1,106円
クリエイト・レストランツ・ホールディングスのニュース
■会社概要
1. 事業内容
SFPホールディングス<3198>は、駅前・繁華街(路面店)での24時間営業※により人気業態となっている海鮮居酒屋「磯丸水産」などの運営を主力事業としている。近年では、「磯丸水産」と同様の収益モデルによる「鳥良商店」(鶏料理専門店)が2本目の柱として本格稼働してきた。また、2020年2月期からは独自の「アライアンス構想」を展開。M&Aの活用による地方都市への出店拡大(社内FC形式でのブランド提供)に狙いがある。足元では、コロナ禍による影響が業界全体に影を落としており、当面は収益体質の強化に専念し、早期回復と環境変化への対応を目指す。
※市場特性等によっては、24時間営業でない店舗も一部ある。
2021年2月末の総店舗数は、アライアンスメンバー2社(合計35店舗)を含めて227店舗(うち、FC 14店舗)。そのうち、「磯丸水産」は119店舗(うち、FC 13店舗)である。また、出店エリア別では首都圏が195店(うち、都内が124店舗)となっており、首都圏への集中出店によってブランド力の確立と店舗数の拡大を図ってきたことがわかる。もっとも、最近は「アライアンス構想」を含めて地方都市への出店にも目を向けている。2013年4月にクリエイト・レストランツ・ホールディングス<3387>と資本提携し連結子会社となったが、2014年12月に東証2部に上場すると、2019年2月28日には東証1部へと市場変更を果たした。
事業セグメントは飲食事業の単一セグメントであるが、業態別に創業業態の「鳥良事業部門」(「鳥良商店」も含む)、主力業態の「磯丸事業部門」、新業態を含む「その他部門」のほか、前期からはアライアンスメンバーによる寄与分が追加され、4つに区分されている。「磯丸事業部門」が売上高の59.2%(2021年2月期実績)を占める。
駅前・繁華街(路面店)での24時間営業による収益モデルに強み
2. 企業特長
同社の優位性は、通常の居酒屋業態の収益モデルに加えて、新たに独自の収益モデルを確立したところにある。主力業態の「磯丸水産」は、あえて賃料の高い駅前・繁華街の路面店に出店する一方、個性的で視認性の高いファサードや、入りやすいオープンな雰囲気、24時間営業による幅広い需要の取り込みなど、一等立地による集客力を最大限に生かし、高い稼働率で回していく独自の収益モデルに特長がある。単純化して言えば、通常の居酒屋業態の収益モデルでは採算の取れない高い賃料を払ったとしても、売上高を多く確保することでレバレッジを効かせる構造と言える。もちろん、そこには立地分析のスキームや路面店の開発スキルのほか、24時間営業におけるオペレーション、時間帯により最適なメニューに入れ替えるノウハウ等があってこそ成立するものであり、簡単に模倣できるものではない。特に、出店コストの高さや24時間営業の難しさは他社にとっては高いハードルとなっていると考えられる。同社には、他社に先駆けてノウハウを蓄積してきたことや首都圏への集中出店によりブランド力を高めてきたことが、さらに出店リスクを引き下げるといった好循環が生まれている。コロナ禍に伴う時短営業や外出自粛要請は、「磯丸水産」の特長の一部(駅前一等立地、24時間営業等)を打ち消す影響をもたらしたが、収益モデル自体の優位性に大きな変化はないと考えられる。
また、「磯丸水産」で確立した収益モデル(以下、「磯丸水産」モデル)は他の業態で生かすことが可能であり、さらなる進化を遂げる余地も大きい。2本目の柱である「鳥良商店」は、創業業態である「鳥良」に「磯丸水産」モデルを移植したことで着実に軌道に乗ってきた。「磯丸水産」との重複出店(同時出店や出店済エリアへの出店)や市場特性(立地・業態)に合わせた選択出店ができるところがポイントである。また、今回のコロナ禍収束後の環境変化(消費者行動の変化等)を見極めたうえで、必要なチューニング(モデルチェンジ)にも柔軟に対応していく考えであり、そのような仮説検証型の進化を追求していく姿勢は同社の真骨頂と言えるだろう。
名古屋名物の手羽先唐揚専門店である「鳥良」にて創業
3. 沿革
同社の創業は1984年4月、創業者である寒川良作(さむかわりょうさく)氏(元同社代表取締役会長、2015年12月に退任)が東京都武蔵野市に手羽先唐揚専門店である「鳥良」(現在の「鳥良商店」吉祥寺南口店)を開業したことに遡る。名古屋名物の手羽先唐揚を独自のレシピでアレンジしたものを看板メニューとし、着実に店舗数を増やした。2001年には「豊かな食を創造する総合フードサービス業を目指す」ことをビジョンに掲げ、業態の多角化にも取り組みながら2008年には全社50店舗体制へと事業を拡大した。
その後、リーマン・ショックなどによる景気後退の影響や業界環境の変化等を受けて、「日本を豊かにする『食』の専門店集団を目指す」ことにビジョンを改め、「専門店」化の追求へと舵を切ると、2009年には独自の収益モデルによる「磯丸水産」を開業し、成長に向けた基礎を築いた。
「磯丸水産」が順調に立ち上がり、成長への道筋が見えてきたことから、「永続する会社組織を作っていく」ためには上場を目指すのが1番の近道であると判断。そのうえで、2010年12月にPEファンドであるポラリス第二号投資事業有限責任組合(ポラリス・キャピタル・グループ(株))の資本参加を受け、客観的な視点や合理的な手法の導入によって、経営管理や組織運営の精度を高めることを決断した。なお、SPCとして設立された(株)サンフランシスコ・ホールディングスが形式上の存続会社であり、それまでの事業主体であったサムカワフードプランニング(株)を吸収合併(2011年5月)している(2011年10月にSFPダイニング株式会社に商号変更)。その後2016年9月に持株会社体制に移行し、それに伴い2017年6月にSFPホールディングス株式会社に商号を変更して現在の形となった。
2013年4月には郊外のショッピングセンターにおけるレストラン及びフードコートの運営を主力とするクリエイト・レストランツ・ホールディングスと資本提携し連結子会社となったが、2014年12月には東証2部へ株式上場を果たした(2019年2月28日には東証1部へと市場変更)。
株式上場を契機に、人気業態としてブランド力を確立してきた「磯丸水産」による出店ペースに拍車がかかり、2015年5月には「磯丸水産」100店舗体制に到達。また、愛知県名古屋市で「磯丸水産」のFC展開もスタート※。加えて、2本目の成長の柱である「鳥良商店」の出店も開始している。
※2017年6月には九州(福岡県)でも「磯丸水産」のFC展開をスタート。
2020年2月期からは独自の「アライアンス構想」をスタート。M&Aの活用による地方都市への出店拡大(社内FC形式でのブランド提供)にも取り組んでいる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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1. 事業内容
SFPホールディングス<3198>は、駅前・繁華街(路面店)での24時間営業※により人気業態となっている海鮮居酒屋「磯丸水産」などの運営を主力事業としている。近年では、「磯丸水産」と同様の収益モデルによる「鳥良商店」(鶏料理専門店)が2本目の柱として本格稼働してきた。また、2020年2月期からは独自の「アライアンス構想」を展開。M&Aの活用による地方都市への出店拡大(社内FC形式でのブランド提供)に狙いがある。足元では、コロナ禍による影響が業界全体に影を落としており、当面は収益体質の強化に専念し、早期回復と環境変化への対応を目指す。
※市場特性等によっては、24時間営業でない店舗も一部ある。
2021年2月末の総店舗数は、アライアンスメンバー2社(合計35店舗)を含めて227店舗(うち、FC 14店舗)。そのうち、「磯丸水産」は119店舗(うち、FC 13店舗)である。また、出店エリア別では首都圏が195店(うち、都内が124店舗)となっており、首都圏への集中出店によってブランド力の確立と店舗数の拡大を図ってきたことがわかる。もっとも、最近は「アライアンス構想」を含めて地方都市への出店にも目を向けている。2013年4月にクリエイト・レストランツ・ホールディングス<3387>と資本提携し連結子会社となったが、2014年12月に東証2部に上場すると、2019年2月28日には東証1部へと市場変更を果たした。
事業セグメントは飲食事業の単一セグメントであるが、業態別に創業業態の「鳥良事業部門」(「鳥良商店」も含む)、主力業態の「磯丸事業部門」、新業態を含む「その他部門」のほか、前期からはアライアンスメンバーによる寄与分が追加され、4つに区分されている。「磯丸事業部門」が売上高の59.2%(2021年2月期実績)を占める。
駅前・繁華街(路面店)での24時間営業による収益モデルに強み
2. 企業特長
同社の優位性は、通常の居酒屋業態の収益モデルに加えて、新たに独自の収益モデルを確立したところにある。主力業態の「磯丸水産」は、あえて賃料の高い駅前・繁華街の路面店に出店する一方、個性的で視認性の高いファサードや、入りやすいオープンな雰囲気、24時間営業による幅広い需要の取り込みなど、一等立地による集客力を最大限に生かし、高い稼働率で回していく独自の収益モデルに特長がある。単純化して言えば、通常の居酒屋業態の収益モデルでは採算の取れない高い賃料を払ったとしても、売上高を多く確保することでレバレッジを効かせる構造と言える。もちろん、そこには立地分析のスキームや路面店の開発スキルのほか、24時間営業におけるオペレーション、時間帯により最適なメニューに入れ替えるノウハウ等があってこそ成立するものであり、簡単に模倣できるものではない。特に、出店コストの高さや24時間営業の難しさは他社にとっては高いハードルとなっていると考えられる。同社には、他社に先駆けてノウハウを蓄積してきたことや首都圏への集中出店によりブランド力を高めてきたことが、さらに出店リスクを引き下げるといった好循環が生まれている。コロナ禍に伴う時短営業や外出自粛要請は、「磯丸水産」の特長の一部(駅前一等立地、24時間営業等)を打ち消す影響をもたらしたが、収益モデル自体の優位性に大きな変化はないと考えられる。
また、「磯丸水産」で確立した収益モデル(以下、「磯丸水産」モデル)は他の業態で生かすことが可能であり、さらなる進化を遂げる余地も大きい。2本目の柱である「鳥良商店」は、創業業態である「鳥良」に「磯丸水産」モデルを移植したことで着実に軌道に乗ってきた。「磯丸水産」との重複出店(同時出店や出店済エリアへの出店)や市場特性(立地・業態)に合わせた選択出店ができるところがポイントである。また、今回のコロナ禍収束後の環境変化(消費者行動の変化等)を見極めたうえで、必要なチューニング(モデルチェンジ)にも柔軟に対応していく考えであり、そのような仮説検証型の進化を追求していく姿勢は同社の真骨頂と言えるだろう。
名古屋名物の手羽先唐揚専門店である「鳥良」にて創業
3. 沿革
同社の創業は1984年4月、創業者である寒川良作(さむかわりょうさく)氏(元同社代表取締役会長、2015年12月に退任)が東京都武蔵野市に手羽先唐揚専門店である「鳥良」(現在の「鳥良商店」吉祥寺南口店)を開業したことに遡る。名古屋名物の手羽先唐揚を独自のレシピでアレンジしたものを看板メニューとし、着実に店舗数を増やした。2001年には「豊かな食を創造する総合フードサービス業を目指す」ことをビジョンに掲げ、業態の多角化にも取り組みながら2008年には全社50店舗体制へと事業を拡大した。
その後、リーマン・ショックなどによる景気後退の影響や業界環境の変化等を受けて、「日本を豊かにする『食』の専門店集団を目指す」ことにビジョンを改め、「専門店」化の追求へと舵を切ると、2009年には独自の収益モデルによる「磯丸水産」を開業し、成長に向けた基礎を築いた。
「磯丸水産」が順調に立ち上がり、成長への道筋が見えてきたことから、「永続する会社組織を作っていく」ためには上場を目指すのが1番の近道であると判断。そのうえで、2010年12月にPEファンドであるポラリス第二号投資事業有限責任組合(ポラリス・キャピタル・グループ(株))の資本参加を受け、客観的な視点や合理的な手法の導入によって、経営管理や組織運営の精度を高めることを決断した。なお、SPCとして設立された(株)サンフランシスコ・ホールディングスが形式上の存続会社であり、それまでの事業主体であったサムカワフードプランニング(株)を吸収合併(2011年5月)している(2011年10月にSFPダイニング株式会社に商号変更)。その後2016年9月に持株会社体制に移行し、それに伴い2017年6月にSFPホールディングス株式会社に商号を変更して現在の形となった。
2013年4月には郊外のショッピングセンターにおけるレストラン及びフードコートの運営を主力とするクリエイト・レストランツ・ホールディングスと資本提携し連結子会社となったが、2014年12月には東証2部へ株式上場を果たした(2019年2月28日には東証1部へと市場変更)。
株式上場を契機に、人気業態としてブランド力を確立してきた「磯丸水産」による出店ペースに拍車がかかり、2015年5月には「磯丸水産」100店舗体制に到達。また、愛知県名古屋市で「磯丸水産」のFC展開もスタート※。加えて、2本目の成長の柱である「鳥良商店」の出店も開始している。
※2017年6月には九州(福岡県)でも「磯丸水産」のFC展開をスタート。
2020年2月期からは独自の「アライアンス構想」をスタート。M&Aの活用による地方都市への出店拡大(社内FC形式でのブランド提供)にも取り組んでいる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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