914円
ディア・ライフのニュース
■ディア・ライフ<3245>の事業概要
1. リアルエステート事業
(1) 東京の不動産市況
a) コロナ禍後も不動産市況は活況
コロナ禍によりホテルや商業施設の不動産市況は大きな影響を受けたが、住居(レジデンス)に関しては影響が軽微だったと言えるだろう。また、東京オリンピック・パラリンピック後は不動産市況が落ち込むと予想する意見も過去には見られたが、現在までのところ市況は堅調である。一般財団法人日本不動産研究所「第46回不動産投資家調査」(2022年4月現在)においては、不動産投資家に「今後1年間の不動産投資に対する考え方」を質問したところ、94%が「新規投資を積極的に行う」と回答し、前年調査と同様に高い値を維持した。一方で「既存所有物件を売却する」は20%、「当面、新規投資を控える」は5%と少数派だった。世界的な金融緩和に支えられ、不動産投資家の積極的な投資姿勢が依然として継続していることがわかる。
b) 世界の大都市と比較した“TOKYO”不動産の優位性
世界の大都市の中で東京の不動産価格はまだ割安である(割高ではない)と言われている。日本不動産研究所「第18回国際不動産価格賃料指数」(2022年4月現在)によると、東京のマンション/高級住宅の価格水準を100.0とした時に、香港(218.2)、ロンドン(181.3)、上海(144.3)、ニューヨーク(111.7)、シンガポール(108.4)などが上回っている。一方で、海外における世界大都市の魅力ランキングでは東京は1位を獲得するケースが多く、魅力度は折り紙付きである。さらに、グローバルに投資を展開する大手の投資家(ファンドなどを含む)にとっては、日本の低金利政策も有利な条件となる。海外投資家が日本において不動産投資を行う場合には、SPC(特別目的会社)を組成し、自己資本のほかにノンリコースローンで資金を調達する場合がある。この場合には日本の低金利は有利であり、総合的に高い投資利回りにつながる。昨今の円安傾向は、さらに“TOKYO”の割安感を高めている。
(2) 東京都心部の不動産の開発・投資に特化して競争力を磨く
a) 堅調な需要が見込める東京都心部
同社は創業以来、東京圏の単身者・DINKS向け都市型レジデンスを中心に不動産開発事業を展開している。人口減少期に入った日本においても、東京圏においては一世帯当たりの人数が減少しているものの、世帯数が増加中であり、さらには働き方やライフスタイルの変遷もあり、好立地にある都心マンションの需要は衰えていない。結果として、都心での用地の確保の難易度は上昇し、新築マンション供給戸数は頭打ち傾向が続き、マンション価格は上昇を続けている。同社の戦略は明確であり、23区のなかでも都心部を中心に投資をしている。同社取り組み物件(都市型レジデンス、収益不動産、開発プロジェクト)のうち95.2%は23区内に位置する。また、最寄り駅から5分以内の物件が62.0%、10分以内で97%となっており、利便性の高い物件への投資を徹底している。特に、飯田橋・神楽坂・市ヶ谷においては絶えず複数のプロジェクトが進行している。
b) エリアに特化した用地取得と建築発注が強み
このような環境下で、需要の堅調な東京圏、特に神楽坂・飯田橋・市ヶ谷をはじめとする「職・食・住」の利便性が良好なエリアに事業エリアを特化することで、販売面だけでなく、用地取得や建築発注においても優位性を確立している。情報の非対称性が依然大きい不動産業界では、有益な用地・物件情報であればあるほど、フェイス・トゥ・フェイスの商談が重要になってくる。同社はエリアを限定することにより、より効率的で密度の濃い仲介業者などとの業界人脈を構築できており、その情報取得力は高い。またエリアを限定することで継続的に工事発注できることから、ゼネコンなど建築業者とも良好な関係性を構築できており、品質の高い建築請負工事を実現している。
c) 専門性の高い内部人材がもう1つの強み
エリア限定の強みに加え、社内に一級建築士をはじめ専門性の高い人材を抱えていることも大きなアドバンテージとなっている。用地取得に関しては、素早く情報をキャッチすると同時にその開発ポテンシャルを素早く的確に算定し、競争力のある価格提示を迅速に行える能力が不可欠である。また建築技術等に詳しい人材がいればコスト抑制策での創意工夫が進みやすく、ゼネコンなどとの折衝力が高まる。
d) 若手社員の成長力が特長
同社では、若手社員の成長力が高いこともリソースの1つである。早い段階から若手に重要なポジションを与えて成長を促す環境を整えているため、一般的に15年程度はかかると見られる不動産ビジネスに必要な総合的な判断力が数年で習得でき、若手の成長スピードが速いことが同社の特徴となっている。具体的には、土地の仕入れから最終的な売却までのプロセスを担う、プロジェクトマネジャーに若手を積極的に任命しており、入社2年目の社員が登用されるケースもあるという。土地購入の際の企画・開発、ニーズに関わる部分を総合的に判断し、プロジェクトの完了までには他の企画・開発にも携わるため、不動産ビジネスのノウハウを一気通貫で習得することができる。
e) 分譲事業には参入せず資産効率、生産性を重視
同社は分譲事業には参入しておらず、1棟売り(卸売)することで資金回収を早め、資産効率を高めている。売却先は寮・社宅などのニーズを持つ事業会社、分譲や賃貸運営目的の不動産会社、国内外の不動産投資ファンド、個人富裕層を中心とする投資家など幅広い。開発面では東京圏特化で効率性と競争力を高めている反面、販売面では自前の販売人員を抱えることなく広く可能性を探っている。2021年9月期は東京圏に立地する都市型レジデンス(自社開発)と、不動産活用・運用のニーズの多様化に対応したADR事業(土地の開発適地化)で29件、収益不動産案件(稼働率向上や管理コストの見直しなどにより収益価値を向上)で7棟売却した。リアルエステート事業(アイディグループ連結前)の従業員数は21名と少数精鋭であり、従業員1人当たりの売上高が1,176百万円、従業員1人当たりの営業利益(セグメント利益、利益調整前)224百万円と労働生産性がずば抜けて高い。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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1. リアルエステート事業
(1) 東京の不動産市況
a) コロナ禍後も不動産市況は活況
コロナ禍によりホテルや商業施設の不動産市況は大きな影響を受けたが、住居(レジデンス)に関しては影響が軽微だったと言えるだろう。また、東京オリンピック・パラリンピック後は不動産市況が落ち込むと予想する意見も過去には見られたが、現在までのところ市況は堅調である。一般財団法人日本不動産研究所「第46回不動産投資家調査」(2022年4月現在)においては、不動産投資家に「今後1年間の不動産投資に対する考え方」を質問したところ、94%が「新規投資を積極的に行う」と回答し、前年調査と同様に高い値を維持した。一方で「既存所有物件を売却する」は20%、「当面、新規投資を控える」は5%と少数派だった。世界的な金融緩和に支えられ、不動産投資家の積極的な投資姿勢が依然として継続していることがわかる。
b) 世界の大都市と比較した“TOKYO”不動産の優位性
世界の大都市の中で東京の不動産価格はまだ割安である(割高ではない)と言われている。日本不動産研究所「第18回国際不動産価格賃料指数」(2022年4月現在)によると、東京のマンション/高級住宅の価格水準を100.0とした時に、香港(218.2)、ロンドン(181.3)、上海(144.3)、ニューヨーク(111.7)、シンガポール(108.4)などが上回っている。一方で、海外における世界大都市の魅力ランキングでは東京は1位を獲得するケースが多く、魅力度は折り紙付きである。さらに、グローバルに投資を展開する大手の投資家(ファンドなどを含む)にとっては、日本の低金利政策も有利な条件となる。海外投資家が日本において不動産投資を行う場合には、SPC(特別目的会社)を組成し、自己資本のほかにノンリコースローンで資金を調達する場合がある。この場合には日本の低金利は有利であり、総合的に高い投資利回りにつながる。昨今の円安傾向は、さらに“TOKYO”の割安感を高めている。
(2) 東京都心部の不動産の開発・投資に特化して競争力を磨く
a) 堅調な需要が見込める東京都心部
同社は創業以来、東京圏の単身者・DINKS向け都市型レジデンスを中心に不動産開発事業を展開している。人口減少期に入った日本においても、東京圏においては一世帯当たりの人数が減少しているものの、世帯数が増加中であり、さらには働き方やライフスタイルの変遷もあり、好立地にある都心マンションの需要は衰えていない。結果として、都心での用地の確保の難易度は上昇し、新築マンション供給戸数は頭打ち傾向が続き、マンション価格は上昇を続けている。同社の戦略は明確であり、23区のなかでも都心部を中心に投資をしている。同社取り組み物件(都市型レジデンス、収益不動産、開発プロジェクト)のうち95.2%は23区内に位置する。また、最寄り駅から5分以内の物件が62.0%、10分以内で97%となっており、利便性の高い物件への投資を徹底している。特に、飯田橋・神楽坂・市ヶ谷においては絶えず複数のプロジェクトが進行している。
b) エリアに特化した用地取得と建築発注が強み
このような環境下で、需要の堅調な東京圏、特に神楽坂・飯田橋・市ヶ谷をはじめとする「職・食・住」の利便性が良好なエリアに事業エリアを特化することで、販売面だけでなく、用地取得や建築発注においても優位性を確立している。情報の非対称性が依然大きい不動産業界では、有益な用地・物件情報であればあるほど、フェイス・トゥ・フェイスの商談が重要になってくる。同社はエリアを限定することにより、より効率的で密度の濃い仲介業者などとの業界人脈を構築できており、その情報取得力は高い。またエリアを限定することで継続的に工事発注できることから、ゼネコンなど建築業者とも良好な関係性を構築できており、品質の高い建築請負工事を実現している。
c) 専門性の高い内部人材がもう1つの強み
エリア限定の強みに加え、社内に一級建築士をはじめ専門性の高い人材を抱えていることも大きなアドバンテージとなっている。用地取得に関しては、素早く情報をキャッチすると同時にその開発ポテンシャルを素早く的確に算定し、競争力のある価格提示を迅速に行える能力が不可欠である。また建築技術等に詳しい人材がいればコスト抑制策での創意工夫が進みやすく、ゼネコンなどとの折衝力が高まる。
d) 若手社員の成長力が特長
同社では、若手社員の成長力が高いこともリソースの1つである。早い段階から若手に重要なポジションを与えて成長を促す環境を整えているため、一般的に15年程度はかかると見られる不動産ビジネスに必要な総合的な判断力が数年で習得でき、若手の成長スピードが速いことが同社の特徴となっている。具体的には、土地の仕入れから最終的な売却までのプロセスを担う、プロジェクトマネジャーに若手を積極的に任命しており、入社2年目の社員が登用されるケースもあるという。土地購入の際の企画・開発、ニーズに関わる部分を総合的に判断し、プロジェクトの完了までには他の企画・開発にも携わるため、不動産ビジネスのノウハウを一気通貫で習得することができる。
e) 分譲事業には参入せず資産効率、生産性を重視
同社は分譲事業には参入しておらず、1棟売り(卸売)することで資金回収を早め、資産効率を高めている。売却先は寮・社宅などのニーズを持つ事業会社、分譲や賃貸運営目的の不動産会社、国内外の不動産投資ファンド、個人富裕層を中心とする投資家など幅広い。開発面では東京圏特化で効率性と競争力を高めている反面、販売面では自前の販売人員を抱えることなく広く可能性を探っている。2021年9月期は東京圏に立地する都市型レジデンス(自社開発)と、不動産活用・運用のニーズの多様化に対応したADR事業(土地の開発適地化)で29件、収益不動産案件(稼働率向上や管理コストの見直しなどにより収益価値を向上)で7棟売却した。リアルエステート事業(アイディグループ連結前)の従業員数は21名と少数精鋭であり、従業員1人当たりの売上高が1,176百万円、従業員1人当たりの営業利益(セグメント利益、利益調整前)224百万円と労働生産性がずば抜けて高い。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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