実施している。HLBファンドからの利益分配は匿名組合投資利益という形で営業外収益として計上され、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益の拡大に寄与する。2024年6月期には、HLBファンド19号へ過去最高となる53.6億円を譲渡した。このため2024年6月期は、累計保有総額・保有件数ともに前期末を下回ったものの、高水準で推移していることに変わりはない。
b) リバースモーゲージ保証事業
リバースモーゲージは、自宅を担保として融資を受けることができる金融商品の1つである。住宅ローンが元本・利息を毎月返済するのに対し、リバースモーゲージは利息のみを毎月支払い、元本については生存中は返す義務がなく、死亡後担保である自宅を売却するなどして一括返済する。自宅は所有しているが、現金収入が少ないという高齢者向けの資金調達手段として日本では1981年に導入された。欧米では主流の金融サービスであるものの、日本では資金の出し手となる金融機関が限定されており、本格的な普及には至っていない。これは金融機関が不動産売買を本業としていないため、物件の査定と物件処分がネックとなるためである。リバースモーゲージは不動産価格の下落、金利上昇、長命化などのリスクがあるものの、同社子会社のフィナンシャルドゥが保証サービスを提供することで活性化を図っている。フィナンシャルドゥは契約時に不動産調査料を受け取り、利用者が金融機関に支払う利息の一部を保証料として得るため、同サービスはイニシャルコストとランニングコストの両方で収益機会があるストック型収益ビジネスである。なお、将来的に不動産の処分が発生した場合についても、グループ内の不動産サービスを提供することで収益を得られる。
リバースモーゲージ保証事業では、同社グループがこれまで培った不動産売買のノウハウを生かすことで、市場取引価格に基づいた査定が可能となる。また通常、金融機関で債権処理が発生した場合、不動産の処分までに20~25%の中間マージンが発生するが、同社は直接販売のため不要となる。このため、金融機関が安全性を考慮して行うよりも大きな融資枠を提供でき、利用客がフィナンシャルドゥと商品取引契約を結ぶ動機付けとなる。
2024年6月期末のリバースモーゲージ累計保証残高は20,841百万円(前期末比58.3%増)、累計保証件数は1,639件(前期末比454件増)と順調に拡大している。累計保証件数に関しては、2023年1月末に1,000件を突破し、累計保証残高は2024年7月に20,000百万円を突破した。2025年6月期末には33,937百万円(前期末比62.8%増)と保証残高の累積スピードを加速させる方針であり、同社全体の成長に寄与することが期待される。
同社グループでは、金融機関と提携することで、リバースモーゲージ保証のサービスエリアを拡げている。2017年10月に大阪信用金庫との提携により「リバースモーゲージ保証事業」を開始して以降、リバースモーゲージ保証に対する金融機関の関心は高く、提携金融機関が順調に増加している。2024年6月期では、呉信用金庫(2023年7月)、東京シティ信用金庫(同年9月)、朝日信用金庫(同年9月)、多摩信用金庫(同年11月)、瀧野川信用金庫(2024年2月)、さがみ信用金庫(同年3月)との提携を開始した。その後、中日信用金庫(同年7月)との提携を開始し、2024年8月14日時点(リリース日基準)の提携金融機関数は前期末比7件増の52件まで拡大している。また同社は、都内の金融機関との提携を推進している。リバースモーゲージ保証事業の業績を拡大するには、保証残高を積み上げる必要がある。不動産価格の高い都内を中心に提携金融機関を増やし、1案件あたりの保証額を拡大する方針だ。リバースモーゲージ保証事業自体は市場の黎明期にあるものの、高齢化が進行する中で需要が高まることが期待できる。今後も提携する金融機関の拡大を図りながら、市場を黎明期から成長期へと押し上げていく。
c) 不動産担保融資
不動産担保融資のスキームは、融資の金利及び事務手数料などで同業他社と大差がない。ただし、同社のメインビジネスが不動産売買仲介業であることから、不動産価格の査定については質量ともに他社を凌駕するうえ、査定のスピードも速い。不動産担保融資残高は2017年6月期末に2,865百万円、2018年6月期末に5,587百万円、2019年6月期末に8,163百万円、2020年6月期末に11,045百万円と急速に拡大した。しかしながら、リバースモーゲージ保証事業を注力事業にシフトしたことや、より収益の拡大を図れる売買事業に資金を振り分ける方針により、2021年6月期以降は不動産担保融資残高は縮小傾向となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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