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エー・ディー・ワークスのニュース
■今後の見通し
1. 2019年3月期の業績見通し
エー・ディー・ワークス<3250>の2019年3月期の連結業績は、売上高が前期比7.6%増の24,000百万円、EBITDAが同18.7%増の1,600百万円、経常利益が同7.9%増の1,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同13.0%増の660百万円となる見通し。当期は第5次中期経営計画の最終年度となるが、当初の計画目標値(2016年5月発表)と比較すると各利益項目については変わらないものの、売上高は18,000百万円から24,000百万円に上方修正されている。これは不動産価格の上昇が続いており、1棟当たりの利益額が当初想定よりも低くなったためだ。実際、2018年3月期についても売上高を拡大することによって計画どおりの利益を確保している。また、ROEについては当初計画で7.4%としていたが、エクイティ・ファイナンスの実施により自己資本が増加したため、今回6.2%に見直している。
2019年3月期末の収益不動産残高の目安については、当初目標通りの30,000百万円としている。期中平均残高については米国販売用を5,000百万円から3,763百万円に引き下げたが、国内短期/中期販売用及び長期保有用に関してはそれぞれ11,921百万円、10,503百万円とし、当初目標並みの水準を計画している。
米国については引き続き収益拡大が続く見通しではあるものの、仕入拡大のための銀行からの融資条件がなかなか改善されないことが、目標引き下げの要因となっている。このため、2019年3月期についても売上拡大が続くものの、伸びはやや鈍化する見通しだ。一方、国内については短期/中期保有不動産の平均残高が前期比で17.1%増、長期保有不動産が同65.2%増となり、主に長期保有不動産の積み上げに注力していく方針であることがうかがえる。不動産価格の上昇が続く環境において目標のハードルは高い印象があるものの、今後の不動産市況次第とも言える。同社では、30,000百万円の目標はあくまでも目安であり、引き続き採算性を重視した仕入活動を行っていく方針に変わりない。
「次の飛躍」に向けた経営基盤の構築に取り組む方針
2. 2019年3月期の主な取り組み施策
同社では2019年3月期を「次の飛躍」に向けた経営基盤を構築する期間と位置付けており、以下の施策に取り組んでいく。
(1) 収益不動産仕入の間口の拡大
従来、同社は都心の中古マンションを中心に仕入販売を行い、収益不動産事業を拡大してきたが、都心における不動産価格の上昇や、それに伴う在庫の積み上がりが顕在化してきており、事業環境として当面は厳しい環境が続くと見ている。こうしたなかで今後の持続的な事業拡大を図るため、地域展開や不動産属性の多様化を進めていく取り組みを推進していく。
地域展開としては、前期から数字となって現れてきている大阪を中心とした京阪神エリアやその他の地方中核都市(名古屋や福岡など)での展開を視野に入れている。特に、大阪では東京で同社が築き上げた仲介不動産会社との人的ネットワークが生かされており、仕入ルートが構築されてきている。まだ、競合も少ないことから2019年3月期も大阪を中心とした京阪神エリアでの仕入販売の拡大が見込まれる。
一方、不動産属性の多様化については、事業用不動産の取扱いを増やしていく。規模的に大型物件であっても他社と共同仕入れを行いながら、オペレーションフィーを得るビジネスモデルを推進していく考えで、長期保有用不動産物件の残高拡大につなげていく。また、販売についても時期はまだ流動的なものの、不動産小口化商品※として販売することで、顧客層の裾野を広げてく方針となっている。第1号案件は2018年中に販売を開始したい考えだ。
※不動産小口化商品は一口100万円、商品によっては10万円と比較的少ない投資金額から投資が可能なほか、1つの物件を複数の投資家で分散して所有するため、空室の発生による利回り変動リスクも他の不動産投資商品と比較して大幅に軽減されるといったメリットがある。契約スタイルによって「匿名組合型」「任意組合型」「賃貸借型」の3種類の商品に大別される。
(2) 新規事業確立に向けてのフィージビリティスタディ
同社では不動産テック事業を新規事業として育成していく考えで、その流通プラットフォームとしてポータルサイト「みんなの投資online」を2017年より立ち上げた。同サイトのPV/UU数を増やしていくことで、広告収入を得るほか、流通プラットフォームとして不動産関連の様々なサービス・商品を掲載し、マネタイズしていく考えだ。
また、不動産テック関連のスタートアップ企業で有望なサービス等を開発している企業との連携等も積極的に推進し、技術面・ネットワーク面でのリソースを補強していくことで、新規事業の創出・育成を進めていく。なお、2019年3月期の業績計画に新規事業の影響は織り込んでいない。
(3) 人材育成、組織運営体制の強化
事業の拡大を進めていくうえで、人材の育成や組織体制の強化が課題となっており、これらの取り組みを推進していく。人材に関しては若手人材の育成と、人材育成をできる管理職の育成に注力する。また、組織体制については生産性向上を目的に見直しを図り、部門を超えた人材ローテーションにより、プロ化も推進していく。
■株主還元策
株主還元策について、エー・ディー・ワークス<3250>は配当金と株主優待制度を導入している。2019年3月期の1株当たり配当金については0.35円を予定している。2018年3月期は感謝配当1.65円が上積みされたが、今期は普通配当のみの予定となっている。なお、今後の配当方針については株主アンケートなどの結果も踏まえて、次期中期経営計画発表時点で示す方針となっている。
また、2018年3月期より新たに株主優待制度を導入している。株主とのリレーション強化を目的に「エー・ディー・ワークス株主クラブ」を新設し、同クラブを通じて各種サービスを実施していく。同クラブには6月末、12月末時点に1単元以上保有の株主が会員登録できる。サービス内容は、IRニュース等の情報配信サービス(全会員向け)と、優待ポイント制度(プレミアム会員向け)に分けられる。プレミアム会員とは1万株以上保有の株主となり、毎年6月末、12月末時点の株式保有数に応じて1ポイント1円相当の優待ポイント(1年間有効)が付与される。優待ポイントは、各種商品(全国の銘産品、ワイン、旅館宿泊券、ゴルフ用品等数百種類から選択)と交換することができる。
■情報セキュリティ対策
同社は経営に関わる様々なリスクに対処するため、外部の専門家3人でチームを構成し、社内にリスク・コンプライアンス委員会を設置して、その対策に取り組んでおり、サイバー攻撃等の情報セキュリティ対策もその1項目となっている。具体的な取り組みとしては、情報セキュリティマネジメントシステムの規格であるISO・IEC27001:2013の認証を2015年に同社で取得し、現在はグループ子会社にも拡大している。また、社内のサーバーシステムもサイバー攻撃や自然災害リスクに備えて分散化するなどBCP(事業継続計画)対策を行っている。その他、同社の顧客や株主、取引先や従業員等の個人情報の取扱いについても個人情報保護法に基づき、社内規定による徹底した管理が行われている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2019年3月期の業績見通し
エー・ディー・ワークス<3250>の2019年3月期の連結業績は、売上高が前期比7.6%増の24,000百万円、EBITDAが同18.7%増の1,600百万円、経常利益が同7.9%増の1,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同13.0%増の660百万円となる見通し。当期は第5次中期経営計画の最終年度となるが、当初の計画目標値(2016年5月発表)と比較すると各利益項目については変わらないものの、売上高は18,000百万円から24,000百万円に上方修正されている。これは不動産価格の上昇が続いており、1棟当たりの利益額が当初想定よりも低くなったためだ。実際、2018年3月期についても売上高を拡大することによって計画どおりの利益を確保している。また、ROEについては当初計画で7.4%としていたが、エクイティ・ファイナンスの実施により自己資本が増加したため、今回6.2%に見直している。
2019年3月期末の収益不動産残高の目安については、当初目標通りの30,000百万円としている。期中平均残高については米国販売用を5,000百万円から3,763百万円に引き下げたが、国内短期/中期販売用及び長期保有用に関してはそれぞれ11,921百万円、10,503百万円とし、当初目標並みの水準を計画している。
米国については引き続き収益拡大が続く見通しではあるものの、仕入拡大のための銀行からの融資条件がなかなか改善されないことが、目標引き下げの要因となっている。このため、2019年3月期についても売上拡大が続くものの、伸びはやや鈍化する見通しだ。一方、国内については短期/中期保有不動産の平均残高が前期比で17.1%増、長期保有不動産が同65.2%増となり、主に長期保有不動産の積み上げに注力していく方針であることがうかがえる。不動産価格の上昇が続く環境において目標のハードルは高い印象があるものの、今後の不動産市況次第とも言える。同社では、30,000百万円の目標はあくまでも目安であり、引き続き採算性を重視した仕入活動を行っていく方針に変わりない。
「次の飛躍」に向けた経営基盤の構築に取り組む方針
2. 2019年3月期の主な取り組み施策
同社では2019年3月期を「次の飛躍」に向けた経営基盤を構築する期間と位置付けており、以下の施策に取り組んでいく。
(1) 収益不動産仕入の間口の拡大
従来、同社は都心の中古マンションを中心に仕入販売を行い、収益不動産事業を拡大してきたが、都心における不動産価格の上昇や、それに伴う在庫の積み上がりが顕在化してきており、事業環境として当面は厳しい環境が続くと見ている。こうしたなかで今後の持続的な事業拡大を図るため、地域展開や不動産属性の多様化を進めていく取り組みを推進していく。
地域展開としては、前期から数字となって現れてきている大阪を中心とした京阪神エリアやその他の地方中核都市(名古屋や福岡など)での展開を視野に入れている。特に、大阪では東京で同社が築き上げた仲介不動産会社との人的ネットワークが生かされており、仕入ルートが構築されてきている。まだ、競合も少ないことから2019年3月期も大阪を中心とした京阪神エリアでの仕入販売の拡大が見込まれる。
一方、不動産属性の多様化については、事業用不動産の取扱いを増やしていく。規模的に大型物件であっても他社と共同仕入れを行いながら、オペレーションフィーを得るビジネスモデルを推進していく考えで、長期保有用不動産物件の残高拡大につなげていく。また、販売についても時期はまだ流動的なものの、不動産小口化商品※として販売することで、顧客層の裾野を広げてく方針となっている。第1号案件は2018年中に販売を開始したい考えだ。
※不動産小口化商品は一口100万円、商品によっては10万円と比較的少ない投資金額から投資が可能なほか、1つの物件を複数の投資家で分散して所有するため、空室の発生による利回り変動リスクも他の不動産投資商品と比較して大幅に軽減されるといったメリットがある。契約スタイルによって「匿名組合型」「任意組合型」「賃貸借型」の3種類の商品に大別される。
(2) 新規事業確立に向けてのフィージビリティスタディ
同社では不動産テック事業を新規事業として育成していく考えで、その流通プラットフォームとしてポータルサイト「みんなの投資online」を2017年より立ち上げた。同サイトのPV/UU数を増やしていくことで、広告収入を得るほか、流通プラットフォームとして不動産関連の様々なサービス・商品を掲載し、マネタイズしていく考えだ。
また、不動産テック関連のスタートアップ企業で有望なサービス等を開発している企業との連携等も積極的に推進し、技術面・ネットワーク面でのリソースを補強していくことで、新規事業の創出・育成を進めていく。なお、2019年3月期の業績計画に新規事業の影響は織り込んでいない。
(3) 人材育成、組織運営体制の強化
事業の拡大を進めていくうえで、人材の育成や組織体制の強化が課題となっており、これらの取り組みを推進していく。人材に関しては若手人材の育成と、人材育成をできる管理職の育成に注力する。また、組織体制については生産性向上を目的に見直しを図り、部門を超えた人材ローテーションにより、プロ化も推進していく。
■株主還元策
株主還元策について、エー・ディー・ワークス<3250>は配当金と株主優待制度を導入している。2019年3月期の1株当たり配当金については0.35円を予定している。2018年3月期は感謝配当1.65円が上積みされたが、今期は普通配当のみの予定となっている。なお、今後の配当方針については株主アンケートなどの結果も踏まえて、次期中期経営計画発表時点で示す方針となっている。
また、2018年3月期より新たに株主優待制度を導入している。株主とのリレーション強化を目的に「エー・ディー・ワークス株主クラブ」を新設し、同クラブを通じて各種サービスを実施していく。同クラブには6月末、12月末時点に1単元以上保有の株主が会員登録できる。サービス内容は、IRニュース等の情報配信サービス(全会員向け)と、優待ポイント制度(プレミアム会員向け)に分けられる。プレミアム会員とは1万株以上保有の株主となり、毎年6月末、12月末時点の株式保有数に応じて1ポイント1円相当の優待ポイント(1年間有効)が付与される。優待ポイントは、各種商品(全国の銘産品、ワイン、旅館宿泊券、ゴルフ用品等数百種類から選択)と交換することができる。
■情報セキュリティ対策
同社は経営に関わる様々なリスクに対処するため、外部の専門家3人でチームを構成し、社内にリスク・コンプライアンス委員会を設置して、その対策に取り組んでおり、サイバー攻撃等の情報セキュリティ対策もその1項目となっている。具体的な取り組みとしては、情報セキュリティマネジメントシステムの規格であるISO・IEC27001:2013の認証を2015年に同社で取得し、現在はグループ子会社にも拡大している。また、社内のサーバーシステムもサイバー攻撃や自然災害リスクに備えて分散化するなどBCP(事業継続計画)対策を行っている。その他、同社の顧客や株主、取引先や従業員等の個人情報の取扱いについても個人情報保護法に基づき、社内規定による徹底した管理が行われている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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